第1章 拉致されたズボラ庭師 ~「テキトーでいいっしょ」の代償~
この記事は、ボケ(木瓜)の剪定、とくに「花芽と葉芽の見分け方」を、退屈な説明抜きで、手に汗握る爆弾解除サスペンスとして楽しく学べる記事です。「花芽と葉芽って、どう違うの?」「間違えて切ったら、来年花が咲かないって本当?」「どの枝を、どこで切ればいいの?」という疑問をお持ちの方に、ぴったりの内容です。物語を読み終わるころには、ボケの芽をひと目で見分け、来年たっぷり花を咲かせる剪定のコツが、自然と頭に入っているはずです。それでは、命がけの現場へご案内します。
① 一つ間違えれば、来年花が咲かない
いきなりですが、剪定の世界には、たった一つの切り間違いで、一年分の楽しみが消えてしまう作業があります。それが、花を咲かせる木の「花芽(はなめ)」を残す剪定です。
花芽というのは、その名の通り、春にお花になる芽のことです。この花芽を、うっかり切り落としてしまうと、どうなるでしょうか。答えは、来年、花がまったく咲かない、です。せっかく一年待ったのに、花のない、さみしい木になってしまうのです。
植木職人にとって、これは、まさに「絶望」の失敗です。取り返しがつきません。だからこそ、花芽と、切ってもよい「葉芽(ようめ)」を、正しく見分けることが、とても大切になるのです。
② 「見分けるの、めんどくせえ」
さて、我らが主人公の登場です。現代の新人植木職人、「ズボ太」。相変わらずの、筋金入りのめんどくさがり屋です。
ある冬の日、ズボ太は親方から、こう命じられました。「ズボ太、あそこのボケの木を、冬剪定しろ。ボケの剪定は、十一月から二月ごろが時期だ。いいか、『花芽』をちゃんと残して、『葉芽』の手前で切るんだぞ。花芽を切り落としたら、来年花が咲かんからな」
それを聞いたズボ太は、心の中で、こう思いました。「うわ、めんどくせえ……花芽だの葉芽だの、いちいち見分けるの、だるいなあ。まあ、丸っこいほうを残して、テキトーに切っときゃいいっしょ」
実は、この気持ち、少し分かる方もいるのではないでしょうか。芽の形の違いなんて、細かくて、見分けるのは面倒に感じますよね。ズボ太は、その「めんどくさい」に負けて、いいかげんに作業を済ませようとしていたのです。
③ その直後、事件が起きた
ズボ太が、あくびをしながら、ボケの木にハサミを近づけた、そのときでした。
背後で、車が急ブレーキで止まる音。そして、黒ずくめの男たちが、ばらばらと降りてきたのです。
「なっ、なんだあんたら!?」
ズボ太が声を上げる間もなく、男たちはズボ太を取り囲み、あっという間に、車の中へと引きずり込みました。目かくしをされ、どこかへ連れ去られていくズボ太。「うわあ! 誘拐!? なんで俺が!?」
ズボ太は、わけも分からないまま、拉致されてしまったのです。まさか、あんなにいいかげんに扱っていた「ボケの剪定」の知識が、このあと、自分の命を救うことになるとは、このときは、夢にも思っていませんでした。
④ 剪定の知識は、思わぬところで役に立つ
ここで、読んでいるあなたに、一つお伝えしたいことがあります。
ズボ太が「めんどくさい」と切り捨てようとした、花芽と葉芽の見分け方。これは、決して、どうでもいい細かい知識ではありません。この見分けができるかどうかで、あなたの庭のボケや梅、桜といった花木が、来年、花を咲かせるか、咲かせないかが決まるのです。
花芽と葉芽の違いは、一度覚えてしまえば、決して難しいものではありません。この物語を通して、あなたも、ズボ太と一緒に、その見分け方を、しっかりマスターしていきましょう。それは、あなたの庭を、毎年花でいっぱいにする、大切な技術になります。
⑤ 連れてこられた、巨大植物園
どれくらい、車に揺られたでしょうか。目かくしを外されたズボ太が見たのは、見たこともないほど巨大な、植物園でした。
ガラス張りの、天井の高いドーム。中には、南国の植物から、見なれた庭木まで、ありとあらゆる植物が生いしげっています。けれど、その美しい植物園の空気は、異様な緊張に、はりつめていました。
なぜなら、その植物園の中央に――何やら、恐ろしげな「爆弾」らしきものが、仕掛けられていたからです。しかも、その爆弾には、無数の配線と一緒に、本物の植物の枝が、複雑に絡みついていました。
「な、なんすかこれ……爆弾!? なんで俺、こんなとこに……!?」
ズボ太の頭は、真っ白になりました。ズボラな新人庭師が、なぜか、爆弾テロの現場のど真ん中に、立たされていたのです。
⑥ もう一人の主役、現る
ズボ太が、パニックになりかけた、そのときでした。
「――そこの君。動くな。爆発物に、むやみに近づくと危険だ」
