はじめに:サルスベリのどこを切ればいいのか図で解説
サルスベリはすす病などの病気にかからない限り放っておいても毎年花を咲かせてくれます。なので、サルスベリは育てやすいだけでなく花が咲いている期間が長いので人気があります。
ただ、毎年剪定を行って整理してあげないと、病害虫が発生するだけでなく、樹勢に影響が出て花が咲きにくくなる可能性があります。
「どこを切ればいいのかわからない」「コブ仕立てと自然樹形の違いがわからない」「すす病が出てきて困っている」このページでは、サルスベリを剪定して整理する時に実際にどこを切ったらよいのか、2種類の剪定方法の特徴、すす病・カイガラムシ対策、失敗リカバリーまで、サルスベリに関するすべてをお伝えします。
サルスベリの特徴:春から伸びた枝の先に花が咲く「当年性枝タイプ」
■サルスベリの最重要知識「その年に伸びた枝の先に花が咲く」
サルスベリは当年性枝タイプなので、春から伸びた枝に花が咲きます。 これは、しっかりと理解しておいてください。
これが後述する「人工樹形」と「自然樹形」の剪定方法の根拠になる重要な知識です。
■サルスベリが育てやすく人気が高い理由
サルスベリは7月頃から10月頃まで、およそ100日間にわたって花を咲かせ続けることから別名「百日紅(ひゃくじつこう)」とも呼ばれます。夏の暑い時期に花が少なくなる庭に、長期間鮮やかな花(赤・ピンク・白・紫)を提供してくれるため、シンボルツリーや庭の主役として人気があります。
■放任しても花は咲くが、剪定しないと病害虫が増える
サルスベリはすす病などの病気にかからない限り放っておいても毎年花を咲かせてくれます。ただし毎年剪定を行って整理してあげないと、病害虫が発生するだけでなく、樹勢に影響が出て花が咲きにくくなる可能性があります。
■「花をたくさん咲かせたいなら、咲き終わるまで手を出してはいけない」
春から伸びた枝に花が咲くことから、花をたくさん咲かせたいという場合には、花が咲き終わるまで基本的に一切手を出してはいけないことになりますので気をつけてください。
ただし枝数が増えて夏に剪定をしたくなることがあるかもしれません。花は枝先に近い所に咲く習性がありますので、そのような場合には枝元から間引くように切って整理するとよいです。
サルスベリの剪定時期:花が終わり葉が落ちた後から4月頃まで
■剪定適期:葉が落ちた後~翌年4月頃
通常行う剪定時期は、花が咲き終わって葉っぱが落ちた後から次の年の新芽が伸びる前の3月か4月頃までに行うとよいです。
この期間に剪定することで、春から伸びる新しい枝の先にしっかり花芽がつき、花が咲いてくれます。
■夏の緊急剪定が必要な場合の対処法
どうしても夏に枝が増えすぎて整理したい場合は、花は枝先に近い所に咲く習性を意識し、枝元から間引くように切って整理します。枝先を切ると花芽を切ってしまう可能性があるため、枝の根元から抜く「間引き剪定」にとどめてください。
サルスベリの剪定方法:「人工樹形」と「自然樹形」2種類を使い分ける
■サルスベリには2種類の剪定方法がある
サルスベリは、仕上げる樹形によって「人工的な樹形」と「自然的な樹形」の、2種類の剪定方法があります。どちらを選ぶかは好みによって決めることができます。
■【人工樹形(コブ仕立て)】毎年同じ場所で切るシンプルな方法
■人工的なサルスベリの樹形とは何か
人工的なサルスベリの樹形は、太い枝の終点から毎年伸びる枝を、毎年同じ場所で切ることになります。
剪定する期間が長くなると、枝の切り口が密集した終点部分はコブ状になって、人間の握りこぶしのようになります。

サルスベリの樹勢がこの切り口の終点部分に集まるので、枝の伸び方はコブ状になった部分から一斉に生えます。

■人工樹形(コブ仕立て)はどこを切ればいいのか
人工的なサルスベリの樹形にした場合は、コブになるところが最高地点となって、ある程度のところで大きさを決めることができ、その高さのところで剪定を行うようになります。
人工的なサルスベリは、毎回このコブ状になるところで枝元からすっかり切れば良いです。


