松のみどり摘みの時期はいつ?やり方がわかるポイントも伝授!

4月下旬ころから5月下旬ころに、前年に伸びた松の枝先に、一つの枝先に数本ずつ棒状になって何やら伸びて来るものがあります。

これは、「松の新芽(みどり)」なのですが、これが何なのかわからない方にとって、この棒状の物が出現する状況は「何だか毎年この時期になると長い変な物が現れてくる!」と不思議がられるようです。

ここでは、松のみどり摘みはどのように行なえばよいのか、みどり摘みの適期やポイントなどを解説します。

マツのみどり摘み

松のみどり摘みとはいったい何なのか?

「みどり摘み」とは、松の新芽(みどり)を摘む作業で、その伸びた一部の新芽を摘み取る作業によって、樹勢を調整したり、樹形を整えたり、松の健全な成長を促したり、古葉の更新を促進する目的があります。

新芽のみどりは「ろうそく芽」とも呼ばれるらしいです。

このみどり摘みをする作業により、枝葉の密度を調整し、風通しを良くしたり、光を均等に取り入れられるようになります。

新しく出た「みどり(新芽)」は1本ごとに樹勢が違い、伸びやすい物があれば伸びにくい物があります。
松の新芽(みどり)は長さや本数などに個体差があるのです。

また、一本の木でも枝ごとの樹勢や日の当たり方などによっても長さに違いがでてきます。
そのため、松の樹形を整えるためには、新芽を調節するようにして長さを揃える必要があります。

たとえば、通常は1本の枝から3本の新芽が伸びてきます。
このままでは樹勢の強い枝数が多くなったり、樹形が悪くなる可能性があります。
そのため、この3本の新芽の真ん中の1本を折って(切って)間引くように新芽の数を減らします。

この時、樹勢の強さによって、短い物はそのままにしておき、強くて長くなりすぎた新芽は短くして調節してあげるのです。

このように庭に植えてある松は、樹形を整え維持しするために、樹勢によって伸びる新芽の長さを調節する「みどり摘み」の作業をしてあげます。

みどり摘みは、木の勢力や枝振りなどを見定めることで、将来の好ましい姿を想定しながら摘む長さを加減できるので、仕上げる楽しさがあります。

みどり摘みをしないとどうなる?

松のみどり摘みは、できれば年に1回適期に行なってほしい作業のひとつです。

なぜなら、松は新芽を放っておくとどんどん枝葉が伸びていき、樹形が崩れて手が付けられなくなる可能性が高いからです。

たとえば、松の「新芽(みどり)」は上の方ほどよく伸び、そして樹勢の強い松ほど強く伸びるのですが、樹勢が強い松であれば、年に1mも伸びることもあります。

では、みどり摘みをしないとどうなると思いますか?

松は新芽を放っておくとどんどん枝葉が伸びていき、樹形が崩れて手が付けられなくなるだけではありません。

樹勢が強い部分の枝は極端に太くなり、枝葉が増えて密集する場所が必ず出てきます。

その場所は1ヶ所なのか複数なのかわかりませんが、密集すると枯れ葉がそこに溜まってきます。

そうすると、その後新芽が出ても日が当たらないことで樹勢が弱くなり枯れてきます。

そのような状況が多くなると、新芽の出ない枝だけになってしまい、松と呼ばれるには程遠い雑木状態となってしまいます。

最近ではそのような一時的にでも放置された松には、松くい虫による松枯れ病が発生する可能性が高くなります。

私も一度そのような松を剪定した後で、タイミングが悪くすぐに枯れたことがありました。
枯れたのは私の性ではなく、もちろんマツクイ虫による松枯れ病のせいですよ!!

つまり、庭に植えてある大事にしている松であるなら、樹形を崩さないために、枯らさないために、人工的に新芽の伸びを抑える必要があるのです。

松のみどり摘みはいつ行うのがベストか

5月上旬から下旬ころ、前年に伸びた松の枝先に萌芽した葉は、一つの枝先に数本ずつ棒状になって伸びてきます。

新芽が伸び出してきた当初は、初めは開いておらず棒状のままです。
新芽のみどりが伸びきるとしだいに開いてきて針状の葉っぱがでてきます。

4月ころから伸び始めたみどりが、時間を追うごとに5~10cmほどになります。
樹勢によっては、その先端1/3~1/2ほどを指先でポクポク折り、新芽が開く前に摘み取って生長をおさえる作業をします。

では、この作業を行うベストな時期はいつが良いと思いますか?

