
最近の柿は、実をつけたりつけなかったり、気候に左右されることもあるので、柿の木の剪定ってちょっと難しいところもあるんですよね。
ここでは、柿の実をつけるための剪定時期と剪定方法について解説します。
柿の木の生長サイクル
柿が実をつけるまでには、花芽がつき、花が咲き、実が成るという過程があります。
どこかで不具合が生じれば、実が成ることはありません。
ここでは、柿の木の生長サイクルについて解説します。
花が咲く時期(開花時期)
柿は、5月~6月頃に花が咲きます。
柿の木には「雄花」「雌花」「両性花」があって、品種によって咲く花の種類が異なります。
柿の花と実が成る場所
■柿の花が咲く場所は、前年に伸びた枝(結果母枝)から今年伸びた新しい枝(新梢)に花がつきます。
新梢の 葉の付け根(葉腋)に、基本的に、1節につき1つずつ花が咲きます。
一般的に、下位の節ほど雌花がつきやすく、上位の節は雄花がつくことが多いです。
■柿の実が成る場所は、雌花がついた枝の葉腋に成ります。
結実するのは「前年に伸びた枝(結果母枝)」から出た新梢についた雌花です。
「結果母枝」に結実する条件は、適度に太い・長すぎない充実した枝に花がつきやすいです。
陽当たりが良い枝の方が実がつきやすく、弱すぎる枝や強すぎる枝には花がつきにくいです。
新梢が適度に成長した枝 でないと実がつきにくいです。
養分の流れが良い充実した枝に花がつきやすく、実も成りやすいです。
雄花と雌花の違いと結実について
柿には「雄花」・「雌花」・「両性花」の3種類があります。
「雄花」は、小さくて細長い花です。花粉を出すが、実はならないです。
「雌花」は、大きくてふっくらした花で実が成ります。
「両性花」は、雄しべと雌しべを持ち、自家受粉する品種もあります。
「甘柿」は 単為結果しやすく、受粉なしでも実が成ります。
「渋柿」は受粉が必要で、近くに雄木があると実つきが良くなります。
「種なし柿」は受粉しないことで、種ができないです。
・花は、今年伸びた新梢の葉の付け根(葉腋)に咲きます。
・実がなるのは、前年に伸びた枝(結果母枝)から出た新梢についた雌花です。
・剪定や肥料管理を適切に行い、充実した枝を残すと実がつきやすいです。
・柿の実つきをよくするためには、前年の枝を上手く管理することです。
花芽の形成時期
柿の木の花芽は 前年の8月から11月頃に形成されます。
花芽は「混合芽」として分化し、春になると葉芽と花芽に分かれます。
7月~8月頃に花芽の分化が始まり、9月~11月頃に花芽の形成が進みます。
花芽は前年に形成されるため剪定のタイミングが重要で、冬期の剪定で花芽を落とさないように注意します。
冬期や春先に「強剪定」を行なうと、花芽を落としてしまうことがあります。
実が成る時期
柿の実は 9月から12月頃に成熟しますが、品種ごとに収穫時期が異なります。
■早生品種:9月~10月頃に収穫します。(西村早生など)
■中生品種:10月~11月頃に収穫します。(富有柿など)
■晩生品種:11月~12月頃に収穫します。(筆柿・刀根早生など)
柿の木の生長サイクルをまとめると
■花芽形成の時期は、前年の8月~11月頃です。
■開花の時期は、5月~6月頃です。
■結実の時期は、9月~12月頃です。
■剪定を行なう時は、花芽を残すために、冬の強剪定は避け、開花後や収穫後に整枝をします。
■夏から秋の花芽形成期に適切なリン酸・カリの肥料を施すと、翌年の実つきがよくなります。
■渋柿は受粉樹(雄木)を近くに植えると実つきが良くなります。
柿の木の成長サイクルを理解して、適切な管理をすることで美味しい柿を収穫できます。
柿の剪定時期
柿の整枝や剪定の時期は、基本的に11月~3月頃に行ないます。
日本の北と南では時期的に1月くらい誤差が生じますので、早めの剪定が必要かと思います。
なんで柿の剪定時期が、11月~3月頃なのかというと、ひとつは、柿の木が葉を落として休眠状態になっているからです。
休眠状態の時に剪定すると枝ぶりがはっきりとわかりますので、枝が重なったところや、密集しているところの枝を切ってやれば、葉っぱが生えてきた時に、太陽の光が当たるようになります。
また、枝が密集している箇所を減らすことで、害虫を極力減らすことができます。
葉がたくさん付いている時期に剪定を行なうと、切ったところから徒長枝がグングンと伸びていきます。
ということは、その徒長枝を中心に多くの栄養分が運ばれているので、樹勢を落とすことになります。
枝の太い部分や木をコンパクトにしたいのなら、樹勢に関係なく、葉が付いていない時期に剪定をするといいです。
柿の剪定方法
柿は、リンゴやナシ、サクランボ、ウメなどのバラ科の果樹とは違って、前年に伸びた枝の先端に近い方の芽から、今年の春に伸びた新枝に花芽が付きます。なので、前年伸びた枝をあまり短くしてしまうと、花芽の付く枝がなくなってしまいます。基本的にこれを念頭において柿の剪定することが大切です。
柿の木は剪定をしてやらないと、木が茂り過ぎて、実が付かなかったり実が付きすぎたりする場合もあります。そして、日当たりや風通しが悪くなると、害虫が発生しやすくなります。
柿の木の剪定をする時は、まんべんなく切ってあげるのではなく、最小限、重なり合った枝や伸びすぎた枝を切り戻す程度に切らないと、場合によっては次の年に実をつけないということもあります。
枝を切り過ぎた場合ですが、次の年の実はあきらめた方が良いようです。2年間切らなかった場合でも、実がならない時もあります。それは、最近のおかしな気候のせいもあるのかもしれませんね。
具体的な剪定方法
まず初めに、現在の柿の木の樹形を見て将来はどのような樹形にしたいのか決めます。
枯れ枝や病害虫に侵されたような不要な枝は枝元から切ります。内側に伸びた枝も日当たりが悪くなるのですべて取り除きます。同じ方向に平行に伸びた枝はどちらかの枝を取り除きます。
柿は枝先に花をつけ、その場所に実が成ります。上に向かって伸びる枝の実は高くなるので、採ることができなくなります。そうならないために、3脚を使用しなくても収穫しやすいように、伸び過ぎた枝は、思い切って切り戻しをして低くします。
柿は実をならせ過ぎると、翌年はあまり実がつかないので、毎年実をならせるには、「摘果」で果実ができる数を適度に減らします。
枝の先端付近の「結果母枝」の数を適度に減らすように剪定してやります。
柿の収穫の時に、実が付いた枝ごと折ってしまうと良いとされ、そうすると剪定をしなくても適度に実がなるようになります。