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イロハモミジの剪定時期と剪定方法

はじめに

イロハモミジは、日本でいちばんよく見られる、紅葉の代表ともいえるカエデの仲間です。秋になると、葉が燃えるように赤や黄色に染まり、私たちの目を楽しませてくれます。名前の由来は、葉の切れこみ(裂片)を「いろは、にほへと…」と数えたことから来ている、といわれています。

このイロハモミジ、見た目は繊細で美しいのですが、実は「剪定の時期を間違えると、枯れやすい」という、ちょっとデリケートな一面を持っています。だからこそ、正しい知識を持って、やさしく手入れしてあげることが大切なのです。

このページでは、イロハモミジの剪定について、「いつ切るのか」「どう切るのか」という基本はもちろん、「切りすぎてしまったときの直し方」「かかりやすい病気や害虫」「使うと楽な道具」「切った枝の捨て方やご近所マナー」まで、まるごと解説していきます。

なぜ、ここまで盛りだくさんにお伝えするのか。理由は、イロハモミジの剪定で困っている方の多くが、「時期と方法」だけを調べても、結局その先で立ち往生してしまうからです。とくにイロハモミジは、「夏に切るとよくない」という、ほかの木とは少し違う注意点があり、これを知らずに失敗する方が、本当に多いのです。

ですから、このページを上から順に読んでいただければ、イロハモミジの剪定に関する不安は、ひとつ残らず解消できるはずです。私が長年の作業で身につけた、本音の知識もお伝えしますので、どうぞゆっくり読み進めてくださいね。

イロハモミジの木の特徴を知ろう

イロハモミジを上手に手入れするには、まず、この木が「枝の流れの美しさを楽しむ木」であり、「枯れやすいデリケートな木」だという、二つの性質を知ることが大切です。

なぜなら、この性質を知らずに、太い枝をバッサリ切ったり、暑い時期に切ったりすると、木が弱って枯れてしまうことがあるからです。イロハモミジは、力まかせの剪定が、いちばん苦手な木なのです。

イロハモミジの美しさは、繊細な枝が、自然にやわらかく広がる、その姿にあります。ですから、剪定も「形を無理に作る」のではなく、「自然な枝の流れを活かして、混み合った部分をすく」のが基本になります。針金で縛ったり、丸く刈りこんだりするような木ではない、と覚えておいてください。

そして、もう一つの大事な性質が「枯れやすさ」です。とくに、太い枝を切った切り口は、なかなかふさがりにくく、そこから腐りが入って、木が弱ることがあります。だから、できるだけ太い枝は切らず、細い枝で樹形を整えるのが、イロハモミジを長持ちさせるコツなのです。

■イロハモミジとヤマモミジの違い

イロハモミジを調べていると、必ず出てくるのが「ヤマモミジ」という、よく似た木です。「うちのは、どっちなんだろう」と迷う方も多いので、見分け方をお伝えします。

いちばん確実なのは、「実(種)のつき方」を見ることです。イロハモミジの実は小さく、竹とんぼのような翼のついた実が、葉の上に、水平に開きます。一方のヤマモミジの実は、ブーメランのようなU字の形で、葉の下から、垂れ下がるようにつきます。この実のつき方の違いが、いちばんわかりやすい見分けポイントです。

葉の大きさでも、見分けられます。イロハモミジの葉は、長さも幅も6センチ未満と、カエデの仲間の中でいちばん小さめです。ヤマモミジの葉は、長さも幅も6センチ以上あり、ひと回り大きいです。葉の形は、どちらもノコギリのようにギザギザして似ていますが、「小さいほうがイロハモミジ」と覚えておくと、見分けやすいですよ。

なお、剪定の方法は、イロハモミジもヤマモミジも、ほとんど同じ考え方で大丈夫です。

イロハモミジのベストな剪定時期

イロハモミジの剪定に、いちばん適した時期は、はっきりしています。「葉がすっかり落ちたころから、2月に入る前までの、冬のあいだ」です。これは、私が長年の経験から、断言できることです。

