シカは若木や若葉を食べる草食系の動物ですが、近年山から人里に下りてきて植樹した庭に植えた若葉や幼木を食い荒らすことが問題となっています。
シカが増えた原因はいったい何だろう?
シカを追い払う対策はあるか?
シカは人間から見たら悪さをしているように思えるかもしれないが、シカだって生きるのに必死です。
自分たちに降りかかる危険とのリスクを負ってまでも、山に食べ物がないことで人里まで降りてきて、食べ物を探しに来ているくらいですから。
そんなシカを人間は迷惑だと思っているに違いないでしょうね。
だから、シカを追い払おうとしているんです。
その対策のひとつとして、山と人が住む境界に、柵や鉄板、ネットなどでバリケードを施していることもあります。
ある程度の効果は期待できますが、一部が壊れるとそこから侵入してくることがあり、さらなる対策が必要です。でもまたバリケードを破って侵入してくるんですよね。
シカの頭数が増えていることから、数を調節するために駆除作業をすることもあります。
駆除されたシカはジビエや狩猟をした人が食べることが多いようです。
確かにシカの数は増え、山に近い民家の庭の植生を食い荒らしたり、酷い時は街まで出てきて横断歩道を渡ることもあります。
なんでシカは増えたのか?
シカが山から下りてくる原因として、山が老齢化して昔植えた樹木が大木となって、低木や幼木が育つ環境がなくなったことがあげられます。
昔ほど山の木を伐採したり薪として使う事がなくなり、木を間引いたり整理することもなくなったことから、人が昔植えた木が大木になってそれが密集してきたことで、低木や幼木が育たなくなることにつながります。
このことはシカが食べる葉っぱがなくなり住む場所が失われていることに繋がります。
だから、食べ物がある人里に降りてきて葉っぱなどを食しにくることが多くなったことで、シカが増えたように見えるのです。
決してシカが悪いわけではなく、山の生態系自体が変わりつつあることが問題なのです。
狩猟をする人の数が減ったこともシカが増えている原因の一つと言われます。昔は狩猟をすることで頭数の平均化が確保されていたのですが、高齢化などにより狩猟人口が減り、シカが増えることに繋がりました。
シカによる森林や生態系への影響
シカが食べる葉っぱなどがなくなると、その次に食べるものは木の樹皮です。
樹皮を食べることはシカにとって生きるために必要な事なのでしょうが、樹皮をはがすことで問題が起こります。
樹皮を丸丸はがすことで形成層が侵され木は枯れます。
そのような枯れ木が増え、土壌を守っていた根が腐ることで土砂崩落へとつながることがあります。
シカが自然災害を引き起こすなどとは考えられないかもしれませんが、1990年ころのシカの頭数が30万頭だったものが、2015年ころにはシカの頭数は270万頭にもなっていると言われています。現在はもっと増えているかもしれませんね。
約10倍近く増えたシカの数が樹木を枯らしたら、自然災害が引き起こされることは考えられませんか?
しかし、現実的にはこの数が同じ場所に生息することは考えにくく、シカの頭数が固まって山全体の樹木を枯らすほどの被害を与えれば、土砂崩落の可能性はあるかもしれないですね。
いずれ、山の生態系は変わりつつあり、自然への悪影響にもつながるかもしれませんね。