サクラ(桜)の木につく病害虫の種類と駆除方法はどうしたらよいか

サクラ(桜)は病害虫が発生しやすい木のひとつですが、サクラにつく病害虫の種類と駆除方法はどうしたらよいか?

ここでは、桜の木につく病害虫の種類や、その駆除方法についてお伝えします。

桜の木に発生しやすい病害虫の種類

ここからは、桜の木に発生する病害虫を紹介します。

発生する病気の種類

桜の病気には、てんぐ巣病、せん孔褐斑病、幼果菌核病、褐さび病、胴枯れ病、がんしゅ病、根頭がんしゅ病、こぶ病、白紋羽病、などがあります。

桜につく害虫の種類

桜に発生する害虫には、アメリカシロヒトリ、イラガ、アブラムシ、コスカシバ、モンクロシャチホコ、ウスバツバメ、ウメスカシクロバ、ハバチ、サクラケンモン、エダシャク類、キリガ類、リンゴドクガ、アメリカシロヒトリなどがあります。

これらは覚える必要はありませんが、病害虫の数だけでもこんなにあります。

その中でも、桜の木に発生しやすく比較的見つけやすい、これだけは覚えておいてほしいという病害虫があります。

それは「てんぐ巣病」という病気と、「アメリカシロヒトリ」「イラガ」「アブラムシ」の3つの害虫です。

これら4つの病害虫について解説していきます。

桜に発生するてんぐ巣病

てんぐす病は聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

天狗(てんぐ)はそもそも架空の生き物なのですが、どういうわけか、天狗が潜む住み家(巣)に似ていることから「てんぐす病」という名前がついたともいわれます。

てんぐ巣病の見つけ方

てんぐ巣病は、伝染病の一種です。

てんぐ巣病は、気をつけて見ると周囲の枝と比べるとわかるのですが、枝の1箇所から多数の小枝をほうき状に出し、ある一部分の枝が丸みを帯びているように密集するように生えています。

葉っぱが落ちると見つけやすいですが、病気の枝の葉は小型で春早く展開します。

花は一切つけませんので、花が咲いている時期でも、そこだけが花が咲いていないので意外と発見しやすいです。

病巣は年々大きくなって、ほうき状の小枝をたくさん密集し、非常に目ざわりで美観を著しく損ねます。

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てんぐ巣病が発生するとどうなるのか?

てんぐ巣病の伝染の仕方は、葉の裏面に生じる病原胞子が開花期以降に降雨とともに飛散し伝播していきます。

病気の枝につく葉は葉縁から褐変し、裏面には白色の粉状物が付着します。

病気の枝は数年後には枯死することがあります。

被害樹は木材腐枯病などを併発することもあり、その場合樹勢は著しく減退します。

いずれ、てんぐ巣病は伝染病なので、放っておくと周囲の枝も汚染されていき、樹木全般に病巣が広まる可能性は高いです。

てんぐ巣病の防除方法

てんぐ巣病は伝染病なので、薬剤による防除方法はありません。

冬の剪定と同時に、病巣を枝元から切除して、伝染源を焼却するしか方法はありません。

切除する場合は病気の枝だけでなく、木質部の健全な部分の枝までの切り取りが望ましく、手術後には傷口にトップジン等の癒合剤(防腐剤)を塗布しておく必要があります。

このような手術をする時期は、春に芽を出す前に済ませておいた方が伝染しにくくなります。

一度、桜の木をじっくりと眺めてみて下さい。

意外と簡単にてんぐ巣病が見つかるかもしれませんよ!

桜につく害虫のアメリカシロヒトリ

最近特に話題になる害虫にはアメリカシロヒトリがいます。

アメリカシロヒトリは、桜の木だけでなくカキなどにもつき、おいしそうな葉っぱを目差してどこからかやってくるのでしょうね。

アメリカシロヒトリはどこからともなく飛んでくるように大量に現れ、一日のうちに葉っぱがなくなってしまうと言われるほど食欲旺盛で、繁殖能力が非常に高い害虫です。

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アメリカシロヒトリはどんな害虫なのか?

初めは部分的に天幕状に糸を張って、その中に若齢虫が固まって住んでいます。

生長するにつれて幼虫は分散し、葉を片っ端から食害して大きな被害を与えます。

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アメリカシロヒトリが発生する時期はいつなのか?

