
シダレザクラ(しだれ桜)を落葉期以外の、葉が生い茂る時期に剪定してしまうと、切ったところから枯れが生じやすいです。
ここではシダレザクラ(しだれ桜)を枯らさないで、花を咲かせる剪定時期と剪定方法についてお伝えします。
シダレザクラは大きくなったと気づいた時に切ると枯れる
シダレザクラは、その優美な枝垂れた姿が魅力的な樹木ですが、適切な剪定を行わないと樹勢を弱めたり枯らしてしまうことがあります。
ほとんどの方は、シダレザクラの葉っぱが生い茂り大きく見えた頃がうっとうしく感じる時期で、その時に枝葉を大胆に切ろうとすることで太い枝を切る羽目にり、枝は枯れ、だんだんと木全体も衰弱する可能性が高いようです。
そして、なにやら病害虫が増え目立ってきた時にもシダレザクラを意識するようになり、大きくなった樹形に気づくようです。
それ以外で大きくなったと気づくのは花が咲く時くらいしか見る機会がなく、シダレザクラのことはほとんど気にかけないようです。
大きくなったと気づいたその時は、ちょうど葉っぱが生い茂る活動期です。
太い枝を切ってしまいたくなるでしょうが、それをすると枯れる可能性が高くなることを気に留めてください。
ではシダレザクラの剪定時期はいつならよいのでしょう。
シダレザクラはなんで枯れるのか?その原因はなに!
そもそもシダレザクラはなんで枯れるのか気になりませんか?
シダレザクラ(しだれ桜)が枯れる原因には、いくつかの要因が考えられます。
その原因についてくわしくお伝えします。
1. 適切に剪定をしていない・過剰な剪定が原因で枯れる
シダレザクラが枯れる原因として、「適切な剪定を行なっていなかったり」、「過剰な剪定をしている」ことがあげられます。
「適切な剪定を行なっていない」ことに関しては、切るべきところを切らなかったり、切らなくてもよい所を切ってしまうことがあげられます。
「切るべきところ」とは、枝が混みあっていたり、交わっているところが主です。
そのような個所では、風通しや日当たりが悪くなって、病害虫の発生や枝葉の枯れを引き起こします。
「切らなくてもよい所」とは、たとえば何も考えずにバッサバッサと切ってしまったり、樹勢に影響するような箇所を切ってしまうことです。
「過剰な剪定」に関しては、「切らなくてもよい所」にも当てはまりますが、一度に太い枝をたくさん切りすぎると樹勢が弱ってしまい、切り口から病原菌に侵されやすくなります。
シダレザクラは剪定においてとてもデリケートな樹種であり、枝を切りすぎると樹木の活力が低下しやすいです。
2. 病害虫の発生が原因で枯れる
シダレザクラはてんぐ巣病や根腐れ病などの病気にかかりやすいです。
カミキリムシやアブラムシなどが樹木を加害し、枝や根を傷つけることで枯れにつながります。
病害虫によって引き起こされる枝や幹の損傷は、樹木の栄養吸収や光合成を妨げ、最終的に樹勢を弱めることになります。
また、根や幹を樹体の内部から破壊されることで枯れるもあります。
3. 土壌の水はけや土壌環境の悪化が原因で枯れる
土壌が常に湿っている過湿状態であると、根が呼吸できず、根腐れを引き起こします。
その状況が続くとやがて樹勢が悪くなり枯れることになります。
また、極端に乾燥した状態である時にも根が枯れる原因になります。
シダレザクラは水はけの良い土壌を好むことからこのようなことが起こります。
過湿や乾燥によるストレスが長期間続くことで、健康な成長が妨げられ枯れる原因につながります。
4. 栄養不足が原因で枯れる
土壌が良好な場合には肥料は必要はないので気にすることはありません。
しかし、土壌の状態が劣悪な場合には、適切な肥料を与えないと土壌中の栄養が不足し、樹木が健康を保てなくなり樹勢が悪くなり枯れにつながります。
栄養不足を引き起こすと、新芽や花の形成に悪影響を与え、樹木の成長を停滞させた、病害虫への耐性も低下します。
5. 根の損傷が原因で枯れる
幹の根元付近にはたくさんの根が密集しています。
その根を人や車、重量のある構造物が圧をかけたり踏みつけたりすることで根が傷んだり呼吸ができない状態に陥ります。
また、根を傷つけることで、シダレザクラが水や養分を吸収できなくなります。
根の周囲の土壌が固まると、根の成長が妨げられるので、過剰な根の踏み固めは禁物です。
根が損傷すると、木全体の健康に直結して影響が出ます。
特にシダレザクラは、根を切られるとストレスを感じやすい樹木なのです。
6. 環境ストレスが原因で枯れる
強風で枝が折れたり、日陰の多い場所で十分な光を受けられずに日照不足になると、樹勢が弱まります。
極端な寒さや暑さ、降水量の変化など気候の変化が樹勢に影響を及ぼします。
環境によるストレスは意外とノーマークで、シダレザクラの活力を低下させ、病害虫の被害を受けやすい要因になります。
7. 古木化や老化が原因で枯れる
シダレザクラは年数が経つと樹勢が弱まりやすくなる木です。
シダレザクラなどサクラの類は古木になると自然に衰えてくるため、適切な剪定や土壌改良でサポートする必要があります。
シダレザクラが枯れる原因の対策まとめ
- ■剪定を意識して行う: 適切な剪定時期に、太い枝を切らずに少しずつ剪定を行なう。
- ■病害虫対策: 定期的に樹木の状態を観察したり、薬剤散布などで対処する。
- ■土壌管理: 水はけを良くしたり土壌の状態を良くする対策をする。必要に応じて肥料を与える。
- ■環境配慮: 樹木に合った場所に植えることで、強風や日陰を避けられる可能性がある。
- ■根の保護: 根の周囲を踏みつけ等をして傷つけないように注意する。
これらのポイントを実践すれば、シダレザクラを健康に保ち、枯れるリスクを減らせる可能性があります。
シダレザクラを枯らさない剪定時期はいつがいい?
