シャラノキは、ツバキ科の落葉高木で樹高は6mになる別名「夏椿」ともいいます。
ここでは、シャラノキ(夏椿)の花を咲かせる剪定時期と剪定方法について解説します。
シャラノキの花芽形成時期について
シャラノキの花を咲かせるための剪定を行なうには、花芽の形成時期がいつなのかを知っておく必要があります。
ここでは、シャラノキの花芽形成時期について詳しく解説します。
シャラノキの花芽は、夏から秋にかけて形成されます。
具体的には、8月から9月頃に次の年の花を咲かせるための花芽が作られます。
花芽は葉芽と異なり、少し丸みを帯びた形状をしており、枝の先端や側枝の付け根付近にできます。
翌年の6月~7月頃に咲くシャラノキの花は、8月から9月頃に形成された花芽によって咲くことになります。もしも、シャラノキの花が咲かないと悩んでいるのであれば、何かしらの原因があります。
次では、シャラノキの花が咲かない原因についての可能性をあげますので、剪定等に役立ててください。
花芽形成に影響する要因
シャラノキの花芽形成は、次のような要因に影響を受けて、花芽と葉芽に分けられます。
■日当たりによる影響
シャラノキは半日陰を好む樹木ですが、適度な日当たりがある場所で育てると花芽がつきやすくなります。
過度な日陰や混み合った枝は、花芽形成を妨げる可能性があります。
■剪定のタイミングによる影響
シャラノキは、花芽が形成される8月以降の剪定は花芽をなくすので避けたほうがよいです。
特に、花芽は枝の先端部にできるので、その部分を切りすぎると花芽を切り落とすことになり、翌年の開花に影響が出ます。
■栄養状態
花芽を形成するためには、樹木が健康で適切な栄養状態にあることが重要です。
過剰な施肥や水不足は花芽形成を妨げる原因となるため注意が必要です。
■ストレス
シャラノキは、強い乾燥や過湿、病害虫の被害などのストレスがかかると、花芽の形成が減少することがあります。
花芽形成を促進する管理方法
花芽の形成時期に剪定や過度な管理を行うと、翌年の花が少なくなる可能性があります。
樹木全体の健康を保つことが充実した花芽形成につながります。
シャラノキの花を楽しむためには、8月以降は枝を切らないことです。
■適切な剪定時期で行なう
シャラノキの剪定は、花が咲き終わった後の6月下旬~7月中旬頃か、休眠期である冬期の12月~2月頃に行い、8月以降は枝を切らないようにします。
■適切な肥料の施用
3月~4月頃に緩効性の肥料を与えることで、花芽形成に必要な栄養を補えます。
窒素成分が多すぎると葉が茂りすぎて花付きが悪くなるため、バランスの取れた肥料を与えます。
■不要な枝を間引く
枯れ枝や混み合った枝は間引き、日当たりと風通しを良くすることで花芽の形成を助けます。
■適度な水やり
特に夏場の乾燥時期には適度な水やりを行い、過度な乾燥を避けます。
シャラノキ(夏椿)の剪定時期
シャラノキ(夏椿)の剪定は、適切な時期と方法によって充実した成長を促し、花芽を落とすことなく美しい樹形を保つことができます。
ここでは、シャラノキの花を咲かせるための剪定時期について解説します。
シャラノキの剪定時期は、11月~3月までの落葉時に行うとよいです。
その理由は、シャラノキの花芽はその年に伸びた生長が充実している枝につき、次の年に開花することから落葉期の剪定が好ましいのです。
必ず枝分かれしている部分か、芽がある上の部分の枝で切り取るようにします。
また、花が終わった直後にも剪定が可能です。
シャラノキの剪定に最適な時期をまとめると以下の通りです。
■冬期(休眠期)の11月から3月中旬頃
この時期は、葉が落ちて枝の構造が見えやすくなるため、不要な枝を判断しやすいです。花芽も確認できる可能性があります。
また、樹木の成長が止まっているため、樹勢に与えるダメージが少ないです。
■花が咲き終わった後6月下旬から7月中旬頃
