ザクロの花と実をつける剪定時期と剪定方法

はじめに

ザクロは、初夏に鮮やかな赤やオレンジの花を咲かせ、秋には赤い実をつける、見ても食べても楽しい木です。昔から、お庭の縁起木として親しまれてきました。ただ、ひとつだけ、剪定する人を悩ませる、やっかいな特徴があります。それは「トゲ」です。

正直に申し上げると、私自身、トゲのあるザクロは、できれば剪定を避けたいと思うほどの木です。それくらい、何も知らずに手を出すと、痛い思いをします。でも、コツさえつかめば、トゲにやられず、しかも花と実をしっかり楽しめるようになります。

このページでは、ザクロの剪定について、「いつ切るのか」「どう切るのか」という基本はもちろん、「痛いトゲから身を守る方法」「切りすぎてしまったときの直し方」「かかりやすい病気や害虫」「使うと楽な道具」「切った枝の捨て方やご近所マナー」まで、まるごと解説していきます。

なぜ、ここまで盛りだくさんにお伝えするのか。理由は、ザクロの剪定で困っている方の多くが、「時期と方法」だけを調べても、結局その先で立ち往生してしまうからです。たとえば「トゲが怖くて手が出せない」「花や実をつけたいのに、毎年咲かない」といった具合です。

ですから、このページを上から順に読んでいただければ、ザクロの剪定に関する不安は、トゲの痛みも含めて、ひとつ残らず解消できるはずです。どうぞ、ゆっくり読み進めてくださいね。

ザクロの木の特徴を知ろう

ザクロの剪定を上手にするには、まず、この木の「花のつき方のルール」と「トゲ」という二つの特徴を、しっかり知ることが大切です。

なぜなら、この二つを知らずに切ると、花を咲かせる芽を落としてしまったり、トゲで痛い思いをしたりするからです。逆に、この二つさえ押さえておけば、ザクロの剪定は、ぐっと楽になります。

まず、いちばん大切な「花のつき方」から説明します。ザクロは、「前年に伸びた若い枝(1年枝)に花の芽をつける」という性質を持っています。たとえば、去年の春から夏にかけて、新しくぐんと伸びた若い枝。その枝の先のほうに、花を咲かせる芽(花芽)ができるのです。

その花の芽が作られるのは、7月から9月ごろです。そして、花が咲くのは、翌年の5月中旬から7月中旬ごろになります。つまり、夏から秋に花の準備が始まり、次の初夏にそれが咲く、という流れです。この「若い枝に花がつく」というルールを知らずに、若い枝をばっさり切ってしまうと、来年の花がなくなってしまいます。

花の芽は、葉の芽と比べて、丸みがあって、少しふっくらとふくらんでいるのが特徴です。慣れてくると、見分けがつくようになりますよ。

もう一つの特徴が、「トゲ」です。ザクロは、幹や枝のあちこちから、鋭いトゲのある枝が出てきます。とくに、幹から直接出てくる「胴ぶき(どうぶき)」という枝や、まっすぐ勢いよく伸びる「徒長枝(とちょうし)」に、トゲが多くつきます。このトゲが、剪定をやっかいにしている、最大の原因です。だからこそ、後の章でくわしくお伝えする「トゲ対策」が、とても重要になるのです。

■ザクロの花の種類と、実がなる仕組み

「花は咲くのに、実がならない」という悩みも、ザクロではよくあります。これには、ザクロの花の種類が関係しています。

ザクロの花には、大きく分けて三つの種類があります。ひとつ目は「両性花(りょうせいか)」で、これが実になる花です。花の中心がふくらんでいて、見分けがつきます。二つ目は「雄花(おばな)」で、受粉の手助けはしますが、実はなりません。三つ目は「不稔花(ふねんか)」で、これも実はなりません。

つまり、咲いた花がすべて実になるわけではないのです。実がならないからといって、すぐに「失敗だ」と思わず、まずは花の種類を観察してみてください。実つきを良くするには、花が咲いたあとに、乾燥させないよう水やりをすることや、場合によっては筆などで花粉を運んでやる「人工受粉」をすることも、効果があります。

