シラカシ(白樫)は、日本をはじめとするアジアに広く分布する樹木で、庭木や公園樹としてよく利用されます。
シラカシも他の樹木同様に、さまざまな病害虫の被害を受けることがあります。
ここでは、代表的な病害虫とその特徴、対策について詳しく解説します。
シラカシにつく病気について
シラカシの樹勢を脅かすような病気は多くはありませんが、葉っぱにつく病気があり、放っておくと見栄えが悪くなるだけでなく光合成に悪影響を及ぼす恐れもあります。
ここでは、シラカシにつく病気について解説します。
炭疽病(たんそびょう)
■炭疽病の症状は、葉に褐色や黒色の斑点が発生し、病斑が拡大すると、葉が枯れる場合があります。
■炭疽病の原因は、カビ(糸状菌)による感染が主因で、高温多湿の環境で発生しやすいです。
■対策として、風通しを良くするために、枝葉を透かしたりして適切な剪定を行うことが必要です。
また、発病した葉は確実に取り除き焼却処分します。必要に応じて殺菌剤を使用します。
シラカシの炭疽病に効果的な殺菌剤
シラカシの炭疽病に対する効果的な殺菌剤として、以下のものが挙げられます。
■トップジンM水和剤(有効成分:チオファネートメチル)
■アミスター10フロアブル(有効成分:アゾキシストロビン)
これらの殺菌剤は、炭疽病の発生初期に散布することで効果的に防除できます。
特に、「アミスター10フロアブル」は幅広い果樹のさまざまな病害に高い効果を持ち、雨に強く、浸透移行性による優れた予防効果があります。
■トップジンM水和剤
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■アミスター10フロアブル
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また、住友化学園芸のウェブサイトによれば、炭疽病の防除には発病初期の薬剤散布が有効とされています。
使用に際しては、各製品のラベルや説明書をよく読み、適切な希釈倍率や使用方法を守ってください。
また、地域の気候や環境によって効果が異なる場合がありますので、地元の農業指導機関や専門家に相談することをおすすめします。
すす病
■すす病の症状は、葉や枝が黒いすす状のもので覆われ、光合成が妨げられ、成長が鈍くなります。
■すす病の原因は、アブラムシやカイガラムシの排泄物にカビが繁殖して発生します。
■対策として、原因となるアブラムシやカイガラムシなどの害虫を駆除することが得策です。
また、水で洗い流すなどして、黒くなったすすを除去することも可能です。
シラカシのすす病に対する効果的な殺菌剤
シラカシのすす病は、アブラムシやカイガラムシなどの吸汁性害虫の排泄物にカビが繁殖することで発生します。そのため、すす病の効果的な防除には、まずこれらの害虫を駆除することが重要です。
シラカシのすす病に対する効果的な殺菌剤として、以下のものが挙げられます。
■スミチオン乳剤:広範囲の害虫に効果があり、庭木の害虫駆除に適しています。
■オルトラン水和剤:浸透移行性があり、植物全体に効果を発揮します。
アブラムシやカイガラムシなどの吸汁性害虫をこれらの殺虫剤を使用して駆除することで、すす病の原因を取り除くことができます。
■スミチオン乳剤
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■オルトラン水和剤
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すす病自体の対策
すす病の症状が現れた場合、以下の方法で対処できます。
■物理的除去:幹や枝についたすすは、水でこすり洗いすることである程度除去できます。
■殺菌剤の使用:必要に応じて、トップジンM水和剤などの殺菌剤を散布することが考えられます。
■トップジンM水和剤
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ただし、すす病は害虫の排泄物にカビが生えたものであり、植物自体に直接感染する病原菌ではありません。
そのため、殺菌剤の使用よりも、害虫駆除が根本的な対策となります。
シラカシにつく害虫による被害
シラカシを侵す害虫には、葉っぱにつく害虫、枝や幹に被害を及ぼす害虫がいます。
放っておくと樹勢に悪影響を与えることもあります。
ここでは、シラカシにつく害虫について解説します。
アブラムシによる被害
■アブラムシによる被害の特徴は、若い葉や芽に群がって、樹液を吸います。
■アブラムシの排泄物(甘露)が「すす病」を引き起こす原因になります。