なぜ、冬がベストなのでしょうか。理由は、人間にとっても、木にとっても、いちばん安全だからです。逆に言うと、夏の剪定には、木にも人間にも、大きなリスクがあります。順番に説明していきますね。

まず、木にとってのリスクです。夏は、木がいちばん元気に成長する時期です。そんなときに枝を切ると、木は「切られた!」と感じて、切る前よりもさらに勢いよく、枝を伸ばそうとします。「せっかくサッパリさせたのに、すぐにまたボサボサに伸びてしまった」というのは、この夏剪定が原因です。しかも、切ったところからは「徒長枝(とちょうし)」という、まっすぐ勢いよく伸びる枝ばかりが出て、そこに栄養が取られ、木全体の勢いが弱ってしまいます。

さらに、イロハモミジは、もともと枯れやすい木です。樹勢が弱っているときに夏に切ると、木は新しい葉を出すよりも、傷口を治すことに余計な力を使ってしまい、そのまま枯れてしまうことがあります。これが、夏剪定をおすすめしない、いちばんの理由です。

そして、人間にとってのリスクが「ハチ」です。夏は、木の中にハチが巣を作る時期です。とくに、卵から幼虫が育ったころのハチは、巣を守ろうと警戒していて、とても攻撃的になります。羽をプルプルと震わせて、「いつでもかかってくるぞ」という体勢で、こちらをにらんでいることもあります。そんなときに、知らずに近くの葉に触れようものなら、あっという間に刺されてしまいます。ハチに刺されるのは、本当に危険で、命にかかわることもあります。

これらの理由から、イロハモミジの剪定は、絶対に冬がおすすめです。寒くて外に出たくない時期かもしれませんが、木のためにも、ご自分の安全のためにも、ぜひ冬に行ってください。

なお、一つ大事な注意点があります。冬といっても、2月に入る前までに終わらせてほしいのです。なぜなら、北国の岩手でも、2月ごろになると、イロハモミジは見た目は眠っているようでも、もう活動を始めているからです。その証拠に、この時期に小枝を切ると、切り口から水分がダラダラとたれてきます。こうなると、もう動き出しているサインなので、切ると木が弱ります。剪定は「2月に入る前まで」と、覚えておいてください。

季節に合わせたイロハモミジの剪定方法

イロハモミジの剪定方法は、「冬に、混み合った細い枝や枯れ枝を、すくように間引く」のが基本です。

なぜなら、葉が落ちた冬は、枝の重なりや枯れ枝が、下からよく見えるからです。そして、太い枝を切らずに細い枝で整えることが、枯れやすいイロハモミジを長持ちさせるコツだからです。順番に説明していきます。

■冬の剪定方法(基本)

葉っぱが全部落ちると、混み入ったところが、下から全部見えるようになります。そこで、細かい枝が重なっているところや、枯れ枝を、「すく」ように切っていきます。「すく」というのは、混んでいる部分の枝を間引いて、すきまを作り、風と光が通るようにすることです。

ここで、大事なコツがあります。次の夏になると、また枝が伸びてきます。ですから、その伸びる分を予想して、けっこう広めに、すきまを作っておいても大丈夫です。「ちょっと切りすぎかな」と思うくらいでも、夏になればちょうどよくなります。

もう一つ、大切なポイントです。その年に伸びた、勢いの強い太い枝(緑色をしていることもあります)は、来年も同じところが、同じように勢いよく伸びる可能性が高いです。この勢いの強い枝は、残さずに切ってしまいます。そして、もとから樹形を作っている枝から出ている、細い枝を活かして、形を整えてあげます。こうすると、イロハモミジ全体が、やわらかく、きれいにまとまります。

■どうしても冬まで待てない場合

「お盆前に、少しきれいにしておきたい」など、冬まで待てない事情もあると思います。その場合の、被害を最小限にする方法をお伝えします。

まず、夏に伸びた分だけを、樹形に合わせて、刈り込みばさみで軽く切るだけにとどめます。太い枝には手をつけず、伸びた表面だけを、サッと整える程度です。そして、葉が落ちた冬に、あらためて細かい剪定をします。こうすれば、夏の負担を最小限にできます。

