梅の木の夏の剪定!とにかくスッキリしたい方の秘策

はじめに:「花より今すぐスッキリ!」その気持ち、よくわかります

「梅の花が咲くのはきれいで好きだけど、夏に葉っぱがボウボウに茂るのが毎年ストレス」「来年の花より今すぐ庭をスッキリさせたい」「お盆前に何とかしたいが、どうすればいいかわからない」梅の木についてこういった思いを持っている方は非常に多いです。

はっきり言います。このページで紹介する方法は、来年の花が咲かなくなっても構わないという方専用の剪定方法です。 来年も花を楽しみたい方は、通常の梅の剪定方法のページをご覧ください。

書籍や専門書に載っている「花を咲かせるための正しい剪定方法」ではなく、どこにも載っていない「夏にとにかくスッキリさせたい方のための梅の剪定方法」を、プロの本音でお伝えします。

梅の木の特徴:切る前に「梅の木の存在価値」を今一度確認してください

■梅の木はサクラと同じくらい存在価値がある木

剪定を実行する前に、梅の木の存在価値を知っておくことが大切です。

梅の木はサクラの木と同じで、それほど存在価値があるものです。早春(2~3月頃)に香りと花を楽しませてくれる庭木として、長年にわたって愛されてきた木です。

本当に来年の春に花を全く見なくてもよいのか、もう一度だけ確認してください。 家族と一緒に庭を使っている場合、あなた自身だけでは決められないこともあるかもしれません。切るのは簡単ですが、切ってしまってからでは遅いのです。

■それでも「スッキリさせたい」気持ちが勝つならこのまま読み進めてください

確認の上で「それでも来年の花より今すぐスッキリさせたい」という気持ちが変わらない方のために、この先を解説します。

1回くらいなら夏に剪定を行っても樹勢がすぐに衰えるということはありません。枯れる心配もないのですが、頻繁に毎年夏に剪定を行ったり太い枝を切る強剪定を行うと、樹勢は衰えやすくなり枯れる方向に向かっていきます。

今回の方法は1回限りの緊急処置と考えてください。毎年夏に行える方法ではありません。

■梅の花芽はいつ形成されるか

念のため知識として持っておいてください。梅の花芽は前年の夏(7~8月頃)に形成されます。夏に深く剪定すると花芽がついた枝を切り落としてしまうため、翌春の花が激減または全く咲かなくなります。これが「夏の剪定は花が咲かなくなる」と言われる理由です。

今回はそれを承知の上でスッキリさせる方法をお伝えします。

■「庭に愛着がある人」と「庭に愛着のない人」の違い

夏に梅の木をスッキリさせたいと思っている方には、大きく2つのタイプがいます。

庭に愛着があってきれいにしたい方は、マメに庭木や雑草などの管理や手入れをしている方が多いです。なので葉っぱが生い茂っても、他の庭と比べてストレスの少ない繁茂の仕方をします。剪定自体も徒長した枝先だけ剪定すればよいなど楽に行えて、来年の花芽もしっかり見ることができる可能性が高いです。

対して庭に愛着はないけどスッキリさせたいという方は、葉っぱが生い茂ると暑さとともにストレスも爆発します。そのため真夏に一気に作業しようとするため樹形などの見た目はどうしても雑になります。しかも剪定した後で切った以上に枝葉が伸びて2度手間になり、再度剪定しなおすことで余計な時間も労力も失ってしまうことになります。

この現実を知った上で、それでもスッキリさせたい方だけ先を読み進めてください。

梅の剪定時期:夏の剪定は「緊急処置」であることを理解して行う

■本来の梅の剪定時期は冬(12~2月頃)

まず知識として持っておいてほしいのですが、梅の木の本来のベストな剪定時期は冬(12~2月頃)の休眠期です。この時期であれば花芽を確認しながら残して切ることができ、翌春の花を楽しみながら樹形を整えられます。

しかし今回は「とにかく夏にスッキリさせたい」という方のための記事ですので、夏の緊急対応について解説します。

■夏の剪定は「1回限り」の緊急処置として行う

今回の夏の剪定は1回限りの緊急処置として行います。毎年夏に同じことを繰り返すと樹勢が衰えて枯れる方向に向かいます。

また太い枝を切る強剪定を夏に行うことは特に危険です。太い枝の剪定は必ず冬期(落葉後~2月頃)に行ってください。今回の夏の緊急処置では太い枝は切らないことが原則です。

■夏の剪定後は「新芽の監視」が必要

夏に剪定を行うと切った周辺部から確実に徒長枝が新芽として伸びてきます。その新芽を見つけ次第切り取る作業が必要です。週に1度くらいは監視することをおすすめします。この監視作業を行うことで、余計な養分を使わず樹勢を弱めないようにできます。