ザクロの剪定時期

ザクロの剪定に、いちばん適した時期は、「葉が落ちた冬の12月から2月ごろ(休眠期)」です。あわせて、6月から8月ごろの軽い「夏の剪定」もできます。

なぜ、冬がよいのでしょうか。理由は、ザクロは葉が落ちる落葉樹なので、葉のない冬は、枝の形がよく見えて、どこを切るか判断しやすいからです。さらに、冬は木が眠っている時期なので、枝を切っても、木が受けるダメージが少なくて済みます。落葉樹の剪定は、冬が基本、と覚えておいてください。

くわしく説明しますね。まず、冬期の12月から2月は、本格的に形を整える剪定(整枝剪定)に向いています。枯れ枝や、古くなった枝を取り除き、樹形を美しく整えます。葉がないぶん、トゲも見えやすいので、トゲ対策の面でも、冬は作業しやすい季節です。

もう一つの、6月から8月ごろの夏の剪定は、軽めに行います。花が咲き終わったあとに、伸びすぎた枝や、混み合った枝を、少しだけ整える程度です。これには、残った花や実に、栄養を集中させてあげる、という目的があります。

逆に、気をつけてほしいのは、花が咲く前(春先)に、若い枝の先を切ってしまうことです。さきほど説明したとおり、花の芽は前年に伸びた若い枝の先につきます。ここを切ってしまうと、せっかくの花が減ってしまいます。

なお、「花も実もこだわらない。とにかく木を枯らさず、すっきりさせたいだけ」という方は、木を弱らせない範囲であれば、時期にそれほどこだわらず切っても大丈夫です。実は、庭木のザクロは、花や実よりも、はがれるような独特の幹の姿を楽しむために、あえて強く切る仕立て方もあるのです。ご自分が何を楽しみたいかで、時期を選んでくださいね。

ザクロの剪定方法

ザクロの剪定は、「トゲから身を守りながら、混み合った枝と古い枝を、付け根から間引く」のが基本です。

なぜなら、ザクロは、放っておくと幹からトゲのある枝(胴ぶき)や、勢いの強い枝(徒長枝)がどんどん出て、木の中が混み合ってしまうからです。混み合うと、日当たりと風通しが悪くなり、花つきも実つきも悪くなります。だから、すっきりと間引いてあげる必要があるのです。

■基本の剪定手順

実際の作業は、次の順番で進めると、トゲにやられにくく、スムーズにできます。

まず何よりも先に、革手袋をはめて、トゲ対策をしてください。これは、後の道具の章でくわしく説明しますが、軍手やゴム手袋ではトゲが貫通して、ひどい目にあいます。ザクロだけは、革手袋が必須だと、強く申し上げておきます。

一番目に、枯れている枝や、病気・害虫にやられた枝を取り除きます。これらは、残しておいても木のためになりませんから、最初に切り落とします。

二番目に、内側に向かって伸びている枝や、交差している枝、混み合った枝を間引きます。これで、日当たりと風通しが良くなり、木が健康になります。

三番目に、幹から強く伸びる徒長枝や、幹から直接出ている胴ぶきを、付け根から切り落とします。これらの枝は、木の勢いをうばってしまううえ、トゲも多いので、思いきって取り除きます。

四番目に、枝先を整えます。このとき、花を楽しみたい方は、花の芽(丸くふくらんだ芽)を切り落とさないよう、注意してください。小枝のあるところで切って、自然な姿を保ちます。

そして、古い枝の整理も大切です。3年以上たった古い枝は、花や実をつけにくくなります。ですから、1年目、2年目の若い枝を優先して残し、古い枝は付け根や根元から切り落とします。こうして、いつも若い枝で花を咲かせるように、木を更新してあげるのです。

なお、ザクロはトゲが多いので、状況によっては、この順番を逆にして、先に邪魔なトゲの枝を払ってから、細かい作業をしたほうが、やりやすい場合もあります。木の状態を見て、やりやすい順番で進めてくださいね。

