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ハウチワカエデの剪定時期と剪定方法

はじめに:「お盆前にすっきりさせたい」その依頼、実はおすすめできません

「夏の間にハウチワカエデをすっきりさせたい」「お盆前にお客さんが来るから剪定したい」「夏に切ったらまたすぐ伸びてしまった」ハウチワカエデの剪定に関するこういった相談は非常に多いです。

ハウチワカエデは紅葉がきれいな木で、その葉っぱは切れ込みが浅く、カエデの中では比較的大きいほうです。

実は、剪定を頼まれるお客様の多くは「お盆前にはサッパリしたい」という希望で依頼されますが、全くお勧めはしないです。 これにはちゃんとした理由があります。

このページでは、ハウチワカエデの特徴・名前の由来・黄色と赤に分かれる紅葉の仕組み・夏剪定をおすすめしない本当の理由・正しい剪定時期・季節に合わせた具体的な方法・失敗した時のリカバリー・病害虫対策・道具選び・ゴミの処分まで、ハウチワカエデに関するすべてをお伝えします。

ハウチワカエデの特徴:「天狗の団扇」が名前の由来、黄色と赤が混在する美しい紅葉

■新緑も紅葉も美しい、カエデの中でも比較的大きな葉

新緑の葉と紅葉は美しく、特に紅葉時は、赤や黄色、オレンジ色などに染まり、葉全体が同色に色づかないことで、我々の目を楽しませてくれます。

■同じ木でも「黄色」と「赤」の2種類に色づく不思議

その色々な色に染まる理由として、ハウチワカエデは、紅葉時には大きく分けると黄色と赤の2種類の色に変わります。

■「光が当たる順番」で色づく順序が決まる

紅葉時に葉が色づくのには順番があり、たとえば同じハウチワカエデでも、光が良く当たる場所から順番に、黄色→赤と紅葉していきます。

これは多くの方が気づいていない、紅葉の奥深い仕組みです。1本の木の中でも、日当たりの良い枝の葉から先に色づき始め、しだいに赤みを増していくという段階を踏んでいるのです。

■日陰では黄色のまま、日当たりが良いと赤くなりやすい

ハウチワカエデが山の方で高木の下で活動している場合には、日光をさえぎられ赤い色素を作り出しにくくなるので、赤く色づくところまで行かずに黄色のままのことが多いです。

高木が少ない里のほうで活動しているハウチワカエデは、十分な日光を受けることができ、赤い色素を作りやすくなるので、赤い葉が多くなるようです。

ハウチワカエデの紅葉は、日当たりの良い所ほど、黄色と赤色の割合が多く混在し、美しい状態を作れています。

これは庭木としてハウチワカエデを育てる際にも重要な知識です。美しい赤色をたくさん楽しみたい場合は、できるだけ日当たりの良い場所に植えることがポイントになります。

■「羽団扇楓」天狗の持つ団扇に似ていることが名前の由来

そもそもハウチワカエデという名の由来は、葉の形が天狗が持っている団扇(うちわ)に似ていることから「羽団扇楓」と書くようですが、天狗は妖怪とか伝説上の生き物なので、実際に天狗を見た人がいるのかはわからないです。

このユニークな名前の由来を知っておくと、ハウチワカエデの葉を見る際の楽しみがまた一つ増えるかもしれません。

■「夏に切ると損をする」プロが本音で語る理由

ハウチワカエデを管理する上で最も重要な知識がここです。夏場というのは、一番樹勢が旺盛で著しく生長する時期です。そんな時に剪定をしようものなら、切った以上に伸びようとする性質があることから、切る前よりも伸びることも多く「せっかく切ったのにまた伸びてしまった!」と、損をしたような気分になると思います。

特に徒長枝というのは切ったところの最終地点から生えることが多いです。よく切ったところにたくさんの枝葉がついているのを見たことはないですか?切った最終地点よりも先はないので、樹勢が強いと、そこまで養分がたくさん集まりそのような再生される現象が起こるのだと思います。

■樹勢が弱い木が夏剪定で枯れやすい理由

逆に樹勢が弱いと、切られた部分にそれほど多くの葉は生えず、どちらかというと、傷口を殺菌したり修復しようとするのに余計な樹勢を使ってしまうので、枯れる傾向が強いです。特にハウチワカエデ類は枯れやすいので、やはり夏場に切った部分に余計な樹勢を使う剪定はよくないです。

