クロマツが海岸で集団で枯れが起こる事例がありますが、これには何か原因があると思います。
ここでは可能性のある2つの原因についてお伝えします。
クロマツが海岸で集団で枯れが起こる2つの原因
クロマツが集団で海岸で枯れが起こる原因として、
マツノザイセンチュウによる
・「マツクイムシ病」がひとつと
焚火や火事により菌が発生して材を枯らす
・「つちくらげ病」が考えられます。
マツクイムシ病の原因はなに?
マツクイムシ病は、マツノザイセンチュウがマツの材中に侵して枯らす病気です。
マツの枯れがおこる流れは、マツノマダラカミキリがどこからか目標とするマツに飛んできて新葉を食します。
食している際に、マツノマダラカミキリが運んできたマツノザイセンチュウが、体内からマツに乗り移ります。
そして、マツノザイセンチュウはマツの傷口から材の中に侵入して、樹液が通る部分が空洞化を起こし流れなくなり、正常に機能しなくなるという流れで材が枯れていきます。
つちくらげ病の原因は何か?
つちくらげ病は土壌伝搬により引き起こされる伝染病です。
病原菌のきのこから土中に菌が放出されて、休眠状態にあった子嚢胞子が焚き火や山火事などの高温による刺激で発芽し、菌の活性が土壌中で高まることで根への伝染が起こる病気です。
山火事はあまり起こるわけではないので、つちくらげ病が発生する可能性は低いのですが、問題になるのは最近流行っているキャンプによる焚き火です。
ほとんどの方は、焚き火によってつちくらげ病が発生しマツが枯れることなど知ることもなく、平然と焚き火をするわけです。
そうすると、土中に潜んでいた菌が高温によって活動し出し、根を侵しマツが枯れることになるんです。
マツクイムシ病の調査方法
マツクイムシによる枯れが原因と疑った場合、枯れの状態が部分的なのか全体的なのかによっても原因因子は変わる場合があるので、マツが枯れている状況を観察する必要があります。
・葉の枯れ具合が部分的なのか全体的なのかを確認
・枯れがいつおこっているのか時期的な状況を把握
・マツノマダラカミキリによる産卵時にできる「かじり傷痕」を探す
マツノザイセンチュウは目視できないほど小さい線虫で、その存在を現場で直接確認することは難しいので、マツノザイセンチュウによるマツクイムシ病と早々に判断することは困難です。
たとえば、北の地域では、枯れが1期(1年)でおきるのではなく、2期かかる場合もあるのでマツクイムシによる診断が難しくなります。
ただ、幹にはマツノマダラカミキリが後食後に、卵を産むためにかじる特別な傷痕が確認できることもあります。これを探し確認できることで、マツノマダラカミキリが存在した証拠となり、被害がもたらされている可能性があります。
マツクイムシ病の調査は診断が難しい場合があり、総合的に判断する必要があります。
以上のことから、クロマツの葉が枯れた状態の確認や、マツノマダラカミキリによる幹へのかじき傷産卵痕などで病原を診断できます。
つちくらげ病の調査方法
つちくらげ病における調査では、例えば、焚き火による枯れであれば、根元につちくらげの子実態を実際に目で確認することで、その病原を確認することができます。
この子実態を確認できない場合は、つちくらげ病の診断が難しくなります。
この病原では、土中が高温状態となると土壌に潜んでいたつちくらげ菌が活動を始めることで、根元付近の腐朽が始まり材が枯れていきます。
つちくらげの子実態の確認でつちくらげ病と診断できます。
マツクイムシが原因の適切な処分方法
マツクイムシが原因と判明した場合、マツノマダラカミキリの幼虫がまだ潜んでいる冬期のうちに、材を伐採、チップ化してカミキリの幼虫を駆除して適切に処分する必要があります。
併せて、周辺のマツクイムシ被害木の伐採処理も全て同時に行なう事で、マツノザイセンチュウを体内に取り込んだマツノマダラカミキリの羽化時におきる飛散を防ぐことができます。
つちくらげ病が原因の適切な処分方法
つちくらげ病にかかると材は枯れてしまいますので、材を伐採し適切に処分する必要があります。
併せて土壌にはつちくらげ菌が潜んでいる可能性があるので、できるだけ土壌を入れ替える必要もあります。