すかし剪定は基本的な作業ではありますが、庭木を管理する上で非常に役立ちます。ここではすかし剪定についてお伝えします。
庭木の管理は非常に面倒で、木が毎年大きくならないようにしながら樹形も整え、しかも枯れないようにするためには少し特別な作業をしないといけません。
その特別に見えるかもしれない作業である「すかし剪定」は、庭木を管理する上では基本的なことなのでぜひ覚えて下さい。
では、すかし剪定とはいったいどんな方法で、いつ行えばよいのでしょう。
すかし剪定ってなに?
すかし剪定というのは、枝葉が伸びて混み過ぎている枝を取り除いたり、樹形を整えながら枝葉を間引くことで、風通しや日照を良くして、枯れや衰弱、病害虫の発生を防ぐことを目的としている作業です。
枝葉が伸びて混み過ぎていると日が当たりにくいので光合成を起こしにくくなり樹勢に響くので、枝を取り除いてやります。
風通しが悪く樹冠内部が密になると病害虫にとって良い住み家となるので、病害虫は発生しやすくなり、枝葉が枯れやすい状態になります。
枯れ枝や枯れ葉をそのままにしておいても自然に落ちることはなく、枝葉がだんだんと混みだしてきて、樹勢が悪くなるだけでなく、ここにも病害虫が発生しやすくなります。
これらを除去して生育状況を良くする作業のひとつが、すかし剪定になります。
すかし剪定はこのような状況を良い方向に導く作業なのです。
解説された時は理解できたとしても、いざ実際に枝葉が混みあい樹形が乱れている庭木を目の前にすると、どこをどのように切っていったらよいのかわからなくなるかもしれませんね。
それではまず、すかし剪定の手順や方法などをお伝えします。
すかし剪定の方法を教えます!
混み過ぎている木の樹形内部は光が届かないために薄暗かったり、樹形内部から上を見上げるとお空が見えなかったりします。
すかし剪定での最終的な目標は、お空が見えるくらいに仕上げて、樹形内部にも日が当たるくらいにしてあげましょう。
すかし剪定の手順として
はじめに、樹形を乱すように強く伸びている徒長枝を、枝元から切り取っておいた方がよいです。この徒長枝は、周りの枝よりも太くて長く伸び、樹種によっては周りの枝と色が違うので、ひと目見ただけで分かると思います。
基本的に樹形(外側の輪郭)は、伸びた枝葉の分だけ切り揃える感じにして、毎年同じ程度の大きさの樹冠になるように仕上げた方がよいです。
↓これは極端ですが、樹形は整えた方が良いと思わせる例に違いありません。
外周が終わったら、樹冠内部を覗いてみましょう。
まず気にしてほしいのは、枯れ枝や枯れ葉です。
枯れ葉は茶色くなっているなど、ほかの葉と色が違うのでわかると思いますが、枯れ枝はわかりにくいかもしれません。その時は、手で枯れていそうな枝を握ってみたり曲げて折ってみたりするとよいです。細かい枝であればバリバリと崩れるように細かく落ちて行けば枯れ枝です。
はっきりとわかる枯れ枝であればハサミやノコギリを使って切り取ってやりましょう。
枯れ枝や不要な枝を切り取るだけで、混み具合がスッキリする場合が多いです。
幹から出ている新芽(胴ぶき)や根元から伸びる新芽(ひこばえ)をすべて切り取ります。
そして樹形内部でほかの枝と伸びる向きが違う枝(逆さ枝や立ち枝)や、重なり合っているなど不要な枝を枝元から切り取ります。
これらをすべて終えると、お空が見えるくらいに仕上げることができて、樹形内部にも日を当てることができていることでしょう。
↓樹種によっては(イトヒバ)、こんな感じにもなります。
すかし剪定を行なう時期はいつがよいのか?
