イロハモミジは、日本では最もよく見られるカエデ属の種で、紅葉の代表ともいわれています。
イロハモミジの名前の由来は、裂片を、いろはにほへと・・・と数えたことでつけられたと言われます。
裂片の縁は鋭く不揃いなノコギリ状になっていて、裂片は先へ行くほど細く長く伸びるような状態になっています。一見似ているヤマモミジとよく間違われるようです。
イロハモミジとヤマモミジの違いはどこ?
イロハモミジとヤマモミジの違いですが、ちょっとみただけでは判別しずらいことが多いと思いますが、2つの違いを見るポイントは実(種)のつき方でわかります。
イロハモミジの実は小さくて、翼状の実は「竹とんぼ」のように葉の上に水平に開きます。
対してヤマモミジの実は、翼果はブーメラン形かU字状で、葉の下から垂れるように実がなります。
これがヤマモミジやオオモミジと区別する大きなポイントで、葉で見分けがつかない場合にはこれでわかると思います。
イロハモミジとヤマモミジは、葉の形状がノコギリ状で粗く不揃いなところが似ているので判別が難しいですが、イロハモミジはヤマモミジよりもひと回り小さいところで区別できます。
イロハモミジとヤマモミジを葉の大きさで区別する場合、イロハモミジの葉は長さ幅とも6cm未満と一番小さく、ヤマモミジの葉は長さ幅とも6cm以上あります。
イロハモミジの一番ベストな剪定時期
剪定を頼まれるお客様の多くは、お盆前にはサッパリしたいという希望があり依頼されますが、全くお勧めはしないです。
暑い夏に剪定をすすめない理由は、
夏場は特に切った以上に伸びようとする。
切ったところから生える徒長枝にばかり栄養が行くので樹勢が弱る。
ハチが巣をつくり、ハチの子が成虫になり頻繁に活動する時期で危険だから
夏場というのは、一番樹勢が旺盛で著しく生長する時期です。
そんな時に剪定をしようものなら、切った以上に伸びようとする性質があることから、
切る前よりも伸びることも多く「せっかく切ったのにまた伸びてしまった!」と、
損をしたような気分になると思います。
特に徒長枝というのは切ったところの最終地点から生えることが多いです。
よく切ったところにたくさんの枝葉がついているのを見たことはないですか?
切った最終地点よりも先はないので、樹勢が強いと、そこまで養分がたくさん集まり
そのような再生される現象が起こるのだと思います。
逆に樹勢が弱いと、切られた部分にそれほど多くの葉は生えず、どちらかというと、
傷口を殺菌したり修復しようとするのに余計な樹勢を使ってしまうので、枯れる傾向が強いです。
特にイロハモミジ類は枯れやすいので、やはり夏場に切った部分に余計な樹勢を使う剪定はよくないです。
どうしても夏に剪定してと言われるのでいつも嫌々やってはいますが、個人でやられる方には、このような理由から夏場のイロハモミジの剪定は、全くお勧めしていません。
特に、突然ハチが現れるのは本当に怖いです。
巣を作ったばかりの1匹で行動している場合は攻撃力が弱くてまだよいのですが、卵から幼虫になったころからが特に危険で、巣で待ち構えて警戒されています。
そんなハチをよく見ると、羽根をプルプルと震わせて「いつでもかかれるぞ!」と、攻撃体制を取ってこちらを眺めているのがよくわかります。
そんな時に、知らずに近くを通り葉っぱに触れようものなら、ハチの気分を損ねて、あっ!」っという間に刺されています。
ハチの巣の場所がわかり、なおかつハチ1匹くらいならば、遠くまで飛ぶハチ撃退用のスプレー殺虫剤なら仕留められます。1~2mくらいであれば、スプレーを少し長めに噴射していれば、たとえ襲いかかってきても、ハチに当たっていれば噴射の勢いで1発で仕留められます。
これらのことから剪定をするならいつが良いかといえば、
やっぱり葉っぱが落ちたころから2月入る前までの冬季間が、人間にも木にも一番安全な時期です。寒い時期で外に出たくないかもしれませんが、これは断言できます。
季節に合わせたイロハモミジの剪定方法
盆前とかに少しきれいにしておきたくて、冬までイロハモミジの剪定を待てない場合という場合があると思います。
その場合は、まず夏場に伸びた分だけを樹形に合わせて、伸びた所だけ刈り込み鋏で軽く切るだけにしておきます。そして葉っぱが落ちた冬に、伸びた枝の細かい剪定をするといいと思います。
どうしても冬ではない時期に剪定をしたいという場合は、
紅葉を気にしないのであれば、葉がだいたい伸びきった9月に入った頃からの軽い剪定が良いかと思います。
紅葉が見たいのであれば、我慢して冬の剪定にして、おすすめはしませんが早めの夏(7月前頃)に済ませておくことです。
その場合、太い枝を極力強く切らないで、樹形を保てる程度に伸びた分だけにとどめておきます。そして葉の落ちた冬にもう一度混んだところを整理してやると作業が案外楽に感じます。
冬まで待てる場合は(出来れば待ってほしい)、
葉っぱが全部落ちると混み入ったところも全て下から見えるので、
細かい枝が重なったところや枯れ枝をすくように切ります。
次の夏になるとまた枝が伸びますので、その伸びる分も予想して結構広めの空間を作っても大丈夫です。
今年度伸びたような太い枝(緑色をしているかも)は、樹勢が強い部分で、来年も同じところが同じように伸びる可能性が高いです。
この太い枝は残さず切り、以前から樹形を形成している枝から伸びている細い枝で樹形を整えてあげるとイロハモミジ全体が綺麗になります。
ただし、この剪定作業は2月になる前までには終わらせて欲しいんです。なぜかというと、北国岩手でも2月に入るころには、イロハモミジはまだ眠っているようでもすでに動きだしています。その証拠に小枝を切ると水分がダラダラたれてくるのでわかります。そうなったらもう動き出している証拠です。
夏に伸びた混み入った枝葉の剪定は、葉が落ちた冬期が剪定の絶好の時期ということを覚えておいてください。
イロハモミジの剪定は絶対に冬期がおすすめです!