冷静で、よく通る声が、響きました。声のほうを見ると、防護服に身を包み、するどい目をした人物が、爆弾のそばに立っていました。
その人物こそ、爆発物処理班の天才捜査官、「レイ(零)」でした。数々の爆弾を解体してきた、その道のプロフェッショナルです。クールで、理性的で、どんな爆弾も冷静に解体する腕を持っていました。
けれど、そのレイの表情には、めずらしく、焦りの色がにじんでいました。この日、レイが向き合っていた爆弾は、これまでのどんな爆弾とも、まったく違う、狂気の仕掛けだったからです。
そして、その仕掛けを解くカギを握るのが――ほかでもない、ズボ太の持つ「剪定の知識」だったのです。二人の、命がけのバディ(相棒)の物語が、いま、始まろうとしていました。
第2章 バイオ・ボムと天才捜査官レイ ~植物の知識がない、という弱点~
① 狂気の「バイオ・ボム」
ズボ太は、こわごわ、爆弾に近づいていきました。近くで見ると、それは、これまで映画などで見たどんな爆弾とも、まるで違っていました。
金属の箱から、赤や青の配線が何本ものび、その配線が、なんと、本物の植物の枝と、複雑に絡み合っているのです。枝には、生きた芽がついていて、まるで、植物と機械が、一つに融合したような、異様な姿でした。
「なんすか、これ……爆弾に、木の枝が生えてる……?」
レイが、険しい表情で説明しました。「これは、私も初めて見るタイプだ。犯人は、これを『バイオ・ボム』――生きた植物を使った爆弾と呼んでいる。配線と植物の枝が絡み合っていて、どの枝を切っていいのか、まったく見当がつかない」
② 天才捜査官の、意外な弱点
レイは、これまで、数えきれないほどの爆弾を解体してきた、天才捜査官です。どんなに複雑な配線でも、冷静に読み解き、確実に信管を外してきました。
けれど、今回ばかりは、勝手が違いました。「配線だけなら、私に解けないものはない。だが……この植物の枝が、どういう意味を持つのか、私にはさっぱり分からないんだ」
そう、天才レイには、たった一つ、大きな弱点がありました。それは、「植物の知識が、まったくない」ということです。爆弾のプロではあっても、木や芽のことは、ずぶの素人だったのです。
「クソッ……植物のことさえ分かれば……!」レイは、めずらしく、いらだちをにじませました。どんな天才にも、苦手なことは、あるものなのですね。
③ 脅迫文が示す、解除の条件
そのとき、爆弾に取りつけられた画面に、犯人からの脅迫文が、表示されました。
『この爆弾を解除したくば、ボケの「花芽」だけを、きれいに残し、余計な枝を切れ。ただし、間違えて花芽を一つでも傷つければ、その瞬間、起爆装置が作動する』
読み上げたレイの顔が、こわばりました。「花芽……? 余計な枝を切る……? どういうことだ。どれが花芽で、どれが余計な枝なんだ」
ズボ太も、画面をのぞき込みました。そして、はっとしました。「ボケの……花芽……? それって、まさか……」
④ ここで気づく、剪定の知識
ズボ太の頭の中で、拉致される直前の、親方の言葉が、よみがえってきました。
「ボケの剪定は、『花芽』をちゃんと残して、『葉芽』の手前で切るんだぞ。花芽を切り落としたら、来年花が咲かんからな」
「そうか……この爆弾の仕掛けは、ボケの剪定と、まったく同じなんだ!」ズボ太は、思わず声を上げました。「花芽を残して、余計な枝――つまり葉芽のついた枝を切る。それができれば、爆弾が解除できるんだ!」
レイが、驚いて、ズボ太を見ました。「君……ボケの、剪定を知っているのか?」
「知ってるも何も、俺、植木職人っすから! まあ、新人で、しかもズボラだけど……」ズボ太は、胸をはって、そして、少し情けなく、答えました。
⑤ 命がけのバディ、結成
レイの目に、希望の光が、さしました。「君が、植物の知識を持っている……それなら、話は別だ。いいか、よく聞いてくれ」
レイは、ズボ太の肩をつかみ、まっすぐに目を見て言いました。「私は、爆弾の配線を切ることはできる。だが、どの枝を切るべきかは、分からない。君は、植物の知識を持っているが、爆弾には触れないほうがいい。――だったら、こうしよう。君が、どの枝が花芽で、どの枝が葉芽かを見極めて、私に指示を出す。私は、その指示通りに、慎重にハサミを入れる。二人で、力を合わせるんだ」
ズボ太は、ごくりとつばを飲みました。命がかかっています。しかも、自分がいちばんめんどくさがっていた、あの「花芽と葉芽の見分け」で、二人の命が決まるというのです。
「……分かったっす。俺、やります。やってみせます!」
こうして、植物の知識を持つズボ太と、爆弾解体の腕を持つレイ、凸凹の命がけバディが、結成されたのです。
