
ナンテン(南天)は「難を転ずる」という縁起をかつぐ木でも知られていることもあり、昔からナンテンを植えているお宅は多いです。
ナンテンは庭の石組みや高い木の根締め、建物添えなどに植えられていることも多いです。
赤い実のなる「赤ナンテン」や白い実のなる「白ナンテン」があり、白ナンテンは赤ナンテンよりも数が少なく貴重とされている地域もあります。
ここではナンテン(南天)の剪定時期と剪定方法について解説します。
ナンテン(南天)の剪定時期
ナンテンの剪定の時期は3月~6月までの間が理想的で、6月の剪定では花の咲いている枝を切ると実がならないので注意してください。
ナンテンの剪定の適期は3月~6月までの間ですが、どうしてもその時期に切らなければならないということではなく適宜に切ってください。
ナンテンは株立ち状で密集して伸びますが、生長は比較的遅い木ですから、特に毎年行なう定期的な剪定の必要はなく、大きくなりすぎた場合や枝が茂って込みすぎた場合などに剪定すればよいです。
ナンテンの剪定時期のまとめ
3月~6月までの夏期の間が理想的ではありますが、冬期にも行なうことができます。
ナンテンの剪定に最適な剪定時期についてまとめると以下の通りです。
■冬期(11月~3月)
冬期剪定の目的は、樹形を整えたり、枯れ枝など不要な枝を取り除きます。
常緑樹ではありますが、この時期は落葉が進み枝が見えやすい時期なので、剪定がしやすくなります。
樹木の成長が止まる時期のため、植物に与えるストレスが少なくて済みます。
■夏期(3月~6月)
夏期の剪定の目的は、混み合った枝の間引きと徒長枝を切り取る作業をします。
成長期が始まる前に形を整えることで、風通しを良くし、病害虫の予防になります。
ナンテン(南天)の剪定方法
ナンテンが高くなり過ぎた場合の剪定は、根元から出ている枝の数が多い時には高くなりすぎた枝や幹を根元から枝と枝の間を開けて間引くように切り取ります。残った枝幹が高すぎたら、枝分かれしているところや芽の出ているところの直上部で切り戻しを行います。
花芽は先端につきますから枝先を一律に切り詰めるような剪定はしないほうがよいです。
低く仕立て直したい場合は、枝の途中で葉の生えているすぐ上で切り戻せばよいです。
ナンテンを見る場所によって切り方も変わるのですが、一律に同じ高さにするよりも、奥側を高くして手前を低く仕立てるときれいに仕上がりますし、見栄えもだいぶ違うようになります。
混みあった大株は古い幹を根元から切除すると良く、株が古くなり根元や株全体が混みいうっとうしい場合は、古い枝葉を根元から切り取って新しいものに更新したほうが良いです。
混みあって通風が悪いとだんだんにカイガラムシが発生することになります。
生育が旺盛なのに花月の悪い株は萌芽前の4月ころにスコップで根切りを行うとよく開花して結実がなるようです。
ナンテンは低い位置に小枝がなく芽の出ていない場合でも、途中で切っても必ず萌芽してきますのでけっこう安心して切れる木です。
剪定を行なうための準備
ナンテンの幹や枝は細くても意外と硬くて切れにくいので、鋭利な剪定ばさみやノコギリを用意します。
ナンテンは株立ちのように1ヶ所にまとまるように生えることが多く、群生しているとどの枝を切ったら良いのか迷います。
そんな時は、全体をよく観察して仕上がった状態を想像し、切るべき枝の目星を立てておきます。
ナンテンの基本的な剪定方法
■不要な枝を取り除く剪定作業
枯れ枝は、病害虫を発生させるので根元や枝元部から切り取ります。
他の枝と擦れ合っていたり、交差した枝は間引きます。
下向きの枝がある場合は、樹形を崩す原因になるので適宜に切り取ります。
■樹形を整える剪定作業
ナンテンは株立ち状に育つ木なので、自然な形を意識して、できれば放射状の樹形になるような塊を目指します。
樹高を制御するために、全体のバランスを見ながら、適度な高さに切り詰めます。
樹形の内部に風通しと日光が届くように、密集している枝を間引き全体的に透かすようにします。
具体的な剪定例
高さを抑えたい場合は、主枝を1/3程度切り詰め、周囲の枝とのバランスを調整します。
樹形を整える場合は、樹冠の部分を少しずつ切り詰めながら、幹と幹の間をあけるようにします。
根元からの新芽が伸びている場合には、勢いのある新芽は残して、弱い新芽は間引くとよいです。