どうしても夏に剪定してと言われるのでいつも嫌々やってはいますが、個人でやられる方には、このような理由から夏場のハウチワカエデの剪定は、全くお勧めしていません。

■夏の作業で本当に怖いのは「蜂」

夏場のハウチワカエデ作業で見過ごせないリスクがもうひとつあります。特に、突然ハチが現れるのは本当に怖いです。巣を作ったばかりの1匹で行動している場合は攻撃力が弱くてまだよいのですが、卵から幼虫になったころからが特に危険で、巣で待ち構えて警戒されています。

そんなハチをよく見ると、羽根をプルプルと震わせて「いつでもかかれるぞ!」と、攻撃体制を取ってこちらを眺めているのがよくわかります。そんな時に、知らずに近くを通り葉っぱに触れようものなら、ハチの気分を損ねて、あっという間に刺されています。

ハチの巣の場所がわかり、なおかつハチ1匹くらいならば、遠くまで飛ぶハチ撃退用のスプレー殺虫剤なら仕留められます。1~2mくらいであれば、スプレーを少し長めに噴射していれば、たとえ襲いかかってきても、ハチに当たっていれば噴射の勢いで1発で仕留められます。

ハウチワカエデの剪定時期:「葉が落ちた頃から2月入る前」が唯一おすすめできる時期

■最もベストな剪定時期:葉が落ちた頃から2月入る前まで

これらのことから剪定をするならいつが良いかといえば、やっぱり葉っぱが落ちたころから2月入る前までの冬季間が、人間にも木にも一番安全な時期です。寒い時期で外に出たくないかもしれませんが、これは断言できます。

■「1月下旬には樹液が動き出している」という重要な事実

この剪定作業は2月になる前までには終わらせて欲しいんです。なぜかというと、北国岩手でも2月に入るころには、ハウチワカエデはまだ眠っているようでもすでに動き出しています。その証拠に小枝を切ると水分がダラダラたれてくるのでわかります。そうなったらもう動き出している証拠です。

休眠から目覚めた樹勢を切るとそれだけ樹勢が弱くなることから、葉が落ちた頃から2月になる前までの間に剪定を行います。暖かくなると一斉に芽吹き始め、特に春先の剪定は樹勢が弱まるので避けなければいけません。

季節に合わせたハウチワカエデの剪定方法:「上端部は強く、下端部は軽く」が基本

■夏まで待てない場合の対処法

盆前とかに少しきれいにしておきたくて、冬までハウチワカエデの剪定を待てない場合があると思います。

その場合は、まず夏場に伸びた分だけを樹形に合わせて、伸びた所だけ刈り込み鋏で軽く切るだけにしておきます。そして葉っぱが落ちた冬に、伸びた枝の細かい剪定をするといいと思います。

■どうしても冬以外で剪定したい場合

どうしても冬ではない時期に剪定をしたいという場合、紅葉を気にしないのであれば、葉がだいたい伸びきった9月に入った頃からの軽い剪定が良いかと思います。紅葉が見たいのであれば、我慢して冬の剪定にして、おすすめはしませんが早めの夏(7月前頃)に済ませておくことです。

その場合、太い枝を極力強く切らないで、樹形を保てる程度に伸びた分だけにとどめておきます。そして葉の落ちた冬にもう一度混んだところを整理してやると作業が案外楽に感じます。

■冬まで待てる場合の理想的な作業

冬まで待てる場合は(できれば待ってほしい)、葉っぱが全部落ちると混み入ったところも全て下から見えるので、細かい枝が重なったところや枯れ枝をすくように切ります。

次の夏になるとまた枝が伸びますので、その伸びる分も予想して結構広めの空間を作っても大丈夫です。

今年度伸びたような太い枝(緑色をしているかも)は、樹勢が強い部分で、来年も同じところが同じように伸びる可能性が高いです。この太い枝は残さず切り、以前から樹形を形成している枝から伸びている細い枝で樹形を整えてあげるとハウチワカエデ全体が綺麗になります。

■夏に伸びた混み入った枝葉の剪定は冬がベスト

夏に伸びた混み入った枝葉の剪定は、葉が落ちた冬期が剪定の絶好の時期ということを覚えておいてください。

ハウチワカエデの剪定は絶対に冬期がおすすめです!