⑥ 残された時間は、わずか
そのとき、爆弾のタイマーが、カチリと音を立てて、動き始めました。
画面に浮かび上がった数字は――「10:00」。残り時間、たったの十分です。
「時間がない」とレイ。「十分以内に、すべての葉芽の枝を切り、花芽をすべて残す。一つでも間違えれば、終わりだ。ズボ太、頼めるか」
「……やるっきゃないっす」ズボ太は、震える手を、ぎゅっと握りしめました。あれほど「めんどくさい」と逃げていた、花芽と葉芽の見分け。その知識が、いまこの瞬間、二人の命を、そして、この植物園を救う、たった一つの希望になったのです。
「レイさん、まずは、花芽と葉芽の、見分け方から説明するっす。これを間違えたら、一巻の終わりっすからね……!」
タイマーの数字が、無情にも、減っていきます。ズボ太の、命がけの「剪定講義」が、いま始まろうとしていました。
第3章 丸いか、尖っているか ~花芽と葉芽を見極めろ~
① 「まず、芽の形を見るっす」
タイマーが、刻一刻と、時を刻んでいきます。ズボ太は、大きく深呼吸をすると、レイに向かって、講義を始めました。
「レイさん、落ち着いて聞いてください。花芽と葉芽は、よーく見れば、形がぜんぜん違うんす。ここさえ押さえれば、見分けられます」
「形が、違う……?」レイが、爆弾に絡みついたボケの枝を、じっと見つめました。「言われてみれば、枝についている芽に、いくつか種類があるように見えるが……どう違うんだ」
「そこっす、そこが一番大事なところっす」とズボ太。「まず、これだけ覚えてください。『丸いのが花芽、尖っているのが葉芽』。これが、基本中の基本っす」
② ふっくら丸いのが「花芽」
ズボ太は、枝の一つを指さしました。「まず、こっちを見てください。この芽、なんだか、ふっくらして、丸みを帯びてるでしょ? まるで、小さな玉みたいに、ぷっくりしてる」
レイが、目をこらしました。「ああ、たしかに。この芽は、丸くて、少しふくらんでいるな」
「それが、『花芽』っす!」とズボ太。「花芽は、春にお花になる芽だから、中にお花の赤ちゃんが、ぎゅっと詰まってるんす。だから、ふっくら丸く、太って見えるんすよ。この丸い花芽は、絶対に、切っちゃダメっす。切ったら、来年、そこにお花が咲かなくなる――この爆弾でいえば、即アウトっす」
「なるほど……丸い、ふっくらした芽が、花芽。これは、残す」レイが、真剣な顔で、うなずきました。
③ ツンと尖っているのが「葉芽」
「じゃあ次に、こっちを見てください」とズボ太は、別の芽を指さしました。「この芽、さっきの丸いのと違って、ツンと尖ってて、平べったくて、なんかスマートな形してるでしょ?」
レイが確認します。「ああ、こちらは、細くて、先が尖っているな。さっきの丸い芽とは、明らかに形が違う」
「それが、『葉芽』っす!」とズボ太。「葉芽は、春に、葉っぱになる芽なんす。葉っぱは、花びらほどふくらまないから、芽も細くて、ツンと尖った、シャープな形になるんすよ。この尖った葉芽のついた枝は、切ってもいい枝――むしろ、切るべき枝っす」
ズボ太は、まとめました。「もう一回言うっす。『丸くて、ふっくら』が花芽、残す。『尖ってて、スマート』が葉芽、切る。この形の違いが、見分けの第一歩っす」
④ 「付き方」にも、ヒントがある
「形の違いは、分かった」とレイ。「だが、もっと確実に見分ける方法はないか。一つでも間違えれば、命がないんだ」
「あるっす」とズボ太は、うなずきました。「形だけじゃなくて、芽の『付き方』も、大きなヒントになるんす」
ズボ太は、枝を指でたどりながら説明しました。「ボケの花芽はね、短い枝に、いくつも、固まってつくことが多いんす。ぷっくりした丸い芽が、ちょんちょんちょんって、複数、集まってついてたら、それは花芽の可能性が高いっす」
「複数、固まってつく……」レイが、メモを取るように、つぶやきました。
「逆に、葉芽は、長くて勢いのいい枝に、ぽつん、ぽつんと、ついてることが多いっす。だから、『短い枝に、丸い芽が固まってる』のが花芽、『長い枝に、尖った芽がついてる』のが葉芽。形と付き方、両方見れば、かなり確実に見分けられるっす」
⑤ 読者のあなたも、一緒に覚えましょう
ここで、読んでいるあなたにも、大切なポイントを整理してお伝えします。ボケの花芽と葉芽の見分け方は、次の通りです。
まず、花芽は、ふっくらと丸みを帯びていて、太って見えます。そして、短い枝に、複数固まってつくことが多いです。これが、春にお花になる、大切な芽です。剪定のときは、この花芽を残します。
