はじめに:道具選びの誤りが剪定の失敗を生む
「ホームセンターに剪定ばさみがたくさんあって、どれを選べばいいかわからない」
「安いものを買ったらすぐに壊れてしまった」
「刈り込みばさみで太い枝を切ろうとしたら刃がこぼれてしまった」
剪定ばさみの選び方に関するこういった悩みは非常に多いです。
庭師として実際に使っている剪定ばさみの種類・用途に合わせたハサミの選び方・絶対に買ってはいけない剪定ばさみについてお伝えします。
はっきり言います。「始めたばかりだから」「初心者だから」といって道具代をけちっていたら、いつまでたっても上手くなりません。これは今だから言えることです。これからもずっと剪定していくなら、剪定で苦労したくなかったら、まずは用途に合わせた剪定ばさみの選び方を間違わないことが最重要です。
剪定ばさみの全体像:プロが使う道具一式
■私がいつも使っている剪定ばさみ類一式
この中で常に使っている剪定ばさみは3種類です。
この3種類を用途に合わせて使い分けることで、余計な力を使わず短時間で美しく仕上がります。
用途別・剪定ばさみの正しい選び方
■松の剪定には:小型の細い刃のハサミ(+枝切りハサミ)
松の剪定をする場合は、小型で刃の先が細いハサミ(左)と枝を切る枝切りハサミ(右)の2本があれば良いです。よほどのことがない限り、小型で刃の先が細いハサミの方だけで間に合います。
小型で細い刃のハサミの特徴は、刃先が細く軽くて小さく小回りがきくので、松の細かい作業に最適です。バネ式なので力のない方でも疲れず使えます。
■モミジ・チャボヒバ・ツゲなどの葉を刈るには:刃の長いハサミ
広くは刈らないけどモミジ程度の葉を刈る時は、刃の長いハサミが便利です。主に葉物を刈る剪定の場合はこの長い刃のハサミを使うと大きなところだけでなく細かいところまで剪定できます。
剪定例として、チャボヒバやツゲ、モミジ、ツツジ類、刈り込みばさみで大きく刈った後きれいに仕上げる時に使うとよいです。
この刃の長いハサミは22年使い続けているもので、全然ガタもきていません。現在は価格高騰して年々高くなっているようですが、それだけ長く使えることを考えれば断然お得です。
■ツツジ類など広く刈るには:刈り込みばさみ
ツツジ類などの玉ものを刈る時に一番広く刈れる便利なハサミは刈り込みばさみです。
この刈り込みばさみはよく間違えられるのですが、本来は枝を切るのではなく葉を広く刈るハサミです。太い枝を切る時に切れないからと、間違ってグリグリと枝を挟んだまま刃を回してしまうと、刃は簡単にボロボロに欠けてしまいます。
刈り込みばさみを選ぶ際に気をつけることは、重いものは腕や肩が疲れるのでできるだけ軽いものを選んだほうが良いです。
■3タイプの使い分けまとめ
松・細かい作業は小型の細い刃のハサミが最適です。チャボヒバ・ツゲ・モミジの仕上げには刃の長いハサミが向いています。ツツジ・生垣など広い面積の刈り込みは刈り込みばさみを使います。太い枝の切除には枝切りハサミが必要です。
絶対に買ってはいけない剪定ばさみ:ホームセンターの格安品
■ホームセンターの「片手刈り込みバサミ」は完全にNG
ホームセンターで売っている刃の長いタイプの「片手刈り込みバサミ」は完全におすすめしません。このハサミを2本とも1日でダメにしてしまいました。
何がダメなのかというと、新品なのに使っているうちにネジが緩み出しました。そして刃が交差するようになり、刃がお互い噛んでひっかかってしまい刃が欠け、その時点で使い物にならなくなります。この2本とも1日でだめにしました。
■「手作り・鍛造」のハサミこそが22年使い続けられる
その経験からも、ちょっと高くても手作りで鍛造で造られているハサミの方が絶対に良いです。
これは1本で22年使っているハサミですが、全然ガタもきていません。形は同じように見えるかもしれませんが造りは全く違うものです。
22年使えるハサミ vs 1日でダメになるハサミ
どちらが結果的にお得かは明らかです。
■「初心者だから安いものでいい」は大きな間違い
「始めたばかりだから、初心者だから」と道具代をけちっていたら、いつまでたっても上手くなりません。剪定の腕を上げるためにも、最初から用途に合った良い道具を選ぶことが重要です。
安物のハサミでは切れ味が悪く、刃が欠けやすく、枝の断面が潰れて病原菌が入りやすくなります。植木のためにも、作業の効率のためにも、良い道具を選んでください。
道具選びの失敗リカバリー:「買ってしまった」時の対処法
■安物の刈り込みばさみで刃が欠けてしまった場合
格安の刈り込みばさみで刃が欠けてしまった場合、残念ながら修復は難しいです。軽い欠けなら砥石の荒い面で修復を試みることはできますが、深い欠けは修復不可能なことがほとんどです。
この機会に良いハサミに買い直すことをおすすめします。安物を何度も買い直すより、最初から良いものを1本買った方がトータルコストが安くなります。
■刃がグラグラして使い物にならなくなった場合
ネジが緩んでガタつくようになった場合、ネジを締め直すことで一時的に改善できることがあります。ただし格安品はネジの精度自体が低いため、すぐにまた緩んでくることが多いです。
