熟していないいちじく(無花果)を成熟させ甘くする方法

秋ごろにはいちじくが熟し食べられるようになるのですが、熟さずに木に残るものもあります。

そんな未熟ないちじくでも甘くする方法があります。

いちじくの優れた栄養価

いちじくは、意外にも多くの栄養価や優れた効能を持っているんです。

いちじくは水溶性の食物繊維であるペクチンを豊富に含んでいます。
その作用によって腸の活動を活発にさせ、便秘にとてもすぐれた効果をもたらしてくれます。

このペクチンですが、実はダイエットに効果があるといわれます。

ペクチンは、糖分の吸収を抑制するだけではなく、血糖値の上昇を抑える作用もあり、体内に脂肪を蓄積しにくくする働きがあるんです。

体に有害物質が溜まると、体内の脂肪をエネルギーとして燃焼させる働きが低下するので太りやすい体になるのですが、ペクチンは、腸内の物質と結合する作用と、腸に入って来た食べ物の排出を促進させる作用があるので、体の有害物質を排出してくれるので痩せる方向に持って行ってくれます。

いちじくはミネラルが豊富なのも見逃せません。カルシウムや鉄分など、血や骨の素となるミネラル分をバランスよく含んでいますが、特にカリウムは体からナトリウムを排出する働きがあるため、高血圧を患っている方にはうれしい食べ物です。

いちじくには酵素が含まれており、食後に食べると、消化を促進させてくれます。
また、お酒を飲んだ後に食べると、二日酔いにもなりにくいとも言われています。

熟してないいちじくを成熟させ甘く変える方法

熟してないいちじくを食べてもおいしくないですし、食べる人もいないと思います。

そんないちじくでも成熟させ甘く変える方法をお伝えします。

やり方は、いちじくの果実に植物油を少量与えると肥大と成熟が促進されるのですが、具体的にいうと「オリーブオイルなどの植物油を果実先端の小さな穴の部分に、スポイトであれば2摘くらい、ハケなら1~2塗りくらい塗布する」ただそれだけで甘くなります。
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もちろん塗ってすぐにという訳ではありませんが、薄黄色に着色したころに、果実の重さでいうと、35g前後くらいのいちじくに、植物油を浸した綿棒で果実の先端の孔に塗布すると急速に果実の肥大が起こります。

期間でいうと、塗布してからおよそ1週間程度で、約1.5倍の55g程度の熟した果実となり、その時に熟した甘い状態で食べられます。

しかしあまりにも若い果実に塗布するのは逆効果なようです。

塗るオイルの種類は何がよいか?

塗布する油はオリーブオイル、菜種油などの植物油は特に効果的です。

しかし、鉱油や動物油では効果が小さいことがわかっています。

植物油が効果的な理由は色々あるようですが、一般的には植物油に含まれるオレイン酸が酸化分解した際に、植物ホルモンとして働くエチレンが生成され、そのエチレンの作用で肥大と熟成が促進されると考えられています。

このエチレンは植物ホルモンの一種で、多くの果実の熟成を促進するホルモンとされています。

果実は一般的に収穫後エチレンが増加し、エチレン処理をすると呼吸が増加して追熟が促進されます。

いちじく、カキ、アボカド、モモ、マンゴー、リンゴ、ナシ、バナナなどの果実では成熟が始まる前にエチレンが増加します。

そして果実の成熟の進行とともに呼吸が著しく増加し追熟が促進されることによって、エチレンが急激に増加して、果肉の軟化がおこるのです。

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ただし、この油処理は、植物油を果実全体に散布すると逆効果になることから、噴霧機などでエチレンをまくことはできないです。

また最適な時期に人の手で局所的に塗布する必要があるので、いちじくは実用的な技術では困難が生じることが多いです。

いちじくの「追熟」について

果物の中には、収穫してからも糖度が増したり柔らかくなる「追熟する果物」と「追熟しない果物」があります。
追熟というのは、果物を収穫後に一定の期間保存したり、または放置すると甘みや柔らかさが増す果物のことで「追熟型」と呼ばれます。

いちじくは、追熟が必要がない部類に入る「非追熟型の果物」なので、収穫後に成熟しない果物です。
特に、収穫した時点が食べ頃で、熟度が変わらず、品質が落ちにくいという特徴があります。

「非追熟型の果物」は、収穫後も熟度が変わらないために、常温で保存しておいても糖度が増すことはありません。
また「非追熟型の果物」は、低温障害を引き起こさない果物も多く、家庭で冷蔵したり冷凍したりと、購入してからも長い期間味わうことが可能です。