また、紅葉を気にしないのであれば、葉がだいたい伸びきった9月ごろからの、軽い剪定もよいでしょう。紅葉を楽しみたいなら、やはり我慢して冬に行うのが一番です。どうしても夏前にやりたい場合は、おすすめはしませんが、まだ暑さが本格化する前の7月前ごろまでに、太い枝を切らず、伸びた分だけを軽く整える程度にとどめてください。

■忙しい人向け・15分でできるズボラ剪定

「細かい剪定は難しそう」「そんなに時間をかけられない」。そんな方のために、これだけやればOK、という「ズボラ剪定」のコツをお伝えします。

結論から言うと、忙しいときは、冬に「枯れ枝」と「明らかに飛び出している徒長枝」の、二つだけ切れば十分です。

なぜこれでよいかというと、イロハモミジは自然な枝ぶりが美しい木なので、見苦しくなる枯れ枝と、突き出た枝さえ取り除けば、十分きれいに見えるからです。無理に内部まで完璧に間引かなくても、大丈夫です。

具体的な手順はこうです。葉が落ちた冬に、まず木全体を見て、茶色く枯れている枝を見つけて切ります。次に、ほかの枝の流れから、ひとりだけ飛び出して、まっすぐ伸びている枝を、付け根から切ります。これで終わりです。太い枝には手を出さない、というのが、枯らさないための大事なルールです。「完璧」を目指さず、「自然な姿を保つ」だけで、イロハモミジは十分美しいですよ。

切りすぎた・時期を間違えた!失敗したときのリカバリー

イロハモミジは枯れやすい木なので、失敗したときは、ほかの木より少していねいなケアが必要です。でも、あわてず、正しく対処すれば、立ち直らせることができます。

なぜなら、木には、自分で立ち直ろうとする力が、もともと備わっているからです。失敗したあとに、よけいなことをせず、木の力を信じて、そっと見守ることが、いちばんのリカバリーになります。

■切りすぎて、スカスカ・坊主にしてしまった場合

「切りすぎて、枝がスカスカになってしまった」。そんなときは、まず、それ以上は絶対に切らないことです。そして、やってほしいのは「待つこと」と「日焼け対策」です。

イロハモミジは、枝葉が減ると、これまで葉が守っていた幹や太い枝に、急に強い日光が当たります。すると、繊細なイロハモミジは「幹焼け(日焼け)」を起こして、樹皮が傷んでしまうことがあります。とくに、夏の強い西日が当たる場所では、注意が必要です。心配な場合は、幹に麻布や寒冷紗(かんれいしゃ・日よけの布)を巻いて、日光から守ってあげてください。

あとは、木の回復力を信じて、待ちます。あせって肥料をどっさり与えるのは、弱った木には負担なので避けてください。春先に、控えめに肥料を与える程度にして、夏は乾燥させないよう、水やりに気をつけてあげましょう。

■時期を間違えて、夏に切ってしまった場合

「知らずに、暑い夏に剪定してしまった」。この場合、心配なのは、木が弱って枯れてしまうことです。

対処法としては、とにかく「これ以上、木に負担をかけないこと」です。追加で切るのは絶対にやめ、夏の暑い時期は、土が乾いたら、たっぷり水をあげて、木をいたわります。切り口から、勢いの強い徒長枝がたくさん出てくると思いますが、それも夏のあいだは、そのままにしておいてください。その枝が、弱った木に栄養を送る役目もしているからです。そして、葉が落ちた冬に、あらためて、その徒長枝を整理してあげれば大丈夫です。夏の失敗は、冬に取り返す。そう考えて、夏は木を休ませてあげてください。