■幹の姿を楽しむ仕立て方

ザクロは、花や実だけでなく、ゴツゴツとして、はがれるような独特の幹の姿に、味わいがある木です。そこで、あえて枝葉を少なくして、幹を鑑賞する「玉仕立て風」に仕立てる方法もあります。

この場合は、下のほうの枝を、枝の配置を考えながら切り落として、すっきりさせます。ただし、この仕立て方は、枝先を切るので、花や実は犠牲になります。「幹の姿を取るか、花と実を取るか」。これは、お好みで選んでいただく部分です。両方を完璧に、というのは難しいので、ご自分がザクロの何を楽しみたいかを、決めておくとよいでしょう。

■忙しい人向け・15分でできるズボラ剪定

「トゲが怖いし、細かいことはわからない」「とにかく最低限だけやりたい」。そんな方のために、これだけやればOK、という「ズボラ剪定」のコツをお伝えします。

結論から言うと、忙しいときは、「枯れ枝」と「幹の足元から出てくる細い枝(胴ぶきやひこばえ)」と「明らかに飛び出した邪魔な枝」の、三つだけ切れば十分です。

なぜこれでよいかというと、ザクロが見苦しくなる原因の多くは、足元や幹から出る余計な枝と、飛び出した枝だからです。この三つを取り除くだけで、見違えるようにすっきりします。

具体的な手順はこうです。革手袋をはめたら、まず木の根元と幹を見て、ひょろひょろ出ている細い枝を、付け根から切ります。次に、茶色く枯れた枝を見つけて切ります。最後に、一歩下がって全体をながめ、ほかより飛び出している枝を、一、二本だけ切る。これで終わりです。「完璧な形」ではなく「見苦しくない」を目指せば、トゲと格闘する時間も短くて済みますよ。

切りすぎた・時期を間違えた!失敗したときのリカバリー

もし剪定で失敗してしまっても、あわてないでください。ザクロは、とても丈夫で生命力の強い木なので、たいていの失敗は、木のほうが立ち直ってくれます。

なぜなら、ザクロは強く切られても、すぐに新しい芽を出す力が強い木だからです。むしろ、強い剪定によく耐える木として知られています。大切なのは、失敗したあとに、あわてて余計なことをして、さらに木を弱らせないことです。

■切りすぎて、スカスカ・坊主にしてしまった場合

「トゲと格闘しているうちに、切りすぎてスカスカになった」「坊主みたいにしてしまった」。そんなときも、ザクロなら、それほど心配いりません。まず、それ以上は切らないことです。

そして、やってほしいのは「待つこと」です。ザクロは、強く切られると、その刺激で、幹や枝から新しい芽(胴ぶきも含めて)をたくさん出してきます。一年もすれば、勢いよく枝が伸びて、姿を取り戻していきます。むしろ、ザクロの場合は、新しい枝が出すぎるくらいなので、回復の心配より、出すぎた枝を翌年また整理する、というくらいの気持ちで大丈夫です。

あせって肥料をどっさり与えるのは、逆効果なので避けてください。秋(9月~10月ごろ)に、リン酸を多く含む肥料を控えめに与える程度にして、あとは木の回復力を信じて、待ってあげましょう。

■時期を間違えて、花の芽を切ってしまった場合

「花の芽がついた若い枝を、知らずに切ってしまった」。この場合、残念ながら、その枝の花は、来年は咲きません。なぜなら、花の芽そのものを切り落としてしまったからです。

でも、がっかりしないでください。これは、木が枯れるような失敗ではありません。ザクロは生命力が強いので、また新しい若い枝が伸びて、再来年には花の芽をつけてくれます。間違えて切ってしまったあとは、もう何もせず、新しい枝が伸びるのを待つのが正解です。そして、来年からは、丸くふくらんだ花の芽を切らないよう、気をつければ大丈夫です。失敗は、次に活かせばよいのです。