サルスベリの樹勢がこの切り口の終点部分に集まるので、この部分から出る枝は太くなる傾向があります。
剪定作業自体は、毎年同じコブのところから枝が出て同じところを切るので何も考えなくてもよいので楽です。
■人工樹形(コブ仕立て)のメリットとデメリット
メリットは「毎年同じ場所で切るだけ」というシンプルさです。コブができることで次回の剪定場所が一目瞭然になります。また樹勢がコブに集中するため、翌年は太く勢いのよい枝が伸びてきます。
デメリットは、コブが年々大きくなっていくことと、見た目が人工的になることです。自然な樹形の美しさを好む方には向かない仕立て方です。
■【自然樹形】枝を選んで間引くナチュラルな仕立て方
■自然的なサルスベリの樹形とは何か
サルスベリの剪定をしないと自然樹形になりやすいです。または、剪定時に枝を選べば、自然樹形にすることもできます。この自然樹形にする場合は、コブになることはないです。
自然的なサルスベリの樹形にした場合は、樹高がだんだんと高くなることが考えられます。
■自然樹形はどこを切ればいいのか
自然的なサルスベリにするには、枝を選んで剪定しなければいけないので、不慣れな方には難しく感じるかもしれません。
まずは枯れている枝を整理して、ぶつかり合っている枝を選んで間引きます。花が咲き終わった所が残っていたら切り取っておいた方がよいです。

■自然樹形のメリットとデメリット
メリットは、自然な美しい樹形が保てることです。コブができないため、見た目がナチュラルで庭に馴染みやすいです。
デメリットは、「どの枝を選んで切るか」の判断が必要なため、初心者には難しく感じることがあります。また樹高がだんだん高くなりやすいため、定期的な高さの管理が必要になります。
「人工樹形」vs「自然樹形」実際に1年後を検証した結果
■実験内容:1本のサルスベリで両方の剪定を試みた
我が家の小さなサルスベリ1本の木で、「人工的な剪定」と「自然的な剪定」でどのような花の咲き方の違いが生まれるのか検証しました。

