サクラの花を来年も咲かせる剪定作業と剪定時期を徹底解説

はじめに

こんにちは。岩手で庭師をやっているズボラおやじです。今日はサクラの剪定についてお話しします。

「サクラ切るバカ、ウメ切らぬバカ」という言葉を信じて、サクラを剪定しないという方がとても多いです。「サクラを剪定すると枯れるのでは?」と思い込み、何もできないでいる方が本当にたくさんいらっしゃいます。

ただ、何もしないとサクラは大きくなって手が付けられなくなり、いつか太くなった枝を切ることになります。それは木にとって一番ストレスの大きい方法です。しかも何もしないでいると、枝葉が密集して樹形の内部に日が当たらなくなり、病害虫も増え、花芽がつかない可能性が高くなるのです。

このページでは、迷信に迷わされず正しくサクラを剪定するための時期と方法、そして寿命や害虫対策まで、サクラの木に関する悩みをまるごと解決できるようにまとめました。最後まで読んでいただければ、来年もしっかり花を咲かせられるはずです。

サクラの木の特徴

■サクラの寿命と成長速度

サクラの木は種類によって寿命が大きく異なります。庭木として人気のソメイヨシノは成長が早く、比較的寿命が短めの木とされ、樹齢60年から100年程度で弱ってくることが多いです。一方で、山桜や枝垂れ桜のような品種は成長がゆっくりな分、数百年、なかには1000年を超えて生きる巨木も存在します。有名な神社仏閣の御神木になっているサクラの多くは、この長寿な品種です。

成長速度はソメイヨシノが特に早く、植えてから数年で驚くほど大きくなります。狭い庭に植えると、10年ほどで2階の屋根を超えてしまうことも珍しくありません。

■庭に植えてはいけないと言われる理由

「サクラの木は庭に植えてはいけない」と言われることがありますが、これは迷信だけの話ではありません。実際、ソメイヨシノのような大きくなる品種は、根が浅く広く張る性質があり、家の基礎や配管を持ち上げてしまうことがあります。また成長が早いため、数年で管理しきれないサイズになりやすいのも理由のひとつです。

どうしても庭に植えたい場合は、あまり大きくならない品種を選ぶか、定期的な剪定を前提に植えることをおすすめします。

■花・実・紅葉の特徴

サクラは春に花を咲かせたあと、初夏にかけて実をつけます。ソメイヨシノの実は小さく、食用として売られているものではありませんが、渋みがあるだけで毒があるわけではありません。ただし、市販のサクランボのような甘さはないので、あえて食べる必要はないでしょう。

秋になると紅葉も楽しめます。赤や黄色に色づいた葉は、花とはまた違った魅力があり、サクラが「春だけの木」ではないことを教えてくれます。

■幹や枝の特徴

サクラの幹は、若いうちは滑らかですが、樹齢を重ねると横縞模様の樹皮になっていきます。この横縞は、サクラを見分けるひとつの目安にもなります。また、サクラの枝は比較的折れやすい性質があり、強風や積雪で枝が裂けてしまうこともあるため、定期的な剪定で枝の量をコントロールしておくことが大切です。

サクラの木の剪定時期について

■何もしなくてもサクラは花が咲く

なぜサクラは毎年同じように花を咲かせると思いますか。それはサクラに対して何もしていないから、自然と同じ状況に一番近いから咲くのです。「サクラ切るバカ、ウメ切らぬバカ」という言い伝えも、この考え方に関係しています。

本来は自然に任せて育てるのが、サクラにとって一番良いことです。ですが、敷地の広さが決まっている庭にサクラが植えてあると、そうもいきません。うちのソメイヨシノも2階よりも高くなったので、太い枝を切る強剪定をしてこの姿になりました。

サクラ 強剪定

でも、良い剪定時期に剪定をしたので、しっかりと花は咲きました。(4月18日撮影)

サクラ 剪定

何もしなくてもサクラの花は咲きますが、庭に植えてある以上、剪定をしてできるだけ小さい樹形を保つことは必要です。良い時期に剪定をすれば、大丈夫花は咲きます。

■花が咲かない2つの原因

もし何もしていないのに花が咲かないという場合は、木のどこかに異常が起こっている可能性があります。花が咲かない異常には、「剪定したことで起こる」「剪定しないことで起こる」この2つのタイプがあります。

