
桜は4月ころに花が咲くことから、子供が小学校などに入学する時の記念樹などで植えられることが多いようです。子供の成長とともに桜は大きくなりますし、桜は日本人にとっての象徴とも言えます。
でも桜を植える際に、種類を選び間違えたり、植え場所を考えないで植えたりすると、大きくなりすぎたり、害虫の被害が酷かったり、管理が大変だったりと、とんでもなく苦労をする可能性があります。
ここでは、桜を庭に植えるならどんな種類を選んだらよいかなど、桜を植える際に重要なことを解説します。
桜を買う前に知っておくべき重要なこと
桜の苗木はホームセンターなどで1,000円程度で気軽に買えますが、小さいからと思って、適当に買ってしまうと後でとんでもないことになります。
買う時は1mもなかったのに、いつのまにか2階の屋根よりも高くなるソメイヨシノなどの種類もあります。
こんなに大きくなるとご自身では剪定をすることが難しくなり、業者に頼んでドえらい金額の手入れ代を払うことになりかねません。
それは1回で済むことはないので、大きくなった時には同じように毎回、またはそれ以上支払いが生じることになります。
人間は成長しますが、木はそれ以上に生長するという事です。
そして植えて終わりではなく、人間と同じように管理もするし、お金もかかるという事を理解されておいた方がよいです。
購入時には、どれくらい大きくなるのかは、最低限知っておかなければいけないことです。
また、「普通に成長するタイプの桜」と「枝垂れるタイプの桜」がありますので、どちらにしたらよいのか合わせて考えておいた方がよいです。
庭に植える桜の種類を知る
庭に植える桜の種類ですが、桜の種類は園芸品種の改良によって600種くらいあるようです。
しかも日本の桜の80%はソメイヨシノだと言われています。
その600種類の中から選ぶことは困難ですが「大きな桜」と「比較的小さく育つ桜」に分けると、庭に植えるための一般的な桜を割り出すことはできます。
大きな桜を植えることができるのであれば、間違いなく「ソメイヨシノ」で良いと思います。
なのでここから先では、なかなか知ることがない「大きくならない品種の桜」について解説していきます。
大きくならない品種の桜
庭に木を植える場合、大きくならない品種の桜を植えた方が、管理をするうえでストレスにならないと思います。
大きくならない品種の桜には、次の3つが代表的です。
旭山桜(アサヒヤマザクラ)
十月桜(ジュウガツザクラ)
冬桜(フユザクラ)
これ以外にもあるかもしれませんが、私が知っている桜の種類はこの3つなので、各々解説していきます。
旭山桜(アサヒヤマザクラ)
アサヒヤマザクラは、淡紅色の八重の花を4月に樹木いっぱいに咲かせる桜で「あまり大きくならない性質」という意味の矮性(ワイセイ)の桜です。
よく盆栽や鉢植えなどに使われ、一歳桜に使うのはこの品種です。
花の咲く時期は4月中旬で、旭山桜の樹高は4m・枝張りは4mくらいです。
生長は早く、北海道~九州で育ちます。
ホームセンターにあるかは微妙なので、購入する際はネット(楽天)などでお調べるとあるかもしれません。
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十月桜(ジュウガツザクラ)
江戸彼岸(エドヒガン)と豆桜(マメザクラ)の交雑種といわれる小彼岸桜(コヒガンザクラ)の園芸品種です。
花の色は白のものが多いですが、淡いピンク色や濃いピンクのものもあります。
暑さや寒さに強く、東北地方以南であれば屋外で植栽できます。
他の桜と同様に害虫がつきやすいです。
剪定に弱いので、太い枝を切ると枯れたり病気になりやすいです。
十月桜の樹高は3~7mくらいです。
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冬桜(フユザクラ)
冬桜(フユザクラ)はヤマザクラとマメザクラが自然に交配してできた雑種とされます。
冬桜は矮性でほうき状に生育します。
花の色は白で、一重咲きで花弁は5枚でより大きいことで見分けられます。
開花時期は11~12月と4月の年2回ですが、その間も細々と咲き続けてくれます。
冬に咲く花芽は全体の3分の1で、残り3分の2は春に咲きますので、花数としては少々物足りなく感じるので満開の気分にはなれないかもしれません。
暑さや寒さに強く、北海道南部から九州までの広い範囲に植栽できます。
ソメイヨシノと比べるとだいぶ樹高が大きくなりにくく、若木でも開花しやすいので一般家庭に向いています。
日当たりと水はけの良い場所を好みます。
他の桜類と比べると病気にはやや強いです。
剪定には弱いので、太い枝を切る場合は冬に行ない防腐処理が必要です。
冬桜の樹高は5~7mです。
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桜を植える場所を選ぶ時の注意点
さて、庭に植える桜の種類や大きさが決まったと仮定して、今度は植える場所を決めなくてはいけません。
