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松のもみあげって何?作業を行なう時期はいつがよいか?

はじめに:もみあげって何?からいつやればいいの?まで、松の手入れの基本をお伝えします

「松の手入れには『もみあげ』という作業があると聞いたが、何をすればいいのかわからない」「教科書には冬と書いてあるが、具体的にいつが正解なのかわからない」「『みどり摘み』『もみあげ』と何度も手入れするのは大変そう」松の「もみあげ」に関するこういった疑問を持つ方は多いです。

松(マツ)の手入れで行う「もみあげ」という作業は、主に冬期に実施される松の手入れの一環です。このページでは、もみあげの正体・行う時期・冬に行う理由・年に何回手入れすべきか・自分でやる場合の現実的な進め方まで、松のもみあげに関するすべてをわかりやすくお伝えします。

松の「もみあげ」の特徴:古い葉を取り除く冬の重要作業

■「もみあげ」とは何をする作業なのか

松の「もみあげ」とは、松の枝葉を整えるために古い葉や余分な芽を取り除く、主に冬期に行う作業です。これは松の健康を保つだけでなく、美しい樹形を作るためにもなくてはならない重要な作業になります。

「もみあげ」という名前の由来は、枝から不要な葉を「もむ」ようにして取り除くことに由来しているようです。実際の作業では、指で葉を挟んでこするように動かし、枯れた葉だけをポロポロと落としていきます。剪定ばさみを使うイメージが強い方も多いですが、もみあげは基本的に手作業が中心になる、松特有の手入れ方法です。

■なぜ松の葉は黄色くなるのか

松の葉っぱは、寒さが訪れる冬に入るころに黄色く色づきだします。それはその葉っぱが養分の吸い上げや光合成の役目を終わらせ、枯れていらなくなったという印です。

人間でいえば、髪の毛が古くなって自然に抜け落ちるのに似ています。木にとってはごく自然な生理現象であり、決して病気や不調のサインではありません。ただし、これを放置すると見た目だけでなく木の健康にも影響が出てくるという点が重要です。

■黄色くなった葉を取り除く理由

松の剪定ではこの黄色くなった葉っぱを取り除いてあげる作業が必要になります。なぜなら、この黄色くなった葉っぱはだんだんと茶色く変色して見栄えが悪くなり、枯れ葉が溜まってくると病害虫の良い住み家になり、樹勢を脅かすことになりかねないからです。

■枯れ葉は自然に落ちるが、引っかかって溜まりやすい

この枯れた葉っぱは放っておいてもいつかひとりでに落ちることはあります。しかしこれら全てが落ちるという訳ではなく、下部に生えているどこかの枝に引っかかることが多く、非常に見栄えが悪くなります。

この枯れた葉っぱがいつも溜まるところはなぜか同じ場所なので、人の手ですべて落とすことをおすすめします。庭師として多くの松を見てきましたが、不思議なことに「葉が溜まりやすいポイント」は木によってある程度決まっていることが多く、慣れてくると「ここが溜まりやすい場所だな」と予測がつくようになります。

■枯れ葉を放置すると起こる悪循環

枯れた葉に覆われてしまった松の芽は、日が当たらなくなり通風も悪くなることで枯れてしまいます。新しく出る芽もこれでは枯れてしまいます。

いつまでも枯れた古い葉を放っておくと、枯れ葉が湿り、どんなに強い風が吹こうとも、その枝の場所からも落ちなくなります。すると病害虫がそこに潜んで住み着くようになりますし、芽が枯れやすくなることで樹勢が悪くなります。

そうなる前の予防策として、葉っぱが枯れた時の冬の作業として、古くなった葉や不要な葉を取り除いてあげる「もみあげ」の作業を行ってあげるのです。

■もみあげをすることで得られる2つの効果

「もみあげ」で古い葉を取り除くだけで、密集する部分が少なくなるので風通しがよくなります。それだけでなく黄色や茶色い枯れ葉がなくなることで、松全体が緑色の葉だけになり、色合いもよくなりスッキリときれいに見えるようになります。