シダレザクラの剪定は基本的に落葉時期に行うと枯れる可能性が低くなります。
具体的な剪定時期で言えば、葉が落ちた直後の 11月頃から、木が動き始める前の 2月ころまでが一番よいです。
休眠状態である冬期は、シダレザクラが葉を落とし、枝の混み具合がよくわかるので剪定がしやすいです。
一般の人達はどうしても、葉っぱが生い茂った、うっとうしくなった夏場にサッパリしたいから剪定をするものだと思っています。
でもそれは、来年の花芽の数も減らしますし、葉っぱがついている成長期に切ると、そこからさらに枝葉が伸びようとするので木が疲れ、樹勢を弱めるので枯れる原因となります。
冬期剪定はできない!その場合の剪定時期はいつ良いか?
「冬期の剪定なんて寒くてできない!」という方もいると思います。
シダレザクラだけでなく落葉樹は冬期にするのがおすすめですが、花が咲き終わった直後の4月~5月ごろに行うことができます。
花が咲き終わった後は、桜が新芽を伸ばす時期に入るため、このタイミングで剪定することで樹木へのダメージを最小限に抑えられるからです。
夏になる前に剪定を終えることで、次の年の花芽形成に悪影響を与えません。
ただし、太い枝の剪定をすると枯れる可能性があるので、この時期にはできるだけ行わないで、冬期まで待って行うようにしてください。
夏に剪定したいけどできるの?
花後の直後の時期の剪定を逃した場合、、、最悪の場合を想定しましたが、夏に剪定してもかまいません。
しかしその場合は、簡易的な剪定でとどめることです。
シダレザクラを育てるメリットは、春にたくさん枝垂れる花を見ることでしょうから、あまり多くの枝を切ると花芽の数を減らします。
なので伸びすぎた枝先や混んだ枝葉だけを切るような剪定にとどめるようにします。
例えば、突発的に伸びたような徒長枝は樹勢も弱め、樹形も悪くなるので生え際から切り取ります。
これだけでもかなり空間ができるし形も整うと思います。
とにかく夏場の剪定は、太い枝には手をかけず、樹形を乱す徒長枝を切ったり、風通しを良くするための軽めの剪定が目的です。
シダレザクラの剪定は落葉期がいい理由
夏場の生長期に剪定すると切り口から樹液が出て樹勢を弱めたり、切り口に腐敗菌が繁殖して枯れる恐れがあるので、葉が落ちた直後の 11月頃から 2月ころまでに剪定してください。
「サクラ切るバカ、ウメ切らぬバカ」という言葉を知っているでしょうか?
シダレザクラは夏場の生長期に剪定をすると、切り口から腐れ始めますし、切ったところから徒長枝が出始めそこに樹勢が集中するので木が弱り枯れる可能性が高いです。
また、徒長枝が出ると枝がさらに生い茂るので、日当たりや風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすい状態になりさらに枯れる危険祭が高くなります。
剪定のポイントは、太枝で切ると切り口が枯れる可能性が高いので、毎年忘れないで小さな枝のうちに剪定することです。
剪定後の切り口は、特に太枝はユゴウ剤やツギロウを厚めにどっぷり塗って、切り口からの枯れ込みや菌の繁殖を防ぐようにして下さい。
木が大きくなる前に気づいて細い枝の時にマメな剪定をしてあげてください。
シダレザクラの花芽形成時期はいつ?
