栗の木の枝先になにやら直径2cmくらいの丸いものを発見したことはないですか?
それは虫こぶといって、クリタマバチが栗の新芽に産卵して発生する被害の一種なんです。
もしもこれが大発生してしまった場合、最悪、栗の木は全滅するかもしれません。
虫こぶってなんだ?
庭師になる前だったので、うちの栗の木の虫こぶを最初見たときは栗の実が可愛くなったのかなくらいにしか思っていませんでした。
その年の栗の実は半減し、その次の年は虫こぶが前年よりもたくさんできました。そして栗の実は全くならなくなり、次の年は葉っぱすら生えなくなりました。栗の木が全滅したようです。
庭師になって初めて虫こぶとクリタマバチの関係を知りました。
虫こぶの大きさは 直径が15mmくらいのものが多いようで、栗の木に虫こぶが見つかった場合、ひとつの枝にできる虫こぶの数は複数個できている場合が多いようです。
虫こぶはクリタマバチが産卵して幼虫をその中で育てるために膨れるのですが、その膨れた虫こぶの中身には幼虫が育つ部屋があって、それぞれの部屋で幼虫が1匹ずつ成育します。
虫こぶを切断したら、中にクリタマバチの幼虫が潜んでいた!
クリタマバチってなんだ?
クリタマバチはクリの新芽に虫こぶを作る中国原産の害虫です。クリタマバチは昔からいた虫ではなく1941年に岡山県で初めて発見されました。1950年代には急速に分布を拡大して沖縄県を除く全国で深刻な被害が拡大しました。クリタマバチはメスだけで繁殖することができオスは見つかっていません。
成虫は体長3mmくらいの小さなハチで、6~7月に成虫になり虫こぶから外に出ます。
1.成虫になったクリタマバチはすぐに新芽に産卵する
→2.孵化した幼虫は芽の中にもぐり込んで越冬する
→3.翌年の4月項から幼虫の入った芽が異常に肥大して虫こぶになる
→4.幼虫は虫えいの内部を食べながら急速に成長して蛹から成虫になる
→1.成虫になったクリタマバチはすぐに新芽に産卵する
クリタマバチはこの4サイクルを繰り返すようです。
虫こぶができると枝葉の生育や開花結実が阻害されるので、栗の実の数が激減して収穫ができなくなり、最悪の場合栗の木自体が枯死することもあります。
クリタマバチ撃退
栗の品種の中から虫こぶができない耐虫性品種として全国に植栽されるとクリタマバチの被害は沈静化しました。ところが耐虫性品種も被害を受けるようになったので、今度は原産地の中国からチュウゴクオナガコバチというハチ輸入され、その後もこのハチは全国各地で順調に自然繁殖しクリタマバチの被害を食い止め減少していく方向にあると期待されます。
クリタマバチによって虫こぶができるとどうなる?
クリタマバチによって虫こぶができると最悪の場合栗の木が枯れてこうなっちゃいます。
クリタマバチの防除方法は?
クリタマバチの防除方法は、虫こぶから成虫が羽化脱出する6月下旬~7月中旬頃までに、アグロスリン水和剤というのを使用することもあるらしいです。
栗の木がそんなに高くなく届く範囲なら栗の実はいったんあきらめて、というか虫こぶができれば実はならないので、虫こぶができている枝ごと切ってしまう方法が確実かと思います。
栗の木が高すぎて届かない場合は、申し訳ないですがその栗の木はあきらめるか、その後の様子を伺うしかないのかもしれません。