藤(フジ)の木の剪定時期と剪定方法!花が咲かないのはどうしてか?

藤(フジ)は九州から東北地方まで自生する日本原産の落葉つる性植物です。

藤はつるを伸ばしていき、そのつるに花が咲くことから棚仕立てで作られていることが多く、花の時期になると棚から50cmほどの藤がナイアガラの滝のように垂れ落ちるように咲く姿に特徴があります。
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藤はそのほかにも株仕立てや鉢植えで作られることもあり、藤棚を作るスペースがなくても狭い空間でも藤の花を楽しむこともできます。

ここでは、藤(フジ)の木の剪定時期と剪定方法を、そしてどうして藤の花が咲かないのかその理由について詳しく解説します。

藤の花芽が形成される時期

藤(フジ)は、8月から10月頃が花芽ができあがる形成時期とされています。

この時期に花芽をうまく形成させるには次の点が重要になります。

花芽形成に影響を与える要因

■夏期剪定を適切に行い徒長枝を切り詰めることで、花芽の形成を促します。
もしも剪定をしないと、枝が成長しすぎてエネルギーが分散し、花芽ができにくくなります。

■日光は花芽形成に必要なエネルギーを供給しますので日当たりの確保が必要です。
日当たりが悪い環境では花芽が付きにくくなるので注意が必要です。

■花芽形成期には、リン酸を含む肥料を適切に与えると良いです。
一方、窒素肥料を与えすぎると葉ばかりが茂り、花芽形成が妨げられます。

■花芽の形成時期に水が不足すると木が弱り、花芽形成が不十分になる可能性があるので水分管理も必要です。

花芽形成を守るための注意点

■花芽は前年に伸びた枝の短枝にできるため、冬期の剪定で誤って花芽を切り落とさないように注意します。

■フジは花芽が形成される時期はデリケートなので、強風により枝が折れたり害虫被害を受けたりしないように保護が必要です。

このように、花芽形成の時期である夏から秋の管理が、翌春の美しい花を咲かせるために重要です。

藤の開花時期について

藤の開花時期は 5月頃を中心に庭だけでなく山や観光地など各地で咲き乱れます。
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藤の花は、「紫色」だけではなく「白色」や「淡桃色」などもあり、それぞれが色鮮やかで見ごたえがあり楽しませてくれます。
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藤の木の剪定時期

藤の木の剪定時期は、大きく分けて2つの時期があります。

夏期剪定(6月~7月)
5月頃を中心に花が咲き、そして花が終わった後に夏期の剪定を行います。
この時期は、主に伸びすぎた新梢(徒長枝)を切り戻し、全体の形を整えるのが目的です。
この時、新梢を数節(2~3節程度)残して切ることで、翌年の花芽の発育が促されます。

冬期剪定(12月~3月)
藤が葉を落とした休眠期に入った頃から行ないます。
その際、絡み合った枝、枯れ枝、混み合った部分などの不要な枝を取り除き、樹形を整えます。
冬期の剪定では、前年に伸びた枝を1~2節程度残して切り戻すのが基本です。
この短く切り戻した部分が伸び花芽が付いていきます。

藤の剪定時期でベストなのは 12~3月の葉っぱが落ちた冬期で、この時期はつるの混み具合もわかりやすいので要領よくできます。

丸みを帯びた藤の花芽は8月から10月頃に確認できるので、それ以降の冬期剪定(12月~3月)が適しています。
(赤丸が花芽)(青丸が葉芽)花芽と葉芽の違い図解
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花後の 6~7月に不要な枝を整理して日当たりと風通しを良くすることも大事な作業のひとつです。

藤の木の手入れ・剪定方法ついて

■古くなった枝や枯れた枝、幹から離れすぎた枝を間引き整理します。
■花芽は短く太い枝にできやすいので、これを見分けて残すように「花芽を残す剪定」をします。
■長く伸びすぎた徒長枝は切り詰め、樹形のバランスを整えます。
■主幹を残しつつ、横に広がるように枝を誘引します。
藤はツル性植物なので、フェンスや棚を使って横方向に広げるとよいです。

藤のつるが棚にはうように伸びていき棚からまんべんなく落ちる花の姿は見事ですが、手入れを怠ると見事な花の姿を見られる可能性が低くなります。
特に剪定時期や剪定方法によっては花芽がつかないので、花が咲かないということもありえます。