ザクロがかかりやすい病気と害虫

ザクロを健康に保つには、剪定で「風通し」を良くしておくことが、何よりの予防になります。

なぜなら、病気や害虫の多くは、枝が混み合って、風が通らないジメジメした場所を好むからです。逆に言えば、剪定でスカッと風が通る木にしておけば、病害虫はぐっと減ります。剪定と病害虫対策は、いつもセットなのだと覚えておいてください。

■気をつけたい害虫

ザクロにつきやすい害虫として、代表的なものを挙げます。

ひとつは、アブラムシです。新芽や若い枝に、小さな虫がびっしりつき、木の汁を吸って弱らせます。アブラムシの排せつ物が原因で、葉が黒くすすけたようになる「すす病」を引き起こすこともあります。見つけたら、早めに薬剤で駆除するか、数が少なければ、手で取り除きます。

もうひとつは、カイガラムシです。枝に、白っぽい、または茶色っぽい小さな粒のようなものがつく害虫です。これも木の汁を吸い、すす病の原因になります。使い古しの歯ブラシなどで、こすり落とすのが手軽です。

そして、果実をねらう害虫もいます。せっかく実ったザクロの実に、ガの幼虫(毛虫)などが入りこんで、実を食べてしまうことがあります。実を楽しみたい方は、実に虫食いの穴がないか、ときどき見てあげてください。

■気をつけたい病気

病気では、さきほど触れた「すす病」のほか、実が黒くなって腐る「黒星病」や、葉に斑点が出る病気などがあります。これらも、ほとんどが、風通しの悪さや、害虫の発生が引き金になります。

早期発見のサインとしては、「葉や枝が黒くすすけてきた」「葉に斑点が出てきた」「実に黒い斑点や、傷んだ部分が出てきた」といった変化です。水やりのときなどに、ちらっと葉や実を見る習慣をつけておくと、早めに気づけます。病気の枝や葉、傷んだ実は、早めに取り除いて処分し、木全体に広がるのを防ぎましょう。

ザクロの剪定におすすめの道具

ザクロの剪定には、何をおいても「革手袋」が必要です。そのうえで、「よく切れる剪定ばさみ」「太い枝用のノコギリ」「太い枝切りばさみ」があれば、安心して作業ができます。

なぜ、道具にこだわるかというと、ザクロの場合は、まず「トゲから身を守ること」が、ケガを防ぐために何より大切だからです。そして、切れ味の悪い道具は、枝の切り口をつぶして、病気が入りやすくなります。道具は、あなたの身と、木の健康を守る、大切なものなのです。

■革手袋(これだけは絶対)

ザクロの剪定で、いちばん大切な道具は、革手袋です。これだけは、声を大にしてお伝えします。

なぜなら、ザクロのトゲは鋭く、軍手やゴム手袋では、簡単に貫通してしまうからです。私自身、何度も痛い思いをしてきたからこそ言えますが、ザクロにふつうの軍手は、まったく役に立ちません。トゲがブスッと刺さって、血が出ます。厚手の革手袋なら、トゲをしっかり防いでくれます。ザクロを切るときは、必ず革手袋。これを守るだけで、剪定が、苦行から、楽しい作業に変わりますよ。長袖・長ズボンで、腕や足もしっかり守ってください。

■剪定ばさみ

細い枝や、花芽のついた小枝を、ていねいに切るには、剪定ばさみを使います。剪定ばさみは「おの義」のものがおすすめです。なぜなら、切れ味がよく、手になじみやすく、長く使えるからです。切れ味のよいハサミは、軽い力でスパッと切れるので、手の力が弱くなってきた方でも、疲れにくく作業できます。

■太い枝切りばさみ・ノコギリ

ザクロのトゲのある枝先を、まとめてサッと切りそろえたいときは、「太い枝切りばさみ(太枝切りばさみ)」が便利です。トゲのある枝を一本一本切るのは面倒ですし、刺される危険もあるので、太い枝切りばさみで、サラッと切りそろえてしまうのが、私のやり方です。

