
蝋梅(ロウバイ)は、早春に蝋細工のような黄色い小花を咲かせ、山茱萸(サンシュユ)・マンサクなどとならんで、花を楽しむ木です。
意外と蝋梅(ロウバイ)という漢字を「老梅」と思っている人は多いようです。
ここでは、蝋梅(ロウバイ)は梅(ウメ)とは違うのかお伝えします。
蝋梅の特徴
蝋梅(ロウバイ)は中国原産の落葉低木で、樹高は4m程になる木です。
蝋梅の種類には、花弁の元部が紫を帯びるロウバイ(写真左)、花全体が純黄色で芳香が強く清楚な印象のソシンロウバイ(写真右)、ソシンロウバイよりも丸弁で大花のマンゲツロウバイ、香りは弱いけど花が大きいトウロウバイ等があり、枯れた印象の樹形は昔から多くの茶人に好まれてきました。
若木のうちは花がつきませんが、植えられてから5~8年くらいで咲き始めますので、剪定方法や時期さえ間違わない限り、一度咲きはじめたら毎年咲くようになるので楽しみですね。
蝋梅は梅ではないのか?
蝋梅の花言葉は、「ゆかしさ」「慈しみ」「先導」「先見」などがあり、蝋細工のような、黄色い小花がそれを物語っているようです。
そんな蝋梅にある新事実が発覚しました!
蝋梅には「梅(ウメ)」の字が入っていますが、実は梅ではないのを知ってました?
蝋梅は、ウメとは似ているようで、実はそうではない木なのです。
「梅(ウメ)」はバラ科サクラ属の植物ですが、蝋梅(ロウバイ)はクスノキ目ロウバイ科ロウバイ属です。
蝋梅は、唐梅(カラウメとかトウバイ)とも呼ばれているようでもあり、「唐梅」の名前の由来は、唐の国より渡来してきたことからきているようです。
「唐梅=蝋梅」ということは、唐梅も梅(ウメ)ではないという事になります。
蝋梅と梅の違いについて
■蝋梅と梅の分類はまったく異なります。
蝋梅(ロウバイ)は、クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属です。
梅(ウメ)はバラ科サクラ属です。
■開花時期に少し違いがあります。
蝋梅は冬の12月~2月頃に咲き、梅は早春の2月~3月頃に咲くので、
蝋梅の花が終わると梅が咲き始める感じです。
■花の見た目にも違いがあります。
蝋梅の見た目は、黄色く半透明で蝋細工のような光沢があり、まるで本物の蝋(ロウ)で作られた感じがします。
梅の見た目は、白やピンクの丸い花びらで、桜に似たような花が咲きます。
■香りの違いは、蝋梅は甘く強い香りがして、梅は上品で優しい香りがします。
蝋梅の実では梅酒は作れるのか?
蝋梅が梅(ウメ)ではないことが発覚しましたが、そこで「蝋梅の実では梅酒や梅干しは作れるのかな?」という、しょうもない疑問を感じる方のは私だけではないと思います。
中国では、蝋梅の花からは香料をとり、花のつぼみは、鎮咳、解熱、鎮痛薬などの生薬として風邪や喉の痛みに用いられ、根は薬用にされるようです。
実についてよくよく調べてみると、蝋梅の実である種には強い毒性を示す「カリカンチン」と呼ばれるアルカロイド系の毒があるといいます。
蝋梅の実を割ると小豆大の種子が入っていて、それが種子で強い毒性のアルカロイドであるカリカチンを含み有毒なようです。
そもそも蝋梅は食用にできるのかも不明ですし、種(タネ)は完全に食用にはならないようです。
中毒になれば、脊髄に強力な中枢興奮作用を持つ「ストロキーネ」と呼ばれる中毒症状を示すようで、30分ほどで激しい強直性痙攣が起こり、最悪の場合、呼吸麻痺で死ぬようです。
毒があることを聞いてしまったら、安易に蝋梅の実を「梅干しや梅酒」と同じような利用の仕方はしない方がいいかもしれませんね。