
ドウダンツツジは全国各地で植えられていて、3~4月頃の花期には柄の付いた、スズランや提灯にも似るつぼ状の白くてかわいらしい小花が下垂して咲きます。
新緑もまたきれいで、秋の紅葉時期には葉を真っ赤に染めて、見る人を楽しませてくれるので、生け垣としても人気がある木です。
葉を落としても、枝ぶりを楽しむことができるので、1年中楽しめるドウダンツツジは、庭に1本は欲しい木です。
ここではドウダンツツジの花を咲かせるための剪定時期と剪定方法について解説します。
自然に育てるドウダンツツジは花が咲く
ドウダンツツジの花を咲かせるのは、けっこう難しいと思っています。
「何で我が家のドウダンツツジは咲かないのか?」
「咲いたとしても1凛くらい・・・」
私も散々悩んだことがあります。
そして、行き着いた答えは、
剪定をしないことでした。
あなたのお庭のドウダンツツジは、剪定をしても花を咲かせていますか?
剪定をされていないお宅のドウダンツツジは、毎年たくさんの花を咲かせています。
信じたくはないですが、これは可能性が高いです。
もしかしたら、これが本当のドウダンツツジの姿なのかもしれません。
この写真は、10年上住んでいないお宅のドウダンツツジで、もちろん剪定は行なっていませんが、毎年このように満開に花を咲かせます。
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ただ、庭の広さに限りがあったり、生け垣として植えてあるドウダンツツジは、剪定をして樹形を整えてあげないと見栄えが良くなく、そのお宅に住んでいる人の人格を疑われてしまうかもしれません。
大雑把な人だとか、
面倒くさがり屋だとか
適当な人だとか、
責任感がない人だとか、
整理できない人だとか、
きちんとしていない人だとか、
できれば、そのように思われたくないはずです。
だから、庭にあるドウダンツツジの剪定をしてきちんとしておきたいという想いが強いのでしょう。
でも、その思いとは裏腹に、剪定すればするほど花は咲かなくなるのです。
これは紛れもない事実です。
ドウダンツツジは、できれば人の手を借りないで生きた方がよいでしょうから、自然に育つと花も勝手に咲くのでしょう。
剪定をすると花が咲かなくなる理由
ではどうして剪定を行なうと、花が咲かなくなるのでしょう。
考えられる理由として、長年花が咲かない場合は、土壌が悪かったり、日当りが悪かったりと植えてある場所の条件が悪い場合。風当たりが強くても花は咲きにくいようです。
あるいは、ドウダンツツジは花木なので、肥料分が足りてないことがあるかもしれません。
そして、これが花が咲かない原因として一番重要な条件ですが、
それは、花芽が形成している時期に、良くない剪定を行なってしまったことです。
また、花芽ができあがってしまってから、ガッツリと深く刈り込んでしまうと、せっかく出来上がった花芽ごと切ってなくしてしまいます。
せっかく剪定を行なったとしても、時期が悪い時に剪定を行なうと花は咲きません。
この写真は、毎年しっかりと剪定をしているドウダンツツジです。
このころは花が咲く時期なのですが、見てもらうとわかるように、1輪も咲くことがありません。
これは、花が咲こうとしていたのにもかかわらず、花芽が形成されてから人為的に剪定を行なってしまったのですから、どうしようもありません。
このような剪定をしたドウダンツツジは花が咲きません。
それを防ぐには、花芽ができる時期を知る必要があります。
ドウダンツツジの花芽形成について
ドウダンツツジが花を咲かせるためには、花芽の形成時期を理解して剪定を行なうことが重要です。
ここからは、ドウダンツツジの花芽形成について解説します。
花芽ができる時期
ドウダンツツジの花芽ができる時期は、「前年の6月~8月頃に形成」されます。
花芽はその年ではなく「前年の6月~8月頃に形成」されます。
花芽は冬の間じっとしていて、春になると成長し、花を咲かせます。
この時期に強剪定すると、翌年の花が減るので注意しましょう。
ドウダンツツジの花が咲き終わって3ヶ月後に、剪定をガッツリ行なったことがあるのですが、その時期では確実に遅く、次の年は1輪も咲きませんでした。
花が咲き終わり、葉っぱが出てきたころから、結構早めに花芽の形成が始まっている可能性が高いです。
このことからも、花が咲き終わるのが4月頃であれば、1ヶ月後~2ヶ月後くらいの5月~6月頃には、花芽が形成されはじめる可能性が高いです。
通常であれば、6月頃までに新梢が伸びて充実した枝の頂上に、7月頃までには花芽がすっかり形成されます。
花芽ができるサイクル
■4月~5月頃は、花が咲きます。
■6月~7月頃は、花が終わると新しい枝が伸びるので、剪定を行ないます。
■7月~9月頃は、花芽が形成され、これは翌年の花の準備になります。
■10月~3月頃は、休眠期で花芽はそのまま冬を越します。
花芽形成のまとめ
■花は4月~5月に咲きます。
■花芽は前年に伸びた枝に、7月~9月に作られる
■剪定は6月~7月に行なうとよく、7月以降の強剪定は花芽がなくなるので避けます。
ドウダンツツジの剪定時期
ドウダンツツジの花芽が形成される時期を、花が咲き終わった2ヶ月後~3ヶ月後くらいであることを理解されたかと思います。
生け垣にしたり、樹形を丸く仕立てているドウダンツツジを刈り込む場合の剪定は、剪定時期に注意しておかないと、花芽をなくしてしまう可能性が高いです。
それでは、いつ剪定を行なうのが良いのでしょう?
