松の剪定時期はいつがいいか?黒松・赤松・五葉松を例に解説

松の剪定時期はいったいいつがよいのか気になると思います。

松には大きく分けて、黒松・赤松・五葉松の3種類があります。

では、その3種類の松の剪定時期は変わるのでしょうか?

ここでは、松の剪定時期はいつがよいのか、黒松・赤松・五葉松を例に解説します。

松の剪定の適期に庭師さんは入れないことが多い

松の剪定時期を知る前に、知っておいてほしい重要なことがあります。

それは、松の剪定の適期に合わせて庭師さんは来れないことが多いことです。

なぜなら、庭師の人たちはほぼ年中松や庭木の手入れをしていて、松の剪定の適期に合わせた作業はほぼしていないからです。

お得意様の優先順位もあるはずですし、時期に合った剪定などしていたら、庭師さんは何件ものお得意様を同時期に回ることになります。

お金に余裕のある方は問題なく年3回程度作業に入れるはずですが、当然料金の支払いがその分多くかかります。

そのようなこともあり、松の剪定を頼む場合は、庭師さんの都合に合わせ入ってもらい、年1回の依頼だけで済ますというお宅がほとんどなはずです。

松の剪定作業には3種類の方法がある

松の剪定時期を気にされてこのページに来られる方は、ご自分で松の手入れをされるけども、ちょっと不安で、松の手入れに不慣れな方が多いようです。

松の剪定作業にはどんな種類の方法があるのか知っておいてほしいです。

毎年松の剪定を行なっている方であれば、いつ、何の作業をすればよいという事は自然とわかってくるはずです。

もしも、神経質に剪定を行ないたいのであれば、「みどりつみ」「通常の剪定」「もみあげ」の年3回の剪定時期にあった作業を行うことになりますが、年に1回で済ませる方法もあります。

多くの庭師さんは、年に1回の方法なはずです。

この方法さえ分かれば、ムダに松の剪定に時間を取られることもありません。

この方法は、こちらで解説しています。

松の剪定は年に1回だけ!1年を通した基本的な作業と管理方法
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松の剪定は年に1回だけ!1年を通した基本的な作業と管理方法

松には大きく分けて黒松・赤松・五葉松の3種類がありますが、ここでは、それぞれの松の剪定時期についてお伝えします。

黒松の剪定時期

黒松の剪定時期は、健康的な成長を維持し、美しい樹形を整えるために非常に重要です。

以下に、剪定の適切な時期と注意点を詳しく説明します。

黒松の新芽摘み(みどりつみ)

黒松の新芽を摘む適切な時期は、4月~5月中くらいがベストです。
地域によっては3月下旬から始まり、6月入るころまでかかることもあり、それは新芽の状態によります。
■新芽を摘む目的は、新芽(みどり)を摘むことで、伸びる枝の成長をコントロールして樹形を整えることにあります。
■新芽を摘む作業方法としては、黒松の新芽が伸び始め、ある程度伸びて樹勢の状態を見ながら、理想の長さにポクポク折って摘み取る作業をします。
■ポイントは、すべての新芽を均等に折る(切る)のではなく、樹形と樹勢を考慮しながら強弱をつけて折る長さを決めます。
この時、主幹や強い枝は樹勢が良いので伸びやすいので短めに残し、弱い枝は樹勢が悪く伸びにくいのでやや長めに残します。
この作業を通じて樹勢のバランスを整えます。

黒松の夏期の剪定(梅雨明けから8月)

黒松の夏期の剪定時期は、6月下旬~8月初旬ころに行ないます。
■黒松の夏期の剪定の目的は、余分な枝葉を取り除き、樹冠に光を取り込むことで病害虫を防ぐことにあります。
■黒松の夏期の剪定方法として、新しく伸びた枝の先端を剪定し、枝の密度を調整します。
風通しをよくするため、密集している枝や内側に向かって伸びる枝を間引きする作業をします。
■注意点として、葉を取りすぎると、樹勢を弱める可能性があるため、少しずつ慎重に行います。

