イトヒバ(糸檜葉)は糸が垂れるように伸びる葉っぱなので、剪定が難しく思われています。
ここでは、葉っぱが特殊に生える「イトヒバ」の、剪定方法と剪定時期についてお伝えします。
イトヒバの剪定の目的
イトヒバ(別名ヒヨクヒバ)は、ヒノキ科の常緑樹で、庭木や生垣として広く利用されています。
自然樹形の美しさを保ちながら、適切に剪定することで健康で美しい姿を維持できます。
イトヒバは葉が細長く糸状に下に垂れるのが特徴の木で、和風の庭によく合い、一年中緑を楽しむのにはぴったりな庭木です。
強い剪定にも耐えることができるイトヒバは、透かしてやることで株ものや草や花を下に植えた時の日差しや風通しの邪魔になりにくいです。
しかし枝葉をよく伸ばし放任したままででいると、枝葉が乱れ重なり合うことで枯れる原因になります。
それよりもその姿を見ているだけで見苦しいのでうっとうしくなります。
イトヒバの剪定の目的は、自然な樹形を保ちながら、庭のスペースに合った大きさを維持するために行ないます。
風通しを良くし、病害虫を防ぐためや、枯れ枝や重なり合った不要な枝を取り除くことで、美観と成長の効率を向上させます。
イトヒバの剪定時期
イトヒバの剪定時期ですが、
■基本的な剪定時期は、新芽が伸びきった6月~7月頃、が適しています。
■秋の9月~10月頃、成長が落ち着き始めたこの時期は、軽い手入れや不要枝の除去に適しています。
■避けるべき時期は、真夏は樹木にストレスを与え、真冬は切り口が寒さで傷む恐れがありますので、真夏や真冬は避けたほうが良いです。
イトヒバは7月頃には新芽が伸びきるので、伸びきった9月~10月頃に毎年伸びた葉を揃える程度の剪定を行うと良いです。
10月頃に行う秋の剪定は補助的にするので、あまり寒くなってから行うと枝や葉が枯れてしまいます。
なので、10月頃までの軽めの剪定にとどめたほうが良いです。
イトヒバを剪定するための準備
イトヒバを剪定するには、道具や段取りなどある程度の準備が必要になります。
イトヒバを剪定するための道具
イトヒバを剪定するための道具として、次のようなものがあればよいです。
■剪定ばさみ等は、細かい枝葉を切るのに使用します。
私は葉を刈るときは「片手刈り込みばさみ」、枝を切る場合には「剪定ばさみ」の、その2種類を使用してます。
■ノコギリは、「剪定ばさみ」では対応できない太い枝を切る場合に使います。
■消毒液は、強制ではありませんが、剪定ばさみを事前に消毒して、病害の感染を防ぎます。
■高所作業の場合に「三脚」を使います。間違っても脚立(4本足)は使いません。
■木の幹元の周囲に敷いて、掃除を楽にするための「養生シート」
■掃除用具一式
イトヒバの剪定の進め方
剪定に入る前に、はじめにイトヒバの剪定の進め方や段取りを行ないます。
次のようなことを想定して、どこをどう切ったら良いのかイトヒバを観察します。
■樹木の健康を保つため、まずは明らかに不要な枝を取り除きます。
■枯れ枝や病害虫の被害を受けた枝を除去します。
■重なり合った枝や内向きに伸びた枝を剪定します。
■空気と光を通しやすくするため、樹木内部の混み合った部分を整理します。
■樹形を整えながら自然な形を保ち、伸びすぎた部分を少しずつ切り戻します。
■上部の枝が茂りすぎると下の部分が陰になりやすいので、バランスを見ながら剪定します。
このような項目で、イトヒバを観察し終わり段取りが完了したら、次から解説する方法で、イトヒバの剪定に取り掛かりましょう。
イトヒバの具体的な剪定方法
イトヒバの剪定方法ですが、幹や枝が見える場合は葉っぱを切るだけで良いです。
