栗の木に虫こぶが発生!原因はなに?病気なの?枯れるの?

栗の木の枝先になにやら直径2cmくらいの丸いものを発見したことはないですか?
それは「虫こぶ」といって、クリタマバチが栗の新芽に産卵して発生する被害の一種なんです。

もしもこれが大発生してしまった場合、最悪、栗の木は全滅するかもしれません。

虫こぶとはなんだ?

この気持ち悪い正体は「虫こぶ」っていうのですが、虫こぶというのはいろんな寄生生物の寄生によって、植物体が異常な成長をすることで形成されるんですが、その時に植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のことなんです。虫えい(ちゅうえい)とも呼ばれています。

寄生(きせい)という言葉をよく聞くと思いますが、この場合の「寄生」の意味というのは「共生」の一種のようです。「共に生きる」と書きますが、全くその通りで「ある生物A」が「他の生物B」から栄養を持続的かつ一方的に収奪する場合の言葉のようです。

虫こぶはよく葉っぱに見られますがその他にも草類の茎や樹木の細枝、花や果実などに見られることもあるようです。

昆虫の寄生によって形成されるものが多いようですが、ダニや線虫によるもの、菌類や細菌によるものもあり、すべてをまとめて虫こぶと呼ぶ場合が多いです。

マニアックですが「日本原色虫えい図鑑」という虫こぶについての図鑑もあるらしいです。
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日本原色虫えい図鑑

虫こぶのでき方

虫こぶのでき方は、例えば栗にできる虫こぶの場合、クリタマバチというハチが寄生元で起こり、クリタマバチが幼虫をその中で育てるために、栗の新芽に産卵して膨れることで虫こぶができます。寄生したら栗の実はなりません。

クリタマバチの成虫は体長3mmくらいの小さなハチで、7月頃成虫になり虫こぶから外に出ます。

1.成虫になったクリタマバチはすぐに新芽に産卵する
→2.孵化した幼虫は芽の中にもぐり込んで越冬する
→3.翌年の4月項から幼虫の入った芽が異常に肥大して虫こぶになる
→4.幼虫は虫えいの内部を食べながら急速に成長して蛹から成虫になる
→1.成虫になったクリタマバチはすぐに新芽に産卵する

クリタマバチはこの4サイクルを繰り返して虫こぶはできます。

はじめに卵の状態のころは虫こぶはそれほど目立たないですが、幼虫、蛹と成長していくうちに大きく膨れ上がり色づいて立派な虫こぶとなるみたいです。

クリタマバチがクリに寄生してできる虫こぶを説明しましたが、他の樹木も虫や菌類による違いはあるかもしれませんが、同じように虫こぶが発生するのではないかと思います。

虫こぶは病的なものは恐ろしく感じますが、美しい色のものやどことなくアートさえ感じるものまで存在します。なんでこんな綺麗な虫こぶになったのかはわかりませんが、綺麗なものほど毒があるといいますから見た目では判断できないです。もしかしたら危険なものなのかもしれませんよ。

虫たちの生態には感心させられます。例えば先ほど例に挙げたクリタマバチの場合、栗の新芽に卵を産み付けるとその住みかが自分のエサになり、おまけに外敵もいないわけですから、苦労しないで大きくなれるわけです。そんなことをどこから教わるのか、本能に備わっているのかわかりませんが、その生態には感心させられます。

栗にできる虫こぶの中には何が入っているの?

庭師になる前に、うちの栗の木の虫こぶを最初に見たときは「栗の実が可愛くなったのかな?」くらいにしか思っていませんでした。

しかし、その年の栗の実は半減し、その次の年は「虫こぶ」が前年よりもたくさんできました。そして栗の実は全くならなくなり、次の年は葉っぱすら生えなくなりました。栗の木が全滅したようです。

これが、庭師になって初めて「虫こぶ」と「クリタマバチ」の関係を知った時です。

虫こぶの大きさは 直径が15mmくらいのものが多いようで、栗の木に虫こぶが見つかった場合、ひとつの枝にできる虫こぶの数は複数個できている場合が多いようです。

虫こぶはクリタマバチが産卵して幼虫をその中で育てるために膨れるのですが、その膨れた虫こぶの中身には幼虫が育つ部屋があって、それぞれの部屋で幼虫が1匹ずつ成育します。

虫こぶの中身は、クリタマバチの幼虫が虫こぶの中で、大手を振って生き抜いて成虫になる時期を待っています。

虫こぶを切断したら、中にクリタマバチの幼虫が寄生していた!
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クリタマバチってなんだ?

クリタマバチはクリの新芽に虫こぶを作る中国原産の害虫です。クリタマバチは昔からいた虫ではなく1941年に岡山県で初めて発見されました。1950年代には急速に分布を拡大して沖縄県を除く全国で深刻な被害が拡大しました。クリタマバチはメスだけで繁殖することができオスは見つかっていません。

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成虫は体長3mmくらいの小さなハチで、6~7月に成虫になり虫こぶから外に出ます。

1.成虫になったクリタマバチはすぐに新芽に産卵する
→2.孵化した幼虫は芽の中にもぐり込んで越冬する
→3.翌年の4月項から幼虫の入った芽が異常に肥大して虫こぶになる
→4.幼虫は虫えいの内部を食べながら急速に成長して蛹から成虫になる
→1.成虫になったクリタマバチはすぐに新芽に産卵する

クリタマバチはこの4サイクルを繰り返すようです。

虫こぶができると枝葉の生育や開花結実が阻害されるので、栗の実の数が激減して収穫ができなくなり、最悪の場合栗の木自体が枯死することもあります。

クリタマバチの撃退について

栗の品種の中から虫こぶができない耐虫性品種として全国に植栽されるとクリタマバチの被害は沈静化しました。ところが耐虫性品種も被害を受けるようになったので、今度は原産地の中国からチュウゴクオナガコバチというハチ輸入されました。

その後もこのハチは全国各地で順調に自然繁殖しクリタマバチの被害を食い止め減少していく方向にあると期待されます。

クリタマバチが虫こぶを作るとどうなる?

クリタマバチによって虫こぶができると最悪の場合、栗の木が枯れてこうなっちゃいます。

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クリタマバチの防除方法は?

クリタマバチの防除方法は、虫こぶから成虫が羽化脱出する6月下旬~7月中旬頃までに、アグロスリン水和剤というのを使用することもあるらしいです。

そもそも虫こぶができれば実はならないので、虫こぶができている枝ごと切ってしまう方法が、防除法として可能性が高いのかなと思います。

栗の木が高すぎて届かない場合は、申し訳ないですがその栗の木はあきらめるか、その後の様子を伺って対応するしかないのかもしれません。

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