手前半分をコブができるような強剪定を行い、奥を自然樹形の剪定に形作り、今回の2種類の作業によって花が咲いた時にどのようになるのか調査しました。

■1年後の結果:枝が伸びた先に花が咲いた
枝が伸びた先に花が咲きました。


■検証結果:コブ仕立ては翌年に勢いの良い枝が出る
今回の2種類の作業によって花が咲いた時にどのようになるのか試してみましたが、結局同じように枝が伸びてよくわからなくなりました。
かえって、コブができるように太い部分を残して細い枝を全て剪定する方法にすると、翌年は勢いのよい枝が生えてくるようです。自然樹形のように枝を残してやると、細い枝しか伸びてこない可能性が高くなるようです。
サルスベリの剪定方法は、好みによって自然樹形にするか人工的に太い枝を残して切るか、2種類のどちらかの剪定を選べばよいという事です。
■【忙しい方向け】15分でできるズボラ流サルスベリ管理
完璧な管理ができなくても、これだけ守ってください。葉が落ちた11月~翌4月の間に、コブの部分(または枝の分岐点)で今年伸びた枝を切ります。毎年同じ場所で切ることを習慣にします。枝を中途半端に残さず、根元からすっきり切ります。この3点だけで「すす病が発生する」「花が咲かなくなる」という最悪の問題を防げます。
失敗した時のリカバリー:「やってしまった!」時の対処法
■コブから太い枝ばかり出てきて整理できない場合
コブ仕立てにして強剪定した後、翌年に勢いのよい太い枝が大量に出てきた場合、不要な枝は枝元から切り取ってください。コブ仕立ての場合は樹勢がコブに集中するため、太い枝が多数出てくることがありますが、これは自然な反応です。次の剪定適期(11月~4月)に改めて整理することで対処できます。
■自然樹形にしたら樹高が高くなりすぎた場合
自然樹形にしていたら予想以上に樹高が高くなってしまった場合、樹高を抑えたい場合はコブ仕立てに切り替えることをおすすめします。太い枝の適切な高さの場所で切り戻し、そこからのコブ仕立てに変えることで、以後は同じ高さをキープしやすくなります。
■夏に強剪定してしまった場合
花が咲いている夏に誤って強剪定してしまった場合、その年の花はなくなってしまいますが木が枯れるわけではありません。これ以上の追加剪定は控えて、来年の11月~4月に改めて正しい剪定を行うことをおすすめします。
病害虫対策:サルスベリがすす病にならないための対策
■サルスベリの最大の敵・すす病の仕組み
サルスベリは放っておくと枝葉が密集してきて、新梢全体が煤煙をかぶったような状態となることがあります。これは、樹形の内部が風通しが悪くなって病害虫が発生しやすい状況になることで起こります。
特にすす病は、カイガラムシやアブラムシがサルスベリに寄生して、これらの排泄物によってすす菌が培養されて発生します。
すす病が発生すると樹勢が悪くなるだけでなく、新梢に影響が出ることで花が咲かなくなる可能性もあります。
■カイガラムシの駆除方法
すす病の原因であるカイガラムシを見つけた場合には、竹べらのようなもので、そぎ落とすのが確実です。その数が多い場合には、スミチオン乳剤の1,000倍液を散布すると良いです。
本当はカイガラムシが発生する前に樹形の内部を枝葉を間引いて整理し、風通しを良くする剪定をしておく必要があるのです。
■アブラムシの駆除方法
春の新梢にアブラムシが群がることがあります。スミチオン乳剤1,000~1,500倍液を散布して駆除します。サルスベリにアリが来ている場合、アリがアブラムシの甘露を目当てにしているケースが多いため、アリをよく見かけたらアブラムシの存在を疑ってください。
病害虫共通の予防策: 11月~4月の剪定で枝葉の密度を適切に保ち、特に内部の風通しを確保することが最大の予防です。
おすすめの道具:プロが実際に使うおの義の道具と選び方
■おの義の剪定ばさみ(コブ仕立ての切り戻しに)
サルスベリの管理で最もよく使う道具が剪定ばさみです。コブ仕立ての際に今年伸びた枝を切り取る作業・枯れ枝の整理・間引き剪定まで活躍します。
おの義(おのよし)の剪定ばさみは刃の切れ味・耐久性ともに優れており、現場での長年の使用に耐えます。切れ味の良い刃で切ることで枝の断面がきれいになり、病原菌が入りにくくなります。
お手入れ: 使用後は刃に付いた樹液をウエスで拭き取り、薄く油を塗ります。おの義は研ぎ直しサービスにも対応していますので、長く使い続けることができます。
■剪定ノコギリ(太い枝・コブの切り直しに)
太いコブの部分を切り直す際や、太い枝を整理する際にはノコギリが必要です。折りたたみ式の剪定ノコギリがコンパクトで持ち運びやすくおすすめです。
ゴミの処分とマナー:後片付けと近所への配慮
■剪定ゴミの処分
サルスベリの剪定で出る枝葉は自治体の燃えるゴミに出せることが多いですが、量・袋の指定・長さの制限は自治体によって異なります。事前に確認してください。
■ご近所への配慮
自然樹形で育てているサルスベリは樹高がどんどん高くなります。お隣の敷地に越境していないか定期的に確認して、適切な剪定で対処してください。特にサルスベリはひこばえが出やすいため、根元付近にも注意が必要です。
プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安
樹高が3mを超えている場合: 3mを超えて高所での作業が必要な場合は転落リスクがあります。専門業者への依頼をおすすめします。
すす病が木全体に広がっている場合: 薬剤散布だけでは対処が難しいケースもあります。専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問Q&A
Q. コブ仕立てと自然樹形ではどちらが花がたくさん咲きますか?
A. コブ仕立て(人工樹形)の方が翌年に勢いのよい枝が多数出てくるため、全体的に花つきが良くなりやすいです。自然樹形は細い枝が伸びる傾向があるため、花が小さめになることがあります。
Q. コブが大きくなりすぎてしまいました。どうすればいいですか?
A. コブが大きくなりすぎた場合は、コブの少し下の部分で切り直すことでコブを小さくリセットすることができます。太い枝を切ることになるためノコギリが必要です。
Q. サルスベリの葉が黒くなってきました。何の病気ですか?
A. すす病の可能性が高いです。カイガラムシやアブラムシの排泄物にすす菌が繁殖して葉や幹が黒くなります。まずカイガラムシ・アブラムシを駆除し、剪定で風通しを改善することが対策になります。
Q. サルスベリに虫が大量についています。どうすればいいですか?
A. アブラムシなら春の新梢に発生しやすいです。スミチオン乳剤1,000~1,500倍液を散布して駆除します。カイガラムシなら少量は竹べらでそぎ落とし、多量ならスミチオン乳剤1,000倍液を散布してください。
サルスベリの剪定は「人工樹形(コブ仕立て)」か「自然樹形」かの2種類から選べます。初心者には毎年同じ場所で切るだけのコブ仕立てが簡単でおすすめです。どちらを選んでも「11月~4月の適期に剪定する」「風通しを確保してすす病・カイガラムシを防ぐ」という2点を守ることが、毎年美しい花を楽しむ秘訣です。このページがサルスベリとの長いお付き合いの参考になれば幸いです。