シダレザクラの花を来春に見るための剪定をするには、花芽ができる時期を知る必要があります。
シダレザクラは、開花後に伸びた短い枝に夏(6~8月)ころ花芽ができて、冬に休眠し次の年の春に花を咲かせます。
花芽形成後に剪定することで、来春の花芽を減らすことになることを覚えておいてください。
花芽形成後であっても冬期剪定の場合、花芽を確認しながら剪定できる可能性が高いことが、落葉後の剪定が良い理由でもあります。
ソメイヨシノの場合ですが、6月ころすでに花芽の形成が始まっているという報告もあるようです。
シダレザクラの花を咲かせる剪定時期のまとめ
シダレザクラの剪定は、以下の時期を選ぶのがベストです。
- ■花が咲き終わった直後(4月~5月ごろ)
- ■休眠期(12月~2月ごろ)
- ■最悪、夏期の剪定時期では、樹形を乱す枝先を軽めに切ります。
- ■覚えていてほしいのが、シダレザクラの花芽の形成時期は、6~8月頃です。
花が咲き終わった後は桜が新芽を伸ばす時期に入るため、このタイミングで剪定することで樹木へのダメージを最小限に抑えられます。
夏になる前に剪定を終えることで、次の年の花芽形成に悪影響を与えません。
花後の剪定なら徒長枝の除去と軽めの剪定をします。
冬の休眠期に行う剪定がベストです。
この時期は樹木が活動を停止しているため、切り口の負担が少なくなります。
そして、葉っぱが落ちてなくなるので樹形の内部がすっかり見え作業が楽になります。
シダレザクラ(しだれ桜)の剪定方法
シダレザクラの冬期の剪定方法で気をつけることは、翌春に咲く花芽を確認して花芽を残して切ることが可能です。
枯れ枝などの不要枝を外すだけで随分木の形が整いますので、形を崩す枝や徒長枝などの不要枝はつけ根から切ります。
特に木の内側に向かって伸びる枝は、思い切ってすっかり切りとります。
枝葉が生い茂るということは日当たりや風通しが悪くなりますし、病害虫が発生する確率が高くなるので、それを阻止するためにも剪定します。
シダレザクラの剪定、図で解説
シダレザクラの剪定のコツは、幹に近い懐部分の空間を広く大きく作ることです。
シダレザクラに限らず枝垂れる木の特長は、下に下に枝が落ちるように伸びていくので、基本的に枝垂れる木の剪定は、切る元枝の下(内側)に伸びる枝(オレンジ色の腺)を切り、上(外側)に伸びる枝を残します。
元枝から下に伸びる枝を残して(紫色の腺で)切ってしまうと幹に向かっていく枝ばかりが残り、
窮屈で密集した枝の木になります。
シダレザクラの枝は自然と下に下に落ちていくように伸びていくようになっているので、剪定のコツは、懐を大きく作るように上(外側)に伸びる枝を残すように切ると良いです。
シダレザクラ(しだれ桜)の剪定方法のポイント
剪定する位置を一部分だけ示しました。(この画像はシダレウメです)
何度も言いますが、シダレザクラは下に下にと枝が伸びていくので、枝の上に向かう芽を伸ばして、上から落ちていくような枝ぶりを作ってやります。
- 1.下に向かって伸びている枝を全て切る
- 2.赤丸で示すように下に真っ直ぐに伸びる黄色の枝を切って、切り口近くの上に向かって一度伸びて下に落ちる枝を活かすように切る
この赤丸のポイントで切ることで、樹形内部に空間ができるし、今は上に向かっていく残った枝も次第に下にたれるように伸びていきますので、見栄えも大分変わってきます。
シダレザクラの花を咲かせる剪定方法のまとめ
- 1. 枯れ枝や病気の枝の除去
- 2.混み合い交差した枝の間引き
- 3. 不要な徒長枝を切る
- 4. 切り口の処理
目的: 健康な成長を促す
枯れ枝や病気の枝は放置すると樹木全体に悪影響を及ぼすため、基部から切り取ります。
目的: 通風と日当たりを良くする
枝が密集しすぎると、風通しが悪くなり病害虫が発生しやすくなります。
特に内側に向かって伸びる枝や交差している枝を取り除きます。
目的: 美しい樹形を保つ
垂れすぎた枝や長く伸びすぎた徒長枝など樹形を乱す枝は、適切な位置で切り戻します。
枝の分岐点でカットすることで自然な仕上がりになります。
剪定後は切り口が病原菌の侵入経路になる可能性があります。
必ず癒合剤(樹木用のペースト)を塗布して保護してください。
適切に剪定を行えば、美しい姿を長く楽しむことができます。