
寒椿(カンツバキ)は、適切な時期と方法を行なうことで、次もきれいな花を咲かせることができます。
ここでは、寒椿の花を咲かせるための剪定時期と方法について詳しく説明します。
カンツバキは、常緑低木で、樹高が2mくらいとそれほど大きくならない木なので、庭が狭いお宅にはぴったりです。
花が咲く季節は、11~1月頃なので、花を見ることが少ない冬の寒い季節に、花を見たい方にはちょうどよいです。
寒椿(カンツバキ)の花芽ができる時期はいつ?
寒椿(カンツバキ)の花を咲かせるためには、「花芽が形成される時期」を知っていないと、花芽がなくなるような剪定をしてしまうことになります。
ここでは、寒椿の花芽ができる時期についてお伝えします。
寒椿(カンツバキ)の花芽が形成される時期は、夏の中頃から初秋の7月~9月頃です。
この期間に翌年の花を咲かせるための花芽が枝に形成されます。
花芽形成の特徴
■寒椿の花芽ができる場所は、新しい枝の先端や葉の付け根にできます。
■花芽の分化は、夏に気温や日照条件が整うと花芽ができ、同時に葉になる葉芽も形成されます。
■この時期に栄養が十分に行き渡っていると、翌冬に多くの花をつけることが期待できます。
逆に栄養分や気象条件等が悪く充実していないと、葉芽ばかりができ、花が咲くのは期待できません。
花芽形成に影響する要因
■夏以降に剪定すると、花芽を切り落としてしまい、花数が減ります。
なので、剪定は花後(2~3月頃)に済ませておくのがベストです。
■栄養状態が悪く、栄養不足だと花芽の形成が不十分になる可能性がありますので、追肥を春(4月~5月頃)と花後に適切に与えるとよいです。
■十分な日光を浴びることで花芽が育ちやすくなります。植える場所は日当たりの良い場所が理想的です。
■夏の乾燥は花芽形成を妨げることがあるため、水やりを忘れずに行います。
ただし、水の与えすぎで根腐れを起こさないよう注意が必要です。
■寒椿の花芽形成は、次の年の美しい花を咲かせるための重要な時期です。
この時期には剪定を控えことををおすすめします。適切な管理も行いましょう。
寒椿(カンツバキ)の剪定時期はいつがよいか
花芽は「前年生枝タイプ」なので、開花後に伸びた枝に翌年の花芽の準備が始まります。
花が終わると、花のすぐ下の芽の3つくらいが伸びて新梢となり、伸びが止まる6月ころまでに枝が充実して、よい花芽をつけてくれる可能性があります。
この時、充実した枝の頂部や葉腋に7月頃から9月頃まで花芽が形成され、夏から秋にかけて蕾が大きくなり、11月~1月頃から開花するというサイクルになります。
花芽をつける準備は6月頃にはじまりますので、それ以後に剪定をすると花芽を少なくしてしまいます。
それを考えると、剪定時期は花が終わった直後の、2月~3月頃に剪定するのがベストです。
剪定の時期が遅れるほど、新梢の生長も遅れて充実しきれなくなり、花芽が少なくなります。
適切な剪定時期のまとめ
寒椿の花期は、主に冬の11月~1月頃です。
■寒椿の適切な剪定時期は、花が終わった直後の2月~3月頃が、最適な剪定のタイミングです。
■この時期に剪定することで、翌年の花芽が形成されるまでの時間が十分に確保されます。
剪定を避けるべき時期
■花芽ができる時期は、7月~9月頃です。
■夏以降に剪定すると翌年の花芽を切り落としてしまい、花が少なくなる可能性があります。
■寒さや暑さがひどい時期は、樹体に負担をかける可能性があるため、避けたほうがよいです。
寒椿(カンツバキ)の剪定方法
カンツバキの樹形は横に張る性質があって、あまり大きくなることはないので、庭が狭いお宅で植えたり、木を大きくしたくない庭には都合がよい木です。
1.剪定は、まずは枯れ枝をすべて取り除き、次に樹形を崩している徒長枝を切ります。
2.次に、混みあった枝を枝元から間引いていき、均等に枝数を分散させていくように整理していきます。
3.最後に樹冠(外形)にそうように枝先部分を調整して切ります。
このような順序で行なうとやりやすいでしょう。
枝の分かれ目で切るようにするとよく、途中で切り詰める場合は、葉を2、3枚残して切るようにします。
枝先部分を透かすようにし、葉っぱに隠れた内部の枝が少し見えるくらいに透けるのがちょうどよいです。
10月ころになると夏の間に生長した枝(徒長枝)が伸びるので、補助的な剪定が必要となるかもしれません。
その場合、すでに膨らんでいるかもしれない蕾に注意して、伸びた分だけをピンポイントに取り除くようにします。
寒椿の剪定方法のまとめ
■枯れ枝や病害虫が発生している不要な枝を枝元から切り落とします。
交差している枝や内側に向かって生えている枝も切り、風通しを良くします。
■寒椿は自然樹形が美しいため、大きく樹形を変える必要はありませんので軽い剪定にとどめます。
樹形を乱している長すぎる枝や外側に飛び出している枝を切り詰め、全体のバランスを整えます。
■高さを抑えたい場合は、主幹の先端を切り詰めます。
全体的に小さくしたい場合は、枝の先端を少しずつ切りそろえます。
■樹齢が長くなった寒椿は、古い枝を剪定することで新しい枝の発生を促せます。
古い枝を根元から切り、新しい枝に更新する剪定を、いっきにではなく数年にわたって少しずつ行います。
■寒椿は、葉が多いと花芽がつきやすいため、葉芽の少し上で切りますが、切りすぎないようにしましょう。
寒椿(カンツバキ)と山茶花(サザンカ)の違い
「寒椿」は、「山茶花」と「椿(ツバキ)」を交配して作られた品種なので、「寒椿」と「山茶花」を比較した時によく見ないと判別することは難しいです。
寒椿(カンツバキ)と山茶花(サザンカ)は、花の咲く時期が冬で、どちらもツバキ科ツバキ属に属しているため、見た目や特徴が似ていますが異なる植物です。
一見同じような感じがしますが、いったいどこが違うのでしょう?
それぞれの違いを以下で解説します。
寒椿(カンツバキ)
寒椿について解説します。
学名は、Camellia × vernalis
特徴として、寒椿は椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)の自然交配種とされています。
半常緑樹で、耐寒性が比較的強いです。
花期は、主に冬の11月~1月頃です。
花の特徴は、花がやや大きく華やかです。
花びらは落ちずに、花全体がポトリと落ちるツバキに近い性質があります。
葉は、厚みと光沢があります。
山茶花(サザンカ)
山茶花について解説します。
学名は、Camellia sasanqua
特徴として、ツバキ属の中で古くから日本に自生していました。
常緑樹で、比較的丈夫で育てやすいです。
花期は、秋から冬の10月~12月頃です。
花の特徴は、花がやや小ぶりで、素朴な印象があります。
花びらが一枚ずつ散るツバキとは異なる特徴があります。
葉は、寒椿に比べると薄めでやや小さいです。
見た目で判断するとすれば、
サザンカは、花びらの数が5~10枚と少なく、しわになるものが多く、
カンツバキの場合は、花びらが14枚以上で、しわになりにくいです。
サザンカ↓
カンツバキ↓