剪定をしないでいると、自然と枝葉が密集してきます。枝葉を間引かないでいると、風通しが悪くなり病害虫が発生することになります。幹に近い樹形の内部であるほど日が当たらないので、この悪い状況は起こりやすくなります。そのため、花が咲くとしてもお日様に近い、頂部だけ咲く可能性が高くなります。

一方、剪定をしたことで花が咲かないこともあります。これは剪定時期を誤って、手当たり次第にバッサリと切ってしまった場合に多い状況です。花が咲き終わり、枝葉が伸びだして密集してくると、几帳面な方はスッキリしたくなりますが、これが花が咲かない原因のひとつになります。来年の花芽が形成される前にスッキリと切ってしまうことに関係しているのです。

■花芽が形成される時期

来年の花芽が形成される前に枝葉をスッキリ切ってしまうと、来年の花芽はできにくくなり、花の数が少なくなります。なぜそのようなことが起こるのかというと、花芽に注がれる樹勢が、葉芽を作る樹勢に変わってしまい、花ではなく葉っぱの数が増えてしまうからです。

サクラの花芽は7月頃から形成されはじめます。ソメイヨシノは6月頃からすでに花芽の形成が始まっているとも言われています。地域によって違いはありますが、すっかり形成され終わるのは9月頃と考えられます。

この花芽形成が終わったことを証明できるのが「狂い咲き」という現象です。ソメイヨシノが台風などの強風によって葉っぱがすっかり落とされると、狂い咲きが起こることがあります。これは花芽が形成された後に、サクラが休眠していない時に気温が上昇して咲く現象です。台風は一般的に9月から10月頃に強い勢力で通過しますが、このときに葉っぱを落としたソメイヨシノが花を咲かせることがあるのは、この時期までに花芽が形成されていた証拠なのです。

つまり、来年も花を咲かせるための間引きや不要な枝葉の剪定は、くれぐれも真夏には行わずに、9月以降に行なったほうがよいことになります。できれば、葉っぱがすっかり落ちた休眠期がベストな時期です。休眠期であれば、不要な枝や樹形を乱している枝を強剪定して整理することができます。

サクラの木の剪定方法

■サクラの花を咲かせない2つのNG行為

花芽が形成されはじめる7月より前に剪定をしてしまうと、サクラの花が咲かない確率が高くなります。そのほかにも、花芽ができあがった後であっても、花を咲かせない方法があります。

それが、太い枝を切る強剪定です。太い枝を切ると、それにはたいがい細い枝ごとついてきます。花芽はだいたい細い枝の方につきますので、その細い枝がなくなれば、花芽もなくなってしまいます。

つまり、サクラの花を咲かせない方法は、「7月より前の剪定」と「時期を問わない不適切な強剪定」です。特に、葉っぱが落ちた休眠期以外の、まだ樹勢が強い時期に強剪定をしてしまうと、サクラは切った部分から枯れる可能性が高いです。これが本当の「サクラ切るバカ」の意味を指します。

■9月以降に行なう通常剪定

来年も花を咲かせるために9月以降に行なう剪定では、間引きや不要な枝葉の整理が中心になります。間引く作業を行なうことで、病害虫の発生を防ぐことが可能です。

サクラ 剪定

真夏に強剪定を行なうと、サクラは切った部分から枯れていきますので、その時期はくれぐれも行わないほうがよいです。このように枯れてしまいます。

サクラ 枯れ

強剪定の時期と方法

■強剪定は休眠期に

休眠期であれば、不要な枝や樹形を乱している枝を強剪定して整理することができます。葉っぱがすっかり落ちた休眠期に強剪定を行なうと下のような枝になり、枯れは防がれます。

サクラ 強剪定

■強剪定の切り方の目安

サクラの強剪定では、太い枝を切ったあとの切り口が大きくなりやすいので、癒合剤を必ず塗っておくことをおすすめします。切り口から雨水や菌が入り込むと、そこから腐れが進んでしまうことがあるためです。枝を切る位置は、幹に近すぎず、枝の付け根の少し外側を選ぶと、切り口の治りが良くなります。