イロハモミジがかかりやすい病気と害虫

イロハモミジを健康に保つには、剪定で「風通し」を良くしておくことが、何よりの予防になります。

なぜなら、病気や害虫の多くは、枝が混み合って、風が通らないジメジメした場所を好むからです。逆に言えば、剪定でスカッと風が通る木にしておけば、病害虫はぐっと減ります。剪定と病害虫対策は、いつもセットなのだと覚えておいてください。

■気をつけたい害虫

イロハモミジにつきやすい害虫として、まず挙げたいのが、アブラムシです。春から初夏にかけて、新芽や若い葉の裏に、小さな虫がびっしりつき、汁を吸って木を弱らせます。アブラムシの排せつ物が原因で、葉が黒くすすける「すす病」を引き起こすこともあります。見つけたら、早めに薬剤で駆除するか、数が少なければ、手で取り除きます。

次に、毛虫(ガの幼虫)です。イロハモミジの葉を食べる毛虫が、つくことがあります。放っておくと、葉を食べつくされてしまうので、見つけたら、その枝ごと切り取って処分するか、駆除します。

そして、さきほど剪定時期のところでお伝えした、夏のハチにも、くれぐれも注意してください。ハチは害虫を食べてくれる益虫でもありますが、巣を作られると危険なので、夏に木に近づくときは、ハチがいないか、よく確認してから作業しましょう。

■気をつけたい病気

病気では、さきほど触れた「すす病」のほか、葉に白い粉をふいたようになる「うどんこ病」や、葉に斑点ができる病気があります。とくに、太い枝を切った切り口から、菌が入って、枝が腐る「胴枯れ病」のような症状は、枯れやすいイロハモミジでは注意が必要です。だからこそ、太い枝を切るのは避け、切ったときは切り口に薬を塗る、という対策が大切になります。

早期発見のサインとしては、「葉が黒くすすけてきた」「葉が白っぽくなった」「葉に斑点や穴が出てきた」「太い枝の切り口の周りが黒ずんできた」といった変化です。日ごろから、葉や枝の様子を見る習慣をつけておくと、早めに気づけます。

イロハモミジの剪定におすすめの道具

イロハモミジの剪定には、「よく切れる剪定ばさみ」と「混み合った枝を軽く整える刈り込みばさみ」、そして「太い枝用のノコギリ」があれば、安心して作業ができます。

なぜ、道具にこだわるかというと、切れ味の悪い道具は、枝の切り口をつぶしてしまい、そこから病気が入りやすくなるからです。とくに枯れやすいイロハモミジでは、切り口がきれいかどうかが、木の健康を大きく左右します。スパッときれいに切れた切り口は、木の治りも早いのです。道具は、木の健康に直結する、大切なものなのです。

■剪定ばさみ

イロハモミジの剪定は、細い枝をていねいに切る作業が中心になります。ですから、剪定ばさみが主役の道具になります。混み合った枝をすく作業も、徒長枝を切る作業も、ほとんど剪定ばさみでこなせます。

剪定ばさみは「おの義」のものがおすすめです。なぜなら、切れ味がよく、手になじみやすく、長く使えるからです。切れ味のよいハサミは、軽い力でスパッと切れるので、手の力が弱くなってきた方でも、疲れにくく作業できます。イロハモミジの繊細な細い枝を、きれいに切るのに、ぴったりです。

■刈り込みばさみ

冬まで待てず、夏に伸びた分だけを軽く整えたいときには、刈り込みばさみが便利です。両手で持って、表面をサッと刈りそろえる道具です。刈り込みばさみも「おの義」のものがおすすめです。切れ味がよく、軽い力で刈れるので、広い面を整えるのも楽です。ただし、刈り込みばさみは、あくまで「夏の応急処置」や「軽い整え」に使うもので、細かい剪定は、冬に剪定ばさみで行ってくださいね。

■ノコギリ

基本的に、イロハモミジは太い枝を切らないのがコツですが、どうしても太い枝(親指より太いもの)を切る必要があるときは、剪定用のノコギリを使います。無理にハサミで切ると、ハサミも傷みますし、切り口もつぶれて、枯れの原因になります。太い枝には、素直にノコギリを使い、切ったあとは、忘れずに切り口に薬を塗りましょう。

