私たちが見ている街路樹は色々な面でストレスを感じて生きています。
街路樹にも地域に合った木がありますが、針葉樹、広葉樹、常緑樹で比較してみます。
街路樹とはなにか?
街路樹(がいろじゅ)というのは、市街地の道路脇によく植えられてある樹木のことです。
車から出る排気ガスによる大気の汚れを浄化してくれたり、二酸化炭素を吸収して酸素を提供してくれたりします。
大木になって景観を良くしてくれたりするので、地域によってはシンボル的な並木道のような街路樹を提供してくれることもあります。
さらには、防災の役目を果たしてくれて、火災の時には火を防いでくれたり、火災に耐える木もあることから火の勢いを防いで火災をくい止める役目もあります。
場合によっては、樹種の特徴や特徴を生かして道標的な働きをしてくれたりします。
真夏に日陰を作ることで温度調節に一役買う事もあります。
そんな人に尽くしている街路樹なのですが、あまりよく思われていないことがあります。
街路樹は管理が大変
街路樹は色々な面で人に尽くして役に立っているように思います。
ただ、街路樹は生きていて毎年大きく育つので、山にある木のように放置しておくことはできません。
そこで重要になるのは維持管理です。
例えば、夏に向かうにつれ枝葉は伸びていくので、剪定作業を毎年行わなくてはいけません。
一度剪定したとしても、そのあとに徒長枝が伸びてくることがほとんどで、場合によっては二度目の剪定作業を行わなくてはいけません。
また、台風などにより枝が折れて災害を発生することもあり、その時に枝を切る作業が出てくるかもしれません。
特に街路樹は道路わきに植えてあるのがほとんどなので、剪定や伐採作業を行なうのに歩行や交通の障害につながることが多いです。
病害虫が発生した場合には防除作業を行いますが、劇薬を散布するので確実に歩行者や車に影響を与えます。
これらの維持管理を行なう作業には確実に経費が発生してきます。
自治体であれば私たちの税金から管理費を捻出することになります。
そんな人工的に植えてある手のかかる街路樹ですが、実は、とても苦労をして生きているんです。
街路樹が生きるのに苦労しているわけとは?
街路樹だけでなく木を見てみると土面よりも上の部分しか見えず、特に気にならないと思います。しかし重要なのは土面よりも下の見えていない部分なのです。
どういう事なのかというと、土の中で根がどのような状況になっているのかによって、木の生長は決まってくると言っても過言ではありません。
たとえば、根がコンクリートやアスファルトで上から重く覆われている部分が多いとしたら、
根は酸欠状態に陥り樹勢が悪くなり、だんだんと衰弱し枯れる方向に向かっていきます。
特に街路樹の場合は固い桝のような構造物で覆われています。土の面積が少ないことから栄養分や水分、酸素を取り込めず、しかも根が伸びる範囲を抑えられているので成長しにくい状況にあります。
まるで小さくて固い植木鉢に押し込められているような状態なのです。
街路樹を針葉樹と広葉樹と常緑樹で比較
街路樹はとてもストレスを感じ苦労して生きています。
そんな街路樹ですが、さて、街路樹に適している樹種は何がよいのか、針葉樹、広葉樹、常緑樹で比較してみます。
針葉樹の場合
針葉樹は大きくなる傾向が強いですが、比較的ゆっくりと大きくなるため樹高が低いうちは管理しやすいように思えます。
ただ、これが大木になった場合、しだいに管理に時間と経費がかかるようになるので、広い場所でない限り街路樹として植栽するの避けた方がよいかもしれません。
落葉樹の場合
落葉樹は枝葉が伸びやすく徒長枝が出やすい性質があります。
夏場に剪定を行なうと切る前以上に伸びることもあり、伸びた枝葉は歩行者や自転車の通行の邪魔になることがあります。
落葉樹は冬に近づくにつれ葉を落とすので、葉っぱの処分や管理に苦労したり景観が悪くなる場合があります。
雪が多く降る北の地方では、常緑樹よりも枝に降雪して残る面積が低く雪が溶けやすいことから重さにも耐えられるので、街路樹は落葉樹が多いです。
常緑樹の場合
常緑樹は比較的枝葉の伸びが遅く葉を落とすことが少ないし、しかも公害汚染にもよく耐えます。ただ、雪が降り積もる北国の街路樹には向かないです。
街路樹を針葉樹と広葉樹と常緑樹を総合的に判断すると
針葉樹、落葉樹、常緑樹は各々の特徴があり、その地域に合う木を植栽する必要がありますが、管理のしやすさや経費の面から、針葉樹、広葉樹、常緑樹を比較して総合的に判断してみると、街路樹として植栽するのにふさわしいのは常緑樹ではないかと思います。
ただし、雪害の多い北国では落葉樹が適していると思います。