黒松の冬期の剪定(休眠期)

黒松の冬期の剪定時期は、11月~2月ころに「もみあげ」という作業を行います。
■黒松の冬期の剪定目的として、樹形を本格的に整え、不要な枝や古葉を取り除きます。
■黒松の冬期の剪定方法は、「もみあげ」という枯れ枝や古葉の除去、細かい枝の剪定を行います。
枝のバランスや方向性を考えながら、不要な枝を元から切り落とします。
■注意点は、冬は樹木が休眠しているため、大規模な剪定を行うのに適しています。
寒すぎる地域では凍害を防ぐために作業に注意が必要です。

黒松の剪定時期の注意点

・時期をかまわずに一度に大量の枝葉を剪定すると、松が弱る原因になります。
・地域の気温や気候、降雨量を考慮して、剪定時期を調整して行ってください。
・黒松の剪定は適切な時期と方法で行うと、美しい庭木を保ち樹木の健康も守ることができます。

黒松の剪定時期のまとめ

黒松の剪定の時期についてですが、黒松のみどりつみは新芽がポクポク折れる一番長くなった時を見計らって、4月~5月中くらいが最適な時期です。

その時期には手でポクポクと簡単に折ることができます。

それ以降になると新芽が硬くなって手では折れなくなるので、ハサミを使わないといけなくなります。

黒松のみどりつみをしないで、年に1回しか剪定をしたくないという場合の剪定時期は、新芽が固まった7月初め頃か8月ころまでに剪定ともみあげを同時にしてあげることもできます。

ただし7月に行なう剪定の場合、剪定後に残った次の新芽が伸びてきてまた葉が生い茂る可能性もあります。

黒松の「もみあげ」の時期は、新芽が固まり前年の古い葉が少し黄色くなるころの11月下旬ころから2月ころが良い時期です。

あまり早い時期にもみあげを行なうと新芽を傷めてしまう恐れもあります。

できるだけ長い期間、黒松をきれいにしておきたい場合は9月頃の剪定をお勧めします。

赤松の剪定時期

赤松の剪定は、黒松とは若干異なる性質を持つため、それに合わせた時期と方法が重要です。

以下に赤松の剪定時期について詳しく説明します。

赤松の新芽摘み(みどりつみ)

赤松の新芽を摘む適切な時期は、5月~6月中くらいがベストです。
地域によっては4月下旬から始まり、7月入るころまでかかることもあり、それは新芽の状態によります。
■新芽を摘む目的は、新芽(みどり)を摘むことで、伸びる枝の成長を調整して樹形を整えることにあります。
■新芽を摘む作業方法としては、赤松の新芽が伸び始め、10~15cm程度に伸びたタイミングで、手で摘み取ります。樹形を考慮して摘む長さを調整します。
→ 弱い枝は、新芽をやや長めに残します。
→ 強い枝は、新芽を短めに摘むことでバランスを取ります。
■ポイント:黒松と比べて赤松の新芽は柔らかいので、手で簡単に摘むことができます。

赤松の夏期の剪定(梅雨明けから初秋)

赤松の夏期の剪定時期は、7月下旬~9月初旬ころに行ないます。
■赤松の夏期の剪定の目的: 枝の密度を調整し、風通しをよくして病害虫の発生を防ぐことです。
■赤松の夏期の剪定方法として、伸びすぎた枝を短く剪定し、密集している部分を間引いたり、枯れた枝や内向きの枝を切り取ります。
■注意点は、過度な剪定は避け、木のバランスを保つことが重要です。

赤松の冬期の剪定(休眠期)

赤松の冬期の剪定時期は、12月~2月ころに「もみあげ」という作業を行います。
■赤松の冬期剪定の目的は、樹形を整え、不要な枝や古葉取り除き整理します。
■赤松の冬期剪定の方法は、、「もみあげ」という枯れ枝や古葉の除去、細かい枝の剪定を行います。
枝のバランスや方向性を考えながら、枝分かれが不規則な部分を整え、不要な枝や交差する枝を元から切り取ります。樹形を際立たせるため、細部を丁寧に調整します。
■赤松の冬期剪定のポイントは、冬の剪定は木が休眠しているため、大規模な剪定作業に向いています。
剪定後は寒風にさらされやすくなるため、凍害を防ぐよう注意します。

