
キャラボクは適切な剪定を行うことで、赤い実をつけたり、整った樹形を容易に維持できる木です。
ここでは、キャラボクの剪定時期と剪定方法についてお伝えします。
キャラボク(伽羅木)ってどんな木?
キャラボク(伽羅木)は、イチイ科の常緑低木で「イチイ」の園芸品種です。
この「キャラボク」は、地方によってはオンコとかオッコといわれていて、日本庭園や生け垣に使われることが多いです。
「キャラボク」と「イチイ」の違いは葉っぱを見るとわかると思います。
キャラボク
イチイ
ちなみに、「キンキャラ(金芽伽羅木)」は別名「オウゴンキャラボク」と言われる、イチイ科イチイ属の常緑低木で「キャラボク」の園芸品種です。芽出しから黄金色に染まる葉が特徴的で庭木として多く利用されます。
「キンキャラ(金芽伽羅木)」の剪定も「キャラボク(伽羅木)」と同じ要領で行なうと良いです。
キャラボクは生長するスピードが遅く管理がとても楽な木です。私は松の次に好きな木なのですが、キャラボクがこんなに人気がない木だとは思いませんでした。赤くて小さい実は成るのですが、目立つような花は咲かない木なので、面白みを感じないからなのでしょうか。
昔は庭にキャラボクを植えると疫病を除くと言われたようで、古い庭や田舎の庭には数多く用いられています。
今は外来種のコニファーが人気のようですが、育ちが早く枯れやすい上に、管理が大変なのになぜか人気があるんですよね。そういうお宅の多くが木には全く興味がなく伸ばし放題のようです。コニファー類はただ植えればいいだけ、はじめだけ格好が良ければいいだけの木のようです。
キャラボクは新芽が特に美しい木で、一年中緑を楽しませてくれます。
成長が遅いのが利点で、日向でも日陰でも育ち、虫もつきにくく庭に植えるには最適で寿命の長い木なのです。
キャラボクはスギや落葉樹のようにどんどん伸びる木ではなく、どんなに放っておいても4mくらいにしかならないですが、放っておけば当然樹形は整いません。
成長が遅いことから管理が容易で狭い庭にも向いています。
キャラボクの仕立て
キャラボクは、自然に放任すると株立ちになりやすいですし、何も手を加えないと幹や枝は横にどんどん広がって伸びていきます。
キャラボクを庭植えにする多くのお宅では、玉散らし仕立てや生垣として利用されています。
萌芽力が強いので、どんな形にも刈り込むことができ、「トピアリー」といって、動物やキャラクターなどに似せて刈り込んで作ることもできます。
例えばこんなの
↓ ↓ ↓
キャラボクの剪定時期
キャラボクの剪定時期は、新芽が出終わった頃の6月から7月頃に1回行なうと良いです。
葉っぱが伸びきった9月から10月頃に揃える程度の剪定を1回すると、1年中綺麗な姿のキャラボクを鑑賞できます。
深く刈り込む必要はありませんし枝に達するほど葉を切ってしまうと、その部分からは葉が出ないで枯れてしまいますので注意が必要です。
キャラボクのベストな剪定時期は、地域にもよりますが、1回で済ますなら6~7月頃か、9月~10月頃のどちらかが良いです。
盛夏(酷暑)や厳冬期の剪定は避けた方がよいでしょうね。
剪定時期のまとめ
キャラボクの剪定は、次の時期が適しています。
■6月~7月頃の時期は、新芽が伸びて葉が充実する時期です。
この時期の剪定では、樹形を大きく変えるなどの「強剪定」は、樹勢を弱めるので避けて、軽めの整枝剪定を行います。
剪定後には新しい芽が出やすくなる時期です。
■9月~10月頃には、伸びた分の枝葉を切って整理するのに適した時期です。
冬にかけて成長が鈍る前に樹形を整えられる時期です。
■3月~4月頃
冬には、枯れた枝や傷んだ枝などの、不要な枝を中心に取り除く剪定をしておくと良いです。
新芽の成長を促すために行ない、強剪定を行うなら、この時期が最適です。
8月頃の酷暑の剪定は強い日差しでダメージを受けやすく、12月~2月頃の厳冬期は成長が止まるため剪定後に回復しにくく、樹勢を弱めるので避けます。
