ケヤキの12mほどの大木を街のシンボルのようにするため、移植しているのを見かけたことがあります。
しばらくしてそのケヤキを見に行くと半分枯れており、また数年後に行ってみると木はなくなっていました。
いったい何が起こったのだろう?
移植で枯れた大木の経費はどこからか?
むかし、とある街に道の駅が新しくオープンしました。
道の駅の建物の脇に12mほどの大きなケヤキの木数本がどこからか運びこまれ移植されていました。
枝も幹も中途半端なところでブツ切りされ、細枝はない状態でした。
植え場所は約2m四方と小さく、周囲はアスファルトで覆われていて根が伸びる余地は見受けられません。
当時、植木に関心がないド素人だった私でさえ、こんなんで育つのかと思うほどでした。
しかし、案の定!
数年後には、あんなに大きかったケヤキは、はじめに移植した時の半分の高さまでずん胴切りされて小さくなり、すっかり衰弱していました。
その数年後に気づいた時には、移植したケヤキは全てなくなっていました。
あの大木にいったいどのくらいの経費をかけたのだろうといらぬ心配をしてます。
考えてみるとその背景には、移植には、どこかの場所からか15mもの大木を運ぶわけですから、根元周辺を重機などで掘削して根鉢を作り、トラックに積み込み移動し、現地に下して大掛かりな植栽を施します。
こんな大木ですから大きな支柱だって必要でしょう。
それを3本ですから、どれほどの人工や重機やら経費がかかったのかわかりません。
もしかしたら、移植から枯れ枝処分までの費用は、我々の税金からまかなわれているのかもしれません。
ケヤキの大木を枯らしてまで植栽するのは、まったく無駄な行為だと思うのは私だけでしょうか。
移植した大木が枯れる原因
基本的に移植時に大木が枯れる原因には、移植時の大木の状態が良いか悪いかです。移植後の大木の状態が良いか悪いかにかかってきます。
たとえば、移植先の植え付け場所の環境や土壌の状態がよくなかったり、植え付け後の根の生育状態や木の状態に問題があると枯れる可能性が高いです。
確かに大木の樹体を支え、木に水分や養分を送るためには、根の状態が良くないといけないです。
しかし、この道の駅に植えられたケヤキの大木の場合、ほぼ全てにおいて枯れる可能性を持ち合わせているようです。
大木に必要な移植の条件
たとえば、樹高14m、枝張り12mの樹体の場合を見てみても、この大木を支え、水分や養分を送り出すのに、この根鉢がおさまる植穴が小さい状態の場所だと生育に問題が生じてもおかしくないです。
たとえば、この植穴がコンクリートなどの構造物で囲まれていれば根が広く伸びずに、この構造物の中でしか根が伸びなくなります。
すると、大木を支えることができずに倒木する可能性は出てきますし、成長もしにくくなります。
通常は樹体の幅の分は根張りが必要と言われます。枝張りが12mの場合根鉢径は12m必要な計算になりますが、移植時にトラックに運ぶ都合上、大きくても数mという場合がほとんどでしょう。
移植しなくても大木が枯れる原因
移植をしなくても大木は枯れることがあります。
特に気にするべき点は、細根が腐朽している点で、根腐れを起こすことです。
水がたまりやすい土壌状態であると、酸欠によって根腐れはおこります。
また、人や車が根元を踏み固める状態の場所であっても、酸欠によって根腐れはおこります。
移植後でなくても、土盛りしすぎている状態がおきていると、酸欠はおこり根腐れします。
このような、根に負担がかかる状態が引き起こされると酸欠状態になったり、根が腐ったりするので、大木を支え水分や養分を送り出す根とは程遠くなります。