なお、「刈り込みばさみ」は、本来やわらかい小枝や葉を刈るための道具なので、ザクロのような固くてトゲのある枝には、あまり向きません。固い枝には、太い枝切りばさみや、剪定用のノコギリを使いましょう。親指より太い枝は、無理せずノコギリで切るのが安全です。

■作業後の道具の手入れ

作業が終わったら、道具のお手入れも忘れずに。ハサミやノコギリの刃についた汚れや樹液を、布でよく拭き取ります。汚れたまま放っておくと、サビたり、切れ味が落ちたりします。

とくに、病気の枝を切ったあとは、刃をきれいに拭いて、消毒用のアルコールなどでふいておくと安心です。汚れた刃で次の枝を切ると、病気をうつしてしまうことがあるからです。最後に、刃に薄く油をぬっておくと、サビ止めになって、長持ちします。革手袋も、トゲが刺さったままになっていないか確認し、汚れを落として乾かしておきましょう。

切った枝の処分とご近所マナー

剪定で出た枝葉は、お住まいの自治体のルールに従って、「燃えるゴミ」として出すのが、いちばん手軽で安く済む方法です。ただし、ザクロの場合は「トゲ」があるので、処分にも少しコツがいります。

なぜなら、トゲのある枝を、そのまま無造作にゴミ袋に入れると、袋を突き破ったり、収集する人がケガをしたりする危険があるからです。みんなが安全に処分できるよう、少し気を配りましょう。

■トゲのある枝を、安全にゴミに出すコツ

多くの自治体では、太い枝は「長さを切りそろえて、ひもで縛る」というルールがあります。たとえば「50センチ以下に切って、ひもでしばって束にする」といった具合です。お住まいの地域のルールは、自治体のホームページや、ゴミ収集カレンダーで確認してください。

ザクロならではのコツは、トゲのある枝は、トゲが内側になるように束ねることです。こうすると、運ぶときも、収集するときも、トゲが当たりにくく、安全です。葉や細かい枝は、ゴミ袋に入れますが、トゲで袋が破れないよう、袋を二重にするか、トゲの多い枝は新聞紙で包んでから入れると安心です。革手袋をしたまま、片づけまでやってしまうと、最後まで安全に作業できますよ。

■お隣にはみ出した枝のマナー

ザクロの枝が、お隣の敷地にはみ出してしまうことも、よくあります。とくにザクロはトゲがあるので、はみ出した枝でお隣の方がケガをしたら、大変なご迷惑になります。

いちばんよいのは、はみ出す前に、こまめに自分の敷地側から剪定して、枝を伸ばしすぎないことです。トゲのある木は、特にこの「予防」が大切です。それでもはみ出してしまった場合は、「枝がそちらに伸びてしまってすみません、トゲもあって危ないので、切らせていただきますね」と、ひとこと声をかけてから作業すると、おたがい気持ちよく過ごせます。秋に実が落ちて、お隣を汚すこともあるので、その点も気にかけておくと、ご近所づきあいが円満になります。

自分でやる限界と、業者に頼む目安

ザクロの剪定は、低い枝なら自分でできますが、「高さ3メートルを超える作業」や「トゲが多すぎて手に負えない場合」は、無理をせず、プロの植木屋さんに頼むことをおすすめします。

なぜなら、高い場所での作業は転落の危険が大きく、しかもザクロの場合は、足場の悪い高所で、トゲと格闘することになるからです。お庭の手入れは、楽しみのためにするもの。それでケガをしては、元も子もありません。とくに年齢を重ねると、脚立の上でのバランスは取りにくくなります。命にかかわることですから、引き際を知ることが大切です。

■こんなときは、プロに頼みましょう

具体的に、次のような場合は、プロに任せたほうが安全で確実です。

ひとつ目は、脚立に乗っても手が届かない、高さ3メートルを超える枝を切るとき。高所での作業は、プロでも命綱を使う、危険な仕事です。トゲのあるザクロなら、なおさらです。

