
チャボヒバはヒノキ科の常緑針葉樹で、ヒノキの園芸品種で樹高が4mにもなります。
高級な樹木として和風の庭によく合います。
ここではチャボヒバの剪定方法と剪定時期について解説します。
チャボヒバが高級な樹木である理由
チャボヒバは高級な樹木と言われますが、別に、樹木自体に価値があるとか、特別な木であるというわけではないのです。
チャボヒバは玉ちらし仕立ての場合、玉ひとつひとつ丸くするように手を加えないといけません。
樹高が高い木だと1本に2時間とかかかる時もあり、そんな木が10本もあるとそれだけで 2~3日かかるわけです。
頼む側はそれだけ手間賃がかかることになり、庭師にすればチャボヒバはまさに金を生む木なのです。
「チャボヒバは高級な樹木」というのは、お金がかかるから高級な木なのです。
今ではチャボヒバを切り倒す人はいても、植える人はいなくなったように思えます。
けっこう虫がつきやすく、1玉単位で枯れるので、枯れた部分を枝の根元から切り取らなくてはならないので、その部分に隙間が空いて格好が悪くなります。
一番てっぺんが枯れたらそれこそ高級感なんてなくなり、切り倒した方がましということになりかねません。
それにチャボヒバは奇数で植えることが多いので、1本植えることはまずなく、最低3本必要になります。
このことも高級な樹木である証しなのかもしれませんね。
チャボヒバの剪定時期
チャボヒバの剪定時期ですが、それは 5月から6月頃に行なうのがよいです。
強い剪定を好みませんから、あくまでも樹形を整える程度の軽い剪定をします。
9月~10月頃に伸びた部分を整える剪定を行なってもよいです。
・5月から6月頃に行なう剪定では、枝葉の伸びる時期なので樹形を整えやすくなります。
・9月~10月頃の剪定では、夏に伸びた枝を整理し、冬に向けて樹形を維持するために行います。
・冬期や真夏は、木が弱りやすいので避けたほうが良いです。
チャボヒバの剪定方法
チャボヒバは生長は早くはありませんが、枝葉の萌芽力があり、ガリっと刈らない弱めの刈り込み程度なら可能です。
自然樹形はおもに直幹が多く、一般的には円筒形や、小枝を除いて力のある枝を生かした玉物づくりや段づくりに仕立てられています。
枝葉は水平に広がる性質があり、放置しておくと枝葉の伸びにムラがあるので樹形がすぐに乱れふところ部分の枝が枯れてきますから、年に 1回は定期的に剪定を行ったほうがよいです。
剪定作業手順について
■剪定の手順は、まずふところ部分の枯れ葉や枯れ枝を取り除きます。
枯れ枝の見分け方は、葉が茶色であったり枝に葉がついていないものが、必ずしも枯れているとは限りません。指で枝を曲げて簡単に折れるものは枯れていますが、柔らかい枝は枯れていない可能性もあるので注意が必要です。
■次に混みすぎている枝や不要な枝を切り、透かしていきますが、ハサミの先端を小枝の中に入れて、枝の分かれているところで切るようにするとよいです。
■剪定をする時に一緒に行なった方が良いことは、樹形内部の枯れ葉や古い葉を手で軽くもむようにして落としてやると、ふところ部分の風通しがよくなったり光が当たるようになります。
玉仕立てにしている場合の樹形内部には、けっこうな枯れ葉が溜まっており、意外とじめじめしています。この状況は、病害虫が好む環境なので、玉仕立てにしている時は、玉の中をよく観察して、枯れ葉をすっかりとることをお勧めします。
樹形内部からは、たまにカラスが置いていくおにぎりやゴルフボールが出てくることがあり、ヘビやゴキブリなんかも出てくると非常に驚きます。
■最後に先端部分を樹形にそって仕上げますが、一般的に言われていることは、刈り込みバサミを使わないで仕上げるということです。
刈り込みバサミで均一に刈ると葉先が茶色に枯れ込んで見苦しくなるので、指先で伸びすぎた葉を摘み取ることもあります。確かに切った部分の葉が赤くなるので見苦しいかもしれませんが、通常はそこまで行いません。
時間を無駄にできない時代なのに、木 1本に時間をかけてられませんよね。
昔ならそれでも良かったかもしれませんが、それでは時間がかかりすぎます。
というわけで、葉先が少し赤くなるのを許せるのであれば、刈り込みバサミか、木バサミ等のハサミを使って剪定した方がよいです。
私はこの片手刈り込みバサミ(おの義)を使っています。
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仕上がりは、上も下も丸みをつけた方が優しい感じがします。
こんな感じに!
チャボヒバが枯れる原因
チャボヒバは玉ちらしや円筒形に仕立てられたりしますが、放っておくと玉ひとつひとつその姿は大きくなります。
普通の考えだと刈り込んで小さくすればよいと思うかもしれませんが、チャボヒバの場合はヒバ類なので、古い枝からは芽を出しません。
特に葉が生えていない枝の途中からは芽は出しませんので、誤って深く刈り込んで枝だけの状態にしてしまうと、しだいに樹勢が弱り、深く刈り込んだ部分は枯れるわけです。
なので放っておくと葉だけが大きくなるのではなく、その内側で葉がついていない枝も伸びていくことから、小さくすることは困難になるので毎年の剪定が必要になります。
また、チャボヒバは枝ごとに枯れることが多いです。
■枯れる原因として、枝の中にキクイムシのような害虫が被害を与えて、枝ごとにまとまっている樹形ごと枯らすようです。枯れ枝をそのままにしておくと、近くの枝に移って、再び枝ごと枯れていくというサイクルがおこり、どんどん伝染していきます。
■対策としては、枯れた枝は枝元から早めに切って伝染を防ぐことです。あと、樹形内にたまった枯れ葉をすっかりとっておくと、害虫の予防につながります。
チャボヒバの強剪定について・図解
チャボヒバは強剪定を嫌う木です。
直幹の玉仕立てにしていて高くなりすぎた場合、樹高を下げたくなりますよね。
「チャボヒバの高さを低くしたいから頭を切ってもよいか?」・・・と、最近よく聞かれるのですが、
私は「枯れてもよい木であるのなら、切ってもいいよ・・・」と必ず聞きます。
これには理由があって、ヒバ類は細い枝くらいなら切っても大丈夫みたいですが、幹(特に太い幹)を切った場合、100%枯れると経験上確信しています。
この状態が、チャボヒバの幹を切った後の参考例です。
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もちろん、切る前に「枯れてもよいですよね?」と確認しましたので、安心して切らせていただきました。
その時は「生きていたらラッキー!」程度に思って切りましたが、やはり枯れました。
ちなみに、このヒバたちも頭を切られ、ことごとく枯れました。
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赤線の幹で切ると木はすっかり枯れます。
青線の枝で切っても枯れにくいです。
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このことからも、チャボヒバを生かしたい場合には、太い幹を切る強剪定は絶対におすすめしません。