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トウカエデ(唐楓)の剪定方法と剪定時期

はじめに:「お盆前にすっきりさせたい」その依頼、実はおすすめできません

「夏の間にトウカエデをすっきりさせたい」「お盆前にお客さんが来るから剪定したい」「夏に切ったらまたすぐ伸びてしまった」トウカエデの剪定に関するこういった相談は非常に多いです。

トウカエデ(唐楓)はカエデ科の落葉高木で8m以上になる木で、3つに裂けた味のある光沢のある葉の紅葉がきれいです。

実は、剪定を頼まれるお客様の多くは「お盆前にはサッパリしたい」という希望で依頼されますが、全くお勧めはしないです。 これにはちゃんとした理由があります。

このページでは、トウカエデの特徴・夏剪定をおすすめしない本当の理由・正しい剪定時期・季節に合わせた具体的な方法・失敗した時のリカバリー・病害虫対策・道具選び・ゴミの処分まで、トウカエデに関するすべてをお伝えします。

トウカエデの特徴:「3つに裂けた葉」と旺盛な生命力

■普通のカエデとは違う「3つに裂けた葉」

トウカエデは、よく見ると、普通のカエデとは違う葉の形をしています。普通のカエデは5つに葉が裂けているのに対して、トウカエデは3つに裂けています。

この3裂という独特な葉の形が、トウカエデを見分ける最も簡単な特徴です。紅葉時期にこの葉が美しい色合いに変わる様子は、一般的なモミジとは少し違った趣を見せてくれます。

■街路樹や盆栽で活躍・大木になるため庭植えは少なめ

大木になるために庭に植えられることもあまり多くはないですが、街路樹や盆栽でよく使われている木です。生命力が非常に旺盛で、強い剪定にも十分に耐えます。

街路樹として選ばれる理由には、丈夫さと紅葉の美しさの両方が関係しています。

■花は目立たないが咲く時期がある

花の咲く季節は4~5月頃ですが、花と言ってもきれいな色のついた花というわけではなく、小さくあまり目立たない花です。

紅葉の美しさに比べると花の存在感は薄いですが、知っておくと観察の楽しみが増えます。

■「夏に切ると損をする」プロが本音で語る理由

トウカエデを管理する上で最も重要な知識がここです。夏場というのは、一番樹勢が旺盛で著しく生長する時期です。そんな時に剪定をしようものなら、切った以上に伸びようとする性質があることから、切る前よりも伸びることも多く「せっかく切ったのにまた伸びてしまった!」と、損をしたような気分になると思います。

特に徒長枝というのは切ったところの最終地点から生えることが多いです。よく切ったところにたくさんの枝葉がついているのを見たことはないですか?切った最終地点よりも先はないので、樹勢が強いと、そこまで養分がたくさん集まり、そのような再生される現象が起こるのです。

■樹勢が弱い木が夏剪定で枯れやすい理由

逆に樹勢が弱いと、切られた部分にそれほど多くの葉は生えず、どちらかというと、傷口を殺菌したり修復しようとするのに余計な樹勢を使ってしまうので、枯れる傾向が強いです。

特にカエデ類は枯れやすいので、やはり夏場に切った部分に余計な樹勢を使う剪定はよくないです。

■夏の作業で本当に怖いのは「蜂」

夏場のトウカエデ作業で見過ごせないリスクがもうひとつあります。特に、突然ハチが現れるのは本当に怖いです。巣を作ったばかりの1匹で行動している場合は攻撃力が弱くてまだよいのですが、卵から幼虫になったころからが特に危険で、巣で待ち構えて警戒されています。

そんなハチをよく見ると、羽根をプルプルと震わせて「いつでもかかれるぞ!」と、攻撃体制を取ってこちらを眺めているのがよくわかります。そんな時に、知らずに近くを通り葉っぱに触れようものなら、ハチの気分を損ねて、あっという間に刺されています。

ハチの巣の場所がわかり、なおかつハチ1匹くらいならば、遠くまで飛ぶハチ撃退用のスプレー殺虫剤なら仕留められます。1~2mくらいであれば、スプレーを少し長めに噴射していれば、たとえ襲いかかってきても、ハチに当たっていれば噴射の勢いで1発で仕留められます。