それは、

地域によって違いがあるので、何月何日とは申しにくいのですが、

新芽が伸びきる直前で、しかも新芽がまだポクポクと手で折れる時期です。

おそらく、「伸びてるなぁ!」と気にされた時が適期だと思います。

一般的に、新芽が伸びきる直前の5月~6月に行います。
種類や地域によって異なるため、松の種類や気候を考慮して判断してください。

「伸びたなぁ~~~~~!」と思った時には、手ではもう折れなくなっている可能性があります。

時期が遅くなるほど緑も硬くなっしまい、手では折れなくなりハサミを使わないといけなくなります。
しかし、手で折れなくても、最悪の場合はハサミがあるので、あまり神経質に気にされなくてもよいと思います。

松の樹種によるみどり摘みの時期の違い

松の種類によって、みどり摘みの時期に少し違いがあります。

黒松や五葉松が赤松よりも早く新芽が伸びるので、黒松・五葉松・赤松の3種類を所有しているのであれば、黒松と五葉松をはじめに気にして、それが終わったら赤松を気にかけてみどり摘みを行なうといった感じです。

黒松のみどり摘みの時期

黒松は力強く成長するため、5月中旬~6月上旬が適期です。
伸びた新芽を1/2~2/3程度摘むことで、枝分かれを促進します。

五葉松のみどり摘みの時期

五葉松は比較的穏やかに成長するため、5月下旬~6月上旬が適期です。
樹形や目的に応じて、全体的に整えるように摘むのがポイントです。

赤松のみどり摘みの時期

赤松は黒松に比べてやや成長が穏やかで時期的に遅く伸びるので、6月上旬ごろが適しています。
古葉とのバランスを取りながら作業するとよいでしょう。

みどり摘みはどのように行なうか?折るポイントを伝授

みどり摘みは何も難しいことはありません。

伸びた新芽をポクポクと折る作業と折る長さだけ調節するだけなので誰にでもできます。

新芽が柔らかければ面白いように折れるので、その快感はクセになってしまうかもしれませんよ。

ただし本数が多いので面倒くさいという難点はあります。

みどり摘みのやり方

■新芽(みどり)を指でつまみ、柔らかければポクッと折ります。
■新芽の強さによって折る(切る長さを)調整して1/2~2/3程度を摘み取ります。
■葉の密度が高い部分は間引くとよく、日光が均一に当たるようにします。
黒松の場合は樹勢が強いので新芽は短くして残します。
逆に、樹勢のおだやかな赤松は長めに残すと良いようです。
赤松の場合も、黒松と同様な作業をしますが、生育も良くないので新芽は摘まないところが多いかもしれません。

「みどり摘み」は新芽がひとつの枝に通常は3本、多いと5本も出るので、数と長さを早めに整理して将来の枝を想定し2本程度に残すとよいです。

新芽の数を減らし、葉の量を減らすことで成長を抑制することができます。

松 みどり摘み

松 みどり摘み

松 みどり摘み

みどり摘みでハサミを使う場合

■新芽が固くなり指で折れなくなった場合や、繊細な作業が必要な場合、剪定ばさみや小型の鋏を使います。
■剪定ばさみを使用する場合は、切り口が自然に見えるとよいです。
■剪定ばさみ等の錆びや汚れを防ぐため、作業の前後に道具を清潔にしておきましょう。

みどり摘みのやり方のまとめ

みどり摘みにのやり方についてまとめてみます。

■勢力が強く、あまり伸ばしたくない枝の「みどり(新芽)」は短くする。
■弱い枝や伸ばしたい方向にある「みどり(新芽)」は長く残すか、摘まないまま残すようにします。
■樹形がすでに完成している松の場合、その姿を変えず一定に保ちたい時は「みどり(新芽)」の長さを平均に揃えるなどを考えながら摘むとよいです。

松の剪定のことが知りたかったり、一年間の管理方法がよく分からずに困っている方は
こちらの記事を参考にすると良いです。

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