通常のサクラは春に咲き乱れますが、冬であってもきれいな花を咲かせているサクラがあります。
それは「10月桜」あるいは「冬桜」と呼ばれるサクラです。
ここでは、冬桜や10月桜がどうして冬にサクラの花が咲くのか?その開花のメカニズムを解説します。
冬桜や10月桜などの冬に咲くサクラは花の数が少なく、決して華やかな満開感を味わえる木ではありません。
ただ、周囲の樹木の葉が落ちて寂しくなりかけた時期にパッと花を咲かせてくれるので、安心感というか、心を和ませてくれる存在であることは間違いないです。
「10月桜」の花弁は八重で花びらは5~18枚、全体のつぼみの3分の1が10月頃から咲き、残りの3分の2は4月初めに咲きます。
同様に秋から冬に咲く「冬桜」は一重で花びらは5枚です。
一般的なサクラの開花のメカニズム
一般的な春に咲くサクラの花芽は、前年の夏に形成されます。しかし、それ以上生成されることなく、その後「休眠」という状態になります。
休眠した花芽は、一定期間低温にさらされることで、眠りからさめ開花の準備を始める「休眠打破」という状態になります。この「休眠打破」では、秋から冬にかけた一定期間に、低温にさらされることが重要なポイントになります。
春をむかえると、気温の上昇にともない花芽はしだいに大きく「生成」し、気温が高くなるほどそのスピードにあわせて、花芽の膨らみも加速し、ピークをむかえるた時に「開花」することになります。
サクラの花芽はこのように「休眠」→「休眠打破」→「生成」→「開花」のサイクルで秋から冬の気温と春先の気温の状態によって大きく成長していくことがわかります。
ちなみに、冬のない常夏の国では、思ったほど日本のサクラのようには美しく咲かないようです。サクラがきれいに咲くのには、四季のある美しい日本の国で進化した植物だからのようです。
花芽発達の可能な温度域は0~25度で、最適な気温は10度です。
冬に咲くサクラの開花のメカニズム
ほとんどのサクラは4月ころに満開に咲き乱れますが、
冬桜は、なんで寒い時期に咲くのか気になりませんか?
サクラの木の休眠のメカニズムは以下の3つに分けられます。
・1.前休眠期(9月上旬~10月中旬):葉が芽の成長を抑える時期で、摘葉すれば芽が成長する
・2.真正休眠期(10月上旬~11月中旬):摘葉しても好適な環境下でも芽が成長しない自発的に休眠する状態
・3.後休眠期(10月下旬~1月上旬):環境が好適であれば芽が成長する強制休眠の状態
冬桜の場合は、この「前休眠期」と「真正休眠期」が極めて浅い状態であるか、もしくは休眠期がほとんど確認されないために、秋~冬にかけても咲き続けていると考えられているようです。
10月桜は、休眠が浅い時期は休眠打破でき早期開花し、真正休眠期の最深期には開花せず中休み状態になり、休眠覚醒と共に再び二度咲き(開花)するのではないかといわれています。
冬桜と10月桜が冬に咲くサクラの開花のメカニズムは、説明するのが難しいので、理解するのも難しいかもしれません。
要は冬桜と10月桜は、休眠状態が浅い木であるか休眠期が短い木であるために、冬に花が咲く状態がおこるのではないかと思われます。
もしかしたら冬桜と10月桜は、休眠する期間が短く樹木を休ませる期間が短いことから、ソメイヨシノと比較すると大きくなりにくい木なのかもしれませんね。
冬桜と10月桜の花を季節はずれに楽む
公園にも冬桜と10月桜が意外と植えてあるで季節はずれに花を楽しむことができます。
それには、植えてある公園をあらかじめ探し出して、花が咲く時期まで覚えておく必要があります。
冬桜の名勝地はここ!
冬桜は小葉サクラとも呼ばれる葉っぱが小さめのサクラで、山桜と豆桜の雑種と言われていて、紅葉の頃と開花時期が重なるために、紅葉狩りと花見が同時に楽しめるサクラで、白や薄いピンク色の花を咲かせます。
群馬県藤岡市三波川の「サクラ山公園」は国指定名勝および天然記念物となっていて、約7,000本の冬桜が植えられています。天然記念物となっている理由は、紅葉と同時に咲き乱れているサクラを楽しめる場所となっているからです。
名勝地に行かなくても冬桜は見れる
わざわざ遠くの名勝地に行かなくても冬桜を見ることはできます。
そんな方法があるの?と思われるかもしれませんね。
実は、その方法とは、
なんてことはない
自宅の庭に冬桜を植えることです。
冬桜の植え付けと管理方法
冬桜は開花期間が長く自宅の庭に植えておくと長い間、花を楽しむことができるんです。
冬桜の植え場所は、日当たりの良い場所でしかも水はけの良い肥沃な土に植えたほうがよいです。
植え替えや植え付けは、2月~3月ころ、もしくは9~10月が適しています。
排水が悪いところでは根腐れを起こしやすいです。できれば肥料を根元に撒いてあげると生育上、花のつきを良くしてくれます。
排水が悪いときは土壌改良をする必要があります。
土壌改良の方法は、いったん土を深く掘り起こして、新しい土と変えてやります。
この時、新しい土と肥料を混ぜ合わせ、バーミキュライトやパーライトをほどよく混ぜ込んで排水性を良くしてあげる必要があります。
植えこむ時は低く植えこんだりしないで、盛り土をするように仕上がり状態が周りの地盤より高く植えてやる必要があります。
植え込む際に、土がドロドロ状になるまで水をたっぷり与えて根に隙間なく土を絡ませる感じに植えてあげるとよく育ちます。
しばらくは毎日水やりを欠かさず忘れないことです。
これで排水性と土壌改良は万全です。
枝が多くなってきた時に剪定をする必要がありますが、それほど枝葉が増える木ではありませんので、混み合っきた枝だけを間引くように枝元から取り除くとよいです。