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納得!頂芽優勢で決まる自然樹形のメカニズム

サワラやモミやトウヒなど、多くの針葉樹の自然樹形は円すい形に近いですよね。
ケヤキなどの広葉樹の場合はというと、楕円形に近い「ほうき状」の樹冠になります。

ではどうしてこのようなことが起こるのか、ここではお伝えします。

そもそも頂芽優勢とはなにか?

トウヒやサワラ、モミ類など、よく見ると多くの針葉樹の樹形は、”やや円すい形” に近くなっていることに気が付くとも思います。
円錐形
トウヒ

多くの針葉樹は、真上に垂直に伸びる1本の幹と、幹から側方に伸びるたくさんの側枝から構成されます。この時、幹の頂端が枯れたり衰退したりしないかぎりは、側枝が主幹になることはありません。

これは先端の頂芽がその下の側芽の上方への立ち上がりを抑制しているからで、頂芽だけがまっすぐ上に伸びる性質が強いからです。

もしも頂芽が枯れた場合には、側枝のうち最も高い位置にあり勢いの強いものが新しい頂芽になろうとして立ち上がり、主軸の幹となります。

この針葉樹のように、樹形を形作るにはある性質が関わっています。

多くの樹種では、上方や先端の頂芽ほど早く発芽して新梢が強く伸びる性質があります。

この性質を「頂芽優勢」といいます。

「頂芽優勢」には生存競争が深く関わっており、自然の森などでは光を求めるため、早く上へ伸びて勝ちぬくための仕組みがあると考えられています。

広葉樹の頂芽優勢

広葉樹の場合にも頂芽優勢はあります。ただ、成木になると頂芽優勢が弱くなるので、複数の主軸ができやすくなります。その結果、樹冠は円形から横に広がった回転楕円形の形に変わるんです。

ケヤキを例にとると、主軸は初めは1本で成長していますが、成長して大きくなるとたくさんの頂芽が形成されていき、だんだんと「ほうき状」の樹形となります。
ケヤキ

頂芽優勢がおこるメカニズム

頂芽優勢は、オーキシンと呼ばれる植物ホルモンの働きによりおこります。

頂芽でつくられたオーキシンは、重力方向である下側に移動して、下の芽の発芽や伸長を抑える働きがあります。

頂芽優勢が強い時は、茎の先端でオーキシンという植物ホルモンが順調に生産され下方に供給され続けるので、側芽の成長は抑制されて主軸にはなれません。

しかし、上方からのオーキシン供給が減少した場合、サイトカイニンという植物ホルモンの影響のほうが強くなり、側芽や側枝が主軸に変わろうとする成長を開めます。

たとえば、切り戻し剪定によって頂芽が切り落とされたりすると、切り口周辺の側芽から徒長枝が一斉に伸びることを経験されたことがあると思いますが、それはオーキシンの濃度が減少したために、側芽が上に向かって成長を始めることでおこっていたのです。

頂芽優勢は新梢が強く伸びる性質がありますが、逆に、それ以外の側芽は伸びにくかったり、枝の下方の芽の伸長はおさえられる性質があります。

オーキシンとは

オーキシンは茎の伸長を促す植物ホルモンです。

オーキシンは若葉で生成されて茎へと運ばれ、茎の伸長を促すとともに側芽の展開を抑制することで頂芽優勢をおこします。

枝が折れたり切られたりすると上部からのオーキシンの供給がなくなるために、それまで抑制されていた側芽や潜伏芽が萌芽して樹冠を修復するようになります。

オーキシンには、挿し木の発根や傷口の癒合などに利用されたり、形成層の分裂促進やエチレンによる老化に匹敵する作用があります。

サイトカイニンとは

サイトカイニンは主に細胞分裂に関わる植物ホルモンです。

オーキシンによる頂芽優勢に匹敵するほど脇芽の伸長を促したり、寿命を延ばす作用があります。サイトカイニンは、果樹栽培などにおいて、分化の調節をしたり落果防止などに使われています。

頂芽優勢は枝にもおこるか?

頂芽優勢は主軸だけでなく枝の頂部でもおこります。

そのため個々の枝の先端の芽は、枝の軸に沿ってそのまま伸びようとし、周囲の芽が新しい軸となるのを抑制します。
枝

トウヒ

頂芽優勢が強い樹種では、主軸と側枝の区別がはっきりとして、頂芽が主茎として発達するとともに腋芽も成長する「単軸分枝」の樹形が形作られます。

一方、頂芽が花となった後に枯死し、翌年に主軸の先端に近い脇芽が頂芽のかわりに上長成長を行なう「仮頂芽」をもつ樹種もあります。

「仮頂芽」をもつ樹種では、幹や太枝がジグザグ状となって育つ傾向があり、主軸と側枝の区別がはっきりわからない「仮軸分枝」の樹形となります。

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