つまり「健康面の効果(風通し改善・病害虫予防)」と「美観面の効果(緑一色の美しい見た目)」の両方が、もみあげ1つの作業で手に入るということです。

■もみあげと同時に確認すべきこと

この時に樹形を乱すような、不要な枯れ枝や古い枝を確認して除去しておいた方がよいです。古い葉を取り除く作業の中で、自然と枝全体の様子をよく観察できるので、不要な枝を見つけるよい機会にもなります。

松の「もみあげ」を行う時期:葉が黄色くなり始めた頃から

■基本的な時期の考え方

「もみあげ」で古い葉を落とすことは、松の生育にとってとても重要な作業になります。

一般的な書籍にはもみあげを行う季節は冬間近のころと書かれているかもしれません。それでよろしいのですが、ひとつ書き加えますと、基本的にもみあげを行う作業は葉が黄色くなり始めた頃。特に茶色く変色した時には葉っぱがもう枯れているので、この寒くなってきた頃の時期から行えばよいです。

■地域による時期の違い

もみあげを行う具体的な時期は地域にもよりますが、例えば岩手では11月頃から黄色く色づき始めますので、岩手よりも南の地域では、その頃からあとになる可能性があります。

つまり「11月から」という固定の日付にこだわるのではなく、「お住まいの地域で松の葉が黄色くなり始めたタイミング」を目安にすることが、最も実践的で間違いのない判断基準です。

■「型にはまった作業」にとらわれなくていい

ご自身で作業される場合ですが、書籍などには「みどり摘み」だの「もみあげ」と、型にはまった一般的なことが書かれるので、何もわからない素人の方がそれを読んだら、その作業を忠実に行わなくてはいけないと勘違いしてしまうのでしょうが、全然そんなことはありません。

仕上がりが悪くしかも樹勢も悪ければ多少問題でしょうが、樹形の仕上がりが良くてしかも樹勢が良ければ、そこに行き着くまでの過程がどういうものであっても問題ないと思います。

■年に何回作業すべきか?理想と現実

松が好きでご自身で趣味で作業しているのであれば「みどり摘み」と「もみあげ」の年2回の作業と間引く剪定で手間をかけて行ってあげてください。本当は手間暇かけて年3回の作業をしてあげれば松も喜びます。

ほとんどの方は仕上がりをよくするにはその過程を気にされるかもしれませんが、時間は限られています。松の手入れに年3回も手を加えないで、なるべくなら年1回で済ませる方がよくないですか?

時間に余裕がある方は年2~3回の本格的な手入れを楽しんでいただきたいですが、忙しい方やこれから松の手入れを始める方は、まずは「もみあげを年1回しっかりやる」ことから始めるだけでも、十分に松の健康と美観を保つことができます。

冬期に「もみあげ」を行う3つの理由

■理由①:松へのダメージが最小限に抑えられる

冬期に行う理由として、松の成長が緩やかになり成長が落ち着いている時期なので、剪定によるダメージが最小限に抑えられるからです。木が活発に活動している時期に手を加えると余計な負担をかけてしまいますが、休眠に近い時期であれば木への影響を抑えられます。

■理由②:葉の見分けがつきやすく作業がしやすい

松の葉は通常2~3年程度で自然に落葉しますが、冬は古い葉が黄ばんでくるので見分けがつきやすく、楽に葉を落とせて作業がしやすいからです。

緑色の健康な葉と黄色~茶色の不要な葉がはっきり区別できる冬は、「どの葉を取ればいいか」で迷うことがほとんどありません。これは初心者にとっても大きなメリットです。

■理由③:樹形全体がよく見えて適切な手入れができる

冬は他の植物が休眠期に入り、松の全体像がよく見えるので、樹形の確認が容易で適切な手入れがしやすくなるからです。

周囲の落葉樹が葉を落とすことで庭全体の見通しがよくなり、松の樹形そのものにも目が行きやすくなります。これにより「不要な枝はどこか」「全体のバランスはどうか」といった判断もしやすくなります。

