
金木犀は、秋にだいだい色の花をたくさんつけて、その香りは少し離れた所にいても香ばしく感じることができ、高級感さえ漂わせている感じをさせるのが特徴的です。
しかし、この花が咲かないことには、この気持ちを誰とも共有することさえできません。
去年は咲いていたのに今年は咲かない・・・
などと悩まれている方には、似たような状況であることが多いのですが、なぜ突然、花が咲かなくなったのか、その原因を解説します。
そして花を咲かせるためには、剪定時期はいつで、どのような剪定方法をしたらよいのかもお伝えします。
金木犀(キンモクセイ)の花が咲かなくなった理由
金木犀は日当たりを好む花木なので、おひさまがよく当たっていない場所では、花が咲きにくいです。
このことからも、「日当たりが悪い場所」だと花は咲きにくいのがわかると思います。
しかしここでは、今まで花が咲いていたのに、突然花が咲かなくなった場合についてですので、「日当りは良い状況」であるのに咲かない・・・という前提でお話しします。
環境によって咲かなくなることがある
突然、金木犀の花が咲かなくなったその理由として、次のようなことがあげられます。
1.日当たりが悪い
2.土壌の状態がよくない
3.花芽形成時の気象条件が悪い
1.の「日当たりが悪い」ことについては、日当たりが良いという前提なので、今回の説明では省きます。
それ以外の2つですが、
土壌の状態がよくない
金木犀を植えてある土壌が酸性に変わるなど、土壌の状態が悪くなると花が咲きにくくなります。
この場合は、リン酸の多い肥料を根元に撒いてあげると、花が咲く可能性が高くなります。
ただ、去年咲いていたのに急に咲かなくなるのは、土壌はあまり関係していないように思われます。
しかし、花が咲く木には肥料を撒いた方が花が良く咲くので、与えないよりは与えた方が良いです。
土壌の状態を良くするために、リン酸の多い肥料を花が咲き終わった後に根元に撒いておきましょう。
花芽形成時の気象条件が悪い
ひとつ思い出してほしいことがあります。
花が咲きにくかった年の夏の気候は通常通り暑さが続きましたでしょうか?
逆に涼しい気温が続いた感じでしたか?
全国的にみると、夏は暑く感じると思いますが、北の地域では日中は暑くても、朝晩が涼しすぎるような年もあります。
金木犀だけでなく、花を咲かせる木や実を成らせる木は、花芽形成時の気象条件によっても花芽の数が決まります。
花芽が形成される時期は、通常暖かい時期になります。
しかし、この時期におひさまが顔を出さずに、低温が続いたり、長雨が続いたりすると、花芽の形成に悪影響を与えて花芽ができにくくなり、結果的に花が咲かなくなります。
このように花芽形成時の気象条件が悪いと花が咲きにくくなります。
剪定時期が悪いと花が咲かない
突然、「金木犀の花が咲かなくなった理由」として、剪定を行なった時期ややり方が悪くて花が咲かない可能性が高く、経験上、その多くの原因はこのことが一番関係しているように思われます。
花芽形成中に行なう剪定は花芽をつけない
暑くなって、葉っぱが伸びてきた時にうっとうしく感じ、サッパリと剪定をしたという経験はありませんか?
その年の秋には花が咲いたでしょうか?
タイミング次第ですが、そのような場合には、花が咲かない可能性が高いのです。
なぜなら、せっかく花芽を形成している時なのに、その邪魔をするような剪定をしてしまうと、花芽ができるはずの芽が葉芽に変わってしまい、花芽のついていない葉っぱが生えてきます。
たとえば、花芽の形成時期が7月だったとすると、7月よりも前の6月に剪定を行なってしまうと、花を咲かせるための樹勢が、葉っぱを作るほうの樹勢に変わってしまい「花の数が少ない!花が咲かない!」という事が起こるのです。
それでは、花芽が形成される前に剪定するのがダメなら、花芽形成後に剪定を行なったらどうなるのでしょう。
花芽形成後の強剪定で花芽はなくなる
うっとうしさが増すと、どうしてもサッパリしたくなるのが人間の心理のようです。
節の間(枝)が長くなる金木犀は、特に大きく育ちやすい木なので、小さくしたくなる気持ちはわかります。
しかし、花芽形成後に剪定を行なう時は、葉っぱがなくなるほど切り戻すような強剪定を行なってはいけません。
なぜかというと、花芽ごと切り取ってしまう可能性が高いからです。
金木犀は、今年の春から伸びた新梢に花芽をつけて秋に咲きますが、もしも、今年伸びた枝を切ってしまうとどうなりますか?