失敗した時のリカバリー

多くの方が剪定サイトを見る理由は、「自分で切るのが怖いから」だと思います。ここでは実際に失敗してしまった場合の対処法をお伝えします。

■真夏に強く切ってしまい、枯れ込みが出てきた場合

もし真夏にうっかり太い枝を強く切ってしまい、切り口周辺が黒く変色してきた場合は、それ以上手を加えず、切り口を清潔なまま乾かすことを優先してください。無理に削ったり癒合剤を厚く塗ったりせず、木の体力を温存させながら様子を見ることが大切です。

■花芽ごと切ってしまい、翌年花が咲かなかった場合

夏の剪定で花芽を切り落としてしまった場合、その年は残念ながら花を諦めるしかありません。ですが木自体が枯れるわけではないので、慌てず9月以降まで待ち、通常の間引き剪定に切り替えてください。翌々年にはまた花を楽しめる可能性が高いです。

■切りすぎてスカスカにしてしまった場合

間引きすぎて枝がスカスカになってしまった場合は、追加で手を加えず、翌年の新芽の伸び方を見守ってください。サクラは芽吹く力が強い木なので、時間をかければ少しずつボリュームが戻ってきます。

病害虫対策

剪定と病害虫はセットで考える必要があります。枝が混んでいると、てんぐ巣病が発生していることがあります。

■てんぐ巣病

てんぐ巣病は伝染病で、てんぐ巣病が発生した枝には花が咲くことはありません。葉っぱが落ちた休眠期だと、てんぐ巣病を見つけやすいです。

てんぐ巣病

てんぐ巣病の枝を残しておくと、どんどん周囲の枝に伝染し広がりますので、見つけ次第確実に枝元から切り取り、できるだけ焼却処分してください。

■アメリカシロヒトリと毛虫対策

害虫で多いのが、アメリカシロヒトリです。この害虫は食欲が旺盛で、大群で葉っぱをかじっていき、あっという間に葉っぱがなくなってしまいます。そしてどんどん次の葉っぱへと移っていき、葉が少なくなっていきます。

アメリカシロヒトリ

この食害は場合によっては樹勢を弱らせることにもなりかねませんので、見つけ次第、撃退したほうがよいです。少数であればハチ用の殺虫剤で退治することができます。

ハチ スプレー

サクラが大きくて上まで届かない場合には、業者に頼んで、それ専用の方法で防除してもらった方がよいです。毛虫は例年5月から8月頃にかけて発生しやすいので、この時期は特に葉の裏側をこまめにチェックしておくことをおすすめします。

■カミキリムシとこうやく病

サクラの幹には、カミキリムシの幼虫が入り込むこともあります。幹の根元におがくずのようなものが落ちていたら要注意です。また、幹に灰色や褐色のカサブタのようなものがつく「こうやく病」も見られることがあります。これはカイガラムシの排せつ物にカビが繁殖したもので、風通しを良くする剪定が予防につながります。

おすすめの道具

■剪定バサミ

サクラの間引き剪定では、細い枝を的確に切れる剪定バサミが欠かせません。私がおすすめしているのは「おの義(推奨)」の剪定バサミです。刃の噛み合わせが良く、細い枝もスパッと切れるので、切り口が傷みにくく、木の回復も早くなります。

■ノコギリ

強剪定で太い枝を切る場合はノコギリを使います。サクラは切り口から菌が入りやすい木なので、切れ味の良いノコギリで一度にきれいに切ることが、腐れを防ぐポイントになります。

■道具の手入れ

剪定バサミやノコギリは、使ったらそのままにせず、必ず手入れをしてください。サクラは樹液が出やすい木なので、作業後は刃を乾いた布で拭き、汚れが強い場合は薄めた中性洗剤で洗います。水分が残っているとサビの原因になるので、洗った後はしっかり乾かし、椿油などを薄く塗って保管すると長持ちします。