■作業後の道具の手入れ

作業が終わったら、道具のお手入れも忘れずに。刃についた汚れや樹液を、布でよく拭き取ります。汚れたまま放っておくと、サビたり、切れ味が落ちたりします。

とくに、病気の枝を切ったあとは、刃をきれいに拭いて、消毒用のアルコールなどでふいておくと安心です。汚れた刃で次の枝を切ると、病気をうつしてしまうことがあるからです。最後に、刃に薄く油をぬっておくと、サビ止めになって、長持ちします。道具を大切にすると、道具も長く、よく働いてくれますよ。

切った枝の処分とご近所マナー

剪定で出た枝葉は、お住まいの自治体のルールに従って、「燃えるゴミ」として出すのが、いちばん手軽で安く済む方法です。

なぜなら、業者に処分を頼むとお金がかかりますが、自分でゴミに出せば、基本的に無料か、わずかな費用で済むからです。ただし、出し方には少しコツがあります。

■枝を楽にゴミに出すコツ

多くの自治体では、太い枝は「長さを切りそろえて、ひもで縛る」というルールがあります。たとえば「50センチ以下に切って、ひもでしばって束にする」といった具合です。お住まいの地域のルールは、自治体のホームページや、ゴミ収集カレンダーで確認してください。

イロハモミジは、細い枝がたくさん出るので、剪定しながら、その場で短く切りそろえて、まとめていくと、あとが楽です。細い枝や葉っぱは、ゴミ袋に入れて「燃えるゴミ」に出します。袋がパンパンにならないよう、足で軽く踏んで、かさを減らすと、袋の数が減って経済的です。

なお、秋の落ち葉は、量が多くなります。イロハモミジの紅葉した落ち葉は美しいですが、放っておくと、たまって滑りやすくなったり、ご近所に飛んでいったりします。こまめに掃き集めて、燃えるゴミに出すか、お庭の隅で腐葉土にして、土に返してあげるのもおすすめです。

■お隣にはみ出した枝のマナー

イロハモミジは横に枝を広げる木なので、枝が、お隣の敷地にはみ出してしまうことがあります。このとき、トラブルにならないための、大切なマナーがあります。

それは、「自分の判断で、勝手にお隣の敷地のほうへ手を伸ばして切らない」ことです。はみ出した枝も、あくまで自分の木のものです。いちばんよいのは、はみ出す前に、こまめに自分の敷地側から剪定して、枝を広げすぎないことです。

それでもはみ出してしまった場合は、「枝がそちらに伸びてしまってすみません、切らせていただきますね」と、ひとこと声をかけてから作業すると、おたがい気持ちよく過ごせます。とくにイロハモミジは、秋に大量の落ち葉が出るので、お隣の落ち葉掃除を少し手伝う気づかいなどがあると、ご近所づきあいが、ぐっと円満になりますよ。

自分でやる限界と、業者に頼む目安

イロハモミジの剪定は、低い枝の細かい手入れなら自分でできますが、「高さ3メートルを超える作業」や「太い枝を切る必要があるとき」は、無理をせず、プロの植木屋さんに頼むことをおすすめします。

なぜなら、高い場所での作業は転落の危険が大きく、また、太い枝の処理は、枯れやすいイロハモミジでは、失敗すると木全体をだめにしてしまうからです。お庭の手入れは、楽しみのためにするもの。それでケガをしたり、大切な木を枯らしたりしては、元も子もありません。

■こんなときは、プロに頼みましょう

具体的に、次のような場合は、プロに任せたほうが安全で確実です。

ひとつ目は、脚立に乗っても手が届かない、高さ3メートルを超える枝を切るとき。高所での作業は、プロでも命綱を使う、危険な仕事です。

二つ目は、太い枝を切って、木を小さくしたいとき。イロハモミジは太い枝の切り口から枯れやすいので、どこをどう切れば木を弱らせないか、プロの判断が必要です。

三つ目は、幹の芯が腐っていたり、根元にキノコが生えていたり、太い枝の切り口が黒ずんで腐ってきたりしたとき。木が弱っているサインなので、専門家に見てもらいましょう。