一方、葉芽は、ツンと尖っていて、平べったく、スマートな形をしています。そして、長い枝に、ぽつんとつくことが多いです。これが、春に葉っぱになる芽です。剪定のときは、この葉芽のついた余計な枝を、切り詰めていきます。
「丸くてふっくら、短い枝に固まって=花芽(残す)」「尖ってスマート、長い枝にぽつん=葉芽(切る)」。この二つを覚えるだけで、あなたのボケの剪定は、ぐっと上手になります。物語の緊張感と一緒に、ぜひ、頭に焼きつけてください。
⑥ いよいよ、解体作業へ
ズボ太の講義を聞き終えたレイの目に、力が戻ってきました。「分かった。丸くてふっくら、短い枝に固まっているのが花芽で、残す。尖っていてスマート、長い枝についているのが葉芽で、切る。……これで、判別できそうだ」
「その通りっす、レイさん!」とズボ太。「あとは、一つ一つ、慎重に見極めていくだけっす」
けれど、レイの表情は、まだ、完全には晴れていませんでした。「ズボ太。一つ、確認したい。なぜ、長い枝を切って、短い枝を残すんだ? その理由が分からないと、いざというとき、迷いが出る。判断の、よりどころが欲しい」
さすが天才捜査官。ただ言われた通りにやるのではなく、その「理由」を求めてきたのです。ズボ太は、にやりと笑いました。「いい質問っすね、レイさん。それには、ボケの木ならではの、ちゃんとした理由があるんす」
タイマーの数字は、残り七分を、切っていました。ズボ太の講義は、いよいよ核心――「なぜ、そう切るのか」という、剪定のロジックへと進んでいきます。
第4章 なぜ長い枝を切り詰めるのか ~ボケの冬剪定のロジック~
① 「長い枝には、花がつきにくい」
「レイさん、なんで長い枝を切るのか。その理由を教えるっす」
ズボ太は、爆弾に絡みついた、一本の長い枝を指さしました。ぐんと勢いよく、まっすぐに伸びた枝です。
「まず、大事なことを言うっす。ボケはね、こういう長くて、勢いのいい枝には、花がつきにくいんす」
「花が、つきにくい……?」レイが、意外そうな顔をしました。「勢いのいい、元気な枝のほうが、たくさん花が咲きそうなものだが」
「そこが、ボケの面白いところっす」とズボ太。「勢いのいい長い枝は、木が『これから伸びるぞー!』って、元気いっぱいに成長してる枝なんす。そういう枝は、成長のほうにエネルギーを使っちゃうから、花芽よりも、葉芽ばっかりついて、花が咲きにくいんすよ」
② 花は「短い枝」に咲く
「じゃあ、花はどこに咲くのか。それが、さっき言った『短い枝』なんす」
ズボ太は、今度は、短くて、こぢんまりとした枝を指さしました。その枝には、ふっくら丸い花芽が、いくつも固まってついています。
「こういう、短くて、落ち着いた枝――『短枝(たんし)』って言うんすけど――こういう枝に、花芽がたくさんつくんす。木が、成長よりも、花を咲かせるほうにエネルギーを回してる証拠っす。だから、ボケの花を楽しみたければ、この短い枝を、大事に残すのが正解なんすよ」
レイは、深くうなずきました。「なるほど……長い枝は成長にエネルギーを使うから花がつきにくく、短い枝は花にエネルギーを回すから花がつきやすい。だから、短い枝を残すのか」
③ だから、長い枝は「切り詰める」
「で、ここからが、剪定のキモっす」とズボ太。
「長くて勢いのいい枝を、そのまま放っておくと、どうなると思います? その枝ばっかりが、どんどん伸びて、木の栄養を独り占めしちゃうんす。すると、木全体のバランスが崩れて、花の咲く短い枝が、どんどん減っちゃう。花の咲かない、ボサボサの木になっちゃうんすよ」
「それは、まずいな」とレイ。「では、どうする」
「だから、長い枝は、根元から二つか三つ、芽を残して、短く切り詰めるんす」とズボ太。「バッサリ短くしてやると、木は『しょうがない、こっちで花を咲かせるか』って、残した芽の近くに、花芽をつけようとするんす。長い枝を切り詰めることで、花の咲く枝を増やして、木の形も整えられる。一石二鳥っす」
④ 「信管を外す」という感覚
「つまり、こういうことっすね」とズボ太は、爆弾を見つめながら言いました。
「尖った葉芽のついた、長い枝。これが、この爆弾でいう『危険な配線』っす。これを、根元から二、三芽残して、バッサリ切り詰める。これが、『信管を外す』作業になるんす」
レイは、ハッとしました。「なるほど……犯人は、そこまで考えて、この爆弾を作ったのか。ボケの剪定の理屈を、そっくりそのまま、爆弾解除の仕掛けにしている。長い葉芽の枝を切り詰めることが、まさに信管を外す行為になっているわけだ」
「そういうことっす」とズボ太。「逆に言えば、ボケの剪定を正しく知ってれば、この爆弾は、必ず解除できる。犯人は、俺たちに、正しい剪定を要求してるんす」
⑤ 読者のあなたへ、剪定のロジック