どうしても夏に剪定してと言われるので、いつも嫌々やってはいますが、個人でやられる方には、このような理由から夏場のトウカエデの剪定は、全くお勧めしていません。

トウカエデの剪定時期:「11月~2月中旬の冬期」が唯一おすすめできる時期

■最もベストな剪定時期:11月~2月中旬の冬季間

これらのことから剪定をするならいつが良いかといえば、トウカエデの剪定は、基本的に葉っぱが落ちた11月頃から2月中旬までの冬季間、木が完全に休眠している時に行います。

この時期は人間にも木にも一番安全な時期です。寒い時期で外に出たくないかもしれませんが、これは断言できます。

■冬期剪定(11~2月)のメリット

トウカエデは落葉樹なので、冬の休眠期に剪定すると木にかかるストレスが少なくなります。葉っぱが落ちたことで樹形の状態が良く見えるので、作業がしやすいです。この時期は樹液の流動が減少しており、強剪定で多少太い枝を切っても枯れる心配はないです。

冬期剪定で行う作業の具体例は、枯れ枝や病害虫に侵された枝の除去、交差している枝や混み合った枝の間引き、枝の形を整える整枝剪定です。

■夏期剪定(5~6月)も可能だが軽めに

夏期剪定は5~6月頃に行います。もしも夏期剪定をする場合には、新芽が伸びた後、夏に向けて軽い剪定を行うことで、形を整えたり風通しをよくします。夏期剪定で行う作業の具体例は、軽い刈り込みや整枝、不要な徒長枝の除去です。木が枯れるリスクを減らすために、太い枝を切るような強い剪定はしないようにしてください。

■「1月下旬には樹液が動き出している」という重要な事実

この剪定作業は2月になる前までには終わらせてほしいんです。なぜかというと、北国岩手でも2月に入るころには、トウカエデはまだ眠っているようでもすでに動きだしています。

トウカエデは根の活動が早く始まり、1月下旬ころになると樹液がどんどん上り出します。その証拠に試しに細い枝を切ってみるとわかるのですが、小枝を切ると水分がダラダラたれてくるので、その時にはもう木が目覚めている状態です。

休眠から目覚めた樹勢を切るとそれだけ樹勢が弱くなることから、11月から1月中旬までの間に剪定を行います。 暖かくなると一斉に芽吹き始め、特に春先の剪定は樹勢が弱まるので避けなければいけません。

トウカエデの剪定方法:「上端部は強く、下端部は軽く」が基本

■徒長枝はすべて間引く

トウカエデは特に徒長枝ができやすいために、徒長枝は長い短いかまわずすべて間引きしたほうがよいです。1年剪定をしないだけで枝の太い徒長枝が伸び、とんでもなく手が付けられなくなることがあります。

■上端部と下端部で剪定の強さを変える

枝を間引く場合は特に上端部の枝の生長が早く勢いが強いので思い切って強く剪定します。これに対して下端部の枝は生長が鈍いので、乱れた枝を間引く程度の軽い剪定をします。

■細い小枝を残すのが柔らかい樹形のコツ

剪定の際に、枝先に細い小枝をできるだけ残してあげると柔らかい感じに仕上がります。逆に、細い小枝を切り取ってしまうと見る影もなく透けてしまい、さらに夏には徒長枝の発生の元になり樹形も乱れます。

細い小枝を数多く残すと成長力が分散し、枝の伸びも抑えられますので、枝の切り詰めは必ず小枝が密に出ているところを残すようにするとよいです。

■太さによって道具を変える

細い枝はポキポキと折れやすいのですが、指くらいの太さ以上になると剪定バサミやノコギリで作業するようになり大変苦労します。太くなった木の上方枝を切る場合は枝は折れにくいので、気をつければ木に登って作業することも可能です。

■夏まで待てない場合の対処法

盆前とかに少しきれいにしておきたくて、冬までトウカエデの剪定を待てない場合があると思います。

その場合は、まず夏場に伸びた分だけを樹形に合わせて、伸びた所だけ刈り込み鋏で軽く切るだけにしておきます。そして葉っぱが落ちた冬に、伸びた枝の細かい剪定をするといいと思います。

■どうしても冬以外で剪定したい場合

どうしても冬ではない時期に剪定をしたいという場合、紅葉を気にしないのであれば、葉がだいたい伸びきった9月に入った頃からの軽い剪定が良いかと思います。紅葉が見たいのであれば、我慢して冬の剪定にして、おすすめはしませんが早めの夏(7月前頃)に済ませておくことです。

