シラカシ(白樫)は、常緑性の樹木で、日本庭園や生垣として広く利用されています。
ここではシラカシの剪定時期と剪定方法について解説します。
シラカシの剪定時期
シラカシは樹勢が強く樹高が高くなりやすい木で、独立した一本一本の木として観賞するよりも、敷地の北側や西側の外周に並べて風よけとして植えられ高垣として刈り込んで用いられることが多いようです。
シラカシは、落葉樹のようにどこを切ってもよく萌芽するほど成長力が旺盛な木なことから、年2回の剪定で生長を押え樹形を保つとよいです。
シラカシを剪定する時の適期は地域によって前後しますが、5月から6月と、9月から11月の2回が一般的によいようです。
5月から6月の1回目にシラカシを剪定する場合は、骨格づくりをする剪定で、太くて大きな枝から小さい枝の部分まで行います。
10月から11月の2回目に剪定する場合は、伸びすぎた枝葉や混みすぎた枝、枯れ枝などの間引き作業を中心に行います。
シラカシの適切な剪定時期
■梅雨前の剪定(5月~6月)
5月~6月頃は、新芽が伸びた後の時期になります。
この時期の剪定は、勢いよく伸びた枝を整理することで、夏の成長をコントロールできます。
■秋(9月~11月)
これまでに伸びすぎた枝葉や混みすぎた枝、枯れ枝などの間引き作業を中心に行なう時期です。
この時期に、剪定作業を行なっておくと、来春までの長い期間、ほぼ樹形が変わらないままでいられるメリットがあります。
雪が積もる地域では、積雪時の枝折れによる災害を防ぐことが可能です。
避けたほうがよい剪定時期
■真夏(7月~8月)
強い日差しや暑さで樹木がストレスを受けやすく、剪定によるダメージが大きくなりやすい時期なので不適です。
■冬期剪定(12月~2月)
常緑樹の性質上、厳寒期の12月から2月の間は剪定を行わないようにしたほうがよいです。
特に、寒さが厳しい真冬は避けるべきです。
シラカシの剪定方法
シラカシの剪定をする目的
シラカシの剪定の目的は、間引き剪定と切り戻し剪定により大きさを一定に保ち、上に上にと伸ばさないようにすることです。
シラカシは樹勢が強く成長力が旺盛なので、徒長した枝や枯れ枝は全て切って、弱い小枝を残すようにします。
剪定方法をする際の道具
■剪定バサミは、細い枝を切るのに使用します。
■ノコギリは、剪定バサミで太刀打ちできなかった太い枝を切るのに使用します。
■三脚は、高い場所の剪定に使用します。脚立よりも安心して作業することができます。
■ゴム手袋や軍手、目を守るメガネ、高所から落ちないような保護具など、安全を確保するための基本的な装備があるとよいです。
基本的なシラカシの剪定方法
シラカシは自然樹形が美しいため、樹形を保ちながら整える剪定をするのがポイントです。
上部を軽く整えて、ピラミッド型や円形のシルエットにするとバランスが良くなります。
■枯れ枝や病害虫がついた枝など、木の健康を維持するために不要な枝を除去します。
■交差枝・長く伸びすぎた徒長枝など、樹形を乱す枝や、風通しを悪くする枝を取り除きます。
■根元付近から出てくる不要な若い新芽(ひこばえ)は、その場所で養分を吸い取り生長します。
■ひこばえは、上部に上がるための養分をそこで遮断している可能性が高いので必ず取り除きます。
シラカシの剪定の手順
シラカシの剪定の手順として、
■シラカシを全体的に見て、大まかな形を確認します。
■細かなところまで確認して、最終的な樹形をイメージします。
■作業の手順として、まずは枯れ枝や不要な枝を枝の基部から切り落とします。
■やりながらでも良いですが、初めにやっておくと枝数が減るのでやりやすくなります。
■上部の形を軽く整え、下部に少しボリュームを残すことで自然な仕上がりにします。
■最後に剪定後のバランスを確認し、細かい調整を行います。
シラカシの具体的な剪定方法を解説
剪定の要領はまず全体の枝ぶりを見ることから始まり、徒長する強い枝がないか確認し、立ち枝や逆さ枝、枯れ枝などの不要な枝も確認して間引く作業をします。
不要な枝を除いたら次に混みすぎた部分を透かします。
たとえば、一か所から何本もの枝が出ていたら太くて長く伸びた枝を優先に切り取り、弱い枝2、3本を残すようにして透かしていきます。
残った小枝の部分も全体の樹冠を見ながら、葉を2、3枚残して枝を切り詰める作業をします。
シラカシは、けっこう強い切込みにも耐える木なので、枝が古くなって萌芽力が弱まってきたら深い位置で切り戻して新しい芽を出させ枝を更新していくとよいです。
シラカシは上側部分ほど樹勢が強い性質があるので、上部分を優先して透かす剪定をし、下部分は弱目の剪定をします。
若木の場合はまだ樹形が整わないので強い剪定を避けるようにして、ある程度の大きさになって枝ぶりを決めてから仕立てるのがよいです。
高垣の場合は枝を均等に配置する必要がありますが、剪定だけでうまく配置できない場合があります。
特に下側は隙間が出やすいこともあるので、その場合は枝を誘引して隙間を埋めるようにします。
剪定時の注意点
太い枝を切った場合は、切り口に癒合剤(トップジンなど)を塗って病害虫の侵入を防ぎます。
一度に切りすぎると木に負担がかかりやすいので、全体の枝の20~30%を目安に適度に剪定します。
切った枝や葉は、剪定後そのままにしておかないで、きれいに片付けることで病害虫の発生を防ぎます。
これらを参考に、シラカシの剪定を実施してください。
適切な剪定は、健康な生長と美しい樹形を保つのに役立ちます。