花が終わった直後のこの時期に剪定をすることで、花芽形成に影響を与えません。
8月から9月頃には、次の年の花を咲かせる花芽が作られるため、それ以降のむやみな剪定は避ける必要があります。
シャラノキ(夏椿)の剪定方法
シャラノキを庭植えをするなら人工的な強い剪定はできるだけ避けて、切り詰めない自然の姿に仕立てるとよいです。
自然樹形にするためには、突起した不自然な枝を残さず、枝のつけ根からきれいに間引くことを心がけます。
放任のままでも枝はバランスよく伸び、広さに余裕があればむしろ剪定の必要はない木です。
しかし、樹冠内が混みあってくるとどうしてもうっとうしくなるので、その場合は剪定により整理して上げます。
11月~3月までの落葉期に、枯れ枝や強く伸びた徒長枝や混みあった枝、重なった枝を元部から間引くように切り抜き自然樹形を整えます。特に頂上に近い枝は伸びやすいので、上部の徒長気味の枝は全て取り除きます。こうすると下枝にも十分に日が当たるようになります。
必ず弱く短い枝を残し、太く強い枝は枝の根元から切り取ります。
シャラノキの剪定を行なう手順
次の手順で剪定を行なうと楽に作業が進むかもしれません。
■枯れている枝や病害虫に侵された枝をはじめに取り除きます。
枯れ枝等を切る場合は、剪定ばさみやノコギリにより切り取ります。
■交差枝・混み合った枝の除去
樹形が込み合うと、日当たりや風通しが悪くなり病害虫が発生しやすくなります。
交差している枝や重なっている枝を取り除きます。
■徒長枝の剪定
不必要に伸びた樹形を乱すような徒長枝はすべて切り取ります。
垂直方向に伸びる勢いの強い徒長枝は、全体のバランスを考えて適度に間引きます。
■樹形の整え
自然樹形を基本としつつ、美しいドーム状の形を保つため、樹形を整える程度に切ります。
切りすぎると樹勢が衰えるため、適度な枝の量を切るようにします。
「ヒメシャラ」の剪定方法
ヒメシャラの花や葉はシャラノキよりも小さめですが、樹皮が薄くはがれる姿や秋の紅葉は、シャラノキよりも美しい特徴があります。
樹冠が広く横に伸び広がるヒメシャラは、狭い庭には不向きな木です。
ヒメシャラの剪定方法はシャラノキと同じでよいですが、そもそもシャラノキはほうき状に育ちますが、ヒメシャラは樹冠が広く横に伸びるので、自然樹形が違うことから枝先を切り詰めないようにして樹冠の広がりを残すようにします。
また、ヒメシャラは根際に日が当たることを嫌うので、根元に寄せ植えやわらを敷いた方がよさそうです。
シャラノキの特徴
シャラノキは赤褐色でペラペラはがれるような樹皮と、はがれたそのあとに現われる美しい樹肌に独特な趣を感じさせてくれます。
シャラノキの花芽はその年の伸びた枝につける「前年性枝タイプ」で、花は6月~7月頃に咲きます。
落葉しても繊細な小枝や冬芽がしっとりとした風情をかもし出すことから、自然樹形に仕立て方て楽しみます。
「シャラノキ」と「ヒメシャラ」の違い
シャラノキとヒメシャラの違いですが、気になったことはありませんか?
気になる方のために、シャラノキとヒメシャラの違いについて少し解説しますね。
シャラノキとヒメシャラは、花や葉、樹形も違うく、ヒメシャラの方が全体的に小ぶりという感じです。
花についての違いは、シャラノキのほうが大きいです。
シャラノキの花弁はしわが多く、縁がギザギザした感じになっていますが、ヒメシャラの花弁はしわが少なく、シャラに比べて縁がなめらかな感じです。
花期は、シャラノキよりヒメシャラのほうがやや遅いようです。
葉につての違いは、あまり見分けがつかないようですが、ヒメシャラの方が若干シャラノキより小さくて薄緑でちょっと照った感じがします。
幹についての違いは、シャラノキのほうはヒメシャラよりも薄めの色をしていて、皮が厚めにペラペラ剥がれる感じで、ヒメシャラは赤っぽい樹皮をしていて皮が薄く小さく剥がれる感じです。