スギ花粉症患者にとってスギの木の存在はうっとうしく感じるかもしれませんね。
ここでは、スギの木を根元から伐採したり、枝葉を減らす間伐によってスギ花粉の生産量を減らすことができるのかお伝えします。
なぜスギの木は増えたか?
そもそも、なんでこんなにスギの木が増えたのか気になりませんか?
戦後、住宅資材などで木材を利用するために日本中でスギに木の植林が盛んに進みました。
しかし、スギの木を植えてもすぐに使えるわけではなく、何十年後にしか資材として利用できません。
その成長を待っているうちに、外国産の資材が日本産の資材よりも安く手に入るようになりました。
そうしているうちに、いつの間にか植林された日本中のスギの木が成熟して増えていき、するとスギの花粉が人間に害を与える厄介な存在となり、多くの人を悩ませることになったのです。
なんでスギの木は減らせないか?
現在では放置されているスギが多く、どこに行ってもスギの木があります。
その結果、スギ花粉が発生する時期の2月頃から4月頃(岩手では3月中旬から4月末)までスギ花粉症で悩む方が増えています。
日本中のスギの木を全てなくせばスギ花粉症の問題は解決するのだが、どうしてスギの数を減らすことができないのか気になりませんか?
「耳鼻科の患者さんが減るから」でしょうか?
「ドラッグストアのお客さんが鼻炎薬を買わなくなるから」でしょうか?
当然ですが、そんな理由ではないと思います。
その理由として、自然災害が大きく影響しています。
自然への影響のひとつとして「水源涵養」というのがあります。
「水源涵養」は、雨が降り続いた時に、スギの木が生えている林地一帯の土壌に一時的に雨水や水分を蓄えておき、斜面崩落や土砂崩れなどの発生を防止します。
もしも、スギの木を根元から全て切った場合、降り続いた雨水は勢いよく流れて、土壌が耐えられなくなると斜面は削られ、土砂は山の下流側に流れ込み家や人を直接襲う災害が発生します。
スギの木がある現在でも、最近の異常気象によって土砂崩壊などが発生する事例が増えているくらいですから、もしもスギの木がなかった場合、もっと悲惨な状況に遭遇する可能性はあります。
スギの木は自然の驚異から人間を守ってくれるほどの役目を果たしています。
こんなスギの木を全て切り倒すことはできるでしょうか?
スギ花粉は間伐で減らせるか?
スギの枝葉の数を減らす間伐をしたら、スギ花粉は減らせるのか考えてみましょう。
間伐は、枝の節をなくしたり、スギの生長を良くして真っすぐな幹を作るために下枝を切る作業です。
なので、上部の枝葉は残ることになりますが、この上部に残った枝葉は樹勢が強くスギ花粉を発生させやすいのです。
もしも上部の枝葉も全て切ったとしたら、スギの木は光合成をすることができずに枯れてしまいます。
スギの間伐をすれば、枝葉を減らした分のスギ花粉は多少の減少が見込めるかもしれませんが、残された樹勢が強い枝葉の部分がそれを補う可能性もあります。
併せて日本中のスギの木を間伐したらどうか考えてみると、国土は狭いですが人が作業するには範囲が広く、おそらく人員不足により作業は難しく物理的に不可能に近いです。
ただ、スギの木を間伐し、伐採までしてくれる重機があるので、今後の展開に期待したいです。
したがって、すべてのスギの木を伐採することは不可能かもしれませんが、間伐により枝葉の数を減らすことで、ある程度スギ花粉を減らす効果は期待できるかもしれません。
さらに花粉が発生しない無花粉スギが開発されているので、今後の導入に期待したいです。