赤松の剪定時期の注意点

■赤松の剪定時期の注意点は、時期的に樹勢が弱い場合は慎重に剪定することで枯れの進行を防げます。
赤松は樹勢が弱まりやすいため、時期を考慮して一度に多くの枝葉を切りすぎないようにします。
元気な赤松でも、全体の30%以上の葉を一度に剪定するのは避けたほうがいです。
■病害虫の予防
夏場はマツクイムシなどの害虫が発生しやすいため、剪定した後は殺虫剤や防除対策を行うと効果的です。
■芽吹きを促す
赤松は新しい芽の発生がやや弱い傾向があるため、剪定後の追肥や水やりを適切に行い、樹木の体力を回復させます。
■剪定の道具と管理
道具: 剪定ばさみ、ノコギリ、枝切りばさみを使用します。切り口がきれいに仕上がるよう、刃物は定期的に研ぎます。
消毒: 道具を使用する前後に消毒し、病害虫の感染を防ぎます。

赤松はその自然な美しさが庭を引き立てる存在なので、適切な時期と方法で手入れを行い、健康的で美しい樹形を保ち続けてください。

赤松の剪定時期のまとめ

赤松の剪定の時期についてですが、赤松の「みどりつみ」は、5月~6月中くらいがベストです。
その時期の赤松の新芽は黒松よりも柔らかく、手でポクポクと簡単に折ることができます。
それ以降になるとだんだんと新芽が硬くなり、手では折れなくなるのでハサミを使わないといけません。
赤松もみどりつみをしないで、年に1回しか剪定をしたくないという場合は、新芽が固まった7月初め頃に、または9月ころに剪定ともみあげを行なうと良いです。
ただしこの場合、剪定後に残った次の新芽が伸びてきますので、またワッサワサと葉が生い茂る可能性があります。
赤松の「もみあげ」は新芽が固まり前年の古い葉が少し黄色くなるころの11月下旬からが良いです。
あまり早くもみあげすると新芽を傷めてしまいます。
できるだけ長い期間、赤松をきれいにしておきたい場合は、黒松と同様に9月頃から10月頃の剪定をお勧めします。

五葉松の剪定時期

五葉松(ゴヨウマツ)は、他の松とは異なり、繊細で緩やかに成長する性質があります。
そのため、剪定のタイミングや方法が樹木の健康と美しい樹形を維持するために重要です。
以下に、五葉松の剪定時期について詳しく説明します。

五葉松の新芽摘み(みどりつみ)

五葉松の新芽を摘む適切な時期は、5月中旬~6月下旬くらいがベストです。
■新芽を摘む目的は、新芽(みどり)を摘むことで、伸びる枝の伸びを調整して全体の樹形を整えることにあります。
■新芽を摘む作業方法としては、赤松の新芽が伸び始め、10~15cm程度に伸びたタイミングで、手で摘み取ります。
長さを調整する際は、全体のバランスを考慮し、強い芽は短く、弱い芽はやや長めに残します。
■注意点は、五葉松は他の松に比べて芽の成長が遅い傾向があるため、摘み取り過ぎないようにします。

五葉松の夏期の剪定

赤松の夏期の剪定時期は、7月~8月上旬ころに行ないます。
■赤松の夏期の剪定の目的: 枝の密度を調整し、風通しをよくして病害虫の発生を防ぐことです。
■赤松の夏期の剪定方法として、古い葉や密集しすぎた葉を間引くように摘み取ります。
下部や内側に光を入れることで樹木の健康を保ちます。
■注意点として、夏場の剪定は慎重に行い、樹勢を損なわないようします。

五葉松の冬期の剪定(休眠期)

