サルスベリは幹肌から枝ぶり、花まで庭木として一年中楽しむことができますが、けっこう病害虫がつきやすい木です。
サルスベリは今年伸びる枝の先に花が咲くので、剪定時期は冬期に、遅くとも新芽が出る前の、だいたい12月から4月に入るあたりまでには済ませておきたいですね。
その理由の一つとして、時期に混んでいる枝や交わっている枝、枯れ枝の除去等、剪定を済ませておくことで、病害虫がつきにくくなるからです。
今年病害虫が発生していた場合、そのまま病原菌や害虫が潜んでおり来年も発生する可能性が高いので、ぜひとも手入れをしていただきたいです。
サルスベリ(百日紅)は丈夫な樹木ですが、いくつかの病害虫が発生することがあります。
以下に主なものを挙げます。
サルスベリに発生する病気
「うどんこ病」の発生
サルスベリはうどんこ病に弱く、夏の後半には葉を落としてしまいます。
うどんこ病とは、子嚢菌のウドンコカビ科の純活物寄生菌による植物病害の総称で、新芽、新葉、茎、つぼみなどの表面が白い粉をまぶしたようになり、その部分が変形したり枯れたりします。
風通しが悪いと、梅雨頃から開花期にかけてうどんこ病が発生しやすくなります。
■症状: 葉や枝、花に白い粉をふいたようなカビが発生し光合成が妨げられ生育が悪くなります。
■原因: 真菌(カビ)による病気。湿度が高く、風通しが悪い環境で発生しやすいです。
■対策: 風通しを良くするために剪定を行い、発生初期に薬剤を散布することで拡大を防げます。6月ごろに殺菌剤と殺虫剤を一緒にすると、きれいな花と葉でいられます。
■うどんこ病の薬剤の例:うどんこ病には、トリフミン水和剤3000倍・マネージ乳剤1000倍・モレスタン水和剤2000倍、いずれかの殺菌剤を発生初期から2週間に一度、2~3回散布します。
「すす病」の発生
サルスベリは「すす病」も発生しやすいです。
アブラムシやカイガラムシが多発すると、すす病が発生する原因となるので殺虫剤で防除します。
すす病には、ほこりやアブラムシ・カイガラムシなどの昆虫の排泄物から出る有機物を栄養源として繁殖するものと、葉の組織の中にも入って直接葉の細胞から栄養をとるものがあります。
■サルスベリの「すす病」対策:すす病の消毒は冬期にマシン油乳剤を散布して「カイガラムシ」や「アブラムシ」を駆除します。また「アブラムシ」・「カイガラムシ」の発生時期にも殺虫剤を散布するといいです。
■すす病の薬剤の例:
「アブラムシ類」:ベニカX乳剤500倍液、サンヨール液剤AL原液、オルトランスプレー
「カイガラムシ類」:サンヨール液剤AL原液、オルトランスプレー
炭疽病の発生
■症状: 葉や花に黒褐色の斑点ができ、進行すると枯れる。
■原因: 真菌が原因で、高温多湿の環境で発生しやすい。
■対策: 落ち葉や枯れ枝を取り除き、薬剤を使用する。
サルスベリに発生する害虫
アブラムシ
症状: 新芽や葉の裏に集まり、樹液を吸います。すす病を引き起こすこともあります。
対策: 見つけ次第捕殺したり殺虫剤を使用します。
カイガラムシ
症状: 幹や枝に付着して樹液を吸います。排泄物がすす病の原因となり幹枝が真黒くなります。
対策: 剪定で密集を防ぐようにする。また、ブラシ等で直接こすり落としたりするのがよいです。または専用の薬剤を使用します。
ハダニ
症状: 葉に小さな白い斑点が現れ、重症になると葉が黄色くなって落ちます。
対策: 乾燥を防ぎ、葉水を行います。薬剤も有効です。
ゾウムシ類(ネキリムシ)
症状: 幼虫が根や幹の内部を食害し、木を弱らせます。
対策: 根元周辺を確認し、被害が軽度であれば駆除します。重症の場合は伐採が必要なこともあります。
サルスベリに発生する病害虫の予防と対策のポイント
枝が密集しすぎないように剪定を行い、風通しを良くするのがよいです。
適切な環境管理: 過湿や乾燥を避け、健康な成育環境を維持します。
定期的に観察: 病害虫は早期発見が重要です。特に新芽や葉の裏を確認するるとよいです。
薬剤の使用: 必要に応じて殺虫剤や殺菌剤を使用します。ただし、指示された濃度や頻度を守ってください。
これらを実施することで、サルスベリを健康に保つことができます。