ここでは大小の2種類の大きさの違いによって、どのような所に植えたらよいのか解説していきます。
大きくなる桜の木の植え場所について
まずは大きくなるソメイヨシノなどの桜の木ですが、高さは2階の屋根よりも確実に大きくなります。
そして枝を張る横幅は半径5m以上、すなわち直径で10m以上は見ておいた方がよいです。
しかも枝が生えている真下は日陰になりますので、植物を植えると育ちにくいことを頭に入れておいてください。
さらに、桜は病害虫が発生しやすいので、桜の下で何か作業をすることはできないことを予め考えておき、植え場所を選んだ方がよいです。
上ばかり気になるかもしれませんが、下、つまり根の張り方に注意しなければいけません。これだけ大きな桜を根で支えなければいけないことからも、太い根が横に長く広がる傾向が強いので、一番気をつけなければいけないことは、近くに建物が建っていないかどうかです。根は簡単に家の下に潜り込んで土台を持ち上げることもありますので、家から枝張りと同じ幅である5mは離して植えた方がよいです。
あと桜の生育を考える場合は、すぐ下が粘土質で排水性が悪いと根腐れを起こし育ちません。土壌は排水性があり、深さが1m以上、幅は幹から半径1m以上は肥沃な状態であることが望ましいです。植える時には、周囲の地盤より若干高めの「高植え」にすることで良く成長します。
小さく育つ桜の木の植え場所について
小さく育つ桜の木はそれほど植え場所を吟味する必要はありませんが、上よりも横に伸びやすい傾向がありますので、枝張りは最低でも半径3m以上は必要です。
もちろん植えた桜の下は日陰になりやすいので植物を植えると育ちにくいです。病害虫も発生しやすく、大きな桜よりも病害虫の近くにいるので、桜の下での作業はできないです。
小さな桜であっても根の張り方は大きな桜と一緒で枝張りと同じくらい横に広がる可能性が高いことから、小さな桜も家から枝張りと同じ幅である3mは離して植えた方がよいです。植える際の土壌に関しても、同じです。
桜の管理方法を知っておく
桜は花が咲き終わったら終わりではなく、他の樹木よりも神経質な管理を行わないといけません。
とは言いましても、盆栽のように毎日水を与えたり、肥料を与えたり、しょっちゅう剪定をしたり、特別なことをするわけではなく、太い枝を夏場に切って枯らすようなことをしなければ良いだけです。
ここから先では桜の管理で注意しなければいけないことを解説していきます。
桜の木を切ると枯れる
桜の木を切った場合、他の木と比べると枯れやすいです。
特に夏場に太い枝を切ると切り口から確実に枯れていきます。
枯れる頻度ですが、太い枝(直径3cm以上)になるほど枯れやすくなります。
枝や幹が枯れると、そこからシロアリが発生し、建物が近いとそちらへ向かって行き、被害が起きる可能性もあります。
「それじゃぁ、大きくなったらいつ切ればいいの?」と疑問がおきると思いますが、剪定時期については次で解説します。
桜の剪定時期と剪定方法
桜の剪定時期は、絶対に夏場ではありません。
枝葉が伸びてうっとうしくなったからと言って、太い枝をバッサバッサ切るようなことをしてしまうと、桜は切り口から枯れていってしまいます。
「桜は枯れやすい代表のようなもの」なので、このことを知っておいてほしいです。
もしも剪定をするのであれば、葉っぱが落ちてから冬に行なって下さい。寒くて大変かもしれませんが、この時期は桜は休眠期なので、少々太い枝であっても枯れる可能性は低いです。ただし、太い枝を切ったのであれば、防腐剤を切り口にたっぷりと塗っておく必要はあります。
冬期以外、桜の木の剪定を行なわなければ、枯れることは少ないです。
剪定方法としては、まずは枯れている枝をすべて切り落とし、混んでいる枝を間引いたり長さを調節したり、不要な徒長した枝を枝元から切り取る作業をします。夏に枝葉が密集しないような予想を立てて剪定を行なうようにするとよいです。
詳しい桜の剪定方法は、こちらのページで解説してますので参考にされて下さい。
桜の木は病害虫がつきやすい
桜は特に病害虫がつきやすい木です。
・アメリカシロヒトリ
・イラガ
・アブラムシ
・てんぐ巣病
これらが代表的な病害虫になります。
害虫については目で確認できるモノが多いので、見つけしたい殺虫剤等で駆除する必要があります。
てんぐ巣病は伝染病なのですが、被害枝を目で確認することができるので、見つけたら枝元から切除して焼却する必要があります。これらの病害虫は枝葉が密集することで被害が拡大する可能性が高いので、剪定時に枝を間引くことが重要です。
詳しい桜の病害虫の防除方法は、こちらのページで解説してますので参考にされて下さい。
庭にどんな種類の桜を植えたらよいか?のまとめ
桜を庭に植えるならどんな種類を植えたらよいか?
私個人の考えでは「冬桜(フユザクラ)」の購入をおすすめします。11月頃の開花だと花の咲く木が少ないので貴重です。おまけに、4月にも花を楽しむことができるので、年2回花を咲かせて楽しんでみたいです。