
ハナズオウ(花蘇芳)はマメ科の落葉低木で、高さが2mくらいになる木です。
この木の名前は知らなくても、花を見れば結構出会っていることに気づくかもしれませんよ。
ここではハナズオウの花を咲かせるための剪定時期と剪定方法について解説します。
ハナズオウの開花時期
ハナズオウの花が咲く時期は、3月下旬~5月上旬ころです。
この開花時期は地域や気候条件によりますが、関東地方で4月初旬から中旬頃、暖地では3月下旬から咲き始めることが一般的です。開花期間はおおよそ2~3週間ほど続きます。
ハナズオウの花は、葉が展開する前に枝や幹に直接咲く「幹生花(かんせいか)」という咲き方をします。
このため、枝全体が花で覆われたように見える美しい景観が楽しめるのが特徴的です。
ハナズオウの花芽形成について
ハナズオウの花芽は、前年に成長した枝(前年枝)に形成されます。
花芽形成の時期は、7月~10月頃です。
花が咲き終わった後の枝に新芽が伸び、その新芽が夏以降に花芽を形成します。
この時期に強い剪定を行うと、翌年の花芽が少なくなり、花付きが悪くなる原因にもなります。
花芽は、枝に沿って多く付き、ややふくらんだ丸い形をしていますが、葉芽のほうは、やや細長い形状をしており、区別が容易です。
花芽形成に影響を与える要因
前年枝に花芽が形成されるため、花が咲く前や、花芽形成される時期の剪定は避けたほうがよいです。
5月~6月頃の花が咲き終わった後すぐの剪定であれば、新芽が育ち、翌年の花芽形成に影響を与えにくいです。
十分な日光を確保することで、花芽の形成が促進されます。
また、混み合った枝を間引いて風通しを良くすると、健康な新芽が育ちます。
花芽形成時期頃に窒素分の多い肥料を与えすぎると、枝葉ばかりが茂り、花芽がつきにくくなります。
リン酸やカリウム分の多い肥料を与えると、花芽形成を促進します。
ハナズオウの剪定時期
花芽は、前年に伸びた枝に夏頃までにつくタイプなので、花芽形成時期やそれ以降の剪定は花芽を落とすことになるので注意して、できれば剪定しないほうがよいです。
ハナズオウの剪定時期は、花芽のわかる3月中までに枝先を軽く切り詰める程度に行なえば、花芽がムダにならないのです。
特に花つきを良くしたり乱れた枝を剪定する場合には、3月中までに軽く剪定します。
それほど大きくならないけっこう丈夫な樹種なので、手入れをしなくても自然樹形のまま成長に任せて育てることができます。
ハナズオウの剪定は、次の2つの時期に行うのが最適です。
■花が咲き終わった後の5月~6月頃
ハナズオウは前年に形成された枝に花を咲かせるため、花が終わった後に剪定を行うことで、翌年の花芽が形成されるのを妨げません。
花が終わった後の剪定では、枯れ枝や不必要な枝を切り取り、樹形を整える整枝剪定をします。
■冬の休眠期の12月~3月頃
葉が落ちた落葉後は樹形が見やすく、混み合った部分の枝を剪定するのに適している時期です。
太い枝や大きくなった枝の剪定や、不要な徒長枝の除去を行ない、枯れ枝や病害虫被害の枝の剪定も行ないます。
ハナズオウの剪定方法
ここからは、ハナズオウの剪定方法についてお伝えします。
剪定の手順
ハナズオウの剪定のおおまかな手順として、次のように作業すると要領よく行なえます。
■はじめに、枯れ枝や不要な枝を、枝元の分岐点で切り落とし除去します。
■幹や主枝に近い部分で切る場合は、樹皮を傷つけないように注意しましょう。
■樹形を乱している枝や、交差している枝、混み合った枝を間引き、全体のバランスを整えます。
■長く伸びすぎた枝は、枝元から3~5芽残して切ってやると、新芽の発生を促しつつ樹形を整えます。
具体的な剪定方法
若木のころは枝を良く伸ばしますが、年々伸び方が鈍くなり、花をよくつける短枝をたくさんつけるようになります。若木の頃に樹形をつくるようにしておけばその後は、あまり手を加えなくても成長が遅いので楽です。
ハナズオウは花芽のつく節には葉芽がないのが特徴で、上部の葉芽のある部分で切るとよいです。
花芽は前年に伸びた短い枝の元部によくつくので、先端の枝を切り詰めるようにすればよく、元から切り除くことは避けたほうが良いです。
3月頃であれば花芽が膨らんでいる時期なので、花芽をよく見ながら必要のない枝を切り取れるので、作業が一番やりやすい時期です。
また大きく伸びすぎた場合には、枝の分かれ目で短い枝を残し、長い方の枝を切り花芽のついていない枝を見分けて、切り詰めや間引きを行います。
間引きや切り詰めで幹や枝を切る時は、幹の場合は2cmくらい残してやれば、枯れることは少ないでしょう。
病害虫はミノムシやアブラムシが多く発生します。夏には葉の裏側に蜂が巣をつくり、静かに潜んでいることが多いので気をつけてください。
ハナズオウの剪定方法のまとめ
■病害虫が発生した枝や、枯れた枝は必ず除去します。
■ハナズオウは枝が密集しやすいため、風通しと日当たりを良くするために混み合った枝を間引きます。
■他の枝から飛び出した徒長枝や樹形を乱す枝は剪定します。
ハナズオウの特徴
ハナズオウ(花蘇芳)は、中国が原産地で300年以上前に日本にやってきたようです。
4月下旬ころ、葉に先立って枝一面に、ピンクや紅紫色の蝶の形をした美しい小花を密生して咲かせる落葉樹で、日本の庭木としても人気があります。
普通によく見るハナズオウの色は紫色ですが、白色の花を咲かせるシロバナハナズオウもあるようです。
ハナズオウは花芽のつく節には葉芽がないのが特徴です。
マメ科なのでマメができます。