せっかくつけた花芽ごと切り取ってしまうことになりますので、花芽はすっかりなくなり、花が咲く可能性は限りなく低くなるのです。
このことから、花芽形成後の強剪定は花芽がなくなるので、突発的に伸びた枝葉程度であれば剪定をしてもよいですが、強剪定をすることは避けないと、花が咲く可能性は低くなります。
金木犀はいつ花芽をつけるか
「花芽形成」と今まで散々語ってきましたが、実際に、金木犀はいつ花芽をつけるのか、気になるところだと思います。
ここで、金木犀の花芽形成の時期について解説します。
金木犀が花芽を形成する時期
金木犀が花を咲かせるためには、花芽の形成時期を理解しておかないといけません。
なぜなら、花芽が形成されたのにもかかわらず、とんでもなく強い剪定をしてしまうと、花が咲かないだけでなく、樹勢が衰えて枯れたりするからです。
では、金木犀が花芽を形成する時期はいつなのか?
金木犀が花芽を形成する時期は、地域によって違いがあるので、これが正解という事ではないですが、
春から伸びた新梢に、6月頃~8月前後に花芽が形成されます。
新梢が伸びても環境が悪いと花芽がつかない
新梢が伸びても環境が著しく悪いと、花芽がつきにくいこともあります。
金木犀は、花芽形成時の気象条件によっても花芽の数が決まります。
たとえば、新梢が伸びる時期や花芽が形成される時期に
・日が当たらなかったり・・・
・強風に当たったり・・・
・低温が続いたり・・・・
・長雨が続いたり・・・
このように気象条件が悪いと、花芽の形成に悪影響を与えて花芽ができにくくなり花が咲かなくなります。
このように花芽形成時の気象条件が悪いと花が咲きにくくなります。
金木犀を小さく剪定できる時期
金木犀は幹に近い部分ほど葉の数が少なくなります。
金木犀のような常緑樹の場合、枝先などに葉っぱがついていないと栄養分を送り届けることができません。
そのため葉が生えにくくなり、枝だけになる可能性が高いです。
たとえば、葉をすっかり切ってスッキリなくしてしまったとしましょう。
すると金木犀は、葉っぱのない枝だけになります。
そのような状態の場合、養分を送り届けることが難しくなり、金木犀の木は枯れる可能性は高いです。
金木犀の樹形の内部を見た時、葉っぱがついていない部分の枝は、枯れていることが多いので、葉っぱが全くつかないで枝だけになっていると、枯れる可能性が高いと思います。
これを踏まえると、金木犀をいきなり葉っぱを取り除いて、ついていない状態にする小さくするための剪定は難しいと思います。
金木犀は枝の先端部分に新梢がでますので、どんどん上に上に伸びていきます。
幹や樹形の内側から新梢が伸びて新しい枝を作れるのであれば、時間をかけて小さくすることができるかもしれませんが、可能性が低いと思います。
金木犀を小さく剪定できる時期は、葉を全て切り取り、枝だけにしてしまう強剪定ではなく、葉を残して行なうプチ強剪定であれば可能です。
強剪定ができる時期は、花芽のことを考えると新梢が伸びる前になりますので、
秋に花が咲き終わってから3月頃までの冬期に行なうのがベストな時期です。
金木犀のベストな剪定時期
金木犀は、これまでお伝えしてきました通り、剪定時期によって花が咲くかどうかが決まってきます。
たとえば、新梢が伸びて花芽が形成される前は、花芽が葉芽に変わるので剪定は避けなければいけません。
また、花芽が形成された直後は、花芽ごと切り取って葉の数を少なくしてしまうので、極力行なわない方がよいですが、突発的に伸びた葉は適宜に切り取って、樹形を整えた方がよいです。
春から秋の生育期に葉が茂り、おもいっきり剪定したくなりますが、その年の春から夏に伸びた枝や前年枝の葉腋に花芽はつき、秋に花が咲くので、春から夏に剪定すると花を楽しめなくなりますので、花を楽しみたい場合は注意が必要です。
6月~8月以降に切った場合や、それ以降に伸びた枝には花芽を付けないという事になり、剪定次第で花は咲かなくなります。
このことからも分かるように、剪定の時期は地域にもより少しずれますが、花後すぐから年内、もしくは翌年の花に影響の少ない2月から3月くらいがベストの時期となります。
花は関係ないからとにかく小さくしたいという場合は、厳冬期を避ければいつ剪定しても大丈夫です。
ただし葉がほとんどなくなり枝だけになるような剪定は、枯れやすくなりますのでダメです。