ここで、読んでいるあなたにも、ボケの冬剪定の「理屈」を、整理してお伝えします。これを知っておくと、ただ丸暗記するのではなく、「なぜそう切るのか」が分かるので、迷わず剪定できるようになります。
ポイントは、こうです。ボケは、長くて勢いのいい枝には花がつきにくく、短い枝に花芽がたくさんつきます。ですから、剪定のときは、花芽のついた短い枝を大事に残し、葉芽のついた長い枝は、根元から二つか三つの芽を残して、短く切り詰めます。
こうすることで、木の栄養が、花の咲く枝に、うまく回るようになります。長い枝を切り詰めることは、花を減らすどころか、むしろ、花の咲く枝を増やし、来年の花を、たっぷり咲かせるための作業なのです。この理屈さえ分かれば、あなたも、迷わずボケの剪定ができるようになります。
⑥ カウントダウン、残りわずか
ズボ太の講義を、すべて聞き終えたレイは、静かに、ハサミ――正確には、爆弾解体用のニッパーを、握り直しました。
「完全に、理解した」とレイ。「丸くてふっくら、短い枝に固まった花芽は、残す。尖ってスマート、長い枝についた葉芽は、二、三芽残して切り詰める。その理由も、頭に入った。……これで、迷いはない」
「さすがっす、レイさん!」とズボ太。「あとは、実際に、一本ずつ、見極めながら切っていくだけっす。俺が見極めて、指示を出すんで、レイさんは、その通りに切ってください」
タイマーの数字は、すでに、残り五分を切っていました。無情な数字が、二人を、せかします。
「時間がない。始めよう、ズボ太」とレイ。「君の目だけが、頼りだ」
「まかせてください……! いくっすよ、レイさん!」
こうして、命がけの、爆弾解体作業――いや、ボケの剪定作業が、いよいよ、始まったのです。ズボ太の「プロの目」が、試されるときが来ました。
第5章 緊迫の解体作業 ~残せ、切れ、の連続~
① 一本目の枝、見極め開始
「よし、いくっすよレイさん。まずは、一番手前の枝からっす」
ズボ太は、爆弾に絡みついた、最初の枝に、じっと目をこらしました。額に、汗がにじみます。命がかかった、見極めです。ズボラだったズボ太の顔は、もう、いっぱしの職人のそれになっていました。
「この芽……ふっくら丸い。しかも、短い枝に、いくつも固まってついてる。……間違いない、これは花芽っす。レイさん、この枝は残してください! 絶対に、切っちゃダメっす!」
「了解した。この丸い芽の枝は、残す」レイは、ニッパーを、その枝から、そっと遠ざけました。慎重に、慎重に。一つのミスも、許されないのです。
② 「こっちの尖ったのは、切れ!」
「次、いくっす。こっちの枝を見てください」
ズボ太は、隣の、長くのびた枝を指さしました。その先には、ツンと尖った芽が、ぽつんとついています。
「これは……尖ってて、スマート。しかも、長い枝についてる。これは、葉芽っす! この長い枝は、切っていい枝っす。根元から、二、三芽残して、切り詰めてください!」
「これは、切る。二、三芽を残して、だな」レイは、ニッパーを、その長い枝の根元近くに当てました。そして、ズボ太の指示通り、芽を二つ三つ残した位置で――パチン、と、切断しました。
その瞬間、爆弾の配線の一本が、ぷつりと切れ、画面の警告ランプが、一つ、消えました。
「……解除、一つ成功だ」レイが、ほっと息をつきました。「ズボ太、君の見極めは、正しかった」
③ 息もつかせぬ、連続作業
そこからは、まさに、息もつかせぬ、連続作業でした。
「レイさん、次! これは丸い、花芽だ、残せ!」
「これは尖ってる、葉芽だ、切れ!」
「これも花芽! 短い枝に固まってる、残して!」
「この長いのは葉芽、二、三芽残して、切り詰めて!」
ズボ太が、次々と見極めて、指示を飛ばし、レイが、その通りに、慎重にニッパーを入れていきます。「残せ」「切れ」「残せ」「切れ」――二人の呼吸は、いつしか、ぴたりと合っていました。
一本、また一本と、葉芽のついた長い枝が切り詰められ、花芽のついた短い枝が残されていきます。そのたびに、爆弾の警告ランプが、一つ、また一つと、消えていきました。ズボ太の剪定の知識と、レイの解体の腕。二人のバディは、見事な連携を、見せていたのです。
④ ズボ太、自分の成長に気づく
作業を続けるうちに、ズボ太は、不思議な感覚におそわれていました。
あれほど「めんどくさい」「見分けるのだるい」と思っていた、花芽と葉芽の見極め。それが、いざ命がけでやってみると、意外なほど、はっきりと、見分けられるのです。丸い花芽と、尖った葉芽。短い枝と、長い枝。一つ一つの違いが、まるで、光って見えるようでした。