藤のつるは放任しておくとつるにばかり樹勢を取られてしまい、つるがぐんぐん伸びすぎて葉が茂ると株の内側まで日が当たらなくなることから、肝心の花芽が少なくなるので適度な手入れが必要になります。

藤の花芽は短い枝につくので伸びきった長い枝や未熟な枝を切り詰めて、基部の短い枝を充実させるようにしましょう。
こうすることで株の内側まで日が当たるようになり花芽がつきやすくもなります。

花芽はその年に伸びた短いつるの基部につきますので、11月以降の落葉時に花芽がわかれば、基本的にはつるの基部につく3~4個の花芽を残してつるを切り詰めまると良いです。

この場合は、赤い線で切れば良いです。花芽と葉芽の違いの剪定図解
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株仕立ての場合は「間引き剪定」と「切り詰め剪定」で仕立てていくと良いです。

花が咲かない原因とその対策

藤が花を咲かせない主な原因は、次にあげるようなことが考えられます。

剪定不足または剪定の失敗

原因として、適切な時期に剪定をしなかったり、あるいは花芽を誤って切り落とした場合には、翌年の開花が期待できません。
結構、花が咲かない原因で多いのが、この剪定による失敗です。
対策として、夏期剪定と冬期剪定の適切なタイミングと剪定方法を守って作業することです。

肥料不足または過剰

肥料が不足することが原因で、木が十分に育たず、花をつけられません。
一方で、窒素成分の多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂って花芽が付きにくくなります。
対策として、花用のリン酸が多い肥料を、春先と秋に与えるとよいです。
ただし、窒素の与えすぎに注意が必要です。

日照不足

藤は日当たりを好む植物ですが、十分な日光が当たらない環境であることが原因で、花芽が形成されないことがあります。
対策として、日当たりのよい場所に植え替えたり、周囲に障害物がある場合取り除くようにします。

若木である

藤は植えてから開花までに数年かかることがあるので、まだ花芽が形成できない若木であることが原因の場合もあります。
特に実生苗から育てた場合、花が咲くまで5~10年かかることがあります。
対策として、時間をかけて成長を見守り、将来咲くであろうことを期待して適切な管理を続けてください。

土壌の不適合

藤は弱酸性から中性の土壌を好みます。アルカリ性の土壌が原因で生育が悪くなり、花付きが悪くなることもあります。
対策として 土壌を改良し、適切なpHに調整します。その際、堆肥や腐葉土を混ぜると改善されます。

花が咲かない原因とその対策のまとめ

藤を元気に育てて花を咲かせるには、適切な剪定、肥料管理、日照確保が重要です。
また、若木の場合は忍耐強く成長を待つ必要があります。
定期的な手入れを続けて、美しい花を楽しんでください!

藤の花が咲かない時の最終手段

何年経っても藤の花が咲かなくて「おかしい、おかしい!」と首をかしげたりすることってありませんか?
もしかしたらそれは剪定時期を間違っていたり、剪定する場所を間違っていたりした場合も考えられます。
それ以外に気候など人為的ではない何かの理由で、藤の花が咲かないこともあるかもしれません。

そんな時は最終手段として、根を切ると花が咲くようです。
それも太い根があるのでスコップで思い切ってザックリと縦に入れてやって切ったり、土を掘ってノコギリや剪定ばさみで切ってやると咲くようになる可能性もあります。

根を切るといってもなんだか怖いという方は、根元に近いところの皮を 2cmくらいの幅で、
この場合は赤い線で幹周りぐるっとはいでやると目を覚ましたように花が咲かもしれません。
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藤の花を咲かせるには夏の土壌の乾きにも気をつけることで、特に根回りを乾かすのは良くないです。
そしてリン酸やカリ分の多い化成肥料を2握りくらいばらまくか置き肥してたっぷりと水を与えるといいようです。

鉢の藤の花を咲かせるには

地植えではなく、鉢に植えてある場合の藤の花を咲かせるのも同じ要領で、特に夏に水切れさせないように面倒を見てやるといいです。

手っ取り早く手間がかからない方法は、腰水(こしみず)といって、例えばたらいなどの容器に水を鉢の高さの1/3~半分くらいまで張って、鉢ごとその中に浸して、鉢の底に空いてある穴から水を吸わせる給水方法をすると良いです。
あと時々米のとぎ汁をかけてやると花つきがよくなるといいます。

このとぎ汁を使う方法は昔からよくやられているようで、そのほかの花の咲く木にもこの米のとぎ汁は効果絶大のようですよ。