キャラボクの剪定方法
その年に伸びた黄緑色の部分を、5月、6月に刈り込みます。
小さな木なら新芽を手で地道に積んでも良いですが、大きな木だと葉の数が多くなるので時間はかかります。
キャラボクを刈り込みバサミで刈った後、切断面が茶色になります。特にキャラボクは、その茶色が目立ちますが刈込む以上仕方がないです。
茶色くなるのがどうしても嫌なら手で積むしかないですが、春以降は、新芽が硬くなり手で摘み取ることができません。
成長が遅く葉が伸びにくい木なので、年1回、丁寧に手入れをすれば手がからない木です。
葉っぱがなくなるほど、枝だけが残るくらい深く切ると、その部分からは葉が出ないですし、寿命が短くなるので、それだけは絶対に止めてください。
剪定時の注意点
キャラボクは、時期によって新しい芽を出しやすいので、葉がある部分を残して剪定します。
枯れ枝や突発的に伸びた徒長枝は枝元から切ります。
葉がなくなるくらいガッツリと強く刈り込みすぎると、葉が少なくなるだけでなく、場合によっては葉が生えなくなるので枯れる可能性が高くなります。枝には確実に葉が残るように、少しずつ剪定したほうがよいです。
剪定後のキャラボク疲れているので、水やりと追肥を行うことで樹勢の回復に役立ちます。
強剪定をした場合は、油かすや堆肥等の有機肥料や緩効性肥料を与えると良いです。
剪定方法のまとめ
■樹形を整える剪定(整枝剪定)は、6月~7月頃と、9月~10月頃に行なえます。
その際、樹形を整えるために、伸びすぎた枝葉を刈り込み、乱れた枝を切り取ります。
生垣や玉仕立てなどにしている場合、刈り込バサミで樹形を整えますが、刈り込む際は深く刈らないようにします。
伸びた分の枝葉を樹形を整えるように軽めに剪定し、葉をすっかり刈り込まないで残るようにします。
■間引く剪定は、3月~4月頃に行ないます。
密集した枝を減らして、風通しと日当たりを良くすることで、病害虫の被害を防ぐことができます。
枯れ枝や不要な枝はすべて取り除き、内側に向かっている枝や交差している枝も枝元から切ります。
■強剪定は、3月~4月頃に行ないます。
形を大きく変えたり、成長を促すために強めの剪定を行います。
ただし、木にとって強剪定はストレスを引き起こし、枯れる恐れもある作業なので、あまりお勧めはしません。
強剪定後は、有機肥料や緩効性化成肥料などの肥料を与えて回復を促します。
開花・花芽形成・実が成る時期について
キャラボク(伽羅木)の花が咲く時期・花芽形成時期・実が成る時期のサイクルについて詳しく説明します。
キャラボクの花と実の特徴
キャラボクは、雄株と雌株が別々にある雌雄異株です。
実をつけるのは雌株のみで、近くに雄株がないと受粉しにくくなります。
花の時期と花芽形成時期
キャラボクの花が咲く時期は、3月~5月頃です。
雄花と雌花がそれぞれ咲き、雄花は淡黄色で小さな花粉を飛ばし、雌花は緑色っぽい小さな花です。花は目立たないため意識しないと見れないです。
花芽形成時期は、前年の8月~10月頃です。
翌春に咲く「花芽」が夏から秋にかけて形成されます。
「花芽」は小さく「葉芽」と区別しにくいです。冬を越して春になると開花します。
キャラボクの実について
キャラボクの実が成る時期は、9月~11月頃です。受粉した雌花が成長して、赤い実をつけます。
花芽が形成される前の春から夏に剪定しすぎると、翌年の花や実が減る可能性があります。
開花前の2月~3月の強剪定は、花や実を楽しみたい場合は避けたほうがよいです。
実は柔らかく甘みがあり、鳥が好んで食べますが、実は、種には有毒成分が含まれるので、食べないほうが良いかと思います。小さな子供が口にすることもあるかもしれないので、注意が必要かもしれません。
キャラボクの実をつけたい場合は、近くに雄株を植えて受粉させるとよいです。