もみあげの具体的な手順:初心者でもできる進め方

■準備するもの

もみあげは基本的に手作業が中心ですが、軍手や薄手の手袋があると松葉のチクチクした感触を軽減できます。また小枝の整理や枯れ枝の除去には剪定ばさみも用意しておくと安心です。

■手順①:黄色~茶色の葉を見つける

まず木全体を観察し、緑色の健康な葉と黄色~茶色に変色した不要な葉を見分けます。冬の時期であれば色の違いがはっきりしているので判断は難しくありません。

■手順②:不要な葉を指でもみ取る

不要な葉を見つけたら、枝を傷つけないように指で葉を挟み、もむようにして取り除いていきます。健康な緑の葉を一緒に取ってしまわないよう、ゆっくり丁寧に進めることが大切です。

■手順③:枝に引っかかって溜まった枯れ葉も取り除く

下部の枝に引っかかって溜まっている枯れ葉も、見つけたらすべて取り除きます。ここを見逃すと、その部分の芽が日陰になり枯れる原因になります。

■手順④:枯れ枝・古い枝も確認して除去する

作業の流れの中で、樹形を乱すような不要な枯れ枝や古い枝を見つけたら、剪定ばさみで除去しておきます。

■【忙しい方向け】15分でできるズボラ流もみあげ

完璧に仕上げる時間がなくても、これだけ守ってください。葉が黄色くなり始めたら(地域の気候に応じて)作業を始めます。明らかに茶色く変色した葉を中心に取り除きます。下の枝に引っかかった枯れ葉だけは必ず取り除きます。この3点だけで、樹勢の悪化と病害虫の発生を防ぐことができます。年1回、これだけでも十分な効果があります。

失敗した時のリカバリー:「やってしまった!」時の対処法

■健康な緑の葉も一緒に取ってしまった場合

もみあげの作業中に、誤って健康な緑の葉を一緒に取ってしまうことがあります。少量であれば木への影響は少なく、心配しすぎる必要はありません。今後は1本の枝ずつゆっくり確認しながら作業することで、このような失敗を減らせます。

■枯れ葉を取り残してしまった場合

作業後に「まだ枯れ葉が残っている部分があった」と気づくことはよくあります。気づいた時点で追加で取り除けば問題ありません。完璧に一度で仕上げる必要はなく、気になった時にこまめに確認する習慣をつけることをおすすめします。

■もみあげの時期を逃してしまった場合

葉が黄色くなる時期を逃して春になってしまった場合でも、それほど焦る必要はありません。気づいた時点で古い葉を取り除く作業を行ってください。理想的な時期からずれても、全く作業しないよりは木のためになります。

病害虫対策:もみあげを怠ると発生しやすい問題

■もみあげをサボると発生しやすいトラブル

枯れ葉が溜まったまま放置されると、湿った環境を好む病害虫の住み家になりやすくなります。風通しの悪化は、カイガラムシ・ハダニ・各種カビ性の病気の発生リスクを高めます。

■マツカレハ(毛虫):松によくつく害虫

松に発生する代表的な害虫としてマツカレハの幼虫(毛虫)が知られています。葉を食害して木を弱らせます。見つけたら早めに捕殺するか、被害が大きい場合は薬剤での駆除を検討します。もみあげで枯れ葉を取り除き風通しを良くしておくことが、発生予防にもつながります。

■すす病:害虫の排泄物が原因の病気

カイガラムシなどの害虫の排泄物にカビが繁殖して、葉や枝が黒くすすをかぶったようになるすす病が発生することがあります。原因となる害虫を駆除することが先決です。もみあげによる風通しの改善は、こうした病害虫の発生環境そのものを減らす効果があります。

病害虫共通の予防策: 冬のもみあげで枯れ葉・古い葉を取り除き、風通しと日当たりを確保することが最大の予防です。

おすすめの道具:プロが実際に使うおの義の道具と選び方

■もみあげ作業そのものは手作業が基本

もみあげの主な作業は手で葉をもみ取る作業のため、特別な道具は必須ではありません。ただし松葉が刺さってチクチクすることがあるため、軍手や薄手のゴム手袋があると作業がしやすくなります。