剪定をする際の注意点
ナンテンは強剪定に耐えますが、切りすぎると花や実が付きにくくなるので、全体の1/3以下を目安に剪定します。
実を楽しみたい場合は、実を付ける枝を極力残すとよいです。
病害虫の予防として、剪定後は切り口に防腐剤を塗るとよいでしょう。
ナンテンに実をつけるには
ナンテンは昔から軒先に植えるとよく実をつけるとされています。
これは理由があって、木は花をつけてその花が受粉して初めて実を結ぶことは知られていますが、花が咲く時期に雨に直接当たってしまうと、いくら花をつけても受粉がうまく行われず、実をつけないので、それを防ぐことから、軒先に植えるとよいとされます。
特にナンテンは6月ころが花の咲く時期なので、花が咲く受粉時に雨は厳禁であることがお分かりいただけたと思います。
ナンテンでは特に花が雨に当たるとよくないことから、軒先のように雨よけのあるところなら申し分ないということで、田舎の家や昔からあるような古いお宅の軒先には、よくナンテンが植えられている理由がこのことからもわかると思います。
軒下に植えることができなくても、たとえば、高木の木の下とかに植えてもだいぶ雨をしのげるので、そのようになるべく直接雨にかからぬところに植えるのがよいです。
ナンテンを植える時におすすめしない場所は、風通しの強いところや北側、庭の真ん中などだと良くないようです。
ナンテンにつく病害虫について
ナンテンはいくつかの病害虫に被害に遭うことがありますが、主な病害虫とその対策について解説します。
ナンテンを襲う病気
■炭疽病(たんそびょう)
炭疽病の症状は、葉や枝に黒褐色の斑点が現れ、進行すると斑点が広がり、葉が枯れることがあります。
炭疽病の原因は、高温多湿の環境で発生しやすいカビ(糸状菌)によりおこる病気です。
対策としては、風通しを良くするため、密集した枝を間引くことです。
病気にかかった葉や枝は早めに切り取って処分するようにします。
予防のためにマンネブ剤やジマンダイセンなどの殺菌剤を散布します。
■すす病
すす病の症状は、葉や枝が黒くすすをかぶったようになります。すす病の被害に合うと光合成が阻害され、生育が悪くなります。
すす病の原因として、アブラムシやカイガラムシが分泌する甘露にカビが繁殖することで発生します。
対策としては、原因となるアブラムシやカイガラムシを直接駆除します。
病気が発生した部分は取り除いたほうが良く、適宜に風通しも良くします。
■根腐れ病
根腐れ病の症状は、根が腐敗して樹勢が弱り、葉が黄変して落葉します。
根腐れ病の原因として、過湿や排水不良の土壌環境で、根に病原菌が侵入しておこります。
対策として、適切な水やりを心掛け、排水性の良い土壌に植えます。
症状が出たら、植え替えを検討したり、腐った根を取り除いたほうがよいです。
ナンテンにつく害虫
■アブラムシ
アブラムシによる症状は、若葉や新芽に群がり、吸汁して植物を弱らせ、すす病の原因にもなります。
アブラムシの対策は、早期に発見したら、流水で洗い流すか、被害が多い場合はマラソン乳剤やピリプロキシフェン剤などの殺虫剤を散布します。
■カイガラムシ
カイガラムシによる症状は、枝や幹に付着し、植物の養分を吸収します。すす病を引き起こす原因にもなります。
対策として、歯ブラシなどで物理的に直接除去します。
防除にはマシン油乳剤を使用することもできます。
■ハダニ
ハダニによる症状として、葉の裏に発生し、吸汁することで葉が黄変し、ひどい場合は落葉します。
対策は、ハダニは乾燥を好むので、水を葉に散布して湿度を上げます。
被害が拡大する場合はアバメクチンなどの殺ダニ剤を使用します。
■ゾウムシ(ナンテンキジラミ)
ゾウムシによる症状は、葉に小さな穴を開けたり、新芽を食害します。
対策として、見つけ次第捕殺します。
また被害が広がる場合は、殺虫剤を散布します。
ナンテンにつく病害虫の予防方法
剪定で密集した枝を間引き風通しを良くすることで、病害虫が発生しにくい環境を作ります。
病気や害虫の初期段階で発見するために、定期的な観察により葉や枝をこまめにチェックします。
必要に応じて殺菌・殺虫剤を活用し、予防的に薬剤を散布します。
過湿にならないようにし、排水性を高める土壌管理を行ないます。
これらの病害虫に対する適切な対策を取ることで、ナンテンを健康に保ち、美しい姿を楽しむことができます。