■【忙しい方向け】15分でできるズボラ流ハウチワカエデ管理

完璧な管理ができなくても、これだけ守ってください。葉が落ちた頃から2月入る前までに、太い徒長枝・上端部の強い枝を中心に間引きます。細い小枝はできるだけ残します。夏(特に7~8月)の強剪定は絶対にしません。この3点だけで「夏に切ってまた伸びてしまった」という損をする失敗を防げます。

失敗した時のリカバリー:「やってしまった!」時の対処法

■夏に強く切って徒長枝が大量に出てしまった場合

夏に強く剪定してしまい、切った部分から徒長枝が大量に伸びてきてしまった場合、これ以上の追加剪定は控えてください。木への負担を避けるため、冬(葉が落ちた頃から2月入る前まで)の正しい時期になってから、まとめて徒長枝を間引いてください。

■2月以降に剪定して樹液が垂れてきた場合

2月以降に細い枝を切って樹液がダラダラ垂れてきた場合、すでに木が目覚めている状態です。これ以上の剪定は止めてください。樹勢が弱まる可能性があるため、今年の剪定はそこで終了し、来年は葉が落ちてからすぐの早い時期に作業を済ませることをおすすめします。

■細い小枝を切りすぎて樹形が透けてしまった場合

細い小枝を切り取りすぎて見る影もなく透けてしまった場合、これは徒長枝が発生しやすい状態でもあります。今後は剪定の際に、枝先の細い小枝をできるだけ残すよう心がけてください。来年の夏に徒長枝が出てきたら、冬にまとめて整理することで徐々に回復します。

■樹勢の弱い木で夏剪定して枯れ込んでしまった場合

樹勢が弱い木に夏剪定をしてしまい、枯れ込みが見られる場合は、これ以上の追加剪定は絶対に避けてください。水やりをしっかり行い、木を休ませることに専念します。来年からは必ず冬期剪定に切り替えてください。

■日陰で植えていて紅葉が黄色だけになってしまう場合

植えている場所が高木の下などで日当たりが悪く、紅葉が黄色だけになってしまう場合、これは病気や手入れ不足ではなく日照条件によるものです。すぐに植え替えが難しい場合は、周辺の枝を整理して少しでも日が当たるようにすることで、改善が見込める可能性があります。

病害虫対策:ハウチワカエデにかかりやすい病害虫と対処法

■①蜂の巣:夏の作業で最も注意すべき危険

ハウチワカエデの夏の作業で最も注意したいのが蜂です。巣を作ったばかりの1匹で行動している場合はまだよいですが、卵から幼虫になった頃からが特に危険で、巣で待ち構えて警戒されています。羽根をプルプルと震わせて攻撃体制を取っている蜂を見つけたら、近づかないようにしてください。

ハチの巣の場所がわかり、ハチ1匹くらいならば、遠くまで飛ぶハチ撃退用のスプレー殺虫剤で対処できます。1~2mくらいの距離からスプレーを長めに噴射すれば、襲いかかってきても1発で仕留められます。

■②アブラムシ:新梢に群がる害虫

春の新梢にアブラムシが群がることがあります。スミチオン乳剤1,000~1,500倍液を散布して駆除します。

■③うどんこ病:葉が白い粉に覆われる病気

葉の表面が白い粉状のもので覆われるうどんこ病が発生することがあります。発病した葉は取り除いて処分し、殺菌剤を散布して対処します。冬の間引き剪定で風通しを確保することが予防になります。

病害虫共通の予防策: 冬の剪定で枝葉の密度を適切に保ち、風通しと日当たりを確保することが最大の予防です。日当たりの確保は美しい紅葉のためにも重要なポイントになります。

おすすめの道具:プロが実際に使うおの義の道具と選び方

■おの義の剪定ばさみ(細い枝の処理に)