「あれ……俺、ちゃんと、見分けられてる……」ズボ太は、自分でも、驚いていました。
親方の教えは、いいかげんに聞いていたつもりでも、ちゃんと、頭のどこかに、残っていたのです。そして、命がけの現場で、その知識が、はっきりと、よみがえってきた。ズボ太は、初めて、剪定という仕事の、奥深さと、面白さを、実感していました。
⑤ 読者のあなたも、実践できます
ここで、読んでいるあなたに、お伝えしたいことがあります。
ズボ太が、命がけの現場で見極められたように、ボケの花芽と葉芽の見分けは、一度コツをつかめば、決して難しいものではありません。丸くてふっくらしているのが花芽、ツンと尖っているのが葉芽。短い枝に固まっているのが花芽、長い枝にぽつんとついているのが葉芽。この基本を頭に入れて、実際に木を目の前にして、じっくり観察してみてください。
最初は、迷うかもしれません。でも、いくつか見比べているうちに、「あ、これは丸いから花芽だ」「これは尖ってるから葉芽だ」と、だんだん、はっきり見分けられるようになります。ズボ太と同じように、あなたの目にも、きっと「職人の目」が、宿っていくはずです。
⑥ そして、最後の一本へ
「残せ」「切れ」の連続作業を続けるうちに、爆弾の警告ランプは、次々と消えていき、ついに、残すところ、あと一本の枝、あと一本の配線となりました。
「ズボ太……これで、最後だ」レイが、ごくりと、つばを飲み込みました。「この一本を、正しく処理できれば、爆弾は、完全に解除される。だが、もし間違えれば……」
「……分かってるっす」ズボ太も、緊張で、声がかすれました。
二人は、最後の一本の枝に、目を向けました。その瞬間、ズボ太の顔から、さっと、血の気が引きました。
なぜなら、その最後の枝についていた芽は――丸いようにも見えるし、尖っているようにも見える、まだ若くて、どちらとも判別のつかない、「微妙な芽」だったからです。
「……なんだよ、これ……花芽か、葉芽か、判別できねえ……!」
タイマーの数字は、残り、三分。二人の運命を分ける、究極の二択が、目の前に、突きつけられたのです。
第6章 カウントダウン残り3分 ~判別できない、最後の芽~
① 究極の二択
タイマーの数字は、残り三分。無情に、時を刻み続けています。
二人の目の前には、最後の一本の枝。そこについた芽は、丸いようにも、尖っているようにも見える、なんとも判別のつかない、微妙な形をしていました。まだ若い芽で、花芽なのか葉芽なのか、ひと目では、まったく区別がつかなかったのです。
「ズボ太、どっちだ!?」レイの声が、めずらしく、うわずっていました。「丸いようにも見えるし、尖っているようにも見える! これを切るべきか、残すべきか……間違えれば、二人とも、消し飛ぶぞ!」
ズボ太の手のひらに、じっとりと、汗がにじみました。もし、これが花芽なら、切った瞬間に爆発。もし、これが葉芽なら、残したままでは、爆弾は解除されず、やがて時間切れで爆発。どちらにしても、見極めを間違えれば、終わりなのです。
② 焦りが、判断を鈍らせる
「くそっ、どっちなんだ……丸い……いや、尖ってるか……?」
ズボ太は、必死に、芽を見つめました。けれど、見れば見るほど、分からなくなっていきます。焦りが、心臓を、締めつけます。タイマーの数字が、二分台に入りました。
「ズボ太、時間がない! 早く、判断してくれ!」レイが、せかします。
「ちょ、ちょっと待ってください……焦らせないで……!」
ズボ太は、あやうく、「えいっ、丸いほうに賭けて、残す!」と、当てずっぽうで答えそうになりました。けれど、そこで、ぐっと、思いとどまりました。「いや……待て。当てずっぽうは、ダメだ。それじゃ、ズボラだった、昔の俺と同じだ。ちゃんと、見極めるんだ……!」
ズボ太は、いったん、大きく深呼吸をしました。そして、形だけでなく、もっと別の手がかりを、探すことにしたのです。
③ 「芽の、位置を見るんだ」
「待てよ……形が分からないなら、別のところを見ればいい」ズボ太は、はっと、あることに気づきました。「芽の『位置』だ! 芽が、枝のどこについているかを、見てくれ!」
「位置……?」レイが、聞き返します。
「そうっす!」とズボ太の声に、力が戻りました。「ボケの花芽はね、古い枝の『節(ふし)』に、抱きつくようにして、つくことが多いんす。枝のところどころにある、ふくらんだ節の部分に、ぴったり寄りそうように、ついてる。それが、花芽の特徴っす」
ズボ太は、最後の芽の位置を、じっと観察しました。「でも、この芽は……節に抱きついてない。枝の、いちばん先っぽに、ポツンと、一つだけ、ついてる……」
④ 「それは、葉芽だ!」
ズボ太の頭の中で、これまでの知識が、一気につながりました。