全く内部の様子さえわからない時は、次のような順序で行なうと良いです。
残す枝を決めて切る
イトヒバは葉が生い茂るとどこに枝があるのかさえわからなくなります。
枝が見えないほど生い茂っている場合は、まずはどこに枝があるのかを確認したほうが良いでしょう。
枝の位置を確認したら、全体的な枝のバランスを決めます。
仕上がりの目標は上部の枝数を少なくし、下部に行くにつれ枝数を多くするように、正面から見た時に三角錐に仕上げると、枝葉全体に日も当たりやすくなり見栄えもよくなります。
あまり枝が多いようでしたら、初めに枝数を減らしておくことで、葉っぱを切るときに剪定しやすくなります。
その場合も、均等な間隔で枝が残るように仕上がりを考えつつ、下方の枝を多く残すことに注意しましょう。
切り除く枝の種類は、
・枯れ枝
・混み合った枝
・逆さ枝
・先端の強い枝
・ふところ枝に多い枝ぶき
など、できるだけふところ枝をいかして太枝を切り捨て、残した枝が均等な間隔に整うときれいに見えます。
大体の残す枝が決まれば、これで枝を切る作業が終わります。
伸びきった葉っぱを切る
枝を切り終え大体の大まかな枝の間隔が決まったら、次にする作業は、内部状況がわからないくらいに伸びきった葉っぱを切り(刈り)ます。
イトヒバの剪定を図で解説すると、垂れすぎた葉を図のように「赤丸」の外側、「赤線」の上下を切ってやり、それでも葉が多い時は、間引いて透かすように枝葉の数を減らします。
このサイトでも紹介し、私も実際に使っている「おの義」のこの刃の長いタイプの「片手刈り込みばさみ」を使うとイトヒバの葉は楽に切れます。
↓ ↓ ↓
|
剪定作業は枝の頂上から順番に下方へとすすめて行くと、一番下の葉の剪定が終わった時に、切った枝葉が全て落ち木に残っていないので、木の上に残る葉を落とすような特別な掃除をする手間もなくきれいに仕上がります。養生シートを敷くともっと楽に掃除ができます。
7頃月には徒長枝も多く出ますし、小枝や葉っぱもたくさん密生してきます。
樹形内部の蒸れを防ぐように空き、かつ樹冠全体に枝葉が行き渡るように、頂上部の枝の葉は薄く、下方へいくにつれ葉を厚く残すように、仕上がりが下図のような感じになると良いですね。同じ木で同じ位置での撮影です。こんなに違うんです。
剪定後のケア
■太い枝を切った場合は、切り口の保護のため、癒合剤を塗ると傷口の乾燥や病気を防げます。
■剪定後は根に負担がかかりやすいので、適切な水やりと追肥を行うとよいです。
■イトヒバは自然樹形が美しいため、切りすぎずに少しずつ調整するのがポイントです。
■定期的に手入れを行い、過剰な成長を抑えることで剪定の手間が軽減されます。
イトヒバの剪定時にはいつも危険が潜んでいる
イトヒバは枝葉が枝垂れる習性の木ですが、そんな枝葉の構造がある危険性を招いています。
それは、アシナガバチなどのハチ類が、葉の裏側に巣を作りやすいことにあります。
枝葉が枝垂れるので、外的要因から巣が見つかりにくいようで、しかも木陰なので良い環境なのでしょうね。よく家の軒下にハチが巣を作ることと似ていますね。
イトヒバの剪定時には、私は良くアシナガバチの巣に出くわします。なので、必ずハチはいると思って、ほうきや長い棒などで枝葉に衝撃を与えて、巣の有無を確認をし終わってから剪定に取り掛かっています。
ただ、たまに「ハチが外出中で巣にいない時」に巣の確認を終えることがあります。
突然ハチが返ってきたその時は、その気配を感じ、もう大慌てで巣から逃げます。
ハチがいる時のために、ハチ用の駆除スプレーは離せません。
イトヒバの剪定も大事ですが、身を守り危険を回避することはもっと大事です。