トウカエデ(唐楓)の剪定方法と剪定時期

トウカエデ(唐楓)はカエデ科の落葉高木で8m以上になる木で、3つに裂けた味のある光沢のある葉の紅葉がきれいです。

ここではトウカエデの剪定方法と剪定時期について解説します。

トウカエデの特徴

トウカエデは、よく見ると、普通のカエデとは違う葉の形をしています。
普通のカエデは5つに葉が裂けているのに対して、トウカエデは3つに裂けています。

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大木になるために庭に植えられることもあまり多くはないですが、街路樹や盆栽ではよく使われている木です。

生命力が非常に旺盛で、強い剪定にも十分に耐えます。

花の咲く季節は4~5月ころですが、花と言ってもきれいな色のついた花というわけではなく小さくあまり目立たない花です。

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トウカエデのベストな剪定時期

剪定を頼まれるお客様の多くは、お盆前にはサッパリしたいという希望があり依頼されますが、全くお勧めはしないです。

暑い夏に剪定をすすめない理由は、
・夏場は特に切った以上に伸びようとする。
・切ったところから生える徒長枝にばかり栄養が行くので樹勢が弱る。
・ハチが巣をつくり、ハチの子が成虫になり頻繁に活動する時期で危険だから

夏場というのは、一番樹勢が旺盛で著しく生長する時期です。
そんな時に剪定をしようものなら、切った以上に伸びようとする性質があることから、切る前よりも伸びることも多く「せっかく切ったのにまた伸びてしまった!」と、損をしたような気分になると思います。

特に徒長枝というのは切ったところの最終地点から生えることが多いです。
よく切ったところにたくさんの枝葉がついているのを見たことはないですか?
切った最終地点よりも先はないので、樹勢が強いと、そこまで養分がたくさん集まり、そのような再生される現象が起こるのです。

逆に樹勢が弱いと、切られた部分にそれほど多くの葉は生えず、どちらかというと、傷口を殺菌したり修復しようとするのに余計な樹勢を使ってしまうので、枯れる傾向が強いです。

特にカエデ類は枯れやすいので、やはり夏場に切った部分に余計な樹勢を使う剪定はよくないです。

どうしても夏に剪定してと言われるので、いつも嫌々やってはいますが、個人でやられる方には、このような理由から夏場のトウカエデの剪定は、全くお勧めしていません。

特に、突然ハチが現れるのは本当に怖いです。巣を作ったばかりの1匹で行動している場合は攻撃力が弱くてまだよいのですが、卵から幼虫になったころからが特に危険で、巣で待ち構えて警戒されています。

そんなハチをよく見ると、羽根をプルプルと震わせて「いつでもかかれるぞ!」と、攻撃体制を取ってこちらを眺めているのがよくわかります。そんな時に、知らずに近くを通り葉っぱに触れようものなら、ハチの気分を損ねて、あっ!」っという間に刺されています。

ハチの巣の場所がわかり、なおかつハチ1匹くらいならば、遠くまで飛ぶハチ撃退用のスプレー殺虫剤なら仕留められます。1~2mくらいであれば、スプレーを少し長めに噴射していれば、たとえ襲いかかってきても、ハチに当たっていれば噴射の勢いで1発で仕留められます。
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これらのことから剪定をするならいつが良いかといえば、

トウカエデの剪定は、基本的に葉っぱが落ちた11月ころから2月中旬までの冬季間、木が完全に休眠している時に行います。

この時期は人間にも木にも一番安全な時期です。寒い時期で外に出たくないかもしれませんが、これは断言できます。

剪定時期のまとめ

トウカエデの剪定は以下の時期に行うのが適しています。

■冬期剪定は、11月~2月に行なうのがベストな時期です。
トウカエデは落葉樹なので、冬の休眠期に剪定すると、木にかかるストレスが少なくなります。
葉っぱが落ちたことで、樹形の状態が良く見えるので、作業がしやすいです。
この時期は樹液の流動が減少しており、強剪定で多少太い枝を切っても枯れる心配はないです。
冬期剪定で行なう作業の具体例は、
■枯れ枝や病害虫に侵された枝の除去をします。
■交差している枝や混み合った枝の間引きをします。
■枝の形を整える整枝剪定をします。

