もしもマツクイムシによる被害木を、海外から知らずに輸入した場合、マツノザイセンチュウによる被害は増えるのでしょうか?
被害が増えるとしたら、どれくらい広がるのでしょうか?
海外の枯死木から伝染するマツクイムシ病の可能性
マツクイムシ病は、マツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリによって新たなマツに運ばれて被害をもたらし、次々とマツを枯らしていく感染病です。
日本でおきているマツクイムシ病の被害は、マツノマダラカミキリが年1回羽化してマツノザイセンチュウを1回運ぶ、年1回型の発生をします。
しかし、台湾や中国の一部では、マツノマダラカミキリは年2回脱出すると言われています。
このことからマツクイムシ病は年2回発生していると考えられます。
もしも、マツノマダラカミキリが存在している可能性のある、この枯死木を輸入した場合、マツノザイセンチュウによる被害が増える可能性はあります。
輸入した枯死木がもたらすマツクイムシ病の被害
確かに、マツクイムシ病が原因の枯死木を輸入しただけで被害が増えることは明白です。
では、輸入した枯死木がもたらすマツクイムシ病の被害はどれくらいになるのでしょう。
この輸入木には年2回脱出するマツノマダラカミキリが存在している可能性があることから
マツノザイセンチュウによる被害も年2回起こり、被害も2倍に増える可能性はあります。
しかも、マツクイムシの被害が拡大すれば駆除や予防に係る費用も増えますが、被害が2倍に増えれば、単純に費用も2倍に増えると考えがちになります。
しかし、実際には2倍で済む可能性は低く、それ以上の被害拡大と防除費用が必要になる可能性が高いと思われます。
そのようになる根拠として、ひとつはマツノマダラカミキリの飛散の範囲が広がることにあります。
1方向に向かって飛んでいくのであれば2倍という考えもできます。しかし、1か所を起点に365度飛散して広がることが可能ですし、その移動先でも1か所を起点に365度飛散して広がっていくと、どんどん拡散して広がっていく可能性が高くなるので、それを考慮すると2倍で済むとは考えにくいです。
それに付随して費用も2倍で済むことは考えにくくなります。
海外からのマツクイムシ病は阻止できないのか?
海外からのマツクイムシ病の被害を広めないための対策として、ある問題を解決しないとけません。
それは、被害が広がってから多額の費用をかけて被害木やマツノマダラカミキリを駆除する以前に、枯死した被害木を海外から輸入できないシステムを作り出し、日本に入る前に完全に遮断することです。
マツクイムシ病の対策に関していえば、マツノザイセンチュウはマツノマダラカミキリによって運ばれるので、マツノマダラカミキリが幼虫で潜んでいる被害木を日本に上陸させさえしなければ、マツクイムシ病の被害は拡大しません。
このことからも、枯死した被害木を海外から輸入できないシステムで遮断することが重要です。
もっとも、海外からのマツクイムシ病が進行した場合には、通常の駆除や防除を行なうわけですが、年2回発生するマツノマダラカミキリの生態は海外と違うものかもしれません。
なのでそれがどのようなものか、防除等の対応時期など、地域性についても調査研究していかないといけません。