四つ目は、「自然な枝ぶりの美しさを、自分ではうまく出せない」とき。イロハモミジの繊細な樹形づくりは、職人の腕の見せどころです。一度プロに整えてもらって、その形を参考に、あとは自分で維持していく、というのも賢い方法です。

プロに頼むのは、決して「負け」ではありません。自分の身を守り、枯れやすい大切な木を守るための、かしこい選択です。細い枝の手入れは自分で楽しみ、太い枝や高い場所はプロに任せる。この線引きが、イロハモミジと長く付き合う、いちばんのコツです。

イロハモミジの剪定・よくある質問Q&A

最後に、イロハモミジについて、よく寄せられる質問に、お答えしていきます。

Q1. やっぱり夏に切ってはいけませんか?お盆前にきれいにしたいのですが。

おすすめはできません。夏に切ると、切った以上に枝が伸びてしまい、木も弱りやすく、ハチの危険もあります。どうしてもお盆前に整えたい場合は、太い枝には手をつけず、伸びた分だけを刈り込みばさみで軽く整える程度にとどめ、本格的な剪定は冬に行ってください。

Q2. 紅葉がきれいに色づきません。剪定のせいですか?

剪定の時期や、切りすぎが影響していることもあります。また、紅葉は、日当たりと、昼夜の寒暖差で決まる部分が大きいです。風通しと日当たりを良くする冬の剪定をしたうえで、日当たりの良い場所であれば、きれいに色づきやすくなります。

Q3. 太い枝を切ったら、切り口から枯れてきました。どうすれば?

イロハモミジは太い枝の切り口から枯れやすい木です。これ以上枯れが広がらないよう、枯れた部分を、健康な部分まで切り戻し、切り口に癒合剤(ゆごうざい)を塗ってください。今後は、できるだけ太い枝を切らず、細い枝で樹形を整えるようにしましょう。

Q4. 剪定はいつまでに終わらせればいいですか?

2月に入る前までに終わらせてください。2月ごろになると、見た目は眠っていても、木はもう活動を始めています。この時期に切ると、切り口から水分が出て、木が弱ります。葉が落ちた12月から1月のあいだが、いちばん安全です。

Q5. 剪定する前に、お神酒(おみき)をあげたほうがいいですか?

これは、昔からの心づかいとして、とても素敵なことです。木に感謝し、「これから切らせてもらいますね」という気持ちで手を合わせる。そうした心持ちで作業をすると、自然とていねいな剪定になるものです。気持ちが向くなら、ぜひやってみてください。木を大切に思う気持ちは、必ず良い手入れにつながります。

Q6. 切り口に、薬は塗ったほうがいいですか?

細い枝なら、塗らなくても大丈夫です。ただ、イロハモミジは枯れやすい木なので、直径2~3センチを超える枝を切ったときは、必ず市販の「癒合剤(ゆごうざい)」を塗ってください。切り口にフタをして、雑菌や腐りが入るのを防ぎ、木の傷の治りを助けてくれます。これは、イロハモミジでは特に大切な作業です。

Q7. イロハモミジとヤマモミジ、剪定方法は違いますか?

剪定の考え方は、ほとんど同じで大丈夫です。どちらも、冬に、混み合った細い枝をすくように間引き、太い枝は切らない、という基本は共通しています。どちらも枯れやすい繊細な木なので、やさしく手入れしてあげてください。

イロハモミジは、繊細でデリケートな分、手をかけてあげた分だけ、美しい姿と紅葉で応えてくれる木です。このページを参考に、ぜひ、冬の正しい時期に、やさしく手入れをして、秋の燃えるような紅葉を、長く楽しんでくださいね。

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