コウヤマキ(高野槙)の剪定時期と剪定方法

コウヤマキはスギ科の常緑針葉高木で 6m以上にもなる木ですが、寒冷地では育ちづらく耐寒性が弱いので暖地向きの木です。

ここではコウヤマキの剪定方法と剪定時期について解説します。

コウヤマキの特徴

コウヤマキは和歌山県の高野山に多いことからコウヤマキと名づけられたようで、庭木によく用いられ、世界的にも知られている木のひとつです。

コウヤマキは萌芽力は強く生長は遅い木ですが、葉のない所で切ってもよく胴ぶきするようです。

刈り込み剪定でも枝枯れすることなく強剪定もでき、材質も柔らかいので誘引して形を作るのも容易です。

日当たりを好みますが、松よりも日陰に強いようです。

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コウヤマキの剪定時期

樹勢が強くかなりの強剪定ができますが、関東北部などの寒冷地では、秋から冬に剪定すると樹体が弱ることから枯れやすく注意が必要です。

コウヤマキの一般的な剪定時期は、3月から5月頃 と9月から10月頃が良いです。

枝葉が伸びすぎて強めの剪定をしなければならない時の剪定時期は、3月から5月頃の芽が出る前に刈り込み剪定するとよいでしょう。植える場所が制限されるために枝幅を狭く仕立てたい場合の剪定時期は、春の芽の伸びが止まる 5月から6月に枝先を軽く切り詰めるようにするとよいです。

飛びだしたり樹形を乱す枝葉などを取り除いたり、樹形を整える軽めの剪定を10月頃にするとよいです。10月に整える剪定をしておけば、春まで長い期間、その整った状態を保持できるメリットがあります。

剪定時期のまとめ

■コウヤマキの剪定に適した剪定時期は、3月から5月頃 と9月から10月頃が良いです。
3月~5月頃の春に行なう剪定では、新芽が出る前に不要な枝を取り除くことで、樹形を整えながら健康な成長を促します。
9月~10月頃の秋に行なう剪定では、夏に伸びすぎた枝を整理し、冬に向けて風通しを良くするために行います。

■避けるべき時期は、7月~8月頃で、真夏に行なうことで強い日差しによるダメージを受けやすいので避けたほうが良いです。
12月~2月頃の厳冬期に行なうと、樹木が休眠期に入っているので、剪定による回復が遅れます。

落葉時期について

■コウヤマキの落葉は、主に4月~6月頃にかけて、前年やそれ以前の古い葉が落ちることが多いです。
■9月~11月頃にも、一部の古葉が落ちることがあります。

コウヤマキの落葉は常緑広葉樹と同じく、芽吹き後の5月ころですが、冬になる前に強剪定すると葉にためた養分を捨てるので樹体が弱り、耐寒性がよりいっそう低下して枯れる可能性が高いです。

コウヤマキは常緑針葉樹なので、一般的な広葉樹のように一斉に落葉することはありませんが、2~3年前の古い葉が徐々に黄変し、自然に落葉します。

常緑樹であるため、新しい葉が展開するにつれて古い葉が順次落ちます。
乾燥や根詰まりなどの環境ストレス、病害虫の被害などによっても落葉が進むことがあるので、多くの葉が異常に落ちる場合は、根詰まりや水不足・過湿、炭疽病などの病気も考えられるため、葉の状態が良いのか悪いのか状態を確認すると良いです。

コウヤマキの剪定方法

コウヤマキは 自然樹形を活かした剪定 を基本としますので、無理に刈り込みすぎると樹勢が弱くなる可能性があります。

剪定の手順

■剪定の手順では、まず、病気に侵されていたり、枯れている枝を取り除いて、健康的な成長を促すようにします。
■樹形を乱すような突発的に伸びた徒長枝は不要なので、枝元や枝の分岐点で切ります。
■樹形の内部が密集して蒸れないように、交差した枝などを間引きます。
■樹形を維持するためには、長く伸びた枝の先端を軽く切って整えます。

具体的な剪定方法

コウヤマキは、萌芽力が強く放置状態でも樹形は直立して整然とした長円錐形を保ちますから、突発的に伸びた徒長枝を軽く切るくらいで、比較的剪定をする必要が少ない木です。

コウヤマキの剪定を行う場合は、伸びすぎて樹形を乱す枝や混みすぎた枝、枯れ枝の間引き程度とします。

図解で説明すると、枝葉を透く剪定をする場合は、互い違いに3本生えるので、その真ん中の枝を分岐点の元部(赤線)で切るように切ります。

あとは切った後の枝の長さや全体の輪郭を気にしながら、うまく揃うように調節していくとよいです。

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コウヤマキは意外と柔らかい枝葉をしているので、どこでもすんなり切れ、胴ぶきもよく、刈り込み剪定をすることも少なくありません。

しかし、コウヤマキだけではないのですが、刈り込みバサミで葉を切った部分は、茶色くなり、その分見劣りすることもあります。

コウヤマキは高くなる木ですから、どちらかというと広い場所に向く木ですが、庭に余裕があるのでしたら若木を植えて楽しむのもよいでしょう。