■おの義の剪定ばさみ(枯れ枝・古い枝の除去に)

もみあげの作業中に見つかる枯れ枝や古い枝、樹形を乱す不要な枝を切る際には剪定ばさみが必要です。松の細かい枝を扱う作業には、刃先が細く小回りのきく小型の剪定ばさみが特に向いています。

おの義(おのよし)の剪定ばさみは刃の切れ味・耐久性ともに優れており、現場での長年の使用に耐えます。松のヤニが付きやすい刃なので、こまめなお手入れが必要になります。

お手入れ: 使用後は刃に付いた松のヤニをウエスで拭き取り、薄く油を塗ります。松のヤニは特に頑固なので、市販のヤニ取りクリーナーを使うと効率的に落とせます。おの義は研ぎ直しサービスにも対応していますので、長く使い続けることができます。

ゴミの処分とマナー:もみあげで出る枯れ葉の片付け方

■もみあげで出る枯れ葉の処分

もみあげでは大量の細かい松葉が出ます。松葉は乾燥していて軽いため、ゴミ袋に入れる際は風で飛ばないよう注意が必要です。地面にシートを敷いて作業すると、後片付けが格段に楽になります。

自治体の燃えるゴミに出せることが多いですが、量・袋の指定は自治体によって異なりますので事前に確認してください。

■ご近所への配慮

もみあげの作業中は細かい松葉が風で舞いやすいため、作業前にお隣の様子や風向きを確認することをおすすめします。シートを広めに敷いておくことで、松葉の飛散を最小限に抑えられます。

プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安

もみあげ自体は手作業が中心で、特別な技術が必須というわけではないため、基本的に自分で取り組める作業です。ただし以下の場合は専門家への相談をおすすめします。

樹高が高くなり、上部のもみあげに高所作業が必要な場合は転落リスクがあります。長年手入れをしていない松で、どこから手をつければいいかわからない場合は、一度プロに整えてもらってから、その後の年1回の維持管理を自分で行う方法が現実的です。

よくある質問Q&A

Q. もみあげはいつ始めればいいですか?11月と決まっていますか?

A. 11月という固定の月にこだわる必要はありません。お住まいの地域で松の葉が黄色くなり始めた頃が目安です。地域によって時期は前後しますので、ご自身の松の葉の色を観察して判断してください。

Q. もみあげとみどり摘みは両方やらないといけませんか?

A. 理想的には年2~3回(みどり摘み・もみあげ・間引き剪定)を行うと松も喜びますが、時間が限られている場合は、もみあげを年1回しっかりやることから始めても十分です。仕上がりと樹勢が良ければ、過程は自由でよいと考えています。

Q. 葉が黄色くなっているのは病気ですか?

A. 心配いりません。これは松の自然な生理現象で、養分の吸収や光合成の役目を終えた古い葉が枯れていくサインです。冬に黄色くなるのは正常な経過ですので、もみあげで取り除いてあげれば問題ありません。

Q. もみあげを全くしないとどうなりますか?

A. 枯れ葉が枝に溜まり、湿って落ちにくくなります。すると日当たり・風通しが悪化し、新しい芽が枯れたり、病害虫が発生しやすくなったりします。年1回だけでも、もみあげを行うことをおすすめします。

Q. もみあげは剪定ばさみを使うのですか?

A. もみあげの主な作業は手で葉をもむように取り除く手作業です。ただし作業中に見つかる枯れ枝や古い枝、樹形を乱す枝を切る際には剪定ばさみが必要になります。

松のもみあげは「葉が黄色くなり始めた頃から、寒くなってきた時期に行う」というシンプルな考え方で十分です。書籍に書かれた型通りの作業にこだわらず、「樹形が良くて樹勢も良ければOK」というゆとりを持って取り組んでいただきたいです。時間が限られている方は、まずは年1回のもみあげから始めてみてください。このページが松のもみあげの参考になれば幸いです。

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