店頭に並ぶいちじくに関しては、日持ちや輸送を考慮しており、「完熟」の手前で収穫されていることが多く、販売店によっては「完熟」したものを売っている場合もあります。

完熟と追熟の違い

ここで「完熟」と「追熟」の違いについてお伝えします。

「完熟」とは、果物が最も熟した状態のことを指します。
「完熟」では、酸味の元であるクエン酸が減少すると、旨味の元であるグルタミン酸の量が増加します。

「追熟」とは、収穫後に果物を成熟させることです。
「追熟」すると甘みが増し、果肉がやわらかくなり、味や食感が変わって美味しくなります

いちじくの場合、「完熟」してから収穫すると、店頭に並ぶ頃には食べ頃を過ぎ、場合によっては傷んでしまうため、「完熟」の前に収穫して販売するのが一般的です。

■「追熟が必要な果物」には、次のようなものがあります。?
バナナ、マンゴー、メロン、キウイフルーツ、西洋梨、アボカド、パパイヤ、すももなど

■「追熟しない果物」には、次のようなものがあります。
いちじく、リンゴ、イチゴ、スイカ、ブドウ、日本梨など

いちじくが「完熟」しているか見分ける方法

いちじくの「完熟」は、お尻の部分(果頂部)が十字に割れるのが目印になります。

実があふれそうなほど割れているものは熟しすぎており、全体が赤褐色に色づき、耳たぶくらい柔らかい状態になっていると程よく熟しています。果実の中の赤い花が見えるくらい開いたころが食べ頃サインです。

また、熟すと特有の甘い香りが漂うので、香りで判断してもよさそうです。

おすすめなのは、完熟の状態を買ってすぐに食べることです。

また、いちじくの食べ頃を見分けるには、次のようなポイントがあります。
・ずしっとした重さがある
・弾力がある
・甘い香りがする
・お尻の部分(果頂部)が十字に割れている

いちじくは放っておくと甘くなるか?

いちじくやイチゴ、ブドウなどは一定期間寝かせても甘さに変化のない「追熟しない果物」なので、摘み取ってからすぐに劣化が始まり、水分が減ったり食味が落ちたりするだけで、甘くなりません。

常温でどんなに保存しておいても糖度が増すことはありません。

「完熟」しているのであれば、冷凍保存しない限り、傷む前に早めに食べたほうがよいです。

いちじくが甘くない時はどうすればいいか?

甘くないいちじくをおいしくして食べるレシピの参考例として

1.いちじくの皮をむいて軸の部分を切っておきます。
2.鍋に水とグラニュー糖を入れて「中火」にかけます。
3.グラニュー糖が溶けたら「弱火」にして、切っておいた「いちじく」を鍋に入れて、落し蓋をして20分間煮込みます。
4.「火を止めて」レモン汁を加えたら、そのまま粗熱をとり冷やすと完成になります。

これで「いちじく」は甘くなっているはずです。

いちじくに多く発生するカミキリムシの被害について

ここでは、カミキリムシがいちじくに及ぼす被害とその影響、カミキリムシの対策について解説します。

カミキリムシはいちじくの何に被害を加えるのか?

カミキリムシは、一般的な果樹や「いちじく」の木にもカミキリムシが発生し、幹や枝に被害を加えることが多いです。

しかし、安心してください。
カミキリムシが、直接「いちじく」の中に入って果実を食害することはごく稀のようです。

いちじくには4種のカミキリムシの寄生が確認されていて、最も被害の大きいのは「キボシカミキリ」で、いちじくにとって一番の害虫です。ほかには「ゴマダラカミキリ」「クワカミキリ」「シロスジカミキリ」も被害を及ぼします。

カミキリムシはいちじくのどこに被害を与えるか?

カミキリムシの中でも、「ゴマダラカミキリ」や「クワカミキリ」の種類は、幹や枝に被害を与えることが多いです。

カミキリムシの幼虫は、主にいちじくの幹や枝の内部を食害するため、樹木全体に被害を与えます。

幹や枝では、カミキリムシの幼虫が木の内部を食害し、トンネル状の穴を掘ることにより、幹や枝を通るはずの水分や養分の流れを妨ぎ樹木の健康を損ないます。
さらに被害が拡大すると、幹や枝の構造が弱くなって折れやすくなります。

根元付近では、成虫が卵を産むための傷をつけることが多くあります。
カミキリムシが「いちじく」に及ぼす被害が深刻な問題となる可能性は高いです。
幹や枝が食害されると、樹勢が衰えて、果実の品質や収量に影響を与えます。
カミキリムシの被害が広範囲に及ぶことで、いちじくの木が枯れることがあります。
カミキリムシによる傷が、他の病害虫や菌の侵入経路となる可能性もあります。

カミキリムシの被害対策

カミキリムシの被害を防ぐためには、以下の対策が有効です。

適切な剪定や施肥を行い、樹木を健康に保つことで被害の軽減が可能です。
カミキリムシ成虫が活動する春から夏の時期に、見つけたら直接殺虫剤等で防除します。
幹や枝に幼虫が侵入している場合、トンネルの入口を探して幼虫を取り除くか、殺虫剤等を注入して駆除します。
樹皮に保護剤を塗布して成虫の産卵を防ぐことも可能です。
カミキリムシの被害を放置すると樹木にとって大きな損害をもたらすため、早めの発見と駆除等の対策が重要になります。