丸くてふっくらした花芽は、短い枝に、固まって、節に抱きつくようについていました。けれど、この最後の芽は、枝の先端に、ぽつんと、たった一つだけ、ついている。花芽が固まってつく場所とは、明らかに、違うのです。
「先端に、ポツンと一つだけ……この付き方は、勢いのある枝が、これから伸びようとしている証拠っす。ってことは……」
ズボ太は、確信をもって、叫びました。「それは、葉芽だ! レイさん、その枝を、切ってくれーーー!!」
⑤ 運命の、一切り
ズボ太の、迷いのない声。それを聞いたレイは、一瞬も、ためらいませんでした。
「――信じるぞ、ズボ太!」
レイは、最後の枝に、ニッパーを当てると、ズボ太を信じて、迷わず、力を込めました。
カチリ。
最後の配線が、切れました。二人は、思わず、ぎゅっと目をつぶりました。爆発するのか、しないのか。永遠にも思える、一瞬の、静寂――。
そして。
爆弾のタイマーが、「0:01」の数字で、ぴたりと、止まったのです。
警告ランプが、すべて消え、あたりに、静けさが戻ってきました。
⑥ 解除、成功
「……解除、された……」レイが、信じられない、というように、つぶやきました。「爆弾は、完全に、停止した。ズボ太……やったぞ。私たちは、助かったんだ」
その言葉を聞いた瞬間、ズボ太は、へなへなと、その場にへたり込みました。全身から、どっと力が抜けていきます。
「た……助かった……ほんとに、助かったんすね……」
ズボ太の目から、じわりと、涙がこぼれました。あれほど「めんどくさい」と逃げていた、花芽と葉芽の見極め。その知識が、そして、最後まであきらめずに「芽の位置」まで観察した、職人としての粘りが、二人の命を、救ったのです。
レイが、へたり込んだズボ太に、そっと、手をさしのべました。その顔には、いつものクールな表情が、少しだけ、やわらいで、笑みが浮かんでいました。
「見事な、目利きだったな……相棒」
ズボ太は、その手を握り返しながら、泣き笑いの顔で、答えました。「レイさんこそ……最後、俺のこと、信じてくれて、ありがとうっす……」
命がけの、ボケの剪定。それは、ズボラな新人だったズボ太が、本物の「職人の目」を手に入れた、忘れられない一日と、なったのです。
第7章 日常への帰還 ~爆発に比べたら、剪定なんて~
① 気がつけば、いつもの庭
「ズボ太! おい、ズボ太! 何をぼーっとしとるんだ!」
聞き慣れた声に、ズボ太は、はっと、われに返りました。
目をこすって、あたりを見回すと、そこは、あの恐ろしい植物園でも、爆弾の前でもありませんでした。見なれた、現代の親方の庭。目の前には、剪定しかけの、ボケの木が、静かに立っています。
「あれ……俺……帰ってきた、のか……?」
ズボ太は、きょとんとしました。あの、拉致も、爆弾も、天才捜査官レイとの、命がけの解体作業も――もしかして、全部、夢だったのでしょうか。それとも、本当に、あったことなのでしょうか。ズボ太自身にも、分かりませんでした。
② 手に残った、確かな感覚
けれど、一つだけ、はっきりしていることが、ありました。
ズボ太が、目の前のボケの木に向き直ると――枝についた芽が、まるで、色分けされているかのように、はっきりと、見分けられたのです。
「これは……丸くてふっくら、短い枝に固まってる。花芽だ、残す」
「こっちは、尖ってスマート、長い枝についてる。葉芽だ、二、三芽残して、切り詰める」
ズボ太の目には、いつの間にか、花芽と葉芽を完璧に見極める、「職人の目」が、宿っていたのです。夢か、現実かは、分かりません。けれど、あの命がけの経験は、確かに、ズボ太の中に、生きていました。
③ 迷いなく、サクサクと
ズボ太は、ハサミを握り直すと、ボケの木に向かって、作業を始めました。
以前のズボ太なら、「めんどくせえ」と、いいかげんに切っていたはずです。けれど、今のズボ太は、違いました。一つ一つの芽を、すばやく、正確に見極め、迷いなく、ハサミを入れていきます。
「丸いの残す、尖ったの切る、これも花芽だから残す、この長いのは切り詰める……」
まるで、ベテランの職人のように、サクサクと、作業が進んでいきます。花芽は、一つも傷つけず、きれいに残し、葉芽のついた長い枝は、ちょうどいい位置で、切り詰めていく。その手つきは、もう、あの、ズボラな新人のものでは、ありませんでした。
あっという間に、ボケの木は、来年の春、たっぷりと花を咲かせる、美しい姿に、整えられていったのです。
④ 親方も、びっくり
その様子を、後ろで見ていた親方が、目を丸くしました。