■夏期剪定は、5月~6月頃に行ないます。
もしも夏期剪定をする場合には、新芽が伸びた後、夏に向けて軽い剪定を行うことで、形を整えたり、風通しをよくします。
夏期剪定で行なう作業の具体例は、軽い刈り込みや整枝、不要な徒長枝の除去をします。
木が枯れるリスクを減らすために、太い枝を切るような強い剪定はしないようにしてください。

季節に合わせたトウカエデの剪定方法

トウカエデは特に徒長枝ができやすいために、徒長枝は長い短いかまわずすべて間引きしたほうがよいです。1年剪定をしないだけで枝の太い徒長枝が伸び、とんでもなく手が付けられなくなることがあります。

枝を間引く場合は特に上端部の枝の生長が早く勢いが強いので思い切って強く剪定します。これに対して下端部の枝は生長が鈍いので、乱れた枝を間引く程度の軽い剪定をします。剪定の際に、枝先に細い小枝をできるだけ残してあげると柔らかい感じに仕上がります。

逆に、細い小枝を切り取ってしまうと見る影もなく透けてしまい、さらに夏には徒長枝の発生と元になり樹形も乱れます。細い小枝を数多く残すと成長力が分散し、枝の伸びも抑えられますので、枝の切り詰めは必ず小枝が密に出ているところを残すようにするとよいです。

細い枝はポキポキと折れやすいのですが、指くらいの太さ以上になると剪定バサミやノコギリで作業するようになり大変苦労します。太くなった木の上方枝を切る場合は枝は折れにくいので、気をつければ木に上って作業することも可能です。

盆前とかに少しきれいにしておきたくて、冬までトウカエデの剪定を待てない場合という場合があると思います。

その場合は、まず夏場に伸びた分だけを樹形に合わせて、伸びた所だけ刈り込み鋏で軽く切るだけにしておきます。そして葉っぱが落ちた冬に、伸びた枝の細かい剪定をするといいと思います。

どうしても冬ではない時期に剪定をしたいという場合は、
紅葉を気にしないのであれば、葉がだいたい伸びきった9月に入った頃からの軽い剪定が良いかと思います。
紅葉が見たいのであれば、我慢して冬の剪定にして、おすすめはしませんが早めの夏(7月前頃)に済ませておくことです。

その場合、太い枝を極力強く切らないで、樹形を保てる程度に伸びた分だけにとどめておきます。そして葉の落ちた冬にもう一度混んだところを整理してやると作業が案外楽に感じます。

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冬まで待てる場合は(出来れば待ってほしい)、
葉っぱが全部落ちると混み入ったところも全て下から見えるので、
細かい枝が重なったところや枯れ枝をすくように切ります。

次の夏になるとまた枝が伸びますので、その伸びる分も予想して結構広めの空間を作っても大丈夫です。

今年度伸びたような太い枝(緑色をしているかも)は、樹勢が強い部分で、来年も同じところが同じように伸びる可能性が高いです。
この太い枝は残さず切り、以前から樹形を形成している枝から伸びている細い枝で樹形を整えてあげるとトウカエデ全体が綺麗になります。

ただし、この剪定作業は2月になる前までには終わらせて欲しいんです。なぜかというと、北国岩手でも2月に入るころには、トウカエデはまだ眠っているようでもすでに動きだしています。

トウカエデは根の活動が早くはじまり、1月下旬ころになると樹液がどんどん上り出します。その証拠に試しに細い枝を切ってみるとわかるのですが、小枝を切ると水分がダラダラたれてくるので、その時にはもう木が目覚めている状態です。

休眠から目覚めた樹勢を切るとそれだけ樹勢が弱くなることから、11月から1月中旬までの間に剪定を行います。暖かくなると一斉に芽吹き始め、特に春先の剪定は樹勢が弱まるので避けなければいけません。

夏に伸びた混み入った枝葉の剪定は、葉が落ちた冬期が剪定の絶好の時期ということを覚えておいてください。

トウカエデの剪定は、絶対に冬期がおすすめです!

剪定方法のまとめ

■樹木の健康を維持するために、枯れ枝や病害虫に侵された枝を取り除きます。
■日光や風が樹冠全体に届くように、混み合った部分を整理します。
 また、交差している枝や、他の枝の生長を邪魔しているような枝を枝元から切り取ります。
■樹形を乱す徒長枝や、樹冠全体のバランスを崩す枝を剪定します。
■どうしても強剪定で太い枝を切る場合、夏期に行なうと枯れる恐れがあるので、冬期に行なってください。