1ヶ月も監視を怠るととんでもなく徒長枝が伸びている場合もあります。剪定してスッキリさせた後も、しばらくの間は監視を続けてください。

梅の剪定方法:「何も考えずにバッサバッサ」が基本・でも少しコツがある

■基本の姿勢:「何も考えずに、思うように切っていく」

どうせ来年の花を見なくてもよい切り方なので、一度どのようになるのか体験しておいた方がよいです。太い枝を切る強剪定を行わなければ枯れることもないでしょうから、思い切って伸びた枝葉を切りまくってスッキリさせてみてください。

■手順①:まず徒長枝を枝元からすべて切り取る

まずは徒長枝と呼ばれる今年伸びた元気のある枝葉を枝元から1本1本全て切り取ります。これだけでもかなりスッキリするはずです。

梅 剪定

梅 剪定

■手順②:伸びすぎた枝を20cm残して切り戻す

徒長枝だけが伸びていれば枝元から切ってやるとよいです。もしも数年放っておいた場合は枝が太くなっているかもしれません。その枝を枝元から切ってみましょう。

切り枝が細ければ20cmくらい残して切り取ると、もしかしたら来年の春に花が見れる可能性もあります。

■手順③:樹形内部の重なり枝を枝元から切り取る

徒長枝を切り取った後、樹形内部に目を移します。枝が重なっている枝を枝元から切り取ります。

梅 剪定

■手順④:剪定後の新芽を週1回チェックして切り取る

剪定が終わったらそれで終わりではありません。週に1度くらいのペースで新しく出てきた新芽(徒長枝)を確認して、見つけ次第切り取ってください。これを続けることで、余計な養分の消費を抑えられます。

■「太い枝の強剪定」だけは夏に行わないこと

今回紹介している方法で唯一の絶対ルールが「太い枝を夏に切らないこと」です。夏の繁忙期に太い枝を剪定してしまうと切ったところから徒長枝が大量に伸びて、そこに栄養が取られてしまい樹勢を大幅に弱らせてしまいます。太い枝の剪定は必ず冬期に行ってください。

失敗した時のリカバリー:「切りすぎた」「枯れそう」時の対処法

■夏に切りすぎてスカスカになってしまった場合

夏に切りすぎてスカスカになってしまった場合、まず追加の剪定は一切止めてください。残っている葉を大切にして、木全体での光合成を維持します。

水やりを続けて根を乾燥させないようにします。夏の暑い日が続く場合は早朝に根元や木全体にたっぷりと水を与えてください。肥料は特に必要ありませんが、追肥をするなら薄い液肥を少量与える程度にとどめます。

■切った後に大量の新芽が出てきて2度手間になった場合

夏の剪定後に切った以上に枝葉が伸びてくることはよくあることです。これは予想通りの現象です。週に1度の監視で新芽を見つけ次第摘み取ることで、2度手間を最小限に抑えられます。「また伸びてきた」という現象を繰り返しながら、秋以降に落ち着いてきます。

■木が弱ってきたと感じる場合

夏の剪定後に葉の色が悪くなったり木全体が元気なさそうになってきた場合は、これ以上の手入れは一切止めてください。早朝の水やりを続けて、木の回復を待ちます。秋から冬にかけて木が回復してくることが多いです。来年の春の新芽の伸びを見て、回復しているかどうか確認してください。

■「思い切って伐採する」という選択肢もある

梅の木に葉っぱが生えることへのストレスが毎年続くようであれば、梅の木を伐採するという選択肢もあります。庭の利用状況や、ストレスの起こる理由を考えると根元から伐採してすっかりなくしたくなる気持ちも十分理解できます。梅の木の存在がストレスを生むようでしたら、思い切って根元からバッサリと伐採した方が気が楽になる場合もあります。

ただし高さのある梅の木の伐採は危険を伴います。自分で行う場合は安全に進められる高さかどうかをよく確認し、危険を感じたら専門業者に依頼してください。

病害虫対策:梅の木にかかりやすい病害虫と対処法

■①アブラムシ:春~夏の新梢に群がる最多害虫

梅の木に最もよく発生する害虫がアブラムシです。春の新梢や若葉の裏に大量に群がって樹液を吸い取ります。夏に葉が茂ってうっとうしくなる一因にアブラムシの排泄物(甘露)によるすす病が加わっていることもあります。

アリが幹を頻繁に上り下りしていたらアブラムシを疑ってください。スミチオン乳剤1,000~1,500倍液を葉全体(特に裏側)に散布して駆除します。

■②うめ輪紋病(プラムポックスウイルス):見つけたら要報告

葉に輪紋状の模様が出る場合は、うめ輪紋病の可能性があります。これは植物防疫法上の防除対象病害虫であり、感染が確認された場合は農林水産省への届け出が必要です。疑わしい症状が出た場合は地域の農林業担当窓口に相談してください。