その場合、太い枝を極力強く切らないで、樹形を保てる程度に伸びた分だけにとどめておきます。そして葉の落ちた冬にもう一度混んだところを整理してやると作業が案外楽に感じます。

■冬まで待てる場合の理想的な作業

冬まで待てる場合は(できれば待ってほしい)、葉っぱが全部落ちると混み入ったところも全て下から見えるので、細かい枝が重なったところや枯れ枝をすくように切ります。

次の夏になるとまた枝が伸びますので、その伸びる分も予想して結構広めの空間を作っても大丈夫です。

今年度伸びたような太い枝(緑色をしているかも)は、樹勢が強い部分で、来年も同じところが同じように伸びる可能性が高いです。この太い枝は残さず切り、以前から樹形を形成している枝から伸びている細い枝で樹形を整えてあげるとトウカエデ全体が綺麗になります。

■【忙しい方向け】15分でできるズボラ流トウカエデ管理

完璧な管理ができなくても、これだけ守ってください。11月~1月中旬に、太い徒長枝・上端部の強い枝を中心に間引きます。細い小枝はできるだけ残します。夏(特に7~8月)の強剪定は絶対にしません。この3点だけで「夏に切ってまた伸びてしまった」という損をする失敗を防げます。

失敗した時のリカバリー:「やってしまった!」時の対処法

■夏に強く切って徒長枝が大量に出てしまった場合

夏に強く剪定してしまい、切った部分から徒長枝が大量に伸びてきてしまった場合、これ以上の追加剪定は控えてください。木への負担を避けるため、冬(11月~1月中旬)の正しい時期になってから、まとめて徒長枝を間引いてください。

■1月下旬以降に剪定して樹液が垂れてきた場合

1月下旬以降に細い枝を切って樹液がダラダラ垂れてきた場合、すでに木が目覚めている状態です。これ以上の剪定は止めてください。樹勢が弱まる可能性があるため、今年の剪定はそこで終了し、来年は11月~1月中旬の早い時期に作業を済ませることをおすすめします。

■細い小枝を切りすぎて樹形が透けてしまった場合

細い小枝を切り取りすぎて見る影もなく透けてしまった場合、これは徒長枝が発生しやすい状態でもあります。今後は剪定の際に、枝先の細い小枝をできるだけ残すよう心がけてください。来年の夏に徒長枝が出てきたら、冬にまとめて整理することで徐々に回復します。

■樹勢の弱い木で夏剪定して枯れ込んでしまった場合

樹勢が弱い木に夏剪定をしてしまい、枯れ込みが見られる場合は、これ以上の追加剪定は絶対に避けてください。水やりをしっかり行い、木を休ませることに専念します。来年からは必ず冬期剪定に切り替えてください。

病害虫対策:トウカエデにかかりやすい病害虫と対処法

■①蜂の巣:夏の作業で最も注意すべき危険

トウカエデの夏の作業で最も注意したいのが蜂です。巣を作ったばかりの1匹で行動している場合はまだよいですが、卵から幼虫になった頃からが特に危険で、巣で待ち構えて警戒されています。羽根をプルプルと震わせて攻撃体制を取っている蜂を見つけたら、近づかないようにしてください。

ハチの巣の場所がわかり、ハチ1匹くらいならば、遠くまで飛ぶハチ撃退用のスプレー殺虫剤で対処できます。1~2mくらいの距離からスプレーを長めに噴射すれば、襲いかかってきても1発で仕留められます。

■②アブラムシ:新梢に群がる害虫

春の新梢にアブラムシが群がることがあります。スミチオン乳剤1,000~1,500倍液を散布して駆除します。

■③うどんこ病:葉が白い粉に覆われる病気

葉の表面が白い粉状のもので覆われるうどんこ病が発生することがあります。発病した葉は取り除いて処分し、殺菌剤を散布して対処します。冬の間引き剪定で風通しを確保することが予防になります。

病害虫共通の予防策: 冬の剪定で枝葉の密度を適切に保ち、風通しと日当たりを確保することが最大の予防です。

おすすめの道具:プロが実際に使うおの義の道具と選び方

■おの義の剪定ばさみ(細い枝の処理に)

トウカエデの管理で細い枝の徒長枝整理に使うのが剪定ばさみです。細い枝はポキポキと折れやすいため、切れ味の良い剪定ばさみがあるとスムーズに作業できます。

おの義(おのよし)の剪定ばさみは刃の切れ味・耐久性ともに優れており、現場での長年の使用に耐えます。切れ味の良い刃で切ることで枝の断面がきれいになり、病原菌が入りにくくなります。