すかし剪定はいつ行なうのがよいか気になると思います。
すかし剪定を行なう時期には、どの程度のすかしを行なうかで決まります。
というのは、太い枝を切らなければいけない場合には、庭木が枯れないようにするためには、剪定時期が関係してくるからです。
落葉樹と常緑樹でも時期に違いがあります。
それでは、すかし剪定はいつ行なったらよいのか「落葉樹」と「常緑樹」で解説します。
「落葉樹」のすかし剪定を行なう時期はいつがよいか
「落葉樹」のすかし剪定をするのに一番適している時期は、葉っぱが落ちた後の休眠期である「冬期」がベストです。
この時期であれば、葉っぱが落ちているので、樹形内部の様子が丸わかりです。
どの枝が混んでいるのか、どの枝が絡み合っているのか、どの枝が樹勢を弱らせるほど伸びているのか、あらゆる細部にまで手が届きますので、この時期を逃したら葉っぱが生えてきてからのすかし剪定は苦労すること間違いなしです。
この時期に作業を終えておくと、夏場の作業は伸びた枝だけを切りそろえたり、軽くすかす程度の作業でよくなります。
冬期であれば樹勢に影響することなく、少々太い枝でも切り取ることができます。
落葉樹の冬期のすかし剪定を逃した場合ですが、
葉っぱが生えている時期に行なう作業は、内部が見えにくいので苦労します。
モミジとかバンバン伸びる木は最悪で、モミジは樹形が整うと本当は美しく見える木なのですが、夏の時期に剪定を行なうと荒く剪定してしまうことになるので、その美しさは見事に壊れます。
庭師であってもモミジの剪定は難しいと言われます。私もモミジの剪定は面倒で嫌いです。
なので、この記事を読んでいるすかし剪定が苦手なあなたは、落葉樹のすかし剪定は冬期に行なっておいた方がよいです。
夏場は伸びた分だけ切り揃えておき、簡易的にすかす剪定をしておくのが良く、そして次の冬期にこそ本格的な「すかし剪定」を行なうことをおすすめします。
「常緑樹」のすかし剪定を行なう時期はいつがよいか
「常緑樹」のすかし剪定をするのに一番適している時期ですが、地域によってもベストな時期はありますが、一旦葉っぱが伸び切ったころの、6月から8月頃がベストかと思います。
冬期に剪定自体を行なってしまうと枯れる可能性がありますので、決して冬期ではありません。
冬期に向かい寒くなる頃の晩秋もすかし剪定は避けた方がよいです。
ただし、枝葉を切らずに枯れを落とす程度であれば良いかもしれません。
夏の剪定を怠って年数が経つと枝葉の密度が濃くなり、そこに雪が積もった時に、枝は簡単に折れることになります。
すかし剪定を行なわないとどうなるか?
すかし剪定を行なわないとどうなるのか、その一例を画像で載せていきます。
これはサクラですが、病害虫が発生しやすい状況にあり「テング巣病」にかかっております。
赤丸のところで「テング巣病」が発生してます。
何かの巣でも作られているように密集して枝が生える感じで、周りの枝と生え方が違うのがわかるかと思います。
これは伝染病なので、枝元(赤線)から切り取り取って、焼却処分してやらないといけません。
他の木にも言えることですが、すかし剪定を行なわないでいると、枝葉が伸びると樹形内部まで日が届かなくなるので光合成を起こしにくくなり樹勢に響きます。
そして、樹冠内部が密になるほど風通しが悪くなるために病害虫が発生しやすくなり、枝葉も枯れやすい状態になります。
枝葉が伸びて混み過ぎている枝を取り除いたり、樹形を整えながら枝葉を間引くことで、風通しや日照を良くして、枯れや衰弱、病害虫の発生を防ぐためには、すかし剪定はとても重要な作業なのです。
すかし剪定のまとめ
すかし剪定とは
すかし剪定は、枝葉が伸びて混み過ぎている枝を取り除いたり、樹形を整えながら枝葉を間引く作業のこと。
これを行なうと、風通しや日照を良くなるので、枯れや衰弱、病害虫の発生を防ぐ可能性が高まります。
すかし剪定の手順
1.樹形を乱す強く伸びている徒長枝をはじめに枝元から切り取る
2.樹形の輪郭は、伸びた枝葉の分だけ切り揃えて、毎年同じ大きさの樹冠に仕上げる
3.枯れ枝や枯れ葉を全て取り除く
すかし剪定を行なう時期
「落葉樹」のすかし剪定を行なう時期は、葉っぱが落ちた「冬期」がベスト
「常緑樹」のすかし剪定を行なう時期は、一旦、枝葉が伸び切ったころの「6月から8月頃」がベスト