■対策としては、殺虫剤の散布などで駆除する方法が現実的です。
また、見つけ次第手で取り除くか水で洗い流したりすることもできます。
テントウムシなどの天敵を利用したりする方法もあります。
カイガラムシによる被害
■カイガラムシによる被害の特徴は、葉や枝に付着して樹液を吸い取ります。
■カイガラムシの排泄物が「すす病」の原因になります。
■カイガラムシの対策として、歯ブラシやスポンジで手動で取り除き駆除します。
また、「マシン油乳剤」などの油剤を使用することで駆除もできます。
■「マシン油乳剤」
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コナカイガラムシによる被害
■コナカイガラムシによる被害の特徴は、枝や葉に白い綿状の物質を伴って付着し、樹液も吸い取る害虫です。
■対策としては、殺虫剤の散布などで駆除する方法が現実的です。
コナカイガラムシ用の殺虫剤にはなにがあるか?紹介します。
コナカイガラムシ用の殺虫剤
浸透移行性殺虫剤
「オルトラン液剤」は、浸透移行性がある殺虫剤で、植物体内に吸収されてカイガラムシを駆除します。
浸透移行性殺虫剤(しんとういこうせいさっちゅうざい)というのは、植物の組織に吸収されて移行し、内部で効果を発揮する特性を持つ殺虫剤です。この特性により、害虫が植物の表面だけでなく内部に潜んでいる場合にも効果を及ぼすことができます。
■オルトラン液剤
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「モスピラン液剤」は、広範囲の害虫に効果があり、吸汁性害虫の駆除に特に適しています。
■モスピラン液剤
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接触型殺虫剤
接触型殺虫剤には、「スミチオン乳剤」があります。広い範囲で使用でき、庭木や果樹にも適用可能です。接触型で即効性があります。
接触型殺虫剤(せっしょくがたさっちゅうざい)というのは、害虫の体表に直接触れることで効果を発揮する殺虫剤です。このタイプの殺虫剤は、植物表面や害虫に散布し、害虫が薬剤に触れると速やかに駆除できる特性があります。
■「マシン油乳剤」
「マシン油乳剤」は、植物に付着するカイガラムシを窒息させることで駆除します。卵や若齢幼虫に対して効果的です。
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カミキリムシによる被害
■カミキリムシによる被害の特徴は、幼虫が木の内部を食害し、成長を妨げます。
穴や木くずの発生がカミキリムシがいるというサインになります。
■対策として、被害箇所を切り取ります。
幹や枝に幼虫がいる場合は手作業または、殺虫剤を小穴に注入して除去します。
幼虫が見当たらない場合でも、予防のために殺虫剤を小穴に注入しておくとよいです。
カミキリムシ成虫の駆除に使用する殺虫剤
カミキリムシの成虫は樹木の周囲で活動するため、成虫駆除を行うことで産卵を防ぎ、被害を減らすことができます。
■スミチオン乳剤
広範囲の害虫に効果があり、庭木や果樹にも使用可能。カミキリムシの成虫が幹や枝にいる際に直接散布します。
■オルトラン液剤
浸透移行性があり、葉や幹に散布することで、成虫が摂食した際に駆除効果を発揮します。
カミキリムシの幼虫の駆除に使用する殺虫剤
カミキリムシの幼虫は樹木内部に侵入して食害するため、直接幹や穴に薬剤を注入する必要があります。
■カミキリムシ用のエアゾールタイプのスプレー式殺虫剤
幼虫の侵入孔(フラスが出る穴)に直接注入して駆除します。
幼虫の穴に直接噴射する簡便な方法として家庭でも利用されています。
ホームセンターなどにも売っています。
シラカシにつく病害虫の予防と対策
シラカシにつく病害虫の予防と対策として、次のようなことがあげられます。
■シラカシの健康的な環境を維持するように努めます。
そのためには、適切な剪定を行い、風通しと日当たりを確保します。
土壌の改善や肥料の適切な使用で、木の健康を保つことができます。
■早期発見と対応を意識して行なうことです。
定期的に樹木を観察することで発見が早まり、異変を見つけた場合は早めに対処します。
■殺菌剤や殺虫剤の使用については、必要に応じて薬剤を散布しますが、環境や人への影響を考慮します。
■アブラムシやカイガラムシなどは、テントウムシなどの天敵による生物的防除が有効です。
これらの病害虫は、樹木の健康状態が悪化していると発生しやすくなるため、日頃の管理がとても重要です。
シラカシを健康に保つことで、これらの被害を最小限に抑えられます。