公園にはたくさんの人が訪れますが、柵をしている木をたまに見かけます。
ある地域では、この柵の設置に関する住民トラブルが発生しているようです。
なぜ柵をするのか、その理由をお伝えします。
大きい木は人と共存しやすい
公園の大木だけでなく、大きな木の下ではランチを食べたり、読書していたり、木陰で寝ていたり、遊びまわっている子供をよく見かけます。
大きな木の下は自然的で、しかも集まりやすい。それだけ目立ちやすく居心地の良い場所なんでしょうね。
そのように大きな木は人に愛着があり。シンボルとなりうる存在です。
小さい木にはまねのできないことです。
しかし、地元の人たちが利用したり、子供たちが木の周りで遊ぶ姿は生活感がありますが、実はその行為そのものが木にとって良くなく、衰弱させるという問題につながっているんです。
この衰弱が原因で木の根元に柵をする方法がとられることがあるんです。
なぜ、衰弱は起こるのでしょう。
目立つ大きな木ほど衰弱している
土壌中の土の粒の間には隙間が空いているんです。
この隙間に空気や水が入り込み、根がこれらをうまく利用することで生育がうまくいくんです。
本当は窒素とかリンとかカリウムとか、土壌のPHとか、土壌にはいろんな要素があるのですが、今回はわかりやすく空気と水分だけで説明します。
人にとって木の周りで走り回る子供たちや、木陰を利用することは生活の一部になっているかもしれません。
しかし木の立場からすると、それが成育を左右する良くない行為になっているのです。
なぜその行為が良くないのかというと、
まず、木の根元を踏み固められることによって、土壌中の粒の間に隙間がなくなります。
もしも、これが人ではなく車であった場合、踏み固めではなく、かなり締め固められるので、非常に劣悪で衰弱は免れない状態という事です。
踏み固められることで土壌中の粒の隙間がなくなり、根が酸欠をおこしてしまいます。しかも、粒の隙間がなくなることで水分も土壌中に浸透しなくなります。
そのようなことで根が呼吸ができなくなり、しだいに腐ってしまい、このままの状態が続くと木は衰弱し、木の本体が枯れてなくなってしまいます。
住民にとって大木は存在感があると思いますが、その大木がなくなる現実は避けなければいけないことです。
道路わきの街路樹の大木の根元は最悪
最近大きな街路樹が枯れたり、倒木しやすかったりすることをよく聞かされます。
これは、よくよく考えると人災である可能性は否定できません。
街路樹は防火樹や耐火樹、景観を良くするために植えられることがあります。
その機能性は理解できますが、大木になるのがわかっている木の根元が、小さな鉢のような構造物に収められているのは理解できません。
または、アスファルトやコンクリートの圧がかかって植えられていることで、酸欠などによって根腐れが起きる可能性が高いのに道路脇に大木を植える意味が理解できません。
たまに、アスファルト圧に耐えられずに、アスファルトを根が幹化して持ち上げて伸びているのを見かけます。
「苦しんでいるんだろうなぁ」「もがいているんだろうなぁ」と思って見ていますが、助けることができないので密かに同情しています。
大きくなる木が増えるにつれ、根元が不健全な大木が台風による倒木をおこしたり、酸欠や病害虫により枝が枯れ、その折れた木が人に危害を加える災害がこれからどんどん増えていくと思います
全ての木が健全であれば災害はおこりませんが、現状ではその可能性はかなり低いといえます。
道路わきの街路樹の中木だって危険
ある町に街路樹として植えられていたハナミズキがあります。
ハナミズキは、花のように見える総苞がきれいな街路樹です。
あまり枝葉が伸びないですし、葉っぱもそれほど多くなく、モミジほど剪定などの管理が面倒ではないことから街路樹として重宝がられてよく植えられます。
ただ、徒長枝は根元からも枝からも伸びるので、その管理や処理を怠るととんでもない事件に繋がります。
これは実話ですが、この町の街路樹として植えられていた樹高は3mほどのハナミズキの花が終わり徒長枝が伸びました。
このハナミズキの枝葉1.5mくらいから上に生えています。
本来は通行に邪魔にならない高さの2mくらいより上に生やすべきですが、ここのは1.5mです。
歩道を歩くのは人、自転車も走ります。
夕方から夜にはハナミズキがあることはわかりますが、暗がりでは枝までは気が付かない時があります。
そんな暗がりで高校生が自転車で歩道を走ってきたところ、目に徒長枝が突き刺さり失明しました。
これは市道なので市がからんだ損害賠償の事件です。
自転車は歩道を通行できませんが、車道側を通行していても、車道側にも枝は伸びているので、同じ事が起きる可能性もあります。
枝を避けようと車が走っている側に自転車が寄ることもあり、危険が生じることもあります。
いずれにしても、適当な管理をしている街路樹は人に危害を加えます。
そんな危険で管理が面倒な街路樹であればなくした方がよいと思います。
木の根元に柵をする理由
だいぶ脱線しましたが、
木の根元に柵をする理由には、根元を人に踏まれて土が固まることから、土の中の根を腐らせないこと、木の衰弱を進行させないことを目的に設置されます。
柵を設置する意味を住民の多くが理解できれば行えばよいですし、理解が難しい時はそのままにしてもよいかと思います。
おそらく樹木医や専門家は、木を衰弱させたくないので、柵の設置を推奨するはずです。
ただ、設置しないことで木がもっと衰弱して枯死した場合、切り倒さなければいけなくなります。
その場合、設置を反対した人たちの立場はなくなりますので、十分に協議する意味はあると思います。