「金木犀のベストな剪定時期」をまとめると
■金木犀が花芽を付ける時期は6月~8月ころなので、
■金木犀の剪定時期は、花芽のことを考えると新梢が伸びる前までに行なうとよいです。
■具体的には、花が咲き終わってから3月頃までの冬期に行なうのがベストな時期です。
花を咲かせる金木犀の剪定方法
・金木犀は、葉を残して行なう剪定をしないと、枝が枯れる可能性が高いです。
・金木犀の剪定方法は、樹形を乱す葉を切って整える程度が良いです。
・樹形を乱している徒長枝がある場合は、伸びたところを枝元などで適宜切ります。
・混み合った部分の不要な枝をつけ根から切って透かします。
・基本的に金木犀の剪定方法は、今年伸びた枝の下から1~2節残して剪定します。
・三つ又になっている枝は左右の2本を1~2節で剪定し、真ん中の1本は元から切り落とした方がよいです。
花が終わった直後の剪定
■花が終わった直後の剪定では、花が終わった枝を適度に短く切り戻します。
この際、新芽の成長を促すため、枝の先端を切り詰める程度にとどめます。
■樹冠内部の風通しを良くするため、交差した枝や内向きに伸びた枝、混み合った枝を間引きます。
これにより、病害虫の予防にもつながります。
冬期(休眠期)の剪定
■新しい枝にエネルギーを集中させるために、枯れ枝や古枝、弱った枝を枝元から切り取ります。
■樹形が乱れている場合、伸びすぎた枝を適度に短くします。
ただし、この時期に強い剪定を行うと、春からの成長が弱くなる可能性があるため注意が必要です。
■全体的に丸く整った形に仕上げるように樹形を整える剪定をします。
自然な樹形を保ちながら、風通しと日当たりを確保します。
金木犀の刈り込み・強剪定のポイント
■金木犀は年々大きくなるので、何年かに1度は翌年の花を少しあきらめて、太い枝のところまで切る強剪定をする必要があります。
■花後か芽吹き前に開花枝の葉が2~3枚残るぐらいの刈り込みをします。
■基本的に1本ずつ作業を行なった方がよいですが、刈り込んで剪定する場合には、ベストな剪定時期に行なって下さい。
■剪定を怠り、枝を間伸びさせてしまうと小さくすることが難しくなるので、毎年マメな剪定を行なって下さい。
■大きくなり過ぎた場合は、時期を見計らって小さくなるように剪定します。
金木犀の性質
金木犀は雌雄異株といってオスとメスのある種類の木です。
雌(メス)の金木犀には実はなりますが、日本で流通する金木犀は雄(オス)の木が多く、花が咲かないと悩んでいる方が多くいます。
金木犀は、陽の当たる場所を好みますが、半日陰から日陰まで生育します。
しかし、日陰の金木犀は枝葉の付き具合が悪くなり、その結果、花付きもよくないです。
金木犀は放任すると樹形が崩れやすく樹幅が出るので、植えるには広い庭が必要ですし毎年の剪定も欠かせません。
金木犀はとても良い香りのする木として有名です。
オレンジ色の小さい花がいっぱい付くのでかわいらしいですよね。
金木犀の成長は意外と早く毎年15㎝くらいは伸びます。
小高木なので、10mほどにはなってしまいますので、剪定をしてなるべく小さくすることです。
しかし、金木犀の時期の悪い剪定は、翌年の開花に影響を与えるので剪定が難しい木なのです。
庭師モドキの方はこのことを意外と知らないことが多いので、夏頃思いっきり剪定して、お客様に花が咲かないと言われて、「おかしい!」と頭をひねるのです。
金木犀の育て方
金木犀の植えつけ場所
■金木犀の植えつけは、日当たりと水はけのよい場所に植えます。
■土壌がやせ地の場合は腐葉土などを混ぜ込んで植えつけます。
■金木犀は根が浅く張る性質があるので、水はけ、水もちのよい場所なら最適です。
■金木犀は日陰でも生育できますが、日当たりが悪いと花芽がつきにくくなるので、午前中ぐらいは日光に当たる場所がよいです。
■栄養過多、栄養不足によっても生育は悪くなります。
■車の排気ガスなど、大気汚染の影響も受けやすい木です。
金木犀の植え付け時期
金木犀は常緑樹なので基本的に植え付けは4月~5月上旬から入梅までに終えましょう。
秋の植え付け時期は、9月下旬~10月頃に行い、寒冷地では秋植えより春植えのほうがよいかもしれません。
金木犀につく病害虫
・カイガラムシが発生しやすいので、冬に「マシン油乳剤を散布」して防除します。
・アブラムシが新梢につくことが多いので適した薬剤を散布します。