二つ目は、幹の芯が腐っていたり、根元にキノコが生えていたりするとき。木が中から弱っているサインかもしれず、倒れる危険もあるので、専門家に見てもらいましょう。

三つ目は、トゲのある枝が密集しすぎて、自分ではどこから手をつけていいかわからないとき。無理に自己流でやってケガをするより、一度プロに頼んで、ついでに切り方を教わるのも、賢い方法です。

四つ目は、長年放置して、木が大きくなりすぎてしまったとき。大きな木を切り戻すのは、重労働でトゲも多く、危険です。

プロに頼むのは、決して「負け」ではありません。自分の身を守り、大切な木を守るための、かしこい選択です。トゲの痛い部分や危ない部分はプロに任せ、できる範囲を自分で楽しむ。この線引きが、ザクロと長く付き合う、いちばんのコツです。

ザクロの剪定・よくある質問Q&A

最後に、ザクロについて、よく寄せられる質問に、お答えしていきます。

Q1. 花が咲かないのは、剪定のせいですか?

その可能性が高いです。ザクロは、前年に伸びた若い枝の先に花の芽をつけます。冬や春に、その若い枝の先を切りすぎると、花が咲かなくなります。若い枝を残すように剪定してみてください。また、日当たりが悪い、肥料の窒素分が多すぎて葉ばかり茂っている、という場合も、花が咲きにくくなります。

Q2. 花は咲くのに、実がなりません。なぜですか?

ザクロの花には、実になる花(両性花)と、実にならない花(雄花・不稔花)があります。咲いた花がすべて実になるわけではないので、まずは焦らないでください。実つきを良くするには、花が咲いている時期に乾燥させないよう水やりをすることや、筆で花粉を運ぶ人工受粉が効果的です。

Q3. トゲが怖くて、剪定できません。どうすればいいですか?

まず、厚手の革手袋を用意してください。これだけで、こわさが半分になります。そして、トゲの多い枝先は、一本一本切ろうとせず、太い枝切りばさみで、まとめてサッと切りそろえるのがコツです。それでもこわい場合は、無理せず、プロに頼むのも立派な選択です。

Q4. どれくらいの頻度で剪定すればいいですか?

混み合ってきたら切る、という程度で大丈夫です。ザクロは枝が出やすい木なので、毎年冬に、混み合った枝と古い枝を軽く整理してあげると、いつも若い枝で花を楽しめます。

Q5. 剪定する前に、お神酒(おみき)をあげたほうがいいですか?

これは、昔からの心づかいとして、とても素敵なことです。木に感謝し、「これから切らせてもらいますね」という気持ちで手を合わせる。そうした心持ちで作業をすると、自然とていねいな剪定になるものです。気持ちが向くなら、ぜひやってみてください。木を大切に思う気持ちは、必ず良い手入れにつながります。とくにザクロは縁起木なので、大切にすると喜ばれますよ。

Q6. 切り口に、薬は塗ったほうがいいですか?

細い枝なら、とくに何も塗らなくても大丈夫です。ただ、直径3センチを超えるような太い枝を切ったときは、切り口から雑菌や病気が入るのを防ぐため、市販の「癒合剤(ゆごうざい)」を塗っておくと安心です。切り口にフタをして、木の傷の治りを助けてくれます。

Q7. 木を低くしたいのですが、どうすればいいですか?

高さを抑えたい場合は、主要な枝の先端を、枝分かれのところまで戻して切り詰めます。ただし、ザクロは強く切るとそこから勢いの強い枝(トゲつき)がたくさん出るので、一度に大きく下げず、数年かけて少しずつ調整するのがおすすめです。大きく下げたいときは、木への負担も大きいので、プロに相談すると安心です。

ザクロは、トゲさえ上手にかわせば、花も実も、独特の幹の姿も楽しめる、味わい深い木です。このページを参考に、革手袋をしっかりはめて、ぜひ、ザクロのある暮らしを楽しんでくださいね。

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