それは、花が咲き終わり、新芽が伸びきる前が良いです。
とはいっても、花が咲き終わってすぐの時期だと、まだ葉っぱがそれほど葉っぱが生えてないかもしれません。
なので、花が咲き終わって1ヶ月後くらいを目安に剪定を行なうようにするとよいです。
ドウダンツツジの剪定方法
ドウダンツツジは、主に刈り込んで樹形を仕立てる場合が多いので、花芽を落とさないように注意して刈り込みます。
ドウダンツツジの刈り込みは、年2回行うのが理想です。
第一回目の刈り込みは、新葉がでそろい新芽の伸びが止まった、5月下旬から6月頃に軽く刈りそろえる程度に作業します。
これ以降に刈りこむと花芽が少なくなりますし、秋の紅葉は思ったほど楽しめないかもしれません。
またドウダンツツジだけではないですが、ハサミで切られた葉が赤褐色に日焼けする場合があります。
第二回目の刈り込みは、11月から3月の落葉期に、弱目に突発的に伸びた枝だけを刈り込んだり揃える程度にします。
まず、徒長した枝や枯れ枝を切り取ってから、刈り込みハサミで全体の樹形を整えます。
この時、小枝の一番外側の強い芽を切り落とし、中間の強さのそろった芽を残すようにします。
刈り込みにより芽が切り取られ枝だけになっても、春に萌芽し輪生した小枝が育ちますから心配ありませんが花数は少なくなります。
仕立物や丸型に施したドウダンツツジも、同じように刈り込み剪定を行なって下さい。
今まで7月後半に刈り込みをしていたドウダンツツジです。
去年まで数えるくらいしか咲かなかったのですが、剪定時期を6月に早めたらたくさん咲いてくれました。
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自然風に仕立てる剪定方法
ドウダンツツジは生け垣にするだけではないと思いますので、自然風に仕立てる場合の剪定方法を解説します。
6月頃までに新梢が伸びて充実した枝の頂上に、7月ころまでには花芽が形成されます。
基本的には剪定時期は同じで、自然風に仕立てる場合も花後に剪定するのが良く、適期は花が終わった後すぐから6月中旬頃までがおすすめです。
花芽は新梢の基部にある充実した短枝につき、翌春4月頃開花します。
萌芽力が強いので放任したままでは雑然とした枝ぶりになってしまいます。自然樹形の場合や紅葉を楽しむ場合は、強い剪定は控え、徒長枝や混んだ枝や枯れ枝を抜く程度で樹形を保ちます。
花を楽しみながら自然形に育てる場合の剪定方法は、年2回行うのが理想です。
第一回目の剪定時期は、花の咲き終わった直後から6月頃までです。
まず樹形を乱す徒長枝やふところ枝を付け根から間引き、また伸びを止めるためには中心となる強い芯枝を間引きます。さらに強く伸びを押えたい場合には、腋枝を生かして芯を切り詰めます。
第二回目の剪定は、11月ころから3月の落葉期に軽く行います。
この時は夏の間に飛び出した徒長枝の切り詰めや、混みあった枝やからみ枝を付け根から間引きます。花芽が大きく膨らみ確認ができる時期なので、つぼみを切り捨てないように注意します。
ドウダンツツジの管理
ドウダンツツジは病害虫がつきにくく管理がしやすい木です。
ドウダンツツジは日当たりと排水の良い肥沃な場所を好みます。
植えつける場合根は浅く広く張っていくので、植穴を大きめに掘って、腐葉土とたい肥を十分に施して高めに植えつけてください。
樹勢が強く比較的移植も容易ですが、年数がたったものを移植する場合には、事前に根回しをしてから行なった方がよいです。
寒肥には鶏糞とたい肥を、紅葉前の追肥には油粕と化成肥料を施すとよいです。