「ほう……? ズボ太、お前……」親方は、ズボ太の仕上げたボケの木を、じっくりと確認しました。花芽は、一つも切られておらず、葉芽のついた長い枝は、見事に切り詰められています。「なんだこりゃ。ズボ太のくせに、完璧な見極めじゃないか! いつの間に、こんな腕を上げたんだ!」
いつもは、口うるさく小言ばかりの親方が、めずらしく、ズボ太を、手放しで褒めました。「花芽と葉芽の見分けは、職人でも、慣れるまで、けっこう難しいもんだ。それを、こんなに迷いなく……いったい、何があったんだ?」
⑤ 遠い目で、つぶやくズボ太
親方に褒められて、ズボ太は、ふと、手を止めました。そして、遠くを見つめるような目で、しみじみと、つぶやいたのです。
「いやあ……間違えたら爆発する環境に比べたら、庭の剪定なんて、楽勝っすよ……」
その言葉に、親方は、ぽかんと、口を開けました。「は……? 爆発……? 何言ってんだ、こいつ?」
親方には、ズボ太の言葉の意味が、まったく分かりませんでした。爆弾だの、爆発だの、いったい何のことやら。首を、かしげるばかりです。
けれど、ズボ太の中には、あの命がけの一日の記憶が、そして、レイという相棒との、忘れられない絆が、確かに、刻まれていました。夢だったのか、現実だったのか。それは、ズボ太にしか、分かりません。
⑥ ズボ太、一人前への一歩
ズボ太は、もう一度、ボケの木に向き直り、残りの剪定を、続けました。
その顔は、どこか、誇らしげでした。あれほど「めんどくさい」と逃げていた、花芽と葉芽の見極め。それが、今では、ズボ太の、いちばんの得意技になっていたのです。
「花芽を残して、葉芽の枝を切り詰める。……これができれば、来年、この木は、いっぱい花を咲かせる。よし、完ぺきだ」
ズボラな新人だったズボ太が、命がけの経験を経て、少しだけ、一人前の職人に近づいた瞬間でした。庭には、来年の春に向けて、きれいに剪定されたボケの木が、静かに、けれど、誇らしげに、立っていました。
そして、その枝に残された、ふっくら丸い花芽たちは、まるで、ズボ太の成長を祝うかのように、春の訪れを、静かに、待っているのでした。
――おしまい。
まとめ:今回の物語に登場した剪定ノウハウ
物語を楽しんでいただけたでしょうか。ここからは、ズボ太とレイが教えてくれた、ボケの剪定ノウハウを、もう一度わかりやすく整理してお伝えします。物語でイメージをつかんだうえで読むと、ぐっと頭に入りやすくなるはずです。
① 花芽は「ふっくら丸い」
ボケの花芽は、春にお花になる芽です。中にお花の赤ちゃんが詰まっているので、ふっくらと丸みを帯びて、太って見えます。剪定のときは、この丸い花芽を、切らずに残します。花芽を切り落とすと、来年、そこに花が咲かなくなってしまいます。
② 葉芽は「ツンと尖っている」
ボケの葉芽は、春に葉っぱになる芽です。花芽のようにふくらまないので、細く、ツンと尖った、スマートな形をしています。剪定のときは、この葉芽のついた余計な枝を、切り詰めていきます。丸いのが花芽、尖っているのが葉芽、と覚えましょう。
③ 花芽は「短い枝」に固まってつく
形だけでなく、芽の付き方も、見分けのヒントになります。ボケの花芽は、短い枝に、複数固まってつくことが多いです。また、古い枝の節に、抱きつくようにつくのも特徴です。丸い芽が、短い枝に、いくつも集まっていたら、それは花芽の可能性が高いです。
④ 長い枝には花がつきにくい
ボケは、長くて勢いのいい枝には、花がつきにくい性質があります。勢いのいい枝は、成長にエネルギーを使うため、葉芽ばかりがつき、花が咲きにくいのです。反対に、短い枝は、花にエネルギーを回すため、花芽がたくさんつきます。
⑤ 長い枝は「二、三芽残して切り詰める」
葉芽のついた長い枝は、そのままにせず、根元から二つか三つの芽を残して、短く切り詰めます。こうすると、木の栄養が花の咲く枝に回り、切り詰めた近くに、新たに花芽がつきやすくなります。長い枝を切り詰めることは、花を減らすのではなく、来年の花を増やすための作業です。
⑥ ボケの剪定時期は「冬」
ボケの剪定は、葉が落ちた冬の時期、だいたい十一月から二月ごろに行います。葉が落ちて、枝ぶりや芽がよく見える時期だからこそ、花芽と葉芽を、じっくり見分けながら、剪定することができます。
物語のズボ太のように、最初は「見分けるのめんどくさい」と思うかもしれません。けれど、丸い花芽と、尖った葉芽。短い枝と、長い枝。この違いを覚えて、実際に木をじっくり観察すれば、必ず見分けられるようになります。ぜひ、あなたのボケの木を、来年の春、花いっぱいに咲かせてあげてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