ハウチワカエデの管理で細い枝の徒長枝整理に使うのが剪定ばさみです。細い枝はポキポキと折れやすいため、切れ味の良い剪定ばさみがあるとスムーズに作業できます。

おの義(おのよし)の剪定ばさみは刃の切れ味・耐久性ともに優れており、現場での長年の使用に耐えます。切れ味の良い刃で切ることで枝の断面がきれいになり、病原菌が入りにくくなります。

お手入れ: 使用後は刃に付いた樹液をウエスで拭き取り、薄く油を塗ります。おの義は研ぎ直しサービスにも対応していますので、長く使い続けることができます。

■剪定ノコギリ(指の太さ以上の枝に)

指くらいの太さ以上になると剪定バサミやノコギリで作業するようになります。太い枝の処理にはノコギリが必要です。折りたたみ式の剪定ノコギリがコンパクトで持ち運びやすくおすすめです。

■ハチ撃退用スプレー殺虫剤(夏作業の必須アイテム)

夏にどうしても作業が必要な場合は、ハチ撃退用のスプレー殺虫剤を必ず用意してください。遠くまで飛ぶタイプを選び、1~2m離れた距離からでも対処できるものがおすすめです。

ゴミの処分とマナー:後片付けと近所への配慮

■冬の剪定で出る大量の枝の処分

冬期剪定では太い徒長枝を多数間引くため、通常より多くの枝が出ます。太い枝はノコギリで短く切り揃え、細い枝は数本まとめて紐で縛ると処分しやすくなります。自治体の燃えるゴミに出せることが多いですが、量・袋の指定・長さの制限は自治体によって異なりますので事前に確認してください。

■ご近所への配慮

ハウチワカエデは紅葉の美しさが魅力の木です。お隣の敷地に越境していないか定期的に確認して、冬の剪定で対処してください。

プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安

樹高が3mを超えている場合: ハウチワカエデが大きく育った場合、3mを超えて高所での作業が必要な場合は転落リスクがあります。専門業者への依頼をおすすめします。

蜂の巣が確認された場合: 蜂の巣の駆除は危険を伴います。専門の害虫駆除業者に依頼してから、剪定を再開することをおすすめします。

樹勢が弱っている木で夏剪定を検討している場合: ハウチワカエデ類は枯れやすい性質があります。樹勢の判断に迷う場合は、専門家に相談してから作業を進めることをおすすめします。

よくある質問Q&A

Q. お盆前に剪定したいのですが、本当にダメですか?
A. 推奨はできません。夏場は一番樹勢が旺盛で、切った以上に伸びようとする性質があるため「せっかく切ったのにまた伸びてしまった」と損をした気分になりやすいです。どうしても夏にすっきりさせたい場合は、伸びた分だけを刈り込み鋏で軽く切る程度にとどめ、本格的な剪定は冬まで待つことをおすすめします。

Q. なぜ同じ木なのに黄色と赤の葉が混在するのですか?
A. 光の当たり方によって色づき方が変わるためです。光が良く当たる場所から順番に黄色→赤と紅葉していきます。日当たりが良いほど赤い色素を作りやすくなり、日陰では黄色のままになることが多いです。

Q. ハウチワカエデの名前の由来は何ですか?
A. 葉の形が天狗が持っている団扇(うちわ)に似ていることから「羽団扇楓」と書くとされています。

Q. 剪定はいつまでに終わらせればいいですか?
A. 2月になる前に終わらせることをおすすめします。2月頃になるとハウチワカエデは樹液がどんどん上り出し、すでに目覚めている状態になります。この時期以降に剪定すると樹勢が弱まる可能性があります。

Q. 細い小枝はすべて切ってもいいですか?
A. いいえ、できるだけ残すことをおすすめします。細い小枝を切り取ってしまうと見る影もなく透けてしまい、さらに夏には徒長枝の発生の元になり樹形も乱れます。

ハウチワカエデは「葉が落ちた頃から2月入る前までの冬期に剪定する」「夏(特にお盆前)の剪定は損をするのでおすすめしない」「太い徒長枝を中心に間引き、細い小枝はできるだけ残す」という3つのポイントを守ることで、黄色と赤が混在する美しい紅葉と健康な樹形を毎年楽しめます。蜂の危険性も含めて、冬の安全な時期に作業することが何より大切です。

このページがハウチワカエデとの長いお付き合いの参考になれば幸いです。

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