赤松の冬期の剪定時期は、12月~2月に行います。
■赤松の冬期剪定の目的は、樹形を整え、不要な枝や古葉を取り除き整理します。
■赤松の冬期剪定の方法は、枯れ枝、重なり合う枝、内向きに伸びる枝を元から切り落とします。
主幹から分岐する枝のバランスを考えながら、樹形を整えます。
■注意点として、冬の剪定は木が休眠しているため、樹木への負担が少なく大規模な剪定が可能です。

五葉松の剪定のポイント

■自然な樹形を大切にする
五葉松は樹形が自然に美しくなる性質を持つため、人工的に整えすぎないようにします。
自然な枝の曲線や枝葉の密度を活かしながら剪定することが重要です。
■樹勢を見極める
五葉松は成長が緩やかで、樹勢を弱めると回復が遅くなる傾向があります。
剪定は慎重に行い、必要以上に切り詰めないようにします。
■芽吹きを促す工夫
適度に葉を間引き、新しい芽が出やすい環境を作ります。剪定後は追肥や水やりで樹勢をサポートします。
■病害虫対策
五葉松は特にハダニやアブラムシなどの害虫に弱い場合があるため、剪定後は殺虫剤や防虫ネットを活用して予防します。
■剪定の道具と作業の注意

道具:剪定ばさみや枝切りばさみを使用します。小さな枝や芽を切る場合には、刃先が細い道具が便利です。
切り口をきれいにするため、道具を定期的に研ぎ、清潔に保ちます。

消毒:道具を消毒して病害虫の感染を防ぎます。アルコール消毒や専用の消毒剤を使用してください。

剪定後のケア:切り口に癒合剤を塗ることで乾燥や病原菌の侵入を防ぎます。

五葉松は、手入れが行き届くほどその美しさを増す樹木です。
適切な時期に剪定を行い、樹木の健康を守りながら、その自然な美しさを楽しんでください。

五葉松の剪定時期のまとめ

五葉松の「新芽を摘む」適切な時期は、5月中旬~6月下旬くらいがベストです。

その時期には赤松と同様に、手でポクポクと簡単に折ることができます。

しかし黒松や赤松と違うことは、新芽は小さめなので余計に手がかかるということです。

それ以降になると新芽が硬くなり手では折れなくなり、ハサミを使わないといけません。

五葉松もみどりつみをしないで、年に1回しか剪定をしたくないという場合があるでしょう。

その場合は、新芽が固まった7月初め頃か、9月ころの剪定およびもみあげ等を行なうと良いです。

できるだけ長い期間、五葉松をきれいにしておきたい場合は、赤松同様 9月頃に伸びた部分の芽を切るような剪定をして下さい。

五葉松は、葉が短く密集しますので、大きな五葉松で特に葉が密集している場合は、全て手で「みどり摘み」や剪定をするとなると手間がかかります。

その場合、五葉松の場合に限りますが、刈り込みバサミを使うことができます。

刈り込み過ぎないように、バッサバサと形を整えるように剪定することができます。

五葉松は新芽を止めずに9月ころに伸びすぎた芽を切り取り、形を整えるとよいです。

「もみあげ」を行なうなら、新芽が固まり前年の古い葉が少し黄色くなるころの11月下旬から12月ごろが良いでしょう。

松の剪定時期の総まとめ

松の剪定の時期についてまとめますが、一般的に松の「みどりつみ」は5月初旬頃からが適期です。

松の「みどりつみ」をしないで、年に1回しか剪定をしたくないという場合新芽が固まった、7月初め頃、または9月ころが良いです。

できるだけ長い期間、松をきれいにしておきたい場合は9月頃の剪定をお勧めします。

この剪定時期は、黒松・赤松・五葉松とも同じです。

元気の良い松は6月末に芽摘みをしても新芽が伸びます。

元気のない松は、芽を摘み取ることによって、ますます弱って、松クイムシの被害に遭いやすくなります。

「もみあげ」は、新芽が固まって前年の古い葉が黄色くなる頃の11月下旬から12月ごろが良いですが、あまり早くもみあげすると新芽を傷めてしまいます。