お手入れ: 使用後は刃に付いた樹液をウエスで拭き取り、薄く油を塗ります。おの義は研ぎ直しサービスにも対応していますので、長く使い続けることができます。

■剪定ノコギリ(指の太さ以上の枝に)

指くらいの太さ以上になると剪定バサミやノコギリで作業するようになります。太い枝の処理にはノコギリが必要です。折りたたみ式の剪定ノコギリがコンパクトで持ち運びやすくおすすめです。

■ハチ撃退用スプレー殺虫剤(夏作業の必須アイテム)

夏にどうしても作業が必要な場合は、ハチ撃退用のスプレー殺虫剤を必ず用意してください。遠くまで飛ぶタイプを選び、1~2m離れた距離からでも対処できるものがおすすめです。

ゴミの処分とマナー:後片付けと近所への配慮

■冬の剪定で出る大量の枝の処分

冬期剪定では太い徒長枝を多数間引くため、通常より多くの枝が出ます。太い枝はノコギリで短く切り揃え、細い枝は数本まとめて紐で縛ると処分しやすくなります。自治体の燃えるゴミに出せることが多いですが、量・袋の指定・長さの制限は自治体によって異なりますので事前に確認してください。

■ご近所への配慮

トウカエデは8m以上になる高木です。枝張りがお隣の敷地に越境していないか定期的に確認して、冬の剪定で対処してください。

プロのホンネ:自分でやる限界と業者に頼む目安

樹高が3mを超えている場合: トウカエデは8m以上になる木です。3mを超えて高所での作業が必要な場合は転落リスクがあります。木に登って作業する場合も、太い上方枝でなければ折れにくいとはいえ、十分注意が必要です。不安がある場合は専門業者への依頼をおすすめします。

蜂の巣が確認された場合: 蜂の巣の駆除は危険を伴います。専門の害虫駆除業者に依頼してから、剪定を再開することをおすすめします。

樹勢が弱っている木で夏剪定を検討している場合: カエデ類は枯れやすい性質があります。樹勢の判断に迷う場合は、専門家に相談してから作業を進めることをおすすめします。

よくある質問Q&A

Q. お盆前に剪定したいのですが、本当にダメですか?
A. 推奨はできません。夏場は一番樹勢が旺盛で、切った以上に伸びようとする性質があるため「せっかく切ったのにまた伸びてしまった」と損をした気分になりやすいです。どうしても夏にすっきりさせたい場合は、伸びた分だけを刈り込み鋏で軽く切る程度にとどめ、本格的な剪定は冬まで待つことをおすすめします。

Q. 剪定はいつまでに終わらせればいいですか?
A. 1月中旬までに終わらせることをおすすめします。1月下旬頃になるとトウカエデは樹液がどんどん上り出し、すでに目覚めている状態になります。この時期以降に剪定すると樹勢が弱まる可能性があります。

Q. 細い小枝はすべて切ってもいいですか?
A. いいえ、できるだけ残すことをおすすめします。細い小枝を切り取ってしまうと見る影もなく透けてしまい、さらに夏には徒長枝の発生の元になり樹形も乱れます。

Q. 夏に蜂を見つけたらどうすればいいですか?
A. 近づかず、ハチ撃退用のスプレー殺虫剤で対処してください。羽根をプルプルと震わせて攻撃体制を取っている蜂は特に危険なので注意してください。蜂の巣の規模が大きい場合は専門業者に依頼することをおすすめします。

Q. 太い徒長枝は残してもいいですか?
A. 今年度伸びたような太い枝(緑色をしているもの)は樹勢が強い部分で、来年も同じところが同じように伸びる可能性が高いです。この太い枝は残さず切ることで、トウカエデ全体がきれいに整います。

トウカエデは「11月~1月中旬の冬期に剪定する」「夏(特にお盆前)の剪定は損をするのでおすすめしない」「上端部は強く、下端部は軽く剪定する」「細い小枝はできるだけ残す」という4つのポイントを守ることで、美しい紅葉と健康な樹形を毎年楽しめます。蜂の危険性も含めて、冬の安全な時期に作業することが何より大切です。

このページがトウカエデとの長いお付き合いの参考になれば幸いです。

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