■③黒星病:黒い斑点が実と葉に出る病気

実と葉に黒い斑点が出る黒星病も梅に多い病気です。風通しが悪い環境で発生しやすいです。発病した葉・実は取り除いて処分し、殺菌剤を散布して対処します。夏の剪定で風通しを良くすることが予防にもなります。

■④カイガラムシ:枝に張り付く吸汁害虫

枝に白い粉状のものや貝殻状の突起がついている場合はカイガラムシです。少量なら古い歯ブラシでこすり落とします。冬にマシン油乳剤を散布して防除します。

病害虫共通の予防策: 枝葉の密度を適切に保ち、風通しと日当たりを確保することが最大の予防です。夏にスッキリ剪定することで、病害虫が繁殖しにくい環境になるというメリットもあります。

おすすめの道具:プロが実際に使うものと選び方

■剪定ばさみ(夏の梅剪定の主役)

夏の梅剪定で最もよく使う道具が剪定ばさみです。徒長枝の枝元切り・重なり枝の除去・新芽の摘み取りまで、すべての作業に活躍します。切れ味の良いおの義(推奨)・岡恒などの国産メーカーの3,000~8,000円程度のものが信頼できます。

お手入れ: 使用後は刃に付いた樹液をウエスで拭き取り、薄く油を塗ります。梅の樹液は粘性がありますので、こまめに拭き取ることで切れ味が長続きします。

■熱中症対策グッズ(夏の作業では必須)

夏に梅の剪定を行う場合は、熱中症対策が必須です。水分補給用の飲み物・塩分タブレット・帽子・冷却タオル・日焼け止めを必ず用意してください。暑さがひどい日は無理に作業せず、早朝や夕方の涼しい時間帯に行うことをおすすめします。

ゴミの処分とマナー:大量に出る枝葉の処分と近所への配慮

■夏の剪定では大量のゴミが出る

夏の梅剪定では葉付きの枝が大量に出ます。葉が生い茂っている分、冬の剪定よりもゴミの量が多くなります。枝はハサミで短く切り揃えてゴミ袋に詰めると、かさが大幅に減ります。自治体のゴミ収集のルール(量・袋の指定・長さの制限)を事前に確認してください。

■病気の枝葉は分けて処分する

黒星病などの病気の葉は、健全な葉と一緒にせず密封して処分してください。地面に放置するとカビや菌が広がります。

■ご近所への配慮

お隣の敷地に梅の枝が越境している場合は、作業前に一声かけてください。夏の剪定で切った葉や枝がお隣に飛び込まないよう風向きを確認してから作業することも大切なマナーです。

プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安

プロとして正直に言います。夏の梅剪定はおすすめしません。 自分自身も暑い時は絶対にしません。しかしどうしてもスッキリさせたい方のために、この記事でできるだけ安全にスッキリさせる方法をお伝えしています。

以下の場合は専門業者への依頼をおすすめします。樹高が3mを超える場合は転落リスクが大きいです。太い枝を切る必要がある場合は冬に専門業者に依頼することをおすすめします。伐採を検討している場合も、高さのある梅の木の伐採は危険を伴うため専門業者への依頼が安全です。

よくある質問Q&A

Q. 夏に切ったら来年の花は全く咲かなくなりますか?

A. 枝を20cm程度残して切り戻した場合、残った部分に翌年の花が咲く可能性が残っています。ただし深く切り込んだ場合や花芽形成後(8月以降)に切った場合は、翌春の花はほとんど期待できません。

Q. 切った後にすぐ新芽が伸びてきました。また切っていいですか?

A. 切っていただいて構いません。新芽が出るたびに摘み取ることで、余計な養分の消費を抑えられます。ただし太い枝を繰り返し切ることは樹勢を弱めますので、細い新芽だけを摘み取るようにしてください。

Q. 来年からは花を咲かせたいのですが、どうすればいいですか?

A. 今年の夏の剪定で花が少なくなった場合でも、来年の冬(12~2月頃)から正しい剪定管理を始めることで、再来年からは花が戻ります。冬の適切な剪定を毎年続けることが梅の花を楽しむための基本です。

Q. 梅を伐採したいのですが、自分でできますか?

A. 低い位置から切り倒せる高さであれば自分でも可能ですが、高さのある梅の木の伐採は転倒する方向のコントロールが難しく危険です。2m以上の梅の伐採は専門業者への依頼をおすすめします。

今回のページでお伝えしたことをまとめます。夏の梅剪定は「来年の花を犠牲にする1回限りの緊急処置」です。徒長枝を枝元から切り、細い枝は20cm残して切り戻し、重なり枝を間引く。その後は週1回の新芽監視を続けます。太い枝の強剪定だけは夏に行わず、必ず冬に行うことが唯一の絶対ルールです。

来年からは花を楽しみながら管理したいという方は、冬(12~2月頃)の正しい梅の剪定方法に切り替えることを強くおすすめします。このページがうっとうしい夏の庭のストレス解消に少しでも役立てば幸いです。

ウメ剪定