アメリカシロヒトリの成虫の寿命は10日くらいで、産卵の期間は10日間、葉の裏に300~700粒くらい産卵します。

アメリカシロヒトリの幼虫の発生は、6月上旬~7月中旬ころと8月中旬~9月頃です。

アメリカシロヒトリの成虫が発生する時期は年2回で、5月中旬~6月上旬ころ、8月上旬ころです。

アメリカシロヒトリの防除法

加害初期の頃の白い袋状の巣を、見つけ次第、枝ごとに除去して焼却するのが的確な防除法です。

薬剤散布する場合は、スミチオン乳剤1,000倍などを散布し消毒します。

ハチを退治できるスプレー式の殺虫剤を使うと簡単に駆除できます。

桜につく害虫のイラガの被害

イラガという蛾(ガ)の幼虫は桜や柿の葉につくことが多く、幼虫の食害量は大きいので放置できません。

しかも、イラガ独特の先の鋭利な毒を持つ毛に少しでも触れると、一瞬感電したような痛みを伴いとても危険なので、見つけたら必ず防除しておく必要があります。

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私はイラガが帽子についていたことに気づかず、その時に頭・・・ではなく、帽子を触った手を刺されたことがあり、とても痛い思いをしたことがあります。

ひとつ間違えば頭を刺されていた可能性もあり、命拾いしました。

葉の食害よりも人間に対する被害の方が大きく、子供が刺されると大変なことになります。

葉の裏だけでなく、木の葉から落りてきてベンチの裏や遊具の裏側などにも潜むことがあります。

桜などを植えてある保育園等でも被害が多発しているようなので、子供達の監視だけでなく、イラガの発生には十分に気をつけた方がよいです。

イラガの防除法

イラガが潜んでいる越冬マユは発見しやすく、見つけ次第、冬の間に潰しておくことが有効な防除法です。

薬剤による防除法は、イラガを見つけたらオルトラン水和剤1,500~2,000倍などを散布して消毒・駆除します。

ホームセンターで販売されている殺虫剤でも駆除が可能かもしれませんので試してみて下さい。

桜につく害虫のアブラムシ類

アブラムシにもいろいろな種類があります。

春から初夏にかけて新葉の葉裏に群生して吸汁し、新葉を裏側に巻き込み縮れる被害をもたらすアブラムシが多いです。

被害部は枝の先端部であり、早期の落葉で枝が裸になっったり黄色や赤色に変色したりします。

葉裏に黄白色の袋状の虫こぶを形成し、その内部で生活し増殖を続けるアブラムシもいます。

この虫こぶは黄緑色~淡紅色とよく目立ち、時に集中して発生する場合もあります。

越冬卵は4月中旬から5月上旬にふ化します。

6月ころに大量発生します。

アブラムシ類の防除法

新葉が巻き込む前の4月ころに、オルトラン水和剤1,000~1,500倍などを、見つけ次第消毒・散布すると良いです。

ホームセンターで販売しているスプレータイプが使いやすいです。

桜につく毛虫の対策

夏になると桜の葉っぱには色々な種類の毛虫がついて、葉を食べている姿を見る機会が多くなります。

毛虫の種類や名前は分からなくとも、葉っぱに存在しているだけでも気持ち悪いです。

剪定時には、帽子や服につくことが多くあり、動いているのを見かけると、害はないとわかっている毛虫でもビックリすることがあります。

毛虫類の駆除方法

多くの毛虫の成虫は蛾(ガ)になります。

毛虫類の防除方法は、専用の薬剤を使わなくても、ホームセンターでで普通に販売されているハエや蚊(カ)を抹殺するフマキラーのような殺虫剤でも意外と駆除できます。

桜につく害虫を駆除する時期

桜につく害虫を駆除する時期ですが、夏に近づくにつれその存在が目立つようになります。

繁殖が頻繁に起こる前に、害虫の存在を確認したら時期を問わず早めに駆除しておくべきです。

ハチなどは親ハチだけが行動し、まだ子のハチが卵から孵化しないうちに巣を見つけ退治しておくと、後々刺されるかもしれない危険を回避できます。

桜に病害虫を発生させない方法

桜につく病害虫が発生させないためにすることは、たとえばソメイヨシノであれば樹体が大きいので、病害虫が発生する確率も大きくなり管理が行き届かなくなります。

木が大きいことで剪定することも難しくなり、枝葉が増えると風通しが悪くなり、さらに病害虫が発生しやすくなります。

病害虫が発生しないようにするには、冬に枝を透かして風通しを良くし、樹形の内部に日が当たるような剪定をします。

病害虫を発生させない適度な剪定をしておくと、夏に病害虫が発生しにくいです。