【忙しい人向け】15分で終わらせるズボラサクラ剪定ルート

完璧を求めない方向けに、私がよくやる時短ルートをご紹介します。

①まずは明らかに枯れている枝、てんぐ巣病の枝だけを先に切る
②次に、幹に向かって伸びている逆さ枝だけを探して切る
③最後に、混み合っている場所を軽く間引く程度にとどめる

太い枝の強剪定はこの時短ルートには含めず、休眠期にじっくり取り組むのがおすすめです。まずは危険な枝と病気の枝の処理だけでも十分効果があります。

プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安

■高さの目安

高さが3メートルを超えるサクラの剪定は、素人には危険です。太い枝を切る作業は、脚立の上でのバランスも悪く、枝の落下による事故も起きやすいです。命に関わることなので、高い場所や太い枝の剪定は迷わずプロに依頼してください。

■すぐにプロを呼ぶべき状態

・幹の中心部が腐っている、または空洞になっている
・キノコが幹から生えている(内部の腐朽が進んでいるサイン)
・大きな枝が枯れて落下しそうになっている
・電線や隣家の建物に枝がかかっている

こうした状態は、無理に自分で対処しようとせず、早めに植木屋に相談することをおすすめします。

■伐採を考えるタイミング

サクラが大きくなりすぎて手に負えない場合や、幹の内部が腐朽して倒木の危険がある場合は、伐採も選択肢になります。サクラの伐採には、地域によってはお祓いをしてから行う風習が残っているところもあります。気持ちの面で気になる方は、地元の神社に相談してみるのもよいでしょう。

ゴミの処分とマナー

■枝葉の処分方法

サクラの剪定では、太さの違う枝が一度にたくさん出ます。ズボラ流のコツとしては、細い枝は自治体指定のサイズに合わせて短く切りそろえ、太い枝は別にまとめておくことです。自治体によっては太い枝は粗大ゴミ扱いになることもあるので、事前にルールを確認しておきましょう。

■ご近所トラブルを避けるマナー

サクラの枝がお隣の敷地にはみ出している場合、事前に一声かけてから剪定するのが一番のトラブル回避策です。「お隣にはみ出している枝、少し切らせてもらいますね」と伝えるだけで、印象は大きく変わります。

よくある質問Q&A

Q. 花が咲かないのは剪定のせいですか?
A. 剪定時期が早すぎたり、強剪定で花芽ごと切ってしまったりすると、翌年花が咲かないことがあります。時期を守ることが一番の対策です。

Q. お神酒(おみき)をあげてから切るべきですか?
A. 必須ではありませんが、気持ちの問題として行う方もいます。ご自身が安心できるならぜひ行ってください。

Q. サクラの実は食べられますか?
A. ソメイヨシノなどの観賞用のサクラの実は小さく渋みが強いため、市販のサクランボのようには食べられません。毒があるわけではありませんが、あえて食べる必要はないでしょう。

Q. サクラの寿命はどのくらいですか?
A. ソメイヨシノは60~100年程度とされることが多いですが、山桜や枝垂れ桜のような品種は数百年生きることもあります。

Q. サクラは何年で花が咲くようになりますか?
A. 品種にもよりますが、苗木を植えてから5年から10年程度で花を咲かせ始めることが多いです。

Q. サクラの木を庭に植えても大丈夫ですか?
A. 大きくなる品種は根が広く張り、成長も早いため注意が必要です。庭の広さに合った品種を選ぶことをおすすめします。

Q. 毛虫はいつ頃発生しますか?
A. アメリカシロヒトリなどの毛虫は、例年5月から8月頃にかけて発生しやすい傾向があります。

Q. 剪定した枝を挿し木にできますか?
A. サクラは挿し木で増やせることもありますが、成功率は品種や時期によって差があります。試してみる価値はありますが、確実な方法ではないことを覚えておいてください。

以上、サクラの木の剪定について、時期から方法、寿命や害虫対策まで一通りお話ししました。サクラは迷信を恐れず、正しい時期と方法さえ守れば剪定してよい木です。ぜひこの記事を参考に、来年もきれいな花を咲かせてあげてください。