■刈り込みばさみで太い枝を切ろうとして刃が欠けた場合
刈り込みばさみは葉を広く刈るためのハサミで、太い枝を切るのは誤った使い方です。軽いこぼれなら荒砥石で修復を試みてください。深い欠けは修復不可能なことが多いです。今後は太い枝は必ず枝切りハサミを使うようにしてください。
おすすめの剪定ばさみ:プロが実際に使うおの義の道具
■おの義の剪定ばさみが22年使い続けられる理由
おの義(おのよし)は手作り・鍛造で造られた剪定ばさみのメーカーです。刃の切れ味・耐久性・バランスのすべてにおいて優れており、現場での長年の使用に耐えます。
価格は格安品より高くなりますが、22年使い続けられることを考えれば断然お得です。また研ぎ直しサービスにも対応していますので、適切なお手入れをすることで半永久的に使い続けることができます。
■用途別におの義でおすすめする道具
松・細かい作業用として、おの義の小型バネ式剪定ばさみをおすすめします。仕上げ用として、おの義の刃の長い片手刈り込みバサミをおすすめします。刈り込み用として、おの義の刈り込みバサミをおすすめします(できるだけ軽いものを選ぶこと)。
■まず1本から始めるならこれ
一度に全部揃えるのが難しい場合は、まずおの義の小型バネ式剪定ばさみ(汎用タイプ)から始めることをおすすめします。これ1本で細かい作業から2cm程度の太い枝まで対応でき、多くの庭木の管理に使えます。
剪定道具の正しい使い方と長持ちさせるコツ
■刈り込みばさみの正しい使い方と誤った使い方
刈り込みばさみは葉を広く刈るためのハサミです。太い枝を切る用途には使いません。刈り込みばさみで太い枝を切ろうとすると刃が欠けてしまいます。太い枝は必ず枝切りハサミを使ってください。
■道具のお手入れで寿命が大きく変わる
どんなに良いハサミでも、お手入れを怠れば寿命が短くなります。使用後は刃に付いた樹液・ヤニ・汚れをウエスで拭き取り、薄く油(椿油・マシン油等)を塗ります。松などの樹液の多い木を剪定した後は、作業中にもこまめにヤニを取ることが重要です。
刃の裏面にヤニが溜まると刃がかみ合わなくなり切れなくなります。「切れないな」と感じたら、まず刃の裏面のヤニを取ることが第一です。
■重さの選び方:腕・肩への負担を最小限に
刈り込みばさみは特に重いものは腕や肩が疲れるのでできるだけ軽いものを選んだほうが良いです。長時間作業する場合は道具の重さが体への負担に直結します。軽いほど疲れが少なく、美しい仕上がりが長続きします。
プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安
道具を揃えても、作業環境によっては自分での作業に限界があります。樹高が3mを超える場合は高所での作業に転落リスクがあります。この場合は専門業者への依頼をおすすめします。
また大型の生垣・多数の庭木がある場合は、電動ヘッジトリマーを使う専門業者の方が効率的で仕上がりもきれいです。自分で管理する場合でも、年1回はプロに全体を整えてもらい、その後自分で維持管理するという方法が最も賢い選択です。
よくある質問Q&A
Q. 剪定ばさみは何本揃えればいいですか?
A. 最低でも2本(小型の細い刃のハサミと枝切りハサミ)、理想は3本(それに刃の長い仕上げ用を追加)です。刈り込みばさみは広い面積を刈る作業がある場合に追加することをおすすめします。
Q. ホームセンターの安い刈り込みバサミを買いましたが、すぐに壊れました。修理できますか?
A. 格安品はネジの精度が低く、修理しても同じことが繰り返されることが多いです。この機会におの義などの良いハサミに買い直すことをおすすめします。長期的に見ると良いものを1本買った方がトータルコストが安くなります。
Q. 刈り込みばさみで太い枝を切ってはいけないのですか?
A. 刈り込みばさみは葉を広く刈るためのハサミで、太い枝を切る用途には適していません。太い枝を切ろうとすると刃が欠けてしまいます。太い枝は必ず枝切りハサミを使ってください。
Q. 軽い刈り込みばさみと重い刈り込みばさみ、どちらを選べばいいですか?
A. できるだけ軽いものを選ぶことをおすすめします。刈り込みばさみは長時間使うことが多く、重いものは腕・肩が疲れます。軽い方が長時間の作業に耐えられ、仕上がりも安定します。
Q. おの義の剪定ばさみはどこで買えますか?
A. おの義の製品は専門の園芸店・造園用品店・一部のホームセンター・インターネット通販で購入できます。実物を手に触れて重さ・グリップ感を確認してから購入することをおすすめします。
剪定道具の選び方をまとめると、「用途に合わせた4タイプを使い分ける」「ホームセンターの格安品は1日でダメになる経験がある、最初から良いものを選ぶ」「刈り込みばさみは葉を刈るためのもので太い枝には使わない」という3つのポイントが最も重要です。
「剪定するなら道具から」これは庭師として22年以上働いてきた実感です。良い道具を選ぶことが、美しい剪定と長く楽しい庭仕事への第